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本当はバッドエンド？「原作と結末が全然違う」名作邦画（3）断ち切られた運命...切なすぎるエンディング(映画チャンネル)

同じ物語でも、文字で読む結末と映像で観るラストはこんなにも違う――。心の奥を揺さぶる衝撃、思いがけない温もり、突き放すような冷淡さ。原作と映画、それぞれが描く「最後の一手」に込められた意味を掘り下げながら、物語に秘められたもう一つの真実へと迫る。第3回。※映画のクライマックスについて言及があります。未見の方はご留意ください。（文・阿部早苗）監督：成島出
脚本：奥寺佐渡子
原作：角田光代
キャスト：井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司

【作品内容】

　希和子（永作博美）は、母親になれない絶望から不倫相手の娘・恵理菜を誘拐し、自らの子として育てていた。やがて恵理菜は4歳で実の両親のもとへ戻されるが、育ての母が誘拐犯だったと知り、心を閉ざしてしまう。時は流れ、21歳になった恵理菜（井上真央）は妊娠。しかし、相手は既婚者だった…。

【注目ポイント】

　角田光代の同名小説を原作に映画化された『八日目の蝉』。第35回日本アカデミー賞では最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞など10部門を受賞する快挙を成し遂げた作品だ。
　
　母親になれない絶望から不倫相手の娘・恵理菜を誘拐し、4年間実の子として育てた希和子と4歳で実親の元に戻り、心に深い傷を抱えたまま成長した恵理菜が大人になって不倫相手の子を身ごもるという二人の女性の複雑な関係と軌跡、そして母性をテーマに描いた物語。

　希和子がまだ赤ん坊だった恵理菜を誘拐し、最後の潜伏先となったのが小豆島にある「エンジェルホーム」という施設だった。彼女はそこで身を隠しながら薫と名付けた恵理菜をわが子として育てていた。

　そんな小豆島が舞台となる終盤の結末は、映画版と原作ではそれぞれ異なる展開を見せる。

　映画では、希和子と恵理菜は再会することはない。小豆島にたどり着いた恵理菜は島内を巡る。幼い頃の思い出を辿り写真屋へと向かった恵理菜は、当時の写真によって希和子との温かい記憶を蘇らせる。それは、失われた母との日々を確かに感じさせるもで、母親になるという決意をする瞬間でもある。

　一方、原作では恵理菜はタクシー運転手との会話によって希和子と過ごした記憶が蘇る。そして小豆島行きのフェリー乗り場で偶然にも希和子とすれ違うも、二人はお互いの存在に気づくことはない。

　心の癒しを見出す映画のラストに対し、原作では再会の描写がより曖昧で二人の断ち切られた運命を象徴するような、切なさを余韻として残す結末となっている。

提供元：Yahooニュース

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