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☆スタービーチ☆

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  • 1:

    きらきらアフロ

    「ねぇ知ってる?星の降る夜は1つだけ願い事が叶うんだよ?」
    「誰も信じてないと思うけどさ。私は信じてるんだよね☆」

    2005-07-20 01:28:00
  • 151:

    きらきらアフロ

    電車に乗り込むツカサを改札の陰から見てることしか私にはできなかった。
    すごく後悔したしたくさん泣いた。
    でもね、この二ヶ月の間に私は自分の気持ちを整理することができたんだ。
    整理して出た答えはツカサと別れるってこと。

    2005-08-09 02:36:00
  • 152:

    きらきらアフロ

    自分の中で大きくなっていくツカサへの気持ちに私は耐え切れなくなったの。
    私は本当に弱い女だった。本当にごめんなさい。
    ツカサは私に言葉では表せないほどたくさんの思い出をくれたね。
    今まで本当にありがとう。

    2005-08-09 02:43:00
  • 153:

    きらきらアフロ

    ボクはただ呆然と天井を見上げていた。
    体を動かすことすら出来なかった。
    どれだけの時間が過ぎていったのだろう?
    部屋に広がっていた懐かしい海の匂いもいつのまにか消えていた。

    2005-08-09 02:52:00
  • 154:

    名無しさん

    あげ?

    2005-08-11 03:58:00
  • 155:

    きらきらアフロ

    頬から涙が零れ落ちた。天井がうっすら涙でぼやけて見えた。
    やっと気づいた。今までずっと気づいてないふりをしてたんだ。
    失ってからやっと。
    ボクの本当に大切なものって・・・。リナだったんだ。

    2005-08-14 04:04:00
  • 156:

    きらきらアフロ

    ボクは部屋を飛び出した。エレベーターを待たずに階段を駆け下りた。
    外はうだるような暑さだったけど気にならなかった。
    サンダルのまま駅までの長い道のりをボクは走った。
    クーラーを消し忘れた。カギだって掛けてなかった。そんなことわかってた。
    ボクはただ・・・リナに会いたかった。

    2005-08-14 04:24:00
  • 157:

    名無しさん

    しおり?

    2005-08-14 15:17:00
  • 158:

    きらきらアフロ

    160さんありがとです☆

    2005-08-15 03:10:00
  • 159:

    きらきらアフロ

    改札を通り抜け、人であふれ返っている階段を駆け上がった。
    朝のラッシュの時間は過ぎていたのに電車の中はやけに込んでいた。
    電車の窓からは灰色の大きなビルしか見えなかった。
    窓から見えるこの景色がボクの憧れていた町だったんだ。

    2005-08-15 03:15:00
  • 160:

    きらきらアフロ

    トンネルを抜けると青い海が窓いっぱいに広がった。
    何も変わっていなかった。うっすら香る海の匂いも。キラキラ光る青い海も。
    本当に何ひとつ。変わったのはボクだけだった。

    2005-08-15 03:41:00
  • 161:

    きらきらアフロ

    ドアが開くと胸いっぱいに海の匂いが広がった。
    電車を降りるとボクはリナの家まで走った。
    早く顔が見たかった。早く声が聞きたかった。早く会いたかった。
    何よりもこの両手でリナを抱きしめたかった。

    2005-08-15 04:04:00
  • 162:

    ???

    すごぃおもしろかったです??続けが気になるし完結まで頑張って下さい???

    2005-08-15 22:06:00
  • 163:

    きらきらアフロ

    165番さんありがとです☆ほんまにうれしいです。

    2005-08-16 03:31:00
  • 164:

    きらきらアフロ

    リナの家の前に着いたボクの心臓はドキドキ音を立てていた。
    家の門を開けようとしたとき玄関に人影が見えた。
    「ツカサくん?」「久しぶりじゃない。」
    玄関から出てきたのはリナのおばさんだった。

    2005-08-16 03:37:00
  • 165:

    きらきらアフロ

    「おばさんっ!」「リナは、リナは今居ますか?」
    ボクにはおばさんの声さえ届いていなかった。
    「ちょっと落ち着いて。」「リナは家にはいないわよ。」
    おばさんは取り乱してるボクをなだめるように答えた。

    2005-08-16 03:46:00
  • 166:

    きらきらアフロ

    「そうですか・・・。」「ボク探してきます。」
    そう言い残してボクはまた走り出した。向かう先はもう決まっていた。
    サンダルはすごく走りにくかった。そんなことどうでもよかった。
    ボクは思った。もしやり直せるなら二度とリナを離さないって。

    2005-08-16 03:56:00
  • 167:

    きらきらアフロ

    坂を下りきるとキラキラ光る海が目の前に広がった。
    ボクは堤防から砂浜へと続く階段を駆け下りた。
    砂浜を歩く見慣れた後ろ姿が目に入った。

    2005-08-16 04:17:00
  • 168:

    きらきらアフロ

    「リナ!」
    たった二人しかいない砂浜にボクの声が響いた。
    振り返ったリナはボクを見つけるとその場に立ち尽くしていた。
    ボクは一歩。また一歩足を踏み出した。
    今にも泣き崩れそうなリナのほうに。

    2005-08-16 04:29:00
  • 169:

    名無しさん

    しおり?

    2005-08-21 03:19:00
  • 170:

    きらきらアフロ

    「ツカサ・・・?」
    リナは零れ落ちそうなほどの涙を目に溜めていた。
    ボクは何も言わずにその華奢な体をギュッと抱きしめた。
    真っ青な空の暖かな日差しが僕らをそっと包んだ。

    2005-08-21 04:11:00
  • 171:

    きらきらアフロ

    「ただいま。」
    ボクの腕の中で涙を流すリナの耳元で一言だけつぶやいた。
    「おかえり・・・。」
    ボクはその言葉が聞きたかった。ボクにはそれだけで十分だった。

    2005-08-21 04:18:00
  • 172:

    きらきらアフロ

    今になってトオルさんの言ったことがやっと分かった。
    手をつないでいても何気ないことでその手は離れてしまうんだ。
    だからボクはこの両手でリナを抱きしめた。
    もう二度と離さないように・・・。

    2005-08-21 04:24:00
  • 173:

    きらきらアフロ

    いつの間にか空が赤く染まり始めていた。
    「遅くなってごめんね?迎えに来たよ。」
    ボクは子供のように泣きじゃくるリナの涙をぬぐった。
    ボクはもう一度ギュッと抱きしめた。
    オレンジ色の入道雲が沈んでいく太陽を追いかけていった。

    2005-08-21 04:35:00
  • 174:

    きらきらアフロ

    ボクらは白い砂浜に座り、空に浮かぶ月が白く輝きだすまで話をした。
    ボクはこのまま時が止まって欲しかった。
    「帰ろっか?」
    リナがつないでいた手を離してとつぶやいた。

    2005-08-23 21:26:00
  • 175:

    きらきらアフロ

    ボクは離したくなかった。
    今離してしまえばもう二度と手をつなげないような気がしたから。
    「おばさんに話をしに行くよ。」
    ボクの腹はもう決まっていた。リナを連れて行くんだって。

    2005-08-23 21:30:00
  • 176:

    きらきらアフロ

    「エッ?本気なの・・・?」
    リナは驚いたような顔でボクの目を見つめた。
    「うん・・・。もう決めたんだ。」
    そう言うとリナの頬を涙が伝った。涙の跡がまた増えていった。

    2005-08-23 21:40:00
  • 177:

    きらきらアフロ

    堤防の上につながる階段を二人で上った。もちろん手はつないだままで。
    久しぶりのいつもの帰り道は、なんだか照れてうまく話が出来なかった。
    でもボクは決めたんだ。
    もう後悔だけはしたくないから。
    ボクらは夏の匂いが残る満天の星空の下を歩いた。

    2005-08-24 01:22:00
  • 178:

    ???

    久しぶりに見ました、頑張って?

    2005-09-04 02:56:00
  • 179:

    ぁゆ

    やばぃっ?むっちゃ切なぃわぁ?頑張ってくらさぃ?

    2005-09-10 09:49:00
  • 180:

    きらきらアフロ

    パソコンが潰れてサボってました?これからはケイタイからカキカキします☆ ???さん、ぁみさんありがとです?

    2005-09-10 11:37:00
  • 181:

    きらきらアフロ

    「リナを連れていかせてもらえませんか?」    ボクはそう話を切り出した。キレイな木目のテーブルの向こうに座るリナの両親は突然の話におどろきを隠せないようだった。   「ちょっと考えさせてくれないか?」       少しの沈黙のあとおじさんは答えた。

    2005-09-10 11:39:00
  • 182:

    きらきらアフロ

    正直ボクはびっくりした。当然反対されるものだと思っていたから…。    「答えるのは明日でいいかな?」         おじさんはボクの目を真っすぐ見つめて言った。  ボクは一回小さく頷いた。「今から少し二人で飲まないか?」

    2005-09-10 11:41:00
  • 183:

    きらきらアフロ

    それからボクらは懐かしい昔話をした。時折見せるおじさんの苦笑いがボクの胸を痛いぐらい締め付けた。「そろそろ帰ります。」 ボクはグラスの中のビールを飲み干すと席を立った。「また明日来ますんで」 真っ赤な顔をしたおじさんは小さく頷いた。

    2005-09-10 11:44:00
  • 184:

    きらきらアフロ

    玄関からボクを見送るおじさんの姿はとても寂しげだった。         ボクは小さくおじさんに頭を下げ歩き始めた。   久しぶりに歩く帰り道はなんだか切ない気持ちでいっぱいだった。      静まりかえった海は星空を映して輝いていた。

    2005-09-10 11:44:00
  • 185:

    きらきらアフロ

    ボクは立ち止まり夜空を見上げた。ほんの少し手を伸ばせばキラめくその星空に届きそうな気がした。  堤防の階段を下り砂浜にボクは寝転んだ。なぜかここにいたかった。夜が明けるまでボクは目を閉じて波の音を聞いていた。

    2005-09-10 11:45:00
  • 186:

    10号

    すげーいぃ?
    目の前に景色や風の匂いを感じれる? 頑張って??

    2005-09-10 11:46:00
  • 187:

    きらきらアフロ

    10号さんありがとです?

    2005-09-10 18:15:00
  • 188:

    きらきらアフロ

    その頃リナの家では…。 「お父さん。リナのことどう考えてるの?」    おばさんはおじさんに問い掛けた。        「そうだな…。」    おじさんはずっと黙り込んでいたけれど、ふと笑みをこぼした。       「行かせてやったらいいんじゃないか?」

    2005-09-10 18:19:00
  • 189:

    きらきらアフロ

    「でも誰かが『そんなことないよ』って、二人の背中をそっと押してあげないと二人は前に進めないんじゃないか?」       「それがオレであっても、反対すべき立場の父親であったとしても…。それはそんなに悪いことじゃないと思うんだ。」

    2005-09-10 18:21:00
  • 190:

    きらきらアフロ

    おじさんは話を終えると窓を明け夜空を見上げた。 「なぁ母さん。きっと大丈夫だよ。離れても同じ空の下にいるんだから。」  おばさんは一回小さく頷いたあと話始めた。    「そういえば、私たちもこの星空の下で恋をしたんだったね。」

    2005-09-10 18:22:00
  • 191:

    きらきらアフロ

    ふたりは寄り添いながら窓から見える星空を見上げていた。         この町で生まれ育ったボクらはみんなこの零れ落ちそうな満天の星空の下で恋をしたんだ。       この夜空に星が流れるたび恋人たちは永遠を願ったんだろう。

    2005-09-10 18:27:00
  • 192:

    名無しさん

    しおり?

    2005-09-11 02:59:00
  • 193:

    名無しさん

    今全部読みました?胸が締め付けられそうなぐらい切ないです?っづきが気になります?

    2005-09-11 04:35:00
  • 194:

    名無しさん

    2005-09-11 20:57:00
  • 195:

    ???

    ???

    2005-09-11 20:57:00
  • 196:

    名無しさん

    ぁげ?

    2005-09-12 08:31:00
  • 197:

    名無しさん

    もっかいァゲ?

    2005-09-13 00:56:00
  • 198:

    名無しさん

    書いてやぁ?

    2005-09-14 15:04:00
  • 199:

    きらきらアフロ

    真っ暗な浜辺を白く輝く月が照らしていた。波音は相変わらず静かだった。たった二ヵ月離れていただけなのに、なぜかとても懐かしく感じた。       町を出てボクは少し大人になった。というよりも大人になったフリをしてるだけかもしれないのだけど…。

    2005-09-15 02:18:00
  • 200:

    きらきらアフロ

    無茶苦茶だってゆうことくらいボクにもわかってた。でも…。それでもボクはリナと一緒にいたいと思ったんだ。         ボクはこの星空に願った。ずっとリナがボクの隣で笑っていてくれますようにって。それだけでボクは幸せだから。

    2005-09-15 02:21:00
  • 201:

    きらきらアフロ

    満天の星空に星は降っていなかったけどそんなことどうだってよかった。ただ願えば叶うような気がしたから…。         ボクはキラキラ光る星空と白く輝く月の下でリナに恋をした。この町で育った誰もがそうであったように。静かな波音がボクをそっと包んでくれた。

    2005-09-15 02:22:00
  • 202:

    きらきらアフロ

    水平線と真っ暗な夜空の間から太陽がゆっくり昇り始めていた。耳を澄ませば微かに海鳥の声がボクの耳に届いた。ボクは立ち上がり両手を広げ伸びをした。 オレンジ色の光が真っ白な砂浜をを照らし始めた。ボクを吹き抜ける海風は、もうすぐそこまで切ない秋を連れてきていた。

    2005-09-16 07:37:00
  • 203:

    きらきらアフロ

    くすんだ青色の列車がホームに滑り込んできた。  ボクは前と同じ窓側の席に腰掛けた。       「ガタン」という音と共に列車は走り始めた。   窓から見える景色も薄れゆく海の匂いも何一つ変わらなかった。ただ一つ変わったのは…

    2005-09-16 07:38:00
  • 204:

    きらきらアフロ

    「やっと二人で一緒に暮らせるね。」       隣に笑顔のリナがいることだった。ボクは隣に座るリナの手をつないだ。   今度はひとりじゃない。 ボクはリナの肩にもたれかけ静かに目を閉じた。  走りゆく列車はふたりを新しい世界に連れて行ってくれるように思えた。

    2005-09-16 07:40:00
  • 205:

    名無しさん

    今初めて読みましたぁー!!感動しましたぁ〜頑張って下さい★

    2005-09-17 07:10:00
  • 206:

    きらきらアフロ

    210さんありがとです☆

    2005-09-19 13:56:00
  • 207:

    きらきらアフロ

    トンネルを抜けるとそこにはもう透き通るような青い空や白く輝く砂浜はなかった。列車の窓から見えるのは狭い灰色の空とそびえ立つ大きなビルだけだった。もう外はだいぶん暗くなり始めていた。列車に乗り込んでくる人々はなぜか寂しげだった。

    2005-09-19 14:08:00
  • 208:

    きらきらアフロ

    町を出てきた頃のボクもきっと同じような顔をしてたんだろう。この灰色に囲まれた大きな町はひとりで生きるにはあまりにも広すぎるから。        寂しそうにたたずむ人々は優しさや誰かのぬくもりを求めているように思えた。居場所がなかったあの頃のボクと同じように…。

    2005-09-19 14:10:00
  • 209:

    きらきらアフロ

    月に照らされてできた影を踏みながらボクたちは帰り道をあるいた。     人込みではぐれないようにつないだ手はギュッとついだままで。       「こうやって手をつないで歩くのも久しぶりだね?」笑顔で話し掛けるリナにボクは顔を真っ赤にしながら一回うなずいた。

    2005-09-19 14:12:00
  • 210:

    きらきらアフロ

    「ここがツカサの部屋なんだ。開けてもいい?」  部屋の前でカギを探すボクにリナは問い掛けた。そのときボクはカギをかけずに出てきた事を思い出した。「うん。入ろっか。」  ボクの胸のドキドキはそのペースをあげていった。 なんだかすごく恥ずかしいよな嬉しいような気持ちになっていた。

    2005-09-21 10:38:00
  • 211:

    きらきらアフロ

    部屋はクーラーがついたままだったからとてもひんやりしていた。      「これを見て迎えに来てくれたの?」       リナは机の上に置いていた手紙を拾い上げ、意地悪そうな顔をして笑った。  「あっ、うん。そうだよ…。」          ボクは恥ずかしくて言葉がなかなか出てこなかった。

    2005-09-21 10:40:00
  • 212:

    きらきらアフロ

    「そうなんだ…。」   リナはその手紙を読み返しながら黙り込んだ。   「でも…。本気だった。」外の雑音に消え入りそうなホントに小さな声だった。ボクはリナにかける言葉が出てこなかった。だからボクはギュッとリナを後ろから抱き締めた。     言葉だけでは伝わらない事もたくさんあるから。

    2005-09-21 10:42:00
  • 213:

    きらきらアフロ

    「暖かい…。ツカサの腕の中にいるとなんだかすごく落ち着くね。」     ボクはこの腕で一番大切なものを抱き締めた。   それだけでボクの心も暖かくなった。       今のボクらに言葉はいらなかった。ただ時間だけがゆっくりとゆっくりと過ぎていった。

    2005-09-21 11:18:00
  • 214:

    きらきらアフロ

    ボクらは窓から見えるこの町の空を見上げた。   「この街の空には星が少ないね。」        リナが少し淋しそうにつぶやいた。        「そうだね…。この街は夜でも明かりが消えることがないから。」      ボクだって淋しかった。 暗い夜がなければ星はキラリと輝けないから。

    2005-09-21 11:20:00
  • 215:

    名無しさん

    2005-09-21 13:37:00
  • 216:

    きらきらアフロ

    221さんありがとです☆

    2005-09-24 11:39:00
  • 217:

    きらきらアフロ

    目が覚めるともう太陽は沈み始めていた。窓からはオレンジ色の光の柱が差し込んてきていた。となりではリナがまだ眠たそうに目をこすっていた。
    「おはよう。」
    リナのその言葉を聞いただけでボクは嬉しかった。
    やっとボクらの新しい生活が始まった。なんだか照れ臭かった。

    2005-09-24 11:41:00
  • 218:

    きらきらアフロ

    その言葉を聞いてボクは布団を頭からかぶった。
    窓から入ってくる風が少し肌寒かった。秋がもうすぐそこまでやってきているようだった。
    「行ってくるね。」
    ボクは玄関からリナに手を振りながら言った。
    「行ってらっしゃい。」
    リナは少し微笑んでそう言った。

    2005-09-24 11:43:00
  • 219:

    きらきらアフロ

    部屋を出てエレベーターを待っている間ボクは、少しニヤけてしまった。
    こんなにも胸が暖かくなるなんて思ってもいなかったから。
    外に出るともう夕日は沈む寸前で、入れ替わるように夜空がこの灰色の街に広がり始めていた。

    2005-09-24 11:45:00
  • 220:

    きらきらアフロ

    「一緒に暮すのもそろそろ慣れてきたか?」
    トオルさんがボクの顔を覗き込んできた。お決まりの緩んだニヤけた顔で。
    「まぁボチボチですよ。」なぜか答えるボクの顔も緩んでしまっていた。もう働きだして半年になるからかボクも大分打ち解けてきていた。

    2005-09-24 11:46:00
  • 221:

    きらきらアフロ

    「久しぶりに今日は付き合えよ。いいだろ?」
    いつものように強引な誘いだった。でもボクはそんなトオルさんに憧れていた。「リナちゃんに連絡しとけよ。女はいちいちうるさいからな。」
    振り返ってボクを見ると、ニヤけた顔でそう言った。

    2005-09-24 11:48:00
  • 222:

    きらきらアフロ

    「もう冬だな。寒いときには酒でも飲まないと体が暖まらないんだよ。」
    トオルさんはもう顔を真っ赤にしていた。いつものバーボンを片手にご機嫌だった。店の中の照明を落としていたからか、手に持ったグラスがやけに鈍く輝いていた。

    2005-09-24 11:49:00
  • 223:

    きらきらアフロ

    「リナちゃんとうまくやってるみたいだな。」
    グラスを少し傾けたトオルさんはなんだか嬉しそうだった。
    「まぁボチボチです。」
    お決まりの言葉をトオルさんに返した。くだらない話の繰り返しだったけどボクはこの時間が好きだった。

    2005-09-24 11:50:00
  • 224:

    きらきらアフロ

    氷がなくなったことに気付いたボクは、ソファーから立ち上がった。カウンターを通り過ぎようとしたときだった。ちょうどカウンターの真ん中にカクテルグラスが置かれていた。
    透き通るような、銀色に光るカクテルだった。

    2005-09-24 11:51:00
  • 225:

    きらきらアフロ

    そのスノースタイルの銀色のカクテルはスポットライトの光を浴びて本当にきれいだった。
    「マルガリータですか?」ボクは振り返りトオルさんに問い掛けた。
    「あぁそうだよ。そのままにしといてくれ。」
    いつのまにか顔から笑みが消えていた。

    2005-09-24 19:45:00
  • 226:

    きらきらアフロ

    「何かあったんですか?」BOX席のソファーに戻ったボクは顔色をうかがうように聞いた。
    「ツカサもバーテンやってるならわかるだろ?」
    トオルさんはため息を一つついてグラスに氷とバーボンを継ぎ足した。
    マルガリータ…。マルガリータって…。

    2005-09-24 19:47:00
  • 227:

    きらきらアフロ

    「えっ?もしかして?」
    思わずボクは言葉を失ってしたった。
    「今日が命日なんだよ。」トオルさんはうつむいて答えた。
    マルガリータはあるバーテンが、若い頃亡くなった恋人を想って作ったカクテルだった。

    2005-09-24 19:52:00
  • 228:

    名無しさん

    頑張ってね?

    2005-09-26 10:02:00
  • 229:

    きらきらアフロ

    234さんありがとです☆

    2005-09-26 11:35:00
  • 230:

    きらきらアフロ

    「もう昔の話だけどな。」ボクが今まで見たことのない表情でトオルさんは話を始めた。
    「長くなるけどいいか?」ボクは一回だけうなずいてグラスに氷を足した。
    訪れた冬の凛とした静けさが店の中を包んだ。時計の針の動く音だけが耳に入ってきた。

    2005-09-26 11:36:00
  • 231:

    きらきらアフロ

    「もう2年も前の話なんだけどな。」
    タバコに火をつけるその横顔はとても穏やかだった。窓の外は初雪がふわりふわりと舞始めていた。
    「雪か…。」
    「ちょうどこんな粉雪が降る夜だった。あいつが逝ったのは。」

    2005-09-26 11:37:00
  • 232:

    名無しさん

    っづき書ぃてぇ?めたこの話スチです?

    2005-09-29 02:18:00
  • 233:

    名無しさん

    まぢ上げとくわ?

    2005-09-29 13:48:00
  • 234:

    きらきらアフロ

    238さん。239さんありがとです。

    2005-09-29 23:00:00
  • 235:

    きらきらアフロ

    「あいつに出会ったのは…3年前だったっけ。あんまりよく覚えてないんだけどな。ただ…冷たい目をしていた。誰も寄せ付けないような目だった。」
    「あいつは昔オレが働いていたバーに一人で来てたんだ。目が合った瞬間にオレは恋に落ちた。」

    2005-09-29 23:01:00
  • 236:

    きらきらアフロ

    「その冷めた目になぜか自分を重ねてたんだ。たぶんオレと同じ匂いがしたんだろうな。その凛とした雰囲気が逆に痛々しくもあったけれど。」
    「オレたちは特別な会話をするわけでもなかった。ただの客とバーテン。それ以上でもなければそれ以下でもなかった。」

    2005-09-29 23:02:00
  • 237:

    きらきらアフロ

    「だけどいつのまにか互いに惹かれっていた。たぶんあいつもオレと同じように自分と重なるところがあったんだろうな。」
    そう言うとトオルさんは小さな、ほんとうに小さなため息を一つついた。   窓の外を粉雪が音を立てずに舞落ちていった。

    2005-09-29 23:17:00
  • 238:

    きらきらアフロ

    「それから一緒に暮らし始めるまで時間はそうかからなかった。今思えばお互い自分の傷を癒してくれる人を探してたんだろうな。」「ただ誰かに傍にいて欲しかった。ただ誰かの傍にいたかった。ただ…。誰かのぬくもりが欲しかったんだ。」

    2005-09-29 23:58:00
  • 239:

    きらきらアフロ

    「それから毎晩オレたちは将来の夢の話しばかりしてたっけ。いつか二人でバーを開こうってな。そのために必死で働いたんだ。」
    「そしてあいつは夜の世界に踏み込んだ。後になって後悔した。あのときオレが止めてればって。辛い思いなんかさせずに済んだのにって。」

    2005-09-30 01:57:00
  • 240:

    きらきらアフロ

    そう言うとトオルさんは黙り込んでしまった。グラスの中のバーボンは氷が溶けて薄まりキレイな琥珀色をしていた。
    グラスに残ったバーボンを一口で開けるとトオルさんはまた口を開いた。

    2005-09-30 01:57:00
  • 241:

    きらきらアフロ

    「あいつのおかげで金は貯まっていった。でもそれと引き替えに…。もともと体が弱かったあいつに無理ばっかりさせてたんだな。」「でもオレがもっと気にかけていたら…。あいつは今もオレの傍で笑っていてくれたはずなのに。」

    2005-10-02 00:09:00
  • 242:

    きらきらアフロ

    「こんな粉雪が舞う夜はいつもあいつの事を思いだしてしまうんだ。後悔だけが今もオレを…。」
    「あいつは最期に言ったんだ。『ねぇトオル?あなたに出会い同じ時を過ごせた事が私にとって何よりも大切な宝物だった。』って目に涙をいっぱい溜めて。」

    2005-10-02 00:10:00
  • 243:

    きらきらアフロ

    「そしてあいつは…。小雪はゆっくりと目を閉じたんだ。ほほ笑みを浮かべながらゆっくりと。」
    「そしてその後オレはこのバーを開いたんだ。このバーは…『Littel Snow』は オレと小雪が同じ時を生きた証なんだよ。」

    2005-10-02 00:11:00
  • 244:

    ひろしです

    めちゃ面白いです。頑張ってくださいね!

    2005-10-02 00:57:00
  • 245:

    名無しさん

    続き書ぃてぇ(^ε^)-☆Chu!!

    2005-10-05 21:56:00
  • 246:

    名無しさん

    ぁげぇ(*^。^*)

    2005-10-20 14:36:00
  • 247:

    名無しさん

    2005-10-21 00:52:00
  • 248:

    名無しさん

    ふむ

    2005-10-23 03:59:00
  • 249:

    名無しさん

    おもろい

    2005-10-23 16:31:00
  • 250:

    名無しさん

    まぢぁげ?

    2005-10-24 00:43:00
  • 251:

    きらきらアフロ

    みなさんありがとです☆久しぶりに更新します♪

    2005-10-27 00:54:00
  • 252:

    きらきらアフロ

    「だから…オレは小雪を守れなかった分、小雪の想いがたくさん詰まったこの店を守っていかなきゃいけないんだよ。」
    「今のオレが小雪の為にしてあげれる事があるとすれば…。もうそれくらいしかないだろうから。」

    2005-10-27 00:55:00
  • 253:

    きらきらアフロ

    話を終えるとトオルさんはカウンターの奥へと入っていった。たぶんボクに涙を見られたくなかったんだろう。人は自分が思っているほど強くはないから…。
    窓から差し入る月明かりが静まり返った店内を少し暖めた。街に舞い降りる粉雪はゆっくりと街を真っ白に染めていった。

    2005-10-27 01:13:00
  • 254:

    きらきらアフロ

    「くだらない話して悪かったな…。なんだか酔いが覚めちまったよ。でも誰にだって忘れられない過去があるんだよな。オレにあるようにきっとツカサにも。」うつむくトオルさんの肩は小さく震えていた。ボクはトオルさんにかける言葉をグルグル回る頭の中で探し続けていた。

    2005-10-27 01:17:00
  • 255:

    名無しさん

    嘘つきわ泥棒の終わり

    2005-10-27 01:19:00
  • 256:

    きらきらアフロ

    「今日はもうお開きにしないか?今日は…ひとりになりたいんだ…。」    体の底から振り絞ったような悲しげな声だった。
    ボクは黙って席を立った。そして振り返らずに店の扉を開けた。何もいわずに店を出たのは、トオルさんの弱いところをみたくなかったから…。

    2005-10-27 01:19:00
  • 257:

    名無しさん

    また時間できたら更新してくれぇ?

    2005-11-05 15:03:00
  • 258:

    ミックス

    きらきらアフロさんもう書かないんですか???楽しみに待ってます???

    2005-11-15 15:55:00
  • 259:

    名無しさん

    2005-11-15 16:00:00
  • 260:

    きらきらアフロ

    読んでくれてた方サボっててすいません?レスしてくれた方、アンカーつけてくるた方ありがとです?

    2005-11-19 13:23:00
  • 261:

    きらきらアフロ

    扉を開けると真っ白な粉雪がふわりふわりと舞い降りていた。初雪の中、ボクはひとりで帰り道を歩いた。胸が苦しかった。切なかった。虚しかった。人は大切な物を失って、初めてその大切さに気付くんだ。失って初めて見えてくるものもたくさんあるはずだから。

    2005-11-19 13:24:00
  • 262:

    きらきらアフロ

    街はまだ薄暗くて朝を迎えるまでもう少しかかるみたいだった。ボクは無性にリナに会いたくなった。こんな寒い冬は誰かのぬくもりがやけに恋しくなるから。トオルさんはいつもこんな切ない冬をひとりで過ごしていたんだ。やりきれない想いをひとり抱え込んで。

    2005-11-19 13:25:00
  • 263:

    きらきらアフロ

    ‐Littel Snowでは…。 暗い店内でマルガリータが月明かりを浴びて銀色に輝いていた。たばこの煙がゆらりゆらり店内を包み込んだ。
    「なんでオレを残して逝っちゃったんだよ…。」  涙まじりの声にならない声が静かな店内にかすかに響いた。

    2005-11-19 13:26:00
  • 264:

    きらきらアフロ

    そこには小さく肩を震わせたトオルさんがいた。
    「まだ…。まだいっぱいやり残したことがあったじゃねぇか…。」
    トオルさんの目から涙がとめどなく流れた。カウンターの上に小さな涙がポツリ、ポツリと落ちていった。スポットライトに照らされた涙がキラリと光った。

    2005-11-19 13:27:00
  • 265:

    きらきらアフロ

    「でも…。オレは幸せだったよ。たくさん泣かせたし、たくさん困らせたけど。どうしようもないオレを小雪が救ってくれたんだ。」
    「なぁ小雪?オレたちが出会ったのもこんな粉雪が降る夜だったよな?もう一度あの夜に戻れるなら二度とおまえを放したりしないよ…。」

    2005-11-19 13:29:00
  • 266:

    きらきらアフロ

    トオルさんは銀色に輝くマルガリータを飲み干した。そして、カウンターの中に入るとシェイカーを振り始めた。
    そのスノースタイルのカクテルグラスに注がれたのは透き通った真っ白なカクテルだった。まるで舞い降りる粉雪のような色をしていた。

    2005-11-19 13:31:00
  • 267:

    きらきらアフロ

    「もうオレなら大丈夫だよ。心配しなくても大丈夫だから…。もし出来ることなら夢の中でもいいから…。小雪に会いたいな…。」
    静かな店内にトオルさんの独り言が響いていた。舞い降りる粉雪は振り止む気配もなくこの街を白く染めていった。

    2005-11-19 13:31:00
  • 268:

    ミックス

    更新まってます?

    2005-12-16 00:22:00
  • 269:

    名無しさん

    2006-01-04 12:39:00
  • 270:

    ミックス

    きらきらアフロさん?
    もう書くの辞めたんですかぁ?

    2006-01-12 08:20:00
  • 271:

    名無しさん

    かいて

    2006-01-20 01:27:00
  • 272:

    きらきらアフロ

    レスしてくれた方ほんとにありがとです☆ちょびってだけ更新します♪

    2006-01-20 14:07:00
  • 273:

    きらきらアフロ

    冬らしい乾いた寒さで目が覚めた。となりではリナが静かな寝息をたてていた。ボクは暖かな布団のなかにもぐり込んだ。
    リナの温もりがボクの体を少しずつ暖めていった。誰かの温もりというのはなんて人を幸せな気分にさせてくれるのだろう。

    2006-01-20 14:08:00
  • 274:

    きらきらアフロ

    窓の外を覗くともう雪は降り止んでいた。この灰色の街は雪化粧をして真っ白に染まっていた。昇り始めた朝日に照らされていつもより輝いて見えた。
    ただ、目に映る景色や季節は変わっても毎日の代わり映えない生活に退屈していたのもウソじゃなかった。

    2006-01-20 14:09:00
  • 275:

    きらきらアフロ

    何も変わらない同じような毎日にボクは不満だらけだった。ただそう思えるということは、逆に幸せなのかも知れないのだけど。
    一緒に暮らし始めた時はすべてが輝いて見えていたはずだった。でも今のボクには何もかも。そう、すべてがマンネリに感じるようになってしまっていた。

    2006-01-20 14:10:00
  • 276:

    きらきらアフロ

    「じゃあ行ってくるね。」「うん。言ってらっしゃい!」
    ボクはいつものようにリナに手を振って家のドアを開けた。
    白く染まった街を横目に見ながらボクは『Littel Snow』までの並木道を歩いた。
    大きなビルに囲まれた小さな四角い空を見上げると、灰色の分厚い雲がどんより広がっていた。

    2006-01-20 14:11:00
  • 277:

    きらきらアフロ

    ボクはあの零れ落ちそうな満天の星空が恋しくなった。
    きっとリナも…。
    この街は窮屈すぎて息が詰まってしまうから。

    2006-01-20 14:13:00
  • 278:

    名無しさん

    2006-01-22 18:18:00
  • 279:

    ミックス

    やったぁ?更新されてる?きらきらアフロさん?頑張って下さいね?

    2006-01-23 12:11:00
  • 280:

    きらきらアフロ

    ボクはあの小さな町に帰りたくなった。本当に何もない小さな町だったけれど。胸を締め付けられるような痛みをボクは感じていた。そんな事を考えていたせいか、今日だけはいつもの『Littel Snow』までの道程が長く感じた。この街に来て初めての事だった。

    2006-03-16 12:22:00
  • 281:

    きらきらアフロ

    「とりあえず今日はジントニックにするわ。」
    ケンちゃんはカウンター席に着くなりボソッとつぶやいた。
    ケンちゃんは年も近かったせいか『Littel Snow』でボクの一番仲のいいお客さんだった。それにこの街でたった一人の友達でもあった。

    2006-03-16 12:22:00
  • 282:

    きらきらアフロ

    「もう冬も終わりやなぁ。昨日の雪が最後やろ。」
    そう言ってケンちゃんはグラスに口をつけたあと天井を見上げた。
    「そうだね…。」
    ボクはボソッと答えた。
    「なんやツカサ!元気ないみたいやな?またリナちゃんとケンカでもしたんやろ?」

    2006-03-16 12:24:00
  • 283:

    きらきらアフロ

    ケンちゃんはボクの顔を覗き込みながら笑った。ケンちゃんの笑う顔は本当に子供のようで今のボクにとって眩しすぎる笑顔だった。「そんなんじゃないよ。」ボクはグラスを磨く手を止めてうつむいてしまった。「何かあったんか?」
    ケンちゃんの顔から笑みが消えた。

    2006-03-16 12:26:00
  • 284:

    きらきらアフロ

    「ねぇケンちゃん?この街に出てきたときの事って覚えてる?」
    ボクから目線を外さないケンちゃんに問い掛けた。
    ケンちゃんは少し驚いた顔をしたあと話始めた。
    今までボクに見せたことのないバツの悪そうな表情を浮かべながら。

    2006-03-16 12:27:00
  • 285:

    きらきらアフロ

    「…。どこから話始めたらええんかわからんけど…。結論からゆったらオレはこの街に夢見てたんや…。憧れて…。」
    ボソッとつぶやくとグラスの中で弾ける泡をじっと見つめていた。まるで何かをゆっくり思い出すような…そんな雰囲気だった。

    2006-03-16 12:28:00
  • 286:

    きらきらアフロ

    「でも夢と憧れってゆうもんはほんまに怖いな。まわりが見えへんようになる。自分にとってほんまに大事なもんとそうじゃないもんの区別がつかんようになるんや。」
    「でもこの街にあったんは夢とか憧れやなくて孤独や不安だけやったんや…。」

    2006-03-16 12:29:00
  • 287:

    きらきらアフロ

    「この街で生きてる奴は何度となく大事なもんを無くしてるんちゃうか?もちろんおれやツカサもな…。」ケンちゃんはグラスに浮かんだ水滴を人差し指でサッと拭き取ると豪快に飲み干した。まるで胸の奥からこみあげてくる何かを押さえ込むように…。

    2006-03-16 12:31:00
  • 288:

    のぞみ

    今日初めて読ませてもらレIま?ナニ?
    すごぃ続きが気になります?更新待ってますね(?U?U?)-???

    2006-03-19 05:22:00
  • 289:

    きらきらアフロ

    「でもな、おれは最近思うんや。自分の夢なんか自分で叶えなアカンってな。自分の大切なもんは自分で守らなアカンってな。」
    「今までのおれはいつも他人のせいにしてたから…。この街はそんな奴ばっかりやったから…。」

    2006-03-26 23:29:00
  • 290:

    きらきらアフロ

    そう言うとケンちゃんはお気に入りのタバコに火を点けた。まだ人の少ない店の中に白い煙がゆらりゆらりと舞った。
    スピーカーから流れる切ないR&Bがボクらを優しく包み込んだ。きっと夢を叶えた誰かが歌っているんだろうな…。

    2006-03-26 23:30:00
  • 291:

    きらきらアフロ

    「ケンちゃんの夢って何だったの??」
    ボクはふいに問い掛けた。聞いていいのか悪いのかわからなかけれど…。
    『カラン』と氷の溶ける音がしたあとケンちゃんは顔をあげてニヤリと笑った。いつもの子供のような笑顔だった。

    2006-03-26 23:31:00
  • 292:

    きらきらアフロ

    「絶対笑ったらアカンで!ほんまに恥ずかしいんやからな。」
    ボクはその笑顔を見て正直ホッとした。
    「おれな、アーティストになりたかったんや。地元では有名やったんやで?」
    グラスに残った氷を頬張りながらうれしそうにケンちゃんは話しだした。

    2006-03-26 23:33:00
  • 293:

    きらきらアフロ

    「ボロいアンプ片手に地下道とか歩道橋とかどこでも歌ってたんや。ギターケースいっぱいに抱えきれんほどの夢を詰め込んでな。それから…。」
    ケンちゃんの話はグラスの氷が溶け切るまで続いた。夢の話をする時に、人はなんて輝いた目をするのだろう。いつかはボクもそんな目をするのかな?

    2006-03-26 23:38:00
  • 294:

    きらきらアフロ

    「ツカサ!ちゃんと聞いてるんか?」
    ケンちゃんの声でボクは我に返った。ケンちゃんは催促するようにグラスを回していた。
    「ごめんごめん。次は何にしようか?」
    ボクは少し悪怯れながら問い掛けた。

    2006-03-27 01:40:00
  • 295:

    きらきらアフロ

    「『フォアローゼス』をロックでな。」
    ちょっとスネた顔をしながらケンちゃんは言った。
    ケンちゃんはスネてたけれどボクは気にしなかった。『フォアローゼス』は、いつもケンちゃんが気分のいいときに飲むバーボンだったから。

    2006-03-27 01:41:00
  • 296:

    きらきらアフロ

    澄んだ琥珀色のバーボンをケンちゃんに手渡しボクは思い切って問い掛けた。
    「もう…。夢はあきらめちゃったの?」
    するとケンちゃんはバーボンに口をつけた後、ゴソゴソとポケットから二つ折りの携帯を取り出してボクの目の前で開いた。

    2006-03-27 01:42:00
  • 297:

    ミックス

    応援してます??

    2006-03-27 15:14:00
  • 298:

    きらきらアフロ

    読んでくれてる方いつもいつもありがとです?

    2006-03-28 22:03:00
  • 299:

    きらきらアフロ

    「おれの愛する息子や。」画面いっぱいに小さなケンちゃんが写っていた。
    「似てるやろ?もうかわいいて仕方ないねん。」
    「そうや!ツカサに見せるんは初めてやったなぁ。」画面を見ながらニヤつくケンちゃんはとても嬉しそうだった。

    2006-03-28 22:03:00
  • 300:

    きらきらアフロ

    「あんな、ツカサ。おれの今の夢は立派なパパになることなんや。大きくなったとき自慢されるぐらいの立派なパパにな。」
    「でも音楽をあきらめたわけやないで?おれの夢が形を変えただけや!」
    ケンちゃんはいつもの無邪気な笑顔で答えた。

    2006-03-28 22:04:00
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