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ギター弾き
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1:
名無しさん
その駅のスグ横には狭くて嫌な感じの地下道があって女の子はとても一人じゃ通らない。打ちっぱなしのコンクリート、染みのできた壁、たくさんの死角。本当に変質者が好んで隠れてそうな場所だった。
2006-03-29 23:37:00 -
2:
名無しさん
いつもとおなじ毎日の中の少しの変化。学校帰りバスを降りたらもう世界は真っ暗であたしは秋の寒さに肩を震わせた。
バス降り場には夜7時を知らせる駅前の時計塔の鐘のベルが鳴り響いて世界に夜を告げる。会社帰りのサラリーマンはあちらこちらから現れては駅へと吸い込まれるように消えていた。2006-03-29 23:47:00 -
3:
名無しさん
今日はたまたまいつも一緒に帰るはずの南が用事で先に帰り、たまたま打ち合わせだけの予定だった部活が長引いてたまたまこの時間のバスに乗り合わせあたしはそこにいた。
すべてはほんのささいな偶然だった。2006-03-29 23:55:00 -
4:
名無しさん
時計塔の鐘の音が止んでもまだかすかに聞こえる音楽に気付いたのは一体何の偶然だろう。
駅前の雑然とした人混みの中あたしの耳に届いた何かに惹かれるようにあたしは駅に向かう自分の足を止めた。2006-03-29 23:58:00 -
5:
名無しさん
何かに呼ばれるようにしてあたしはゆっくり駅横の地下道に近づいた。
いくつも音が響き合わさって聞こえて来る音楽は間違いなくゆずだった。
遠く遠く小さく、でも力強く声はあたしを呼んでるようだった。2006-03-30 00:01:00 -
6:
名無しさん
普段なら絶対に入ったりしない地下道にあたしはゆっくり入って行った。まるで何かに導かれるように。
ゆっくり、ゆっくり、声が大きくはっきり聞こえて来る。
悲しくなるようなその歌はゆずの「からっぽ」だった。2006-03-30 00:03:00 -
7:
名無しさん
地下道の真ん中チョィ右にそいつはいた。
大きくて素敵なギターを弾き鳴らし地下道いっぱいに声を響かせて歌う。
横に立て掛けてあったスケッチブックには大きくこう書いてあった。
【野良(のら)】
Voりょう2006-03-30 00:11:00 -
8:
名無しさん
あたしは傍でしゃがみ込み歌が終わると精一杯拍手した。
「よかったです、ゆず。」
あたしが言うとギター弾きの男は顔を上げ照れ臭そうに微笑んだ。
「ありがとう。久しぶりに人に拍手をもらいました」
人なつっこそうな笑顔。笑うとなくなる目。それがあたしとりょうチャンの初めての出会いだった。2006-03-30 00:16:00