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木村多江、新境地に挑戦 ドラマ「ブラックリベンジ」で復讐の鬼と化す(スポーツ報知)


 女優・木村多江(46)が、読売テレビ制作の日テレ系ドラマ「ブラックリベンジ」(木曜・後11時59分)で“復讐(ふくしゅう)の鬼”と化している。夫と子を偽のスキャンダル報道で失い、「目には目を」とばかり、週刊誌ライターになって悪党を地獄送りにするヒロイン・沙織を演じる。「良心の呵責(かしゃく)がありながらも狂気に身をゆだねる役。『この人、ちょっと怖いんじゃない?』と、私自身のイメージを裏切ることができれば」と新境地に挑んでいる。(筒井政也)


 温和なイメージの木村から「骨の髄まで炎上しなさい」という冷淡で強烈な決めゼリフが飛び出す。“耐える女優”の型を破る、ドス黒い演技が新鮮だ。


 ねつ造されたスキャンダル報道で夫が自殺。そのショックで子供も流産した沙織(木村)は、5年後、感情のおもむくままに、リベンジを仕掛ける。元週刊文春記者・中村竜太郎氏が監修。ゲス不倫など今日的なテーマはもちろん、報道の裏テクニックも見どころだ。オファーを受けた木村は「激しい役ですが、こんなに面白いドラマで主役をやらせてもらえるなんて」と飛び付いた。


 自身は高校時代、学校教育が厳しかった経験もあり、「『いい子でいなさい』と抑え付けられて生きてきたので、本能をさらけ出すのが怖いんだと思います。怒りを出すと悲しくなっちゃう(笑い)。沙織も結局、自分を傷つけているのでは」と分析するが、「お芝居で怒りを出すのは最も不得意なところですが、役者はモラル、秩序を超えた部分を出さないといけない」。弱点克服の絶好機でもある。


 木村といえば、はかなさを漂わせる「薄幸女優」という唯一無二の看板を持つ。「『この役は木村多江しかできない』と言われるのはとてもありがたいですが、役者としては幅広く、いろんな芝居ができるようになりたい」。ドラマの撮影でも、用意した演技ではなく、自然にニヤリと笑う自分に気づくことがあるとか。「沙織が自分の中で暴走する。今までにない化学反応のようなものが、大きな成長につながれば」と期待する。


 ドラマは今後、復讐劇にとどまらず、サスペンス要素も盛り込まれるという。「気づいたらアリ地獄の中…。暗い、黒い渦に巻き込まれるのを、楽しんでもらえたら」と笑顔で話す。


 女優としては、報道対象にもなる身だ。「何でもないつもりで話したことが、違う展開になってビックリしたことも。怖いといえば怖い」と振り返るが、マスメディアに触れることはあまりないとか。芝居を離れれば、妻・母でもあり「毎日、いろんなことに追われて、時間が常にない。知らないことだらけ。多分、自分が『芸能人』だという感覚が薄いんですね」と苦笑する。


 仕事に取り組む感覚は、芸能人というより「職人」だという。「世間のことより、目の前のものに没頭し、集中して向かっていく感じ」と説明する。「役者をやってなかったら…職人さんをやりたい。染め物とか、地道で向いていそう」。黒い世界に身を浸し、「木村多江」に新色を染める。


 ◆木村 多江(きむら・たえ)1971年3月16日生まれ。46歳。東京都出身。舞台女優として活動後、96年「MOROCCO」で映画デビュー。99年のフジテレビ系「リング~最終章~」「らせん」の貞子役で注目される。2008年の映画「ぐるりのこと。」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などを受賞。出演映画「あゝ、荒野 前篇」が公開中、後篇は21日公開。05年に一般男性と結婚し、08年に長女を出産した。

提供元:Yahooニュース
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