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1:
美樹 ◆PiOs/krEg2
美樹。○○才。昔から不器用で、何をしても駄目な子だった。
今回は、そんな美樹の現在までを書いて行きます。2006-03-14 11:58:00 -
2:
美樹 ◆PiOs/krEg2
【トイレ行きたいよ】
【お腹すいたよ】
【ママはいつになったら帰ってくるんだろう】
私は今日も部屋の中にいた。この部屋は外に出られない様に細工が外からしてある為、中からはあけられなかった…2006-03-14 12:01:00 -
3:
美樹 ◆PiOs/krEg2
部屋の中には、テレビ・布団があるだけだった。
そんな私は当時4才。トイレを我慢出来ずにおもらしを何度もした。
そのたびに母から怒られていた記憶を今でも覚えている。2006-03-14 12:03:00 -
4:
美樹 ◆PiOs/krEg2
父が酒を飲むと必ず母と喧嘩になっていた。
ガラスが飛び散り家の中は空き巣にでも入られたかの様な荒れようだった。
幼い私は、部屋の片隅に隠れ静かになるのをジッと待っていた…2006-03-14 12:11:00 -
5:
美樹 ◆PiOs/krEg2
私が5才の頃、妹が産まれた。
(やる事やってんじゃん)
これが現在の正直な意見。
だが、幼かった私には、嬉しい出来事だった。2006-03-14 12:13:00 -
6:
美樹 ◆PiOs/krEg2
ベビーカーを押し一緒に公園まで散歩に行った。
オムツ交換やミルクは我先にと自分から進んでした。
幼い私にとって妹が出来た喜びと、姉になった喜びが大きかった。
そんな私と妹に不幸が訪れるとも知らず…2006-03-14 12:16:00 -
7:
美樹 ◆PiOs/krEg2
私が小学校に入り、しばらく経ったある日…。
学校から帰ってきた私は家を見て驚いた。ガラスの破片、倒れたタンス、奥からは妹の泣き声…。
靴のまま家に上がり、妹の傍へと急いだ。
幸いにも妹に怪我等はなかった。2006-03-14 12:20:00 -
8:
美樹 ◆PiOs/krEg2
妹がいる部屋を片付け、ベビーベッドから妹をおろし、ミルクを飲ませた。
それから、夜中まで母と父を待ったが、その日に帰ってくる事はなかった…2006-03-14 12:22:00 -
10:
美樹 ◆PiOs/krEg2
時間が出来たので、少し更新します。
次の日、私は学校に妹を連れて行き、真っ先に保健室に行った。保健室の先生に妹を預け、私は授業に出た。2006-03-14 15:38:00 -
11:
美樹 ◆PiOs/krEg2
−昼休み−
私は担任から呼ばれていたので、職員室に行った。妹を連れて来た理由を話す。
「行く所あるの?」
と聞かれた。
近くに親戚の家がある事を先生に告げた。2006-03-14 15:40:00 -
12:
美樹 ◆PiOs/krEg2
学校が終わり、妹を連れ家に戻った私は、簡単に服をまとめた。
ガラスの破片が飛び散ってる足元から、比較的濡れていないものを選んだ。
妹の所は無事だったので、適当に妹の荷物も鞄にほりこんだ。
家を出よう!そう思った時、ミルクを持つのを忘れ部屋に戻った時、ミルクの横に置き手紙があるのを発見した。2006-03-14 15:44:00 -
13:
美樹 ◆PiOs/krEg2
みきへ
このおかねをもって、しんせきのおばちゃんのいえにいってね。すぐむかえにいくからね。
手紙にはそう書いてあった。
近くに封筒があり、あけると千円が入っていた。私はそれも鞄に入れ、ミルクを入れ、妹を連れて親戚の家に行った。2006-03-16 11:27:00 -
14:
美樹 ◆PiOs/krEg2
親戚の家は、9人家族。おばちゃんにおじちゃん、男兄弟ばかりの7人。一番末っ子のちぃちゃんが私と幼なじみだった。
親戚のおばちゃんに手紙を見せ、封筒を渡した。「たったこれだけ…」おばちゃんはそう言うと軽く溜息をついた。2006-03-16 11:30:00 -
15:
美樹 ◆PiOs/krEg2
「それで…部屋の中はどうなってるの?」
タバコに火をつけながら、おばちゃんが話す。
「ぐちゃぐちゃで靴のまま上がらないと危ない…」
私は下を向いたまま話した。小さい頃から、このおばちゃんが嫌いだった。2006-03-16 11:33:00 -
16:
美樹 ◆PiOs/krEg2
「そう…じゃ、明日にでも片付けに行きましょう。明日は行く所たくさんあるから、今日はゆっくり寝なさい」
つけてたタバコを消し、新しいタバコに火をつけながら溜息まじりに、おばちゃんが言った。
「はい…」2006-03-16 11:36:00 -
17:
美樹 ◆PiOs/krEg2
お風呂に入り、布団を借りて、その日はすぐに眠りについた。
明日から何が起こるのかもわからずに…2006-03-16 11:38:00 -
18:
美樹 ◆PiOs/krEg2
−次の日−
起きて、パンを貰い、私はそれを食べていた。妹にミルクを飲ませおばちゃんが言うままに行動を共にした。
まず行った先は警察署。母の捜索願いの提出をした。
次に児童相談所に行った。おばちゃんと、受付の人とが話をし、別室へと案内された。2006-03-16 11:41:00 -
19:
美樹 ◆PiOs/krEg2
そこで今まであった事を話して、おばちゃんと担当さんが話をしていた。しばらく話をした後、私が住んでいる家へと向かった。
家へと向かってる時、おばちゃんが言った。
「あなた達は“施設”に入るのよ」と…2006-03-16 11:44:00 -
20:
美樹 ◆PiOs/krEg2
幼かった私には、この時はまだ意味がわかっていなかった。“施設”待ちをすると言う事になったので、それまでは、おばちゃんの家にいる事となった。
私が住んでいた家に戻り、散らかったガラスの破片や、倒れたタンスを戻している時、電話がなった。2006-03-16 11:47:00 -
21:
美樹 ◆PiOs/krEg2
美「もしもし」
「…」
美「だあれ?」
「お母さんよ…」
電話の相手は母からだった。2006-03-16 11:49:00 -
22:
美樹 ◆PiOs/krEg2
母「今は…一人?」
美「えっ?今?」
そういうと何かを察したのか、おばちゃんが一人っていいなさいと紙を出してきた。
美「一人だよ。妹もいるよ」2006-03-16 11:51:00 -
23:
美樹 ◆PiOs/krEg2
嘘をつくのが嫌だった。嘘をつく事で母と暮らせなくなるのが嫌だった。
部屋に閉じ込められ様が、叩かれ様が、母と一緒にいたいって気持ちの方が強かった。
一緒にいれば、また笑える。幸せになれる。
そう信じていたのに…2006-03-16 11:54:00 -
24:
美樹 ◆PiOs/krEg2
母「今から帰るから、待っててね」
美「わかった」
まさか…
まさか、この電話がキッカケで地獄の様な生活が始まるなんて思ってなかったんだ…。2006-03-16 12:25:00 -
25:
美樹 ◆PiOs/krEg2
もしも…
もしも人生をやり直せるなら、私は、この時に時間を戻したい。
笑顔を忘れる事なく、素直に泣け、感情を表に出せた、この時に戻りたい…2006-03-16 12:27:00 -
26:
美樹 ◆PiOs/krEg2
帰ってきた母を真っ先に責めたてた、親戚のおばちゃん。
そのおばちゃんに責められながら、冷たい目をして私に言った母の台詞。
お母さん…
私は今でも、あなたを恨んでいます。憎んでいます。2006-03-16 12:30:00 -
27:
美樹 ◆PiOs/krEg2
「あんたなんて産むんじゃなかった。」
2006-03-16 12:31:00 -
28:
美樹 ◆PiOs/krEg2
“子供は親を選べない”
とは、よく言ったもんだ。実際私は、この母の台詞がキッカケで母を憎む様になったのだから…。
産むんじゃなかったなんて口が裂けても言わないだろう…。いや…むしろ、お腹を痛めて産んだ子をそんな風には思わないだろう…2006-03-16 12:36:00 -
29:
美樹 ◆PiOs/krEg2
お母さん…
あなたは部屋に閉じ込める為に私を産んだのですか?
あなたは、ストレスのはけ口にする為に、私を産んだのですか?2006-03-16 12:37:00 -
30:
美樹 ◆PiOs/krEg2
その台詞を言われた私は泣いてしまった。泣いてる私を抱きしめてくれたのは、母や父ではなかった…
親戚のおばちゃんだった…2006-03-16 12:39:00 -
31:
美樹 ◆PiOs/krEg2
「あんたは…幼い子供によーそんな事が言えんな!子供を捨てて男から逃げる為だけの理由でこうなったんやろ!嘘をつかしたんは私や!責めるなら私を責め!」
おばちゃんは私を抱きしめながらそう言った。あの時のおばちゃんの台詞、温もりは、大人になった今でも忘れてはいない…2006-03-16 12:42:00 -
32:
美樹 ◆PiOs/krEg2
そんな台詞を言われた母は、また私達を置いて出ていった。
簡単に荷物を持ち、おばちゃんの家に行った。これから私達どうなるんだろう…2006-03-16 12:44:00 -
33:
美樹 ◆PiOs/krEg2
おばちゃんの家に着き、椅子に座った私に、おばちゃんは言った。
「あんた達を育てて行きたい気持ちはある。だけど、男7人もいて、経済的に無理なんよ…ごめんね…ごめんなさいね…」
涙まじりのおばちゃんの声は、とても小さく切なく胸の中でこだました。2006-03-16 12:47:00 -
34:
美樹 ◆PiOs/krEg2
幼かった私には、施設がどんな所なのか、どんな人がいるのか、わからなかった。
おばちゃんが言うには、私が行く施設と妹が行く施設は別々だと言った。
私は、この日、離れてしまう妹への思い出や、悲しみで眠る事が出来なかった…。枕を涙で濡らしていた。2006-03-17 15:14:00 -
35:
美樹 ◆PiOs/krEg2
お母さん…
あなたは、どんな気持ちになりましたか?
あの時の事、後悔してくれてますか?
あの時、私に生きて行く力があったなら…、あなたを恨む事がなかったのに…2006-03-17 15:17:00 -
36:
美樹 ◆PiOs/krEg2
おばちゃんの配慮からか、妹が入れる施設が見つかるまで私達を預かっていてくれた。
いつ見つかるかわからないのに…
そんなある日、父に会う事となった。2006-03-18 07:41:00 -
37:
美樹 ◆PiOs/krEg2
(一緒に暮らせる!)
単純にそう思っていたのに…
純粋にそう思っていたのに…
その願いは、無情にも消えてしまった…2006-03-18 07:43:00 -
38:
美樹 ◆PiOs/krEg2
お父さん…
あなたは子供達に何を望んでいたのですか?
夢や希望さえも子供達から取り上げるのですか?
あなたのあの時の気持ちを聞く事ができるなら、聞かせて下さい…2006-03-18 07:45:00 -
39:
美樹 ◆PiOs/krEg2
−父との再会−
2006-03-18 07:46:00 -
40:
美樹 ◆PiOs/krEg2
私はルンルン気分で父と会う準備をしていた。
お父さんに会ったら何を話そう?
お父さんに会ったら何をしよう?
そんな気持ちを抱えて…2006-03-18 07:48:00 -
41:
美樹 ◆PiOs/krEg2
待ち合わせ場所に着くと父は待っていた。大きな大きなトラックに乗って、運転席でタバコを吸っていた。
「パパー」
叫びながら近付く私に気付き、父はタバコを消す。クラクションを鳴らし車を降り、助手席のドアを開けてくれた。2006-03-18 07:52:00 -
42:
美樹 ◆PiOs/krEg2
ニコニコ顔で車に乗り込む私を見て、父も笑顔を返してくれた。
でも…
その笑顔は、今思うと、どこか寂しげで、何か覚悟をした様な顔だったんだと思う…2006-03-18 07:54:00 -
43:
美樹 ◆PiOs/krEg2
ニコニコしながら車の助手席にいる私。
父は黙々と運転をしていた。
私…この時はあなたの顔を覚えていたんだよね?いつから?いつから私は、あなたの顔を忘れてしまったの?2006-03-27 15:04:00 -
44:
美樹 ◆PiOs/krEg2
ご飯を食べ、ドライブをし、楽しい時間は、あっというまに過ぎていった。
おばちゃんの家につきそうな時、私は父に尋ねた。
「パパと暮らせないの?」2006-03-27 15:07:00 -
45:
美樹 ◆PiOs/krEg2
すると父は黙った…
どれくらいの時間を経過したのだろう…
重い空気を打ち破ったのは、父だった…2006-03-27 15:10:00