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【知りたい】なぜベックは『オディレイ』に始まる鬼才型ポップと、内省的なSSW路線を行き来し続けるのか(rockinon.com)
10月13日にリリースされるベックの新作『カラーズ』はすでにリリースされている一部の収録曲の性格から考えて、2006年の『ジ・インフォメーション』以来の、ポップ・アルバムとなることはまず間違いない。
もちろん、ポップといっても、ベックのことだからそれはロック、ヒップホップ、R&B、ブルースなどをすべて融合した上でのベックのイマジネーションのスケッチとなったものになるはずで、早い話が1996年の『オディレイ』、2005年の『グエロ』の流れを汲む作品になるだろうということだ。
そして、ベックの鬼才ぶりは"Loser"や『オディレイ』などに代表されるように、まったく予想もつかなかった、突拍子もないそのモダン・サウンドにあるので、これほど待ちわびた作品はないといってもいいのだ。
Beck - Dreams
だからといって、最新作となる2014年の『モーニング・フェイズ』に代表される、ベックのシンガー・ソングライターとしての文脈を明らかにしてきた作品群がそれに劣っているというわけではない。むしろ1998年の『ミューテーションズ』、2002年の『シー・チェンジ』という系譜を辿ってきたこの作風はベックのソングライターとしての傑出した才能をみせつけるものだ。ブルースやカントリーをも飲み込んだ、このソングライターとパフォーマーとしてのあまりにオーソドックスでありながら現代的な楽曲を紡ぐベックの資質は、それだけでもベックを格別な存在として証明するものになっている。
Beck - Blue Moon
ただ、それをみせつけられればみせつけられるほど、ポップやヒップホップでも縦横無尽に自身の世界を繰り広げてみせるベックのその才能の底知れない深さについても、思い知らされるというものなのだ。
たとえば、現時点で公開されている『カラーズ』の楽曲だけでも、それは圧倒的なまでにベックならではのポップ=ヒップホップ路線を打ち出した楽曲となっている。"Dear Life"であれば、見事なまでにザ・ビートルズやポール・マッカートニーを彷彿とさせるピアノ・リフによる演奏と力強いメロディが繰り出されて、コーラスではどこまでも音が広がっていくという文句なしの名曲になっているし、"Dreams"はすさまじいまでのロック・ダイナミズムとベックのメロディとその特異なヒップホップ的感性を融合させた楽曲になっていて、間違いなく最新型のベックのアンセムとなっている。
Beck - Dear Life
ただ、こうした強烈にどこまでもへこたれない力強さをポップ・ミュージックとして鳴らすベックの世界は、『モーニング・フェイズ』とはまるで対極的なもので、それは歌詞的な内容としても同様なのだ。
『モーニング・フェイズ』、『シー・チェンジ』、『ミューテーションズ』の歌詞的世界が自身を限りなく問い詰めていく内省的なものになっているのに対して、この『カラーズ』や『オディレイ』、『グエロ』、『ジ・インフォメーション』の歌詞的世界はどんなに絶望的な内容になっていたとしても最終的にはそこを跳び越えろと鼓舞するものになっている。
ほとんど別人格といってもいいこのベックの作風の両面性はどうやって成立したのか。たとえば、カントリー・ブルースやフォークにまで根ざし、今ではカントリーをも飲み込んで最も新しいアメリカーナのひとつの形を成しているといってもいい、ベックのシンガー・ソングライターとしての作風は、ベック本来の音楽的資質であることはもう歴然としている。
では、ヒップホップやR&Bなどをも大胆に導入していくそのセンスはどういうものなのかというと、アンダーグラウンド・アーティストとして活動していくうちに培ったプロデューサー的資質といってもいいし、ベック自身の生い立ちが育んだ感性そのものでもあるのだ。
ベックはロサンゼルス出身で、もともとは落ち着いたロス近郊に住んでいたものの、その後、エルサルバドル避難民やヒスパニック系が多く住む犯罪多発地域で思春期を過ごしたことで知られている。父親は著名なアレンジャーのデヴィッド・キャンベル、母親はモデルやアーティストとして有名なビビ・ハンセンだが、両親の離婚後、母親と生活していたベックは生活がかなり困窮し、再開発の立ち退きの後、移り住んだ近所の環境が凶悪化した後も、ほかへ移転することはもうできなかったことを明らかにしている。
つまり、80年代以降進行したアメリカの中産階級の没落をなぞっていくような生い立ちを送ったといってもよく、ベックは当時、流行の音楽にはまったく関心が向かず、レッドベリーなどのブルースやフォークに没頭するか、著しく治安の悪い自宅近所で鳴っていたヒップホップにしか興味が湧かなかったとこれまで語ってきている。そして、そのふたつの要素は今も顕著なベックの作風の両面性にそのまま繋がっているものなのだ。
Beck - Loser
ブルースとフォークと実験性を融合したパフォーマンスをアンダーグラウンドとして試みていたベックにとって、自身のヒップホップ的な側面を解放するきっかけとなったのはいうまでもなく、"Loser"だった。ベックは"Loser"の逆説的なシニシズムについて、その本来のメッセージのはずだったポジティビティが伝わりにくかったかもしれないと反省していたことをその後明らかにしていて、そのひとつの答となったのが『オディレイ』だ。
そして、基本的にその後のベックのこのポップ=ヒップホップ路線はポジティヴィティをベースにしたものになっていて、それは逆境を乗り越えていくという自身の生い立ちそのものを反映したものなのだ。その一方で、その生い立ちのなかでベックが自身の心の奥底に沈殿させていった数々の思いを拾い上げては綴っていくのがシンガー・ソングライターとしてのベックの作風のひとつの特徴なのだ。
Beck - Where It's At
いずれにしても、ベックがこのポップ=ヒップホップ路線を本格的に打ち出すのは2006年の『ジ・インフォメーション』以来11年ぶりということになる。一時期は、一線から退いて作曲とプロデュースに専念していた時期が続いたが、グラミー賞を受賞した『モーニング・フェイズ』を経て、ようやくこれで本格的にベックが復帰したということになるのでとても嬉しいし、作品の全貌を知るその日をとても楽しみにしている。(高見展)
Beck - WOW
提供元:Yahooニュース