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  • 1:

    あたしの名前は矢竹紗莉。

    お前のために、

    今日も明日もこれからも。

    2006-03-03 08:54:00
  • 201:

    『サリ?大丈…』
    完璧に、ドアと言う壁を開いた所に、サリを見つめる。
    『…………』
    そしてドアから雅也を見つめたサリは、ふわりと雅也に倒れ込んだ。
    ──冷たい。冷え切った体からは異様な違和感が漂う。

    2006-03-03 12:27:00
  • 202:


    『…ウッ!!ッッ!!ゲホッゲホッ!!』

    ──下を向いて、黄色い液体を唇から伝っては落ちてゆく。
    白いタブレットが液体に包まれて何粒もポタリポタリと落ちる。

    2006-03-03 12:29:00
  • 203:

    『サリ!?ちょっ!!』
    雅也の腕からスルリと抜け落ちて、サリがうずくまる。
    瞬時にフワッとサリを持ち上げると、雅也はドアを押しあけて走り出していた。
    『ゲホッ…』
    『…大丈夫やからな。すぐ楽なるから。』

    2006-03-03 12:31:00
  • 204:

    静かな住宅街は、タクシーなんて走っていない。
    雅也は小さく軽すぎるサリの体を抱き抱えて走る。
    タクシーが捕まり乗り込む。
    ドアが開く時間すら惜しい。
    『救急の…日赤行って!!上六の日赤病院!』

    2006-03-03 12:32:00
  • 205:

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━パチッ…

    『あ、目ぇ覚めた?』
    まだ少し朦朧とする意識の中でサリは耳をすました。
    『先生が、たいしたことないって。もうすぐ帰れるって。…もう苦しくない?』

    2006-03-03 12:36:00
  • 206:

    聞き慣れた声に鼓動が和らぎ、パリパリの真っ白なシーツから腕を出す。
    『…‥手…握っ‥?』
    掠れた声に耳を傾け、雅也は、白くて今にも折れそうな手をそっと掴む。
    サリは、冷え切った腕に力を伝わせ、言葉をゆっくりと並べ始める。

    2006-03-03 12:37:00
  • 207:

    『…ごめん…なァ‥仕事…やのに…』
    『はいはい。わかったから寝とき。』
    『あたし…』
    『喋るんかい(。´v`。)ノ』
    『…娘が居てるねん。』

    2006-03-03 12:37:00
  • 208:

    『………ん?』
    雅也は、繋がった手を一瞬ピクッッと動かした。
    『娘が居るねん。』
    しっかりと目を開けてサリはそう言った。
    『…うん。』

    2006-03-03 12:39:00
  • 209:


    『でも、東京行っちゃった』

    サリはフフッと笑う。

    2006-03-03 12:39:00
  • 210:

    その笑顔はどれほど苦しい中で創られたモノだっただろう。
    ベットにもたげた横顔は
    真っ白な天井を見つめたまま言葉を続ける。
    『何回も何回も、会いに行ったよ。雨の日も、綺麗な青空の日も、何回も何回も…1日、ううん…、1分だって忘れた事なかった。…』

    2006-03-03 12:40:00
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