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魔性をまとった蒼井優の最新作は“艶やかで、醜く、美しい映画”に…白石和彌監督インタビュー(dmenu映画)
『凶悪』(2013年)、『日本で一番悪い奴ら』(2016年)と“男くさい”映画群で頭角を現し、今や日本映画界を牽引する存在として注目されている、白石和彌監督。「日活ロマンポルノ」リブートプロジェクトの一作として女たちの猥歌を唄った映画『牝猫たち』(2017年)の次に手掛けたのは、女流作家・沼田まほかる原作の『彼女がその名を知らない鳥たち』(10月28日公開)。主演は蒼井優、共演に阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊という豪華布陣で描かれた究極の愛の物語は、蓋を開けてみると白石監督“ひとりロマンポルノ・リブート・プロジェクト第2弾”だった。出演俳優はもちろんのこと、各所属事務所関係者をうならせ、リスクの高い企画を傑作映画に昇華させた白石監督の演出術に迫った。
【画像】「ほどよい顔」と恥ずかしそうアピールする蒼井優
ルックスだけの自己中心的な男たちに次々と堕ちていく、クレーマーのヒロイン・十和子(蒼井)。そんな十和子をどんなことがあっても献身的に支える下劣な夫・陣治(阿部)の愛。リアル世界もフィクション世界も不倫百花繚乱の昨今にあって、タイムリーな内容でもある。白石監督は「企画を出した段階ではそこまで時代がマッチしていなかったけれど、公開の今になって不倫百花繚乱の時代になった。裏を返せば、世間というのは不倫話が大好きということ。そういう意味では時代にベストマッチした」と偶然の一致に驚きながらも、先見の明を喜ぶ。
ノンフィクション原作の映画で名を挙げた白石監督にとって、ラブストーリー原作を手掛けるのは初めてだが、惚れ込んだポイントがいささか変わっている。「自分の大嫌いなクレーマーが主人公であるという点もよかったし、原作を読んでいる間中、ずっと醜く、汚く、嫌なものを読まされている気がした。しかし、読み終えてみると『なんて美しい物語だったんだ』と思わされた。結末を知った途端に、汚れた部屋、醜い人間関係などを含めてすべてが美しく見える。その反転の構造から生まれる人間ドラマに惚れた」。恋愛モノを取り扱いながらも、人間の深淵を覗くかのような鋭い眼差しは濁らない。
提供元:Yahooニュース