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永作博美、先のことは考えず「流れに沿って」 女優人生について明かす(クランクイン!)


 「かなり難しいと思いましたね。芝居の手がなくて」と口を開く永作博美。数多くの話題作に出演し、その演技を認められる彼女が新たに選んだのは、直木賞作家・佐々木譲が初めて手掛けた法廷小説を原作とする『連続ドラマW 沈黙法廷』だ。連続する老人の不審死事件の捜査線上に上がった家事代行の女・山本美紀を演じる。クライマックスの法廷シーンの撮影を前にした永作に、本作の魅力を聞いた。

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 犯人なのか、冤罪なのか。情報が錯綜し、報道が過熱する中、美紀は法廷での発言を拒否する。「嬉しいことに、これまでも難しい役をたくさんやらせていただいてきました。その中でも今回の美紀は本当に手がない。セリフがほとんどないので、ひと言を発するのも怖いです。それでいいのかというジャッジもできないのは、久しぶりでした」という永作だが、一方で美紀は「つかんではいけない役」だと強調した。


 「隙間をあえて残しているというか。『人のセックスを笑うな』なんかもつかみどころのない役でしたが、美紀には意思すらない。つかまるところもない、過去も分からない。それをだんだんと埋めていく。法廷シーンでは、やっと美紀に血を通わせられる場面がやってくるので、今から楽しみにしています」。


 美紀をめぐり、さまざまな立場の人間が登場するが、かつて美紀と交際していた青年・弘志は一貫して彼女の無実を信じ続ける。演じるのは市原隼人。永作は、美紀と弘志の関係をとても気に入ったと明かす。「脚本になったときに、いいなと思ったというか、ちょっとキュンとしたことがあったんです。弘志と美紀の関係を、純愛として浮かして書いてくださってあったんですね。それがすごくいいなって。若い方の純愛ものはたくさんありますけど、微妙な年齢での純愛ものって難しいし、なかなかない。でも、実際には求めていらっしゃる方もいると思うんです」。



 「照れながら、気持ちよくやらせていただいた」という市原との幸せなシーンにも注目だ。多くのキャラクターを演じてきた永作。役との縁をこう振り返る。「毎回思いますけど、どんなに似たような役だと人が言おうと、同じものはひとつとしてないですね。同じ人というのはひとりもいない。それを考えられる、重んじられる自分になっている、年齢に達してきたということは嬉しいことでもあります。役をいただくたび、縁があって私のところにきた役を読むたびに、どれも本当に新鮮な気持ちで読めています。いただいた役には、何かこの人を助けられることはないだろうかと考えます。私が寄り添える隙間があればと」と役との向き合い方を語る。


 また、続いていく女優人生を尋ねると次のように返ってきた。「先のことは考えないですね。ただずっと働いているだろうとは想像します。それが何なのかは分からないけれど、それも縁だろうし、自分から大きなアクションを起こすとかではなく、流れに沿ってできることで、自分を豊かにしていけたらと思います」。


 そして最後に本作の見どころに触れた。「人がどれだけ不確かなものかが分かっていく話でもあると思います。人がどこまで先入観で人を見ているのか。腑に落ちるのは最後の最後だと思いますが、そこまでのモヤモヤ感を楽しんでほしいです。そうした些細なところ、小さなものをくみ取っていく感じって、いま簡単に飛び越えてしまっていると思うんです。この作品にはすごくしっかりと時間が流れていると思います」。(取材・文・写真:望月ふみ)


 『連続ドラマW 沈黙法廷』(全5話)は、WOWOWプライムにて毎週日曜22時より放送中。

提供元:Yahooニュース
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