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【「雑魚どもよ、大志を抱け!」評論】足立紳監督×フレッシュな才能で描く少年時代 心に刻まれた“逃走”のリフレイン(映画.com)

 「百円の恋」(脚本)、「喜劇 愛妻物語」で知られる足立紳の監督最新作は、自身の小説「弱虫日記」の映画化となった。テーマは、少年時代の葛藤と勇気、そして旅立ち。こんなワードを羅列すると、例えば「スタンド・バイ・ミー」「グーニーズ」なんて作品を思い浮かべてしまう(「ションベン・ライダー」も!)。もちろんリンクする要素はあるが、足立流の冒険譚は2つのポイントが際立っていたように思えた。

 舞台設定は、1988年。主人公の高崎瞬は、仲間たちとのバカな遊びやいたずらに夢中なやんちゃな男の子。彼の親友にはさまざまなバックボーンを抱えながらも、懸命に明日を夢見る少年たちがいた。子ども同士のシビアな権力争いやいじめを前に、友人を守るため、そして大嫌いな自分と訣別するため、瞬は勇気を振り絞る。

 注目したのは“逃げる”という行為が繰り返されること。瞬と仲間たちは、いわゆる悪ガキだ。劇中では、大小さまざまな悪戯を重ねていく。駄菓子屋の店主とバトルし、オオサンショウウオを釣り上げ、仲間の姉にちょっかいをかける。責任をとらず、代償から遠ざかるように、とにかく逃げる。清々しい勢いで逃げまくる。リフレインする光景に、思わず笑いがこみあげてくる。

 不思議なもので大人になるにつれ、この“逃げる”という行為が難しくなっていく。しがらみやプライド、時には過剰な勇気を求められ、その場に立ち尽くすのみ……なんてことが往々にしてある。だからこそ、彼らの全力疾走に懐かしさを感じ、羨ましくも思えてしまった。

 そして、この一連のくだりがのちのち効いてくる。今度は逃げるべきか、逃げざるべきか……どちらにしろ「痛み」は伴うことになる。それぞれの決断に差が生じることで、結果的に“ぎくしゃく”とした関係へ。少年たちは右往左往しながらも、その状況と向き合うなかで、眩いほどの成長を遂げていく。

 次に着目したポイントにも、この“逃げる”というものは深く関わっている。それは親の存在だ。乳がんを患った母、一見無関心な父。宗教、犯罪歴、離婚、母子家庭などなど、少年たちを取り巻く環境はかなり複雑。いわゆる「家族」から逃げることは難しい。少年たちは、それを密かに自覚し、互いに感じとっている……という背景が、魅力的なストーリーの一助となっている。

 瞬役の池川侑希弥(「Boys be」)は言わずもがなだが、田代輝、白石葵一、松藤史恩、蒼井旬、坂元愛登、岩田奏ら、同じくオーディションで抜てきされた“少年たち”のフレッシュな演技は注目に値する。表情やアクション、そして涙。“今”だからこそ表現できるものが、スクリーンからひしひしと伝わってくるはずだ。

(岡田寛司)

提供元:Yahooニュース
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