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∞sARy∞
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224:
--受信BOXを開こうとする。
『…カズキ…‥』
腕の中から声が聞こえ、なぜか雅也は携帯を閉じた。
『ん?気分悪い?』
邪魔物のように、雅也は携帯をポケットの奥の奥の奥に仕舞い込んだ。2006-03-03 12:53:00 -
225:
『あり…ぁと‥』
『え、何。ありがとって言いたいん?笑。言えてへんで』
『やかぁし』
『ハハッ。わかったわかった。どーいたしまして。』
──ポケットの中では、携帯はチカチカと蛍光色を光らせている。2006-03-03 12:54:00 -
226:
──サリを好きになればなる程に、自分が汚く思える。
サリに近づけば近付く程、身をくるめる鋼鉄の鎧だったスーツに締め付け苦しめられる。
夜の輝くネオンが、人が、女の子が、金が、怖くなる。2006-03-03 12:55:00 -
227:
サリは見つめていた。
そこに産まれていた雅也の恋心にも、気付いていた。
腕の中から、外の世界に目をやる雅也を見る。
淋しそうな、苦しそうな、雅也の横顔は、…朝が近付く薄暗がりの中で際立った虚無感を醸し出す。2006-03-03 12:56:00 -
228:
その日、初めてと言うのかやっとと言うのか、
サリと雅也は《恋人》になる。.
淡い黄色の陽射しがカーテン越しに差し込む中、
二人は穏やかに微笑んで、ベットは久方ぶりに狭くなった。2006-03-03 12:57:00 -
229:
『雅也…?』
『はい?』
『変な感じー笑。』
『カズキでもィィですょー』
笑いながら、名前に戸惑いながら、二人はお互いを深めようと喋り明かした。2006-03-03 12:58:00 -
230:
雅也はゆっくり話し出す。
──お母さんが亡くなった事、そしてその日、一度だけ鳴った着信を、雅也は無視してしまった事、今でも忘れる事のない母の笑顔。
『…だからな、』2006-03-03 12:59:00 -
231:
『メリチャンも忘れる事ないょ。サリが、想い続ける限り、メリチャンは忘れへんょ。』
雅也はそう言って大きな掌でサリの髪をなでた。
『…‥そかなぁ…』
『サリーチャン…』
『え?』2006-03-03 13:00:00 -
232:
『サリィチャン。魔法の国の。サリィチャンは魔法使いやろ?』
『あぁ!!ちっさい頃アニメで見た見た…。』
『魔法使いサリィは、みんなを笑顔にするんでしょー』
──プニッとサリの頬を掴み、ウニュッと口角を上げ、雅也は笑う。
『…‥』2006-03-03 13:01:00