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綾小路きみまろ、熟練された芸の秘密を紐解く1冊 「漫談をやっていたという証しを活字に残したかった」(夕刊フジ)


 【BOOK】綾小路きみまろ『綾小路きみまろ爆笑フォーエバー』文芸春秋680円+税


 「名前は、綾小路。顔は道路工事。体は袋小路!!」と自己紹介。手に扇子、赤いモーニングを着こなし、独特の名調子と毒の効いたフレーズで彗星のごとく現れたのが15年前。今や熟年の悲哀をユーモラスな笑いに変換させた漫談で全国の中高年を惹きつけ、心もわしづかみ。熟練された芸の秘密を紐解く1冊だ。(文・高山和久 写真・桐原正道)


 --メジャーデビュー15周年ですね


 「山も谷もありませんでしたね、と言いたいですが…。いずれ『あの人は今』みたいになるんじゃないかと思っていたのですが、ジワジワと燃えている炭火のような形で燃え続けてこられました」


 --節目の年にふさわしい1冊になりました


 「漫談をやっていたという証しを活字に残したかったんですよ。実際のライブで私がしゃべるのと、本で読むのとは感覚が違うんじゃないかと思ってね。ライブと本とで2度笑ってもらえるんじゃないでしょうか。文字の大きさも白内障、緑内障…上を向いて口を開けないと目薬がさせない世代のため大きくして工夫しました。対談のお相手には、私と同じ時代を生きてきた林真理子さんと、私と話が合わない若い世代の気持ちを知るためにローラさんをご指名させていただきました」


 --活動は全国を回るライブが中心


 「1時間以上漫談を続けるスタイルは私のほか世の中にいなかったですからね。ステージの途中で帰ってしまうお客さまがいないようにと努力を積み重ねてきました。ブレーク当時45歳の方は60歳。親子2代で30代から40代の方もおいでになる。ありがたいですね」


 --お客さまとともに歩んできた


 「ブレークしていた当時とは違って雑談も多くなりましたね。基本的に台本がないですから、絶叫する女性代議士、不倫の政治家たちの問題など、キャッチした情報を織り交ぜ、お客さまに『何で生きているの』『何が楽しいの』と問いかけながら私と一緒に時間を過ごしていただく雰囲気になってきました」


 --ネタも進化した


 「ステージの様子を常に録音して、同じネタにならないように移動の時間などで聴いて、時代とともに新しいネタを日々考えます。鉄板ネタ(絶対笑えるネタ)はありますけれどね。昭和を駆け抜けてきた方々の何気ない生活を題材にして話を組み立てていきます。老い、病気、死、夫婦の悲哀が中心。『昔ラブラブ、今デブデブ』ってね。私の漫談は何がネタなのって感じでオチもない。ことば全体がオチ。『シルクのようなポリエステル』『エルメスのような、しまむら』…ことばのマジックショーですよ。自虐ネタを挟んで『若いときがあったんでしょ、その顔で』とおとす。4コマ漫画のイメージですね」


 --メジャーデビューまで“潜伏期間”が長かったですね


 「司会者を目指して上京して産経新聞の専売所で働き始めた頃、ちょうど夕刊フジが(1969年に)創刊でした。たくさん宣伝しましたよ。その後、都はるみさんや桜田淳子さんなどの司会をしていましたが、憧れていた玉置宏さんにはかなわないとわかって漫談を始めたんですよ。中高年のファンが多い森進一さんのコンサートの司会の延長線で漫談が生まれたんです。まだ30代ですから、当時はセクハラ漫談って言われていました。漫談家になったのは運命のいたずらですかね」


 --あきらめず漫談を続けてこられたのは


 「いつか分かってくれる人がいると信じていましたね。とことん漫談の道を突き進んで死んでいこうという気持ちで自主制作のテープをつくったのが始まり。運があったんでしょうね。人生は縁と運と努力。すべてが揃ってこそ、成功に結びつくんですよね」


 ■内容 「中高年、デブなのに手にはスマートフォン」「ボディースーツ、無理して着ればボンレスハム」などのギャグを大きな文字で織り込んだ新作「爆笑スペシャルライブ」の漫談が3編。語り口調そのままで、ページをめくるたびに“きみまろ節”が行間から飛び出す。最終章では笑芸論、プロ意識など、いまの心境を真剣に語っている。作家・林真理子氏と熟年談義、CM女王・ローラとの異色対談も加わり、最後まで抱腹絶倒だ。


 ■綾小路きみまろ(あやのこうじ・きみまろ) 1950年、鹿児島県生まれ。66歳。拓殖大学卒業。本名・假屋美尋(かりや・よしひろ)。69年に上京後、79年に日劇で漫談家デビュー。高速道路のサービスエリアで自作テープを無料配布するなどして評判となり、メジャーデビューの2002年、漫談CD・カセットテープ「爆笑スーパーライブ第1集!中高年に愛をこめて…」がミリオンセラーに。爆笑ライブは年に100カ所以上。「東京オリンピックが開かれ、70歳になる2020年までは頑張りたい」とコンディションを維持するためにジョギングを続けている。「(メジャーデビュー)20周年ではカツラを外してロビーに飾り、ファンと記念撮影。“ヘアヌード”で漫談をやりたいね」と意気軒高。新刊『書きとりきみまろ』、『しょせん幸せなんて、自己申告。』(10月下旬発売)も15周年記念として出版。

提供元:Yahooニュース
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