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森昌子の“還暦引退宣言”から透ける歌手としてのジレンマ(日刊ゲンダイDIGITAL)

コラム【芸能界クロスロード】
芸能界には「定年」がない。「舞台で死ぬのが本望」という言葉があるように、体力があり需要があれば続けられる。それでも、不祥事などでやむなく引退するケースはあるが、現役中に自ら「引退」を発表する人は少ない。かつてキャンディーズと都はるみが「普通の女の子(おばさん)になりたい」と引退したが、やがて復帰している。仮に引退しても「いずれ戻ってくるだろう」と思われるのが芸能界だったが、そんな既成概念を覆したのが山口百恵さんだった。
人気ピーク時だっただけに惜しむ声は多く、ラブコールが続いたが、すでに復帰はない。百恵さんに継ぐ復帰待望論が上がっていた堀北真希さんも、最近、第2子を妊娠したことで、復帰は遠のいている。芸能関係者によれば、「改めて引退発表せずとも、自然にフェードアウトしていく人が多い。引退発表すれば、仮に戻るときに大義名分が必要。そんな面倒があるのなら、休業という形で、いつでも戻れるようにするほうが賢明」という。
デビュー時は明確でも、引退は不明瞭なままで済む世界である。従って、体力の限界など、はたから見ても分かりやすいスポーツ界と違い、芸能界に引退発表はあまり聞かない。半面、仕事をしていないと、「あの人どうしたのだろう」と余計な詮索をされるのも芸能界ならでは――。
そんな雑音が出る前に自ら「引退」を宣言する人が現れた。昨年、田村正和は役者としての限界を悟り静かに引退。安室奈美恵も40歳の若さで引退宣言。惜しまれつつ行われた引退コンサートは大きな話題になった。平成の終わりを直前に今度は森昌子が還暦を迎えた区切りに引退を決意。異例の会見を行った。アイドル発掘番組「スター誕生!」から生まれた最初の歌手として13歳でデビュー。圧倒的な歌唱力は「第2の美空ひばり」とも称された。森進一との結婚で家庭に入り一時、引退したが、離婚で復帰を果たしていた。近年はコンサートを中心に精力的に活動していただけに、唐突な引退は意外だった。
「芸能活動以外のことに時間を使って人生を充実させたいと思うようになりました」と理由を語ったが、別な見方もある。
「今後の目標を聞かれて、口ごもってしまった」という言葉に歌手としてのジレンマが透けて見える。
歌手を続ける以上、常に次への挑戦を持つことがモチベーションにもなる。ホリプロ時代の先輩、石川さゆりは布袋寅泰のギターとコラボして「天城越え」を歌い、最近も民謡をアレンジした楽曲を出すなど新たな挑戦を続けている。森は往年のヒット曲で全国を回っているが、セーラー服で「せんせい」を歌うなど工夫はしているものの、それは来場したお客さんを飽きさせずに楽しませることが目的。いくつになっても歌手としての進化を目指す石川とは違う。
一世を風靡した森。目標のなくなった歌手生活よりも、引き際の美学を貫いたのだろう。会見に涙はなく爽やかな顔だった。今後の人生を楽しむのも賢明な選択だったと思う。
(二田一比古/ジャーナリスト)
提供元:Yahooニュース