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リリー・フランキー、演じて分かった障害者の現実(日刊スポーツ)
<映画「パーフェクト・レボリューション」主演・リリー・フランキーが語る 1>
リリー・フランキー(53)が映画「パーフェクト・レボリューション」(松本准平監督、29日公開)で、障害者の恋愛や性の支援を訴え、啓発の活動を続ける脳性まひの活動家・熊篠慶彦氏(47)を元にした主人公を演じた。ニッカンスポーツコムの単独取材に応じ、今回の映画、友人でもある熊篠氏が訴え続ける障害者の性と恋愛、そして自身について語った。
-◇-◇-◇-◇-◇-
「パーフェクト・レボリューション」は、出生時から脳性まひがあり、車いす生活を続けながら障害者の恋愛や性の支援を訴え、啓発の活動を続ける熊篠氏の実話を元に、松本監督が脚本を書いた実話ベースの作品。幼少時に脳性まひを患いながら、障害者への世間、社会の誤解を解くためにメッセージを発信するクマ(リリー)と、クマの発言に勇気を与えられ、恋に落ちた人格障害を抱えた風俗嬢ミツ(清野菜名)の恋愛ストーリーだ。
-全編を通じて電動車いすに乗っての演技が続く。手を曲げるところから、熊篠さんが乗り移ったようだ
リリー 今までで1番、役作りが楽だった。モデルが僕の友達なんです。なるべく、元のモデルがいるものですから、忠実にやりたいと思ったんですけど、熊篠君の手の曲がり方とか、足のやせ方だったり…これに関しては形から入らないと、気持ちが入らないな、というのがあって。
-実際、友人として交流するから見えている部分があったのでは?
リリー それもあったんですけど、実際に熊篠君の役をやることになって、あらためて観察しようと思って見ると…何て言うんですかね。あぁ、俺は、こういうことを見ていなかったんだということが、すごくたくさんあった。
-具体的には
リリー 熊篠君はすごくユーモアがあってインテリな人で、理路整然とものをしゃべるんです。でも、何かを食べようとした瞬間…映画の中でもステーキを食べようとするシーンがあるんですけど、こんなに大変なんだなと。10年来の知り合いですけど、あらためて熊篠君の食べている姿を見た時に、ハッとしたと言うか…今まで、そういえば、あまり一緒にいる時に飲み食いしていないなと。トイレが心配なんでしょうね。レストランは入り口がバリアフリーでも、トイレがバリアフリーじゃないから。そういうことを、知っているつもりで全然、知らなかった。
-日本は障害者の問題を、映画でもどうしても暗く扱いがちだけれど、海外では、障害者も健常者と同じように明るく描く
リリー 重たくならないように…というのは、すごく最初から意識していたと思いますね。後半の方は、完全にファンタジーになっていますけど。事実が元になっている部分が多いので、法事のシーンのディティールなどは、経験した者しか分からない、障害者の家族の話ですね。法事って、別に家族に中に障害者がいなくても、何か本当に余計なことを言う親戚が集まる会じゃないですか(苦笑い)その中の1人、障害がある家族がいると、そのことに話が集中して、こうなるんだろうなと。
-清野菜名(22)が演じた、恋人ミツのインパクトが強い
リリー 基本的に、僕はずっと車いすに座っていますけれど、菜名ちゃんがすごく躍動感があり、みずみずしく動いているので、映画が動いていく。最初「何だ、この女、本当うっとうしいな」というふうな登場をしてくるんですけど、どんどん、いろいろな人の中で「まっとうなの、こいつなんじゃないのか」と思わせるシーンがある一方、(精神的に)おかしなシーンがある。最後は、介助ばかりされてきたクマがミツを介助しようとする
-クマを介助しているうちに、逆に人格障害に対する心の介助を受けるミツの姿に、体は健康であっても、心が疲れ、病んでいるであろう現代の日本人への問いかけを感じた
リリー ミツは病名がついていますけど、病名がついていなくて、ああなっている人は、いっぱいいると思うんですよ。その一方で、明らかに体に障害があるクマが、いたって正常なまっとうな人間であるということ。
-やはり健常者の理解がないということ
リリー 映画を見始めた瞬間に、多くの人が「(クマとモデルの熊篠氏の障害が)脳性まひらしいよ」と分かるんでしょうけど、脳性まひという言葉自体、誤解を生みやすいというか、知的障害や言語障害を伴っていると思われがち。(劇中で)俺が普通にしゃべっているのを見て(映画が作りやすい設定にした)すごくご都合主義だなと思う人もいるかも知れないですけど…障害の出方は人それぞれですからね。普通にしゃべられる人もいれば、言語障害の人もいる。だから、熊篠にもなるべく一緒に舞台あいさつに稼働してもらいたいなって。映画を通してということも大事なんですけど、例えば障害者の性という話って、熊篠と東京・新宿ロフトプラスワンあたりで話してきたんですけど、聞いてくれる人が限られてくる。こういう機会にメディアを通じて話して、熊篠の投げかけてきたことを知ってもらいたい。
次回はリリー・フランキーが、障害者の性、恋愛について語る。【村上幸将】
提供元:Yahooニュース