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愛する人の腕の中で… マドンナ女優・星由里子さんの最高の最期(夕刊フジ)

【ドクター和のニッポン臨終図巻】
1960年代、加山雄三さん(81)の『若大将シリーズ』でマドンナ役を好演、『モスラ対ゴジラ』など特撮映画にも出演し、映画少年の心をわしづかみにした女優の星由里子さんが5月16日に亡くなりました。74歳でした。所属事務所から死因は「心房細動と肺がん」と発表されています。
訃報を目にしたとき、私は思わずその記事を二度見してしまいました。2000枚以上の死亡診断書を書いてきましたが、2つの独立した病名を併記した死亡診断書を書いたことがないからです。
心臓は4つの部屋に分かれています。上2つの部屋を心房と呼びますが、右房内の電気信号の乱れによってまったく不規則に脈うつ状態を心房細動と呼びます。そうなると左心房の中に血栓(血の塊)ができやすく、それが脳に飛んでいくことがあります。心原性脳塞栓(そくせん)症といい、命にかかわる悪性の脳梗塞です。しかし抗凝固剤を内服することで予防できます。高血圧や糖尿病や喫煙などの危険因子が重なって脳の血管が詰まる脳梗塞とは厳密には区別されています。脳梗塞はわが国で現在、約70万人以上が罹患(りかん)しています。
心房細動は加齢に伴い増えますが、それだけでは直接的に死に至りません。悪性脳梗塞や慢性心不全に至れば最終的に命に関わります。報道によれば、星さんはこれまでに2度、心臓の手術を受けられていたそうです。現在、心房細動の多くはカテーテルアブレーションという治療法で治ります。
4月5日が2度目の手術でしたが、術前の検査の際に偶然肺がんが発覚したそうです。既にステージ4でしたが、自覚症状はほとんどなかったようです。心臓の治療を主眼にした経過の中で発覚したステージ4の肺がん。私が主治医だったら、「がんが早く見つからなくて良かったね」と声をかけていたかもしれません。心房細動とステージ4の肺がんという2つの治療を並行して行うことは負担が大きすぎて、衰弱を早めるかもしれないからです。
3月まで映画の仕事をしていた星さんは結局、肺がんの治療を受ける間もないまま旅立たれたようなので、このような死因の発表となったのかもしれません。
亡くなる日の夕方、ご主人と一緒に病室でカレーと杏仁豆腐を召し上がったそうです。その夜、10分ほど苦しい時間が続き、夫に抱きかかえられながら死の壁を越えたようです。「だいぶ楽になったわ。ありがとう」とお礼の言葉を残して。
星さんは3度のご結婚をされています。男運が悪いと若い頃に言われたこともあったようですが、最期は愛する人に抱かれながらの平穏死でした。マドンナ女優の名にふさわしい、最高の男運だったのではないでしょうか。
■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。
提供元:Yahooニュース