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∞sARy∞
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203:
『サリ!?ちょっ!!』
雅也の腕からスルリと抜け落ちて、サリがうずくまる。
瞬時にフワッとサリを持ち上げると、雅也はドアを押しあけて走り出していた。
『ゲホッ…』
『…大丈夫やからな。すぐ楽なるから。』2006-03-03 12:31:00 -
204:
静かな住宅街は、タクシーなんて走っていない。
雅也は小さく軽すぎるサリの体を抱き抱えて走る。
タクシーが捕まり乗り込む。
ドアが開く時間すら惜しい。
『救急の…日赤行って!!上六の日赤病院!』2006-03-03 12:32:00 -
205:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━パチッ…
『あ、目ぇ覚めた?』
まだ少し朦朧とする意識の中でサリは耳をすました。
『先生が、たいしたことないって。もうすぐ帰れるって。…もう苦しくない?』2006-03-03 12:36:00 -
206:
聞き慣れた声に鼓動が和らぎ、パリパリの真っ白なシーツから腕を出す。
『…‥手…握っ‥?』
掠れた声に耳を傾け、雅也は、白くて今にも折れそうな手をそっと掴む。
サリは、冷え切った腕に力を伝わせ、言葉をゆっくりと並べ始める。2006-03-03 12:37:00 -
207:
『…ごめん…なァ‥仕事…やのに…』
『はいはい。わかったから寝とき。』
『あたし…』
『喋るんかい(。´v`。)ノ』
『…娘が居てるねん。』2006-03-03 12:37:00 -
208:
『………ん?』
雅也は、繋がった手を一瞬ピクッッと動かした。
『娘が居るねん。』
しっかりと目を開けてサリはそう言った。
『…うん。』2006-03-03 12:39:00 -
210:
その笑顔はどれほど苦しい中で創られたモノだっただろう。
ベットにもたげた横顔は
真っ白な天井を見つめたまま言葉を続ける。
『何回も何回も、会いに行ったよ。雨の日も、綺麗な青空の日も、何回も何回も…1日、ううん…、1分だって忘れた事なかった。…』2006-03-03 12:40:00 -
211:
ムクムク
見っけた?初カキコ?
楽しみにしてま〜す☆頑張って?2006-03-03 12:41:00 -
212:
雅也はパイプ椅子を支えながら黙っている。
『でも…いつも通り、会いに行った日、マンションは…空いてた。二日後…ハガキが来たの。アハハ…素っ気ない字で…書いてた。『東京へ引越します。』
だってー。ハハー。笑ってまうやろー?アハハ…』
静かで目がチカチカする程に白い部屋の中、サリの声は震えだして行く。2006-03-03 12:41:00