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月明かりの船
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1:
雪弥
もうすぐ夏が終わる…
出会いは雨だった…。
あの小さなバス停…覚えてる?
あの日から、俺の大切な場所になったんだ…。2005-06-09 11:39:00 -
15:
雨がやみ1時間に1便しか来ないバスが来た。
郁はバスに乗り込む瞬間
振り返り
「また会える?」
と不安そうに聞いた。
しゅうはペンを走らせ
『うん。いつでも』
と見せてノートを閉じた 不思議なコだった。
よく笑う。よく笑うのに…何かがひっかかる。2005-06-09 11:52:00 -
16:
郁は柊の名前をキレイと言った。そんな事を言うコは初めてだ。変わってる。
帰ってから、しゅうは郁の事を考えていた。
初対面の奴の前で泣く程、郁は何に追い詰められたんだろう。
その時【ピンポーン】と家のチャイムがなった。
ドアの前には流が立っていた。2005-06-09 11:53:00 -
17:
流が来るのはいつもの事
「土産だ」と酒を持ってきた。
おいおい?俺ら未成年やん…等と思う訳もなく、いつものように酒を飲む。
ふと見ると流の服に葉っぱが付いてた。
『またあそこかよ』
「え?あ、バレた?」
林檎の木なんか見て何が楽しいのかね。と言うと、流は落ち着くんだと言った。2005-06-09 11:54:00 -
18:
しゅうは今日の事を流に話した。郁の事だ…。
「ん、で?しゅうはどうしたい訳?」
流は相変わらずストレートだ…参った。気になるけど…これはきっと…きっと恋とは違う。
だけど…気になる気持ちは嘘じゃない・・・。
『ほっとけない…かな』
しゅうはそう言うしかなかった。流は、そうか。
とだけ言った。恋愛に変わればいいなと流は思った。2005-06-09 11:55:00 -
19:
流はずっと、しゅうを傍で見てきた・・・。
声を失った時のしゅうは、見てる方が辛い程荒れて
不安定だった。
他校から女のコが見にくる位、皆の憧れだったのに
声を失ってからは、異性を避けた。
だからしゅうの『ほっとけない』と言う言葉に驚いた。純粋過ぎる所は心配だが、この変化は嬉しかった。2005-06-09 11:56:00 -
20:
【ピンポーン】チャイムがなった。ドアを開けると、幼なじみの渉ーわたるーと
華ーはなーだった。
「お土産ぇ」と華は袋を渡した。また酒だ…?
「あ〜流、久しぶりぃ」
華の言葉に渉はゲラゲラ笑っている。流は呆れながら言った。
「毎日この部屋で会ってるだろ・・・」2005-06-09 11:56:00 -
21:
華は酒好きなのに弱くて
すぐ潰れて寝てしまった。「華には困るよ、ジャジャ馬で」
ため息をつきながら、
渉が言う。すると流はからかうように言った。
「そこが可愛いと思ってるくせに〜」
「ばかっ、ちげー…くないけど、俺は幼なじみでいい。」
渉は昔から華が好きだった。もちろん華は知らない
そして当の華は・・。
ーしゅうが好きだったー2005-06-09 11:57:00 -
22:
華の気持ちなど、しゅうはもちろん知らない。
華が気持ちを伝えないのは、しゅうが異性を避けるのを知ってたから。
【ただの幼なじみ】でいいから傍に居たかった。
それは渉も華に対して言える事だった。
後にこの3角関係は、
郁との出会いで変化を遂げるが、それはまだ少し先の話…。2005-06-09 11:58:00 -
23:
皆が雑魚寝をしている中、しゅうは一人目を覚ました。散らかった部屋…。
“う〜ん…頭が痛い”
飲み過ぎた・・・。
ふと時計を見るとまだ夜中の2時だった。
しゅうは外に出ると、いつもの海へ向かった。寝れない日はいつも海へ行った。2005-06-09 11:59:00 -
24:
浜辺に寝ころがり空を見上げる。星で埋めつくされた夜の空…何秒かの感覚で星が流れた。
誰かが砂を踏み近づいた
「何してるん?」
流が上からしゅうの顔を覗き込んだ。
しゅうはびっくりして固まってしまった。…心臓に悪い…?流は笑った。
「ごめんごめん、びっくりさせて」
“ホント頼むよ…?”2005-06-09 12:00:00