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リリー・フランキー「障害者も恋やセックスしたい」(日刊スポーツ)


<映画「パーフェクト・レボリューション」主演・リリー・フランキーが語る 2>


 リリー・フランキー(53)が、ニッカンスポーツコムの単独インタビューに応じた。リリーは主演映画「パーフェクト・レボリューション」(松本准平監督、29日公開)で、幼少時に脳性まひを患い、車いす生活を続けながら障害者の恋愛や性の支援を訴え、啓発の活動を続けるクマを演じた。原案となった「たった5センチのハードル」(01年)の著者で、クマのモデルとなった活動家・熊篠慶彦氏(47)との10年来の交流を経て、思う障害者の性、恋愛に対する健常者の誤解について思いの丈を語った。

【写真】第59回ブルーリボン賞授賞式で助演男優賞を受賞したリリー・フランキー

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 -障害者の性、恋愛を真っすぐに描いている。多様性への理解が進んでいる現代でも、障害者の性を語ることへのハードルは高いことがあらためて分かった


 リリー 熊篠君の夢を昔、聞いたことがあるんですけど「やっぱ、立ちバック(セックスの体位)ですよねぇ」って…夢らしいですよ(笑い)そういうことを普通に言える、すごくユーモアがある。でも、そういうので笑っていいかを、ためらう人もいるじゃないですか。障害者風俗の映画も昔、あったりしたんですけど、もう、それ以前のことの認識というか…障害者が恋愛したい、セックスしたい、性欲があるということを、健常者がほぼ、ほぼ認識していない。何で、そんな当たり前のことを認識していないのかなという。基本的に、歩けないとか、手が曲がっているとか、しゃべることが出来ないとかあっても、恋愛したいとか、セックスしたいって絶対に思っているはずなのに、何で思わないってことにしちゃっていたんだろうなって。


 -問題は健常者の側にあると


 リリー 健常者の誤解によって起きている問題ですからね。この10数年、20年くらいの、障害者を扱う物語は「障害者はピュアなものである」という扱いになっていたから…。障害者を妖精化、聖人化しているのもあるし、性欲を表面的なものにするとと、ボランティアの人も急に冷たくなると。結局、障害者が、健常者が思う架空の障害者を演じなきゃいけないという。映画はドキュメンタリーではないので、見て娯楽として楽しんでくれて「そう言えば、障害者の人だって、そりゃあセックスしたいよね。何で、そう思わなかったんだろう」っていうことくらいで、いいと思う。熊篠君がずっと活動の中で訴えている「障害者だって恋愛したいし、セックスもしたい」ということが、映画の中で伝わるとは思わないですけど、映画が出来たことで、こうして取材をしていただくことで伝わればいいなと思っています。


 -劇中でも、小池栄子(36)演じるボランティアが、自分の中でのボランティアのあり方について、自己満足という部分がある中でも、社会貢献したいと葛藤する場面がある


 リリー ボランティアの人の間でも(障害者に対して)「かわいそうなものとして扱ってあげていたのに、何でセックスとかやりたがっているの」って感情が、どこかにあったりとか…。日本の中に、善意の中の、すごい無理解があるじゃないですか? 熊篠みたいに、自分の介助されている部屋にAVがあったり、TENGA(男性用アダルトグッズ)を置いていたりというのは、なかなか珍しいと思う。障害者の人は、介助の人に(性欲などの話を)言いにくい。障害者と介助の人の間に、そういうことを、ちゃんと聞いてあげられるカウンセラー、セラピスト、障害者が言える相手がいれば…介助の人に全てまかなってもらうのは、なかなか難しい。


 -障害者向け風俗もある


 リリー あるんですけれど、障害者はお金があまりないじゃないですか。でも、それって健常者でも金がないヤツが、セックスしたくても風俗に行けないのと一緒だと思うんですよ。根本的に一緒だと思うのが1番、分かりやすい。人権以前の生理(障害者の性欲)を、今までないものにしていたのは、日本人のどういうメンタリティーだと。障害者風俗に、いきなりフォーカスを当てて映画にする企画もあるけれど、そこにいく以前のことが、みんな分かっていない。


 -今回の映画は、そうしたことを、説教くさくなくソフトに伝えている


 リリー 良くも悪くも、ポップなエンターテインメントな仕上がりになったので、説教じみた重たく苦しい、社会に問題を投げかけるというところからかけ離れた…言ってみれば、すごいバカ映画じゃないですか(笑い)障害者が主人公でも、笑えるバカ映画ってないことだから、いいことじゃないかなって思うんです。


 次回はリリー・フランキーが、自らにとって特別な作品になった今回の映画のこと、そして俳優業、自身の恋愛の現状について語る。【村上幸将】


 ◆リリー・フランキー 本名・中川雅也。1963年(昭38)11月4日、福岡県生まれ。武蔵野美術大卒業。20代からイラストレーター、文筆業、映像制作、バンド、ラジオなどで活躍。05年の小説「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」(扶桑社)は映画、ドラマ、舞台に。初出演映画は04年「盲獣 VS 一寸法師」。代表作は「そして父になる」、「凶悪」(13年)など。血液型B。

提供元:Yahooニュース
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