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浦沢直樹、創作の秘訣はリベンジ精神! 手塚眞監督は“ジャンル越境論”を提唱(映画.com)
[映画.com ニュース]1985年に公開された「星くず兄弟の伝説」から30年以上の時を経て、リメイクでも続編でもない、新たなコンセプトで製作された映画「星くず兄弟の新たな伝説」のライブイベント“星くずサロン”が10月6日、東京・代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」で行われ、手塚眞監督、中川翔子、漫画家・浦沢直樹氏が参加した。
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18年1月20日の「星くず兄弟の新たな伝説」劇場公開に向けて、手塚監督がホストとなり、縁のあるゲストを招く定期のライブイベント“星くずサロン”。手塚監督と亡き父が旧知の仲だった中川は作品をいち早く鑑賞したらしく「全編音楽がものすごく素晴らしかった」と絶賛。手塚治虫原作「上を下へのジレッタ」ミュージカル版に出演していたため「舞台と手塚作品の融合はどう見ていますか?」と質問を投げかけると、手塚監督は「手塚作品は、設定が極端だから舞台向きだと思っていますね。映画でリアルに表現しようとすると、逆におかしく見えてしまう。一方で漫画チックに描いても変になってしまうから」と分析していた。
手塚治虫の大ファンである浦沢氏は「直接お話ししたことはないんですが、新人の頃パーティで一度だけすれ違いました。でも、自分の隣に『陽だまりの樹』を立ち上げた時の編集者がいたんです。彼は既に担当を外れていたんですが、手塚先生は見た瞬間に『すぐに仕事場帰るから!』と言って、反射的に逃げていってしまった(笑)」と締め切りに追われていた売れっ子作家ならではの爆笑エピソードを披露。さらに、ちばてつや氏が不慮の事故で手を負傷した際、漫画界のレジェンドたちが集ったトキワ荘のメンバーが立ち上がり、全員でペン入れを行ったという知られざる逸話も明かしていた。
「鉄腕アトム」を題材にした「PLUTO」の執筆時には「眞さんから執筆OKが出た瞬間に具合が悪くなった。体中じんましん。何を書いていても背後から『浦沢氏、それは違う』と手塚先生の声がした(笑)」と振り返っていた浦沢氏。やがて創作の秘訣として「ずっと描いているということはアイドリング状態。何か声をかけられた時に『はい!』とすぐ手を挙げられる。その返事をするタイミングが重要」「手塚先生も作品の単行本化の時は、いつも描き直している。漫画家はいつもリベンジしたいと思い続けているもの。“描く”と“描き直したい”ということの繰り返しで、それがエンジンとなり回転していく。とにかく1回形にしなければならない」と熱弁していた。
一方、手塚監督は、浦沢氏が自作「BILLY BAT」のプロモーション映像を自ら手掛け、バンド活動にも精を出していることを引き合いに出し「昔はこの道一筋という考え方だったが、これからはクリエイターがジャンルをまたがってもいいと思うんです。漫画家なのに音楽をやっても全然いいんじゃないか。例えば“浦沢直樹”というジャンルが残ればいい。人間の方がジャンルの上に立つ」と持論を展開した。やがて中川から「映画の監督はしたくないんですか?」と問いかけられた浦沢氏は「僕はスタンリー・キューブリックが大好きなので、キューブリック的になってしまう可能性がある。やり出すといつまで経っても出来やしないということ(笑)」とジョークを飛ばして、場内の笑いを誘っていた。
「星くず兄弟の新たな伝説」は、近田春夫原案、手塚監督によるロックミュージカル映画。近未来を舞台にスターダスト・ブラザーズのカン(三浦涼介)とシンゴ(武田航平)という2人のロッカーが月へ行ったり女性になったり西部劇をしたりと、冒険と活躍を繰り広げる奇想天外な物語。18年1月20日から東京・テアトル新宿ほか全国順次公開。
提供元:Yahooニュース