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作家・はあちゅうさんが初短編集 「小説」と「旅」を語る 「この本は『私の人生のアルバム』です」(産経新聞)
作家でブロガーのはあちゅうさん(31)が、短編小説集「通りすがりのあなた」(講談社、1300円+税)を出版した。小説の刊行は初めて。7編の短編を収める。日常あるいは旅先で出会い、ちょっとしたやりとりが心に残る「あなた」との関係を精緻に描く。「『名前の付けられない人間関係』を描きたかったんです」。はあちゅうさんは本書に込めた思いをこう語った。
■心のどこかで引っかかる「あなた」
恋人のルームメート、留学先のホストファミリー、旅先で何度もすれ違う旅人…。この作品に出てくる「あなた」は、家族でも、親友でも、ましてや恋人でもない。だけど、心のどこかで引っかかる。そういう人物とのやりとりや、心の機微を描く。
「友人や恋人ではないけれど、何となくいとおしく思える関係性ってありますよね。私の場合、飲み会で1回会った人に強い影響を受けたことがありますし、『あの人に会わなかったら、コーヒーは好きにならなかった』という人もいます。そういう、一定の枠でくくりにくい人間関係を描くことを心がけました」
「小さいころから作家になりたかった」と振り返るはあちゅうさん。大の本好き。誰よりも小説を読んだ自負もあった。高校生の時、賞にも応募したことも。だが、大学在学中にブロガーとして活動するようになってからは、「改めて小説を書く勇気が出なかった」という。
しかし、講談社の編集者から「はあちゅうさんの小説を読んでみたい」と声をかけられた。作品を持ち込んだところ、同社の文芸誌「群像」への掲載が決まった。「本とは何だろう、小説とは何だろう」と何度も自問自答しながら執筆したと振り返る。
■過去の経験からストーリーを着想
留学経験や世界一周の旅、広告会社勤務などの経歴を持つはあちゅうさん。はあちゅうさんが過去に経験したことや会った人々を元に、小説としての着想を広げていったという。
例えば、中米・パナマに短期留学した高校生の男女を描いた「友達なんかじゃない」は、以前パナマに留学した経験が生かされているという。登場人物への感情が終盤、ふとしたきっかけで鮮やかにひっくり返るのが印象深い。
「人間関係は、不確かなもので構成されていると思うんです。特定の枠に当てはまらない人間関係があってもいいし、曖昧なものを曖昧なまま残しておくことも、人生には必要なのではないでしょうか」
「妖精がいた夜」は、突然「人生のどん底」に突き落とされた会社員の女性のもとに、人生で一度だけ手助けをしてくれる“妖精”が現れる話だ。じんわりと心が温まるこの作品には、自死という選択肢を選んでしまった先輩の話が登場する。高校時代の男子同級生の突然の死にショックを受けた経験が生かされているという。
「別に付き合ってもいないし、仲の良い友達というわけでもなかったんです。お互いにメアド(メールアドレス)を知ってて、教室の席が少し近かったくらい。でも、その彼が大学の時に交通事故で亡くなって、深い悲しみを覚えたんです。『何でもっと話さなかったんだろう』って。その人との思い出や時間が、もっとあってほしかった。そういう後悔が自分の中にあるのだと思います」
■“炎上”には2通りある
ところで、ブロガーとして新しいインターネットツールや宣伝手法を用いるなど、ネット上で存在感を発揮しているはあちゅうさん。「インフルエンサー(影響力のある人)」として、消費マーケットの拡大に影響力を持つ一方で、時として発言が“炎上”することもある。このことについて尋ねると、「まず、炎上の定義を明確にしたいのですが」と切り出した。
はあちゅうさんによると、炎上には(1)倫理的な炎上(2)賛否両論ある議論の過程での炎上-の2種類があり、自身の場合は(2)だという。
「今は時代の『過渡期』なんです。ネットの普及もあり、働き方改革にしろ子育てにしろ、賛成と反対の両意見が入り交じっていますよね。私は主張の最先端に立っているからこそ、逆風も受けるし、私の発言に抵抗感を覚える人がいるのは仕方ありません。ただ、私は自分が正しいと思うことを言っているだけですし、倫理的にアウトなことは言っていません。数年後は、私の(主張の)立場にいる人が多いと思います」
こう言い切るのも、ブログの先駆者として実績を積んだ自負があるからだ。
「私はブログを18歳で始めたのですが、当時は誰も『ブログじゃ食べていけない』と言っていました。それでも私はブログを続けていたら、今ではちゃんと生きていけるようになりましたから」
はっきりと主張するはあちゅうさんだが、少女時代は「クラスの隅っこにいて、言いたいことを言えない子供」だったという。
「でも、ブログを通じて、自分の言いたいことを主張することの大切さを学びました。発言することをやめたら、世の中が良くなるどころか、後退してしまう。だから、これからも頑張ろうと思います」
■旅は絶対に経験したほうがいい
「世界一周鬼ごっこ」は、バックパッカーをテーマにした。自身は大学の卒業旅行の際、企業からスポンサーを募って世界一周の旅に出た。その経験を通じて学んだのは、「旅で自分は変わらない」ということだったという。
「世界一周を終えたら、私は一段階成長して大きな人間になれる…と思っていたら、全然そんなことはありませんでした。インドのガンジス川に飛び込めば、人生が変わる-ということはないんです。そういうことをブログに書いたら、燃えて(炎上して)しまいましたが…」
こう苦笑いしつつ、若い人は「旅は絶対に経験したほうがいい」と強調する。「他の人は自分を変えてくれない。自分を変えたければ、自分で変わるしかない-という現実的なことを、旅は教えてくれました。新たな発見や、たくさんの『いとおしい瞬間』に出合うこともできましたしね」
■「新しい本の形」を作りたい
作家として今後取り組みたいテーマは「東京とネット」。さらに、スマートフォン世代に向けた「新しい本の形」を提案したい、と意欲を燃やす。
「今度新しいビジネス本を出版する予定なのですが、(ブログのように)行間を空け、読みやすくした体裁で出したいと思っています。140字のツイッターに日々触れるこのスマホ時代、文字を読むスタイルの変化や慣れの問題から、『長文は最後まで読み切れない』と感じる人は多いと思うんです」
作家・はあちゅうさんにとって、この短編集はどういう作品になったのか。
「この本は私の記念すべき第1作ということに加え、私の『人生のアルバム』を作っている気持ちになりました。ネットで知られている『はあちゅう』以前の私が見えると思いますし、私のことを知らない人に本を手に取ってもらえるとうれしいですね」(文化部 本間英士)
■はあちゅう 1986年生まれ。幼少期を香港、シンガポールで過ごす。慶応大在学中にブログを始め、卒業旅行で世界一周を経験。大手広告会社などを経てフリーに。主な著書に「疲れた日は頑張って生きた日 うつ姫のつぶやき日記」「半径5メートルの野望」など。筆名の由来は、幼い頃に自分の名前を呼ぶ声が「はあちゅう」と聞こえたこと。本名は非公開。
提供元:Yahooニュース