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いつか蝶のように
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1:
椎名
あたし、あげは。風俗嬢してる。ネオン輝くこの街ではそれなりに有名になったけど、今あたしの本名を知ってるのはアイツだけ。アイツの本名を知ってるのもあたしだけ。
あたしとアイツは似てる。だから惹かれた。2006-02-28 23:13:00 -
71:
椎名
刹那の実家―
あたしは萎縮した。すごく大きなお屋敷で、なんだか外国のお城みたい。広い、手入れの行き届いたお庭。門から玄関まで続くドライブウェイの真ん中には噴水まである。
『ほ、ほんとに変じゃないッ!?』
「大丈夫だって☆行くよ?」
あたしと刹那は並んで門をくぐった。
2006-03-14 08:22:00 -
72:
椎名
あたしと刹那に、お庭を掃除していたメイドの1人が気付いた。
「逢夢(あむ)様…!」
…逢…夢…
刹那の本名を初めて聞いた。本名も源氏名みたい。2006-03-14 21:50:00 -
73:
椎名
「…父上と母上はいますか?」
「はい、いらっしゃいます。」
「そう、ありがとう。…あげは、行こう。」
メイドさんに会釈して、先に歩き出した刹那を追う。2006-03-14 22:41:00 -
74:
椎名
エントランスホールの奥には螺旋階段があって2階へと続き、壁には絵がかかっている。上品な雰囲気が家中に溢れる。
「あげは、こっち。」
刹那があたしの手を取り、螺旋階段を昇る。2006-03-14 23:35:00 -
75:
椎名
「ビックリした?」
『う、うん。だって…こんなの聞いてないよ…』
「あげはがビックリすると思ったから言わなかったんだ。」
階段を昇りながら刹那が言った。
階段を昇った2Fには広いリビングがあった。大きな窓からやわらかい陽射しが注ぐ。2006-03-14 23:53:00 -
76:
椎名
リビング中央のソファで紅茶を飲む女性と、その向かいで本を読む男性。2人ともとても穏やかで、優雅だ。
「…父上、母上、ただいま帰りました。」
刹那が声をかけると2人が顔をあげた。
“逢夢…久しぶりね。”
「お久しぶりです。」“…そちらのお嬢さんは?”2006-03-15 22:40:00 -
77:
椎名
『初めまして。…椎名姫乃といいます。』
あたしは刹那の前で初めて本名を言った。少し驚いた顔をした刹那が続ける。
『…僕の…大切な女性です。』
それを聞いた刹那の両親は嬉しそうに微笑んだ。
“そう…”2006-03-16 20:07:00 -
78:
椎名
刹那が両親と話をしている間、あたしはテラスに出ていた。やわらかな風が髪を撫でる。
…海の…匂い…?
次の瞬間、海の匂いに後ろからふわっと抱きすくめられた。
『…刹…那?』2006-03-17 00:39:00 -
79:
椎名
「…ありがとう…」
『…ん?』
「あげはがいたから、この家に帰って来れた。」
『…強がりだね、刹那。…泣いても…いいんだよ?』
「……っ…」
刹那は静かに泣いた。その涙の理由は解らなかったけど、刹那が泣きたいのを、あたしは知っていた。2006-03-17 00:52:00 -
80:
椎名
“気をつけてね。たまには顔を見せてちょうだい、逢夢。姫乃さんもまた遊びにいらしてね”
『ありがとうございます。お邪魔しました。』
あたしと刹那は車に戻った。
『いい名前だね、逢夢って。』
「ありがと、姫。あー、ほっとしたらお腹空いた。ゴハン行こ☆」
それから刹那はあたしのことを姫って呼ぶようになった。2006-03-17 04:00:00