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“青い目の国会議員”で話題に ツルネン・マルテイさんは今(日刊ゲンダイDIGITAL)
かつて“青い目の政治家”として話題になった国会議員がいた。フィンランド生まれの元民主党参院議員、弦念丸呈(ツルネン・マルテイ)さん(77)だ。2013年7月の参院選に比例区で出馬したものの惜しくも落選。通算2期で政界を引退した。今どうしているのか?
■人生を振り返り「すべては使命だった」
「日々の生活は執筆活動をメインにしてまして、午前中はパソコンに向かい、午後は読書をしたり30坪ほどの家庭菜園の手入れをしたり。政界? すっかり距離を置いてしまい、投票には必ず行きますが民進党の党員でもありません」
神奈川県鎌倉市西鎌倉。弦念さんと会ったのは最寄り駅から10分ほど歩いた閑静な住宅地にある自宅の書斎だった。
「13年の政界引退以降、手がけた書籍は3冊になります。この中には、前妻との間に生まれ、分子生物学者でもある次女が書いた小説を翻訳した『砂漠の鷲』(新評論)もあります。この12月20日には自叙伝『使命』(皓星社)を発売予定なんですよ」
新著「使命」は2年前にフィンランドで発売されて現地で話題になった「青い目のサムライ」をベースにした日本語版。約2割を新たに書き加えているという。
「私は、すべての人間には生まれる前からこの世で果たすべき使命が与えられていると思っています。私が宣教師を志したのも、アフリカを希望したのに日本に来ることになったのも、そして国会議員になったのも、すべては使命だった。こう思って人生を振り返りました」
執筆にあたっては、奥さまの幸子さんが校正を担当。日本語ならではの言い回しや表記確認などをサポートした。まさに二人三脚のたまものだ。
「もちろん、妻と出会ったのも使命なんですよ。私は国会議員になるまで4回落選して1日1000円で過ごした苦しい時期もありました。それでもついてきて支えてくれたんですからね」
ところで、弦念さんの政治家の原点は、熱海の手前にある神奈川県湯河原町。いつ、鎌倉へ引っ越したのか?
「参院議員2期目だった09年です。湯河原町には大変お世話になったのですが、国会まで通うのが大変でね。長男も都内に勤務してましたから、都心へ1時間以内で行けて自然が残ってる場所、という条件でここを見つけました」
自宅はフィンランド風ログハウスで、1階が弦念さん夫妻、2階に長男家族が住む2世帯住宅だ。
■欧米出身者として初めての国会議員に
さて、1940年にフィンランド南部の北カルヤラ県に生まれた弦念さんは、キリスト教の宣教師として67年、フィンランド人の前妻と来日。大分県別府市のキリスト教系児童福祉施設の職員として働いていたが、74年に宣教師を辞めて離婚した。そして現在の奥さん、幸子さんと結婚。
「母国に雰囲気が似ている」(弦念さん)長野県安曇村に引っ越し、日本文学をフィンランドに紹介する翻訳業と自宅での英会話塾で生計を立てた。
「この間に帰化申請しまして、79年6月に認められました」
湯河原に転居したのは81年。英会話塾で生活費を得ていたが、地縁、血縁にがんじがらめの地元町議会に疑問を抱き、自ら92年3月に出馬。
「当時は外国生まれで選挙に出る人が珍しかった。それで新聞社はもちろん東京のキー局も全て取材に来てくれました」
結果は24人中4位で当選。政治家の道を歩み始めた。
その後、参院選2回、衆院選に1回出馬したが、連続落選。民主党公認の比例区候補となった01年参院選でも落選したものの、同じく比例区で当選した大橋巨泉氏(故人)が辞職したため、02年2月に繰り上げ当選。晴れて参院議員になった。
「以来、13年に辞職するまで11年半、欧米出身者として初めての国会議員をさせていただきました。この間、06年に制定された議員立法『有機農業の推進に関する法律』の制定に奔走したのが一番の思い出ですね」
前妻との間に2女1男の子供がおり、孫は6人。幸子さんとの間には1男1女に恵まれ、長男夫婦には6歳の孫がいる。
「長女は米国に住んでまして、今年の年末に子供が生まれる予定です。来年夏はその孫に会うため米国へ行くつもり。それが今、一番楽しみにしてることです」
提供元:Yahooニュース