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【考察】キュウソネコカミは新作『にゅ~うぇいぶ』で大人になったのか?(rockinon.com)


キュウソネコカミが本日、約2年ぶりとなるオリジナルフルアルバム『にゅ~うぇいぶ』をリリースした。


キュウソと言えば今まで、「サブカル女子」から「バンド(音楽)シーン」と言った自分たちの身近なものを始め、周りのいろんな強敵に噛みつき、皮肉り、時には個人的な恨みまでも楽曲にしてきた。それを武器にメジャーシーンに乗り込んできたわけだが、3rdシングル『わかってんだよ』でついにその刃を自分に突きつけ、《お前らみたいなクズと一緒にしないでくれよ、》と今まで周りに噛み付いてきた自分こそが、《ただ生きているだけ》の何もない人間だったと吐露したのだ。



それを経て放たれた今作『にゅ~うぇいぶ』がどうなっているかと言うと、《誰にも負けない生き様ぶちかませ》と吠える決意の1曲目“5RATS”に始まり、男女ともに刺さり過ぎてしまう人多発が予想される“メンヘラちゃん”、Aメロが完全にBRAHMANの“TOSHI-LOWさん”、クズメンに魅かれちゃう系女子の曲“自由恋愛の果てに”、上司と部下の不倫を描いた“ギラギラおじさん”、中学生なみのピュアなリビドーソング“サクランボウイ”……などと言った新曲たちが並び、いつものキュウソ、いやそれ以上になんだか吹っ切れたような自由度と、インディーズ時代最後の作品『ウィーアーインディーズバンド!!』を彷彿させる「怖いものなし」な勢いすら感じる。



発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』2018年1月号のインタビューで『NO MORE 劣化実写化』をシングルで出す時に渋られたことや、“メンヘラちゃん”でMVを撮るのも一瞬ストップがかかったことが明かされているが、たしかにこのキュウソならではの「怖いものなし」感は痛快であると同時に、少しヒヤッとしてしまうところがある。先日、テレビ番組である芸能人が「今のテレビ業界は『怒られちゃう』が流行語。臆病になった」と発言していたが、テレビ含むすべての表現は今や、否定的な意見がSNSなどでスピーディーに共有されてしまう危険と隣り合わせで、慎重にならざるを得なくなった。




そんな世の中でも、前作にも増して自分たちの武器を振り回しまくっているキュウソに、大人はハラハラさせられる部分もあるのかもしれないが、結局“NO MORE 劣化実写化”も“メンヘラちゃん”も実現できている。それは彼らに、今これをメジャーでやっても問題ないロックバンドとしての熱量や、憎めないキャラクターや、《この歌はお前の事では無いから安心して眠れ》と言ってしまえるちょっとブラックなユーモアセンスも含めて、お客さんを楽しませ、熱狂を起こすことができるエンターテインメント性が備わっているからと言える。


と、ここまで今作のわかりやすい「表」の部分について書いたが、散々いろんなものに斬り込んだ後に“わかってんだよ”で締められるところがこの作品の本当の肝である。《あぁ僕は何も出来ないくせにバカにして/努力も挑みもしていなかったよ》となりふり構わず赤裸々に曝け出し、それでも《誇れる生き様目指し走るわ》と武器を持つ手にギュッと力を入れなおし、再び駆け出したキュウソの本気と覚悟がそこにはある。(渡邉満理奈)

提供元:Yahooニュース
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