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1:
名無しさん
ゲームのやつのんやけど、みんなに知ってもらいたいし書くゎ?
2006-03-04 19:32:00 -
2:
名無しさん
ずっと昔から変わらなかった。 春のうららかな日々を経て、移りゆく季節を共に過ごす事。
2006-03-04 19:35:00 -
3:
名無しさん
何の疑いも無く、ありきたりな日常を経て… それは自分でも分かるほど、実に穏やかなものだった…
2006-03-04 19:36:00 -
4:
名無しさん
…ふと…気付けば、夏はすでに無く… 秋をひしひしと感じる季節になっていた。
2006-03-04 19:37:00 -
5:
名無しさん
いつもと何ら変わりない生活。 隣の幼なじみに起こされ、けだるい体で家を出る。
2006-03-04 19:39:00 -
6:
名無しさん
智也「…お待たせ…」 オレの言葉に笑顔で応える彼女。 こうして、また『今日』という一日が始まるのだ。
2006-03-04 19:41:00 -
7:
名無しさん
駆け出して行くことも無い時間帯。 朝のひんやりとした空気を指先に受けながら、いつもの道を歩む。 彩花「ねぇ、智也。今度の日曜日暇…かな?」
2006-03-04 19:43:00 -
8:
名無しさん
智也「暇だけど…それがどうかした?」 彩花「うふふ…私ね…」 かぶりを振って、ちょっとイタズラっぽい笑顔を浮かべる。 彩花「実はね…招待券もらったんだ。遊園地の」
2006-03-04 19:46:00 -
9:
名無しさん
智也「招待券?遊園地の?」 復唱する言葉にうなずく彩花。 彩花「だからね、一緒に行かない?」 智也「…それ『タダ』って事だよな?」
2006-03-04 19:48:00 -
10:
名無しさん
彩花「うん、そうだよ。ね…ダメかな?」 少々期待に満ちた眼差しでオレの顔を覗き込む。いきなりにしろ、彩花の方から遊びに誘ってくるなんて珍しい事だ。
2006-03-04 19:51:00 -
11:
名無しさん
滅多に無い事だし、別に断る理由も見つからない。 智也「別にいいけど」 そんな返答に、彩花の顔がぱぁっと明るくなる。 彩花「よかったぁ。タダだから思いっきり遊べちゃうよね」
2006-03-04 19:54:00 -
12:
名無しさん
そんな彩花の喜ぶ言葉に、軽く笑って応えてやる。 智也「はは…実はおこづかい残り少なかったんだよ。ほんと助かった」 その言葉に彩花の喜びがピタリと止む。
2006-03-04 19:56:00 -
13:
名無しさん
…しまった。このパターンは… 彩花「もぅ、この間お小遣い貰ったって言ってたばっかりじゃない。いっつも何に使ってるのよ?」 智也「…それは…聞かないでくれ」
2006-03-04 19:58:00 -
14:
名無しさん
力無くうなだれ、反省の面立ちで答える。小遣いの使い道など自分でも良く分からない。いっつも使った後で後悔するタチだから、深く考えないようにしていたのだ。
2006-03-04 20:01:00 -
15:
名無しさん
そんなオレに諦めがついているのだろうか。彩花はこれ以上深くは問わなかった。 彩花「じゃあ、待ち合わせなんだけど…今度の日曜に駅前で10時。いい?」
2006-03-04 20:03:00 -
16:
名無しさん
とりあえず話を戻し、手頃な日時を聞いてくる。別に何か用事があるわけでもないし、その言葉に考えも無くうなずくが… 智也「ん…唯笑も来るんだろ?」
2006-03-04 20:06:00 -
17:
名無しさん
唯笑…それはもう一人の幼なじみ。昔からオレたちと一緒に遊んでいた女の子だ。オレと彩花と唯笑。三人はいつも一緒でいる事が多かったから、つい唯笑の事も気に掛けてしまう。
2006-03-04 20:08:00 -
18:
名無しさん
彩花「え、あ、うん…唯笑ちゃんはね…来れないって。ちょっと用事があるんだってよ」 智也「なんだ、勿体無いな。せっかくタダで遊び倒せるチャンスだってのに」
2006-03-04 20:11:00 -
19:
名無しさん
彩花「しょうがないよ…唯笑ちゃんにだって都合ってものがあるんだしね」 智也「ま、それじゃ仕方ないか…」 こうゆう時に限って都合が悪いんだから、つくづく運の無い奴だと思えてしまう
2006-03-04 20:14:00 -
20:
名無しさん
突如オレたちの耳に予鈴の音が聞こえてくる。話しながら歩いていたせいか、時間もあまりない事になっていた。 智也「ほら、彩花。早く行かないと遅刻になるぞ」
2006-03-04 20:16:00 -
21:
名無しさん
彩花「あ、分かったからそんなにひっぱらないでよぉ」 彩花の手を取ると、学校に向かって駆け出す。時折慌ただしくしても、充実している日々…
2006-03-04 20:18:00 -
22:
名無しさん
今日も…変わらぬ日常が始まるのだ…
2006-03-04 20:20:00 -
23:
名無しさん
唯笑「ねぇ、智ちゃんったらぁ。ねぇったらねぇ!」智也「うわっ!?」 突然耳元で発せられた声は、オレの意識を呼び覚ますのに申し分の無いものだった。
2006-03-04 20:23:00 -
24:
名無しさん
振り向けば、一人の女の子がオレの顔を覗き込むようにうかがっていた。 智也「おい、唯笑。いきなり耳元で呼び付けるんじゃない」 唯笑「いきなりじゃないよ。さっきからずっと智ちゃんの事呼んでたのにぃ」
2006-03-04 20:56:00 -
25:
名無しさん
唯笑「ずぅっと無視するなんてちょっとヒドイんじゃないかな?」 智也「そうだったかな?ちょっと考え事してたからな。悪かったよ」 別に意図して無視していた訳ではない。
2006-03-04 20:59:00 -
26:
名無しさん
オレ自身まったく気付かなかっただけの事なのだ。 唯笑「そう?だったらいいんだけど?」 素直に謝ると、唯笑は機嫌を損ねた事も忘れて表情をほころばせた。
2006-03-04 21:01:00 -
27:
名無しさん
…どうやら、学校へ行く電車の中で『あの事』を思い出してしまっていたらしい。時期的にそんな季節だからだろうか。最近突発的に思い出してしまう。 唯笑「それよりさ、智ちゃん今日からまた一人なんだって?」
2006-03-04 21:03:00 -
28:
名無しさん
智也「ああ、まぁな」 確かに、母さんが単身赴任している親父の所へ世話を焼きに行ったため、今日から当分気ままな一人暮らし状態だ。こんな事はオレにとって、さも当たり前のように送られた何の変哲も無い生活の一環に過ぎない。
2006-03-04 21:06:00 -
29:
名無しさん
智也「ん?何でお前がそんな事知ってるんだ?」 唯笑「えへへ〜実は昨日の夜ね、おばさんから電話があったんだぁ。智ちゃんのことよろしくねって」 …母さん、こいつにそんな事頼むなよ…
2006-03-04 21:10:00 -
30:
名無しさん
智也「よろしくねって…そんな事言っても、唯笑に何を期待してんだか」 唯笑「ほら、例えば…『起こしてあげてね』とか」 智也「今日は起こしてくれなかったな」
2006-03-04 21:12:00 -
31:
名無しさん
唯笑「『朝ご飯作ってあげてね』とか」 智也「お前、料理ヘタだったよな?」 唯笑「………」 智也「………」 唯笑「いぢわる…」
2006-03-04 21:14:00 -
32:
名無しさん
そんな事言われても、全部事実なんだからしょうがない。 智也「…ったく、わかったよ。何か困るような事があったら連絡してやるから」(よっぽどの事じゃ無い限り、連絡するような事なんて無いだろうけどな…)
2006-03-04 21:16:00 -
33:
名無しさん
唯笑「うん、じゃあ待ってるからね」 まるで先ほどの事などすっかり忘れたかのような、この態度…一転笑顔…という表現が実によく似合う奴だ。
2006-03-04 21:19:00 -
34:
名無しさん
智也(ワザとそれっぽく見せていたのか…?) まったく…相変わらずな幼なじみだと呆れてしまう。そんな他愛も無い話をよそに、電車はオレ達の降りる『澄空駅』へ向かう。
2006-03-04 21:21:00 -
35:
名無しさん
家の近所にある『藍ヵ丘駅』からの所用時間は、約10分程度。さらに歩きも合わせたら、大体20分程度の通学時間だ。 智也「ほら、降りるぞ。これ乗り過ごしたら遅刻確実だからな」
2006-03-04 21:25:00 -
36:
名無しさん
唯笑を促しつつ、オレは降りる人ごみに流されるように器用に進んで行く。 唯笑「うん。解ってるよそのくらい」 智也「ふぅ…」 何とかホームに出る事はできた…けど、唯笑が降りる前に発車を知らせるベルがホーム内に鳴り響いていた。
2006-03-04 21:31:00 -
37:
名無しさん
このままでは唯笑が降りられない。と言う事は、唯笑を待っていたら…オレまで遅刻する!?冗談じゃない。そんな事で遅刻にされたら、ただのとばっちりじゃないか。
2006-03-04 21:33:00 -
38:
名無しさん
この状況を回避する策…策…策… 智也「………」 …一応、唯笑を待っててやるか?しかし…唯笑を置いていっても、どうせ後から追いついてくるだろうし…
2006-03-04 21:35:00 -
39:
名無しさん
だとしたら、待っていようと残していこうと、結局は何も変わらないだろう。と、いうことは遅刻するかの現状においては…唯笑を残して先に行くのがBESTか。いや、これしかなぃ。そう思っておこう。
2006-03-04 21:38:00 -
40:
名無しさん
あまりにも勝手な自己完結に納得しつつ、その場から足早に立ち去る。 唯笑「智ちゃん、待ってよぉ」 智也(………) …そんな声が微かに届いた気もしたが、オレは振り返る事も無く、改札へと進んで行った。
2006-03-04 21:41:00 -
41:
名無しさん
改札を抜けると、幾分穏やかな陽射しが溢れていた。小春日和…と呼ぶにも、まだ早過ぎる時期だ。暑過ぎず、寒過ぎず…今が一番過ごしやすい季節であるように思える。
2006-03-04 21:44:00 -
42:
名無しさん
こんな季節になった今だから、つい思えてしまうのだろうか。夏の頃が懐かしく、愛しく感じる…そんな事を、なだらかな丘から吹く風に頬を撫でられながら思ったりするのだ。
2006-03-04 21:46:00 -
43:
名無しさん
強風というわけでは無いが、なだらかながらも上り坂に加えて向かい風なのだ。風が暖かろうと、やはり学校へ辿り着くには容易とはいえない。自転車で来ている奴等は、まさに一苦労と言えるだろう。
2006-03-04 21:51:00 -
44:
名無しさん
徒歩で登るオレ達を立ち漕ぎしながら追い抜いている形相は、とにかく必死だ。ついささやかながらも応援したくなる。…実際一度たりとも応援した事など無いが…
2006-03-04 21:53:00 -
45:
名無しさん
そんなどうでもいいことを考えているところへ、うしろから呼ぶ声が掛かった。唯笑「ちょっと待ってよぉ」 振り向くまでもなく、呼んでいる奴が唯笑だと分かっていた。
2006-03-04 21:55:00 -
46:
名無しさん
しかし、待てと言われてバカ正直に待つ奴などいようものか。 唯笑「もう、待っててば、こんにゃろ」 後ろから襟首を掴まれ、引っ張られる力に逆らう事なく後ろに反れた。
2006-03-04 21:58:00 -
47:
名無しさん
仕方ないと言わんばかりに振り向けば、そこにはようやく追いついた唯笑の姿ががあった。 智也「お、唯笑じゃないか。どうしたんだ?」 唯笑「どうしたんだ?…じゃないよぉ。何で置いてけばりにしちゃうんだよぉ?」
2006-03-04 22:00:00 -
48:
名無しさん
智也「いや、置いてけぼりにした覚えはないぞ」 唯笑「だって智ちゃん、改札出たらサッサカサッサカ一人で行っちゃうんだもん」 智也「別に唯笑を見捨てて行ったわけじゃない。オレは人ごみに流されただけで、いわば被害者の立場だ」
2006-03-04 22:03:00 -
49:
名無しさん
その場しのぎにと、適当にウソをついてやる。すると… 唯笑「…えっ、そうなの?」 …なぜか唯笑は正直に信じてしまう。
2006-03-04 22:05:00 -
50:
名無しさん
智也「唯笑が電車から降りる時モタついてただろ?だから、てっきり先に行ったんじゃないかと…」 唯笑「…ねぇ…それって何かおかしくなぃ?」
2006-03-04 22:07:00 -
51:
名無しさん
智也「…そ、そうか…?」しまった…調子に乗って飛躍しすぎた… 唯笑「………」 智也「………」 唯笑「………」 何とも気まずく、いづらい空気が辺りに漂う。
2006-03-04 22:09:00 -
52:
名無しさん
こうなったら…とりあえずこの場からの逃亡を諜るしかない。つまり、三十六計逃げるに如かずだ。 智也「どわあああああああっ!」 突然オレの叫びが辺りの視線を引きつける。もちろんこの際気にしちゃいない。
2006-03-04 22:13:00 -
53:
名無しさん
唯笑「え?どうしたの?」唯笑もいきなりの事に、驚いてうろたえる。 智也「もうこんな時間じゃないかぁっ!!」 唯笑「こんな時間…ってまだ10分もあるよ?」
2006-03-04 22:15:00 -
54:
名無しさん
智也「『10分しか』だろうが!」 唯笑「だって10分もあれば余裕で間に合うじゃない」智也「いやいや、今日は特別な日なんだ。だから早く行かなければならないような気がしなくもなくもない日なんだと思ったりしてしまったりするんだ」
2006-03-04 22:17:00 -
55:
名無しさん
唯笑「???」 オレの言ってる事に難色を示したまま、唯笑は理解に苦しんでいるようだ。 智也「…というわけで、オレは先に行くから」 そう言い残し、駆け出そうと一歩を踏む。
2006-03-04 22:20:00 -
56:
名無しさん
しかし踏み出したところで、左胸を小さな手が捕まえた。 唯笑「何で早く行かなきゃなんないの?」 智也「何でって…そりゃ急用があるからに決まってるだろ」
2006-03-04 22:21:00 -
57:
名無しさん
唯笑「だから急用って何よぉ?」 智也「お前、急用の意味も知らないのか?急ぎの用って意味なんだぞ」 意味までちゃんと説明してやったにも関わらず、唯笑の態度は『そんな事ぐらい知ってるよぅ』みたいなものがあった。
2006-03-04 22:24:00 -
58:
名無しさん
唯笑「もう。すぐそうやって誤魔化す」 智也「誤魔化してなんかない」 唯笑「じゃあ何で?何でそんなに急いでるの?」 智也「それはぁ…そ、そう、実は重要な職務を遂行しなければいけないんだ」
2006-03-04 22:28:00 -
59:
名無しさん
唯笑「重要な職務?何かの係を任されたとか?」 智也「係…?そうそうそう係!!その係に任命されてしまったわけだ、これが」その場しのぎの提案に、すがりつく思いで話を合わせる。
2006-03-04 22:30:00 -
60:
名無しさん
何だかんだいって、オレも結構必死だ。 唯笑「何の係?」 智也「何のってお前…そんなの言うまでもないだろ?」 唯笑「言わなきゃ分かんないってば」
2006-03-04 22:33:00 -
61:
名無しさん
そりゃもっともだ。オレは頭をフル回転させ、とにかく都合の良い言葉を考えた。何か好都合な係はないだろうか? 智也「…飼育係」 適当なものが思い浮かばなかったので、おざなりに言ってみた。
2006-03-04 22:36:00 -
62:
名無しさん
唯笑「はい?飼育係?って小学生じゃあるまいし…それにうちのクラス生き物なんて飼ってないよ?」 智也「だから、隣のクラスの飼育係なんだって」 唯笑「何で智ちゃんが、わざわざ隣のクラスの生き物の面倒見なきゃならないのよぉ」
2006-03-04 22:39:00 -
63:
名無しさん
智也「それはだな、オレの突出した飼育センスに、隣りのクラスが目をつけたから…」 唯笑「飼育センス…?」 智也「ほら、オレって動物とか生き物を手なずけるの、結構うまいだろ?」
2006-03-04 22:41:00 -
64:
名無しさん
唯笑「そうかなぁ…大体飼育係って言ったって、具体的には何を飼育してるのよぉ?」 智也「カメ」 唯笑「カメ?カメって何ガメ?」
2006-03-04 22:43:00 -
65:
名無しさん
智也「…海ガメ」 唯笑「んなわきゃないでしょう」 智也「さりとて本当なのだから仕方がないだろ?」 唯笑「第一、水槽に入らないじゃない」
2006-03-04 22:45:00 -
66:
名無しさん
智也「いやいやいや、水槽なんてせせこましい場所で飼ってるわけないだろう」唯笑「えっ、じゃあ何?放し飼いなの?床の上にでも放置してるとか?」 智也「んなワケあるかっ!…プールで飼ってるんだよ」
2006-03-04 22:48:00 -
67:
名無しさん
オレの言葉に、唯笑は露骨にいぶかしげな視線を投げ掛ける。 唯笑「海ガメだよ?」 智也「うむ」 唯笑「大丈夫なの、淡水で?」
2006-03-04 22:50:00 -
68:
名無しさん
智也「そうっ!いいところに気がついたな。だからこそオレが早く行って、塩分の濃度とかPHとかを調節してやらないといけないんだ」 唯笑「…うそぉ」
2006-03-04 22:51:00 -
69:
名無しさん
智也「うそじゃない」 唯笑が不思議そうに小首をかしげる。イマイチながら信用してない様子だ。 智也「…まぁそうゆう訳だから、オレは先に行くぞ」それだけ言い放ち、やにわに走りだす。
2006-03-04 22:54:00 -
70:
名無しさん
唯笑「あっ、待ってよぉ」後ろから追いかけて来る唯笑。 唯笑「唯笑にも海ガメ見せてぇ!」 ここまできても、まだ海ガメの飼育話を信じてやまない。
2006-03-04 22:56:00 -
71:
名無しさん
そう、こいつはそういう奴なのだ。オレみたいな付き合いの長い奴でも、あっさりとダマされてしまう素直さ…恐らく本当の意味で『疑う』という事を知らないのだろう。人という生き物が、予想以上に『嘘つき』だという事を知らないのだろう。
2006-03-04 23:00:00 -
72:
名無しさん
それはそれで素晴らしいことなんだろうが…どうにもその性格が災いしているような気がしてならない。…昔からそうだった。いつもポケ〜として、フワフワしたふいんきを持っていた。
2006-03-04 23:03:00 -
73:
名無しさん
『あっ怪獣だぁ』なんて事を言いながら背後を指差すと、指先に目を奪われながら『ほへ?』と、必ず振り向いてくれる…そう…オレと唯笑、そして彩花の三人は、かれこれ16・7年来の幼なじみだ。
2006-03-04 23:06:00 -
74:
名無しさん
つまり生まれた頃からの付き合い(腐れ縁?)ということになる。それもこれも、お互いの家が近所で、親同士の付き合いがあったという事が最大の理由に挙げられる。オレ達が生まれたことにより、家族同士の付き合いはより一層深まった。
2006-03-04 23:09:00 -
75:
名無しさん
何をするにもご一緒というような環境が、今のオレ達を繋ぐ要因と言えよう。通常だと女の子二人に男の子一人という関係は、女の子側に権力が発生し、男の子は嫌々ながらママゴトに付き合ったりするものだが、オレ達の場合はそうではなかった。
2006-03-04 23:12:00 -
76:
名無しさん
全権力はオレが挙握し、遊びなんかも決して女の子がやらないような、ジャンルに終始した。例えば『お医者さんごっこ』今思えば、これは4歳の幼児にとっては相当に危険なプレイだったと言える。
2006-03-04 23:15:00 -
77:
名無しさん
出刃包丁片手にカツオやタイをさばいて3枚におろすという手術ごっこ。(…実は親の手伝い)むろん執刀医はオレ。唯笑と彩花は助手にまわって額の汗を拭ったり、取り出した内蔵を三角コーナーに捨てたりという役割を担っていた。
2006-03-04 23:20:00 -
78:
名無しさん
…とは言え、年中こんな危なっかしい遊びをしていたわけではない。普通の子が好んでやるような遊びもした。鬼ごっこやらかくれんぼやら…そう言えばこんなこともあったっけ…幼稚園で隠れんぼをしたあの時…
2006-03-04 23:22:00 -
79:
名無しさん
それは新緑の萌える穏やかな季節だった。オレたちに加え、他の園児ら数人も参加した隠れんぼ大会。不本意ながら、鬼役となったのはオレ。リス組の窓にぴったりとおでこを着け、オレは1から100までの数字をゆっくりと丁寧に数えた。
2006-03-04 23:26:00 -
80:
名無しさん
智也「…きゅうじゅきゅ、ひゃーく!う〜ん…あやかどこかなぁ…?」 当時から、彩花は賢い子として見られていた。しかし、そういう奴ぼど逆に想像しやすい。彩花の場合『灯台下暗し』と言えるような立場にいる事が多い。
2006-03-04 23:29:00 -
81:
名無しさん
つまり…この近くに隠れているはず。そう推測したうえで、すぐに側の掃除用具入れを開いて見せた。やっぱり…彩花は、ホウキとかに囲まれながら、ロッカーの底にヒザを抱えてうずくまっていた。
2006-03-04 23:32:00 -
82:
名無しさん
こうしてほとんどの人数を捜し当てたオレだが、どうしても最後の一人が見つからなかった。机…階段…緑の下…屋上、トイレに木の陰。さらに土管の中まで…園内の隅から隅まで調べ尽くしたにも関わらず、どこにも見当たらない。
2006-03-06 19:59:00 -
83:
名無しさん
いくら捜しても見つからない。最後のひとり…かくれんぼのような集団で遊ぶ時オレにとって一番の強敵となる存在は、自身の想像力を遥かに超え、全てにおいて予想範囲外の行動を取ってくれる。
2006-03-06 20:02:00 -
84:
名無しさん
智也「まったくゆえのやつ…」 同じ幼なじみの彩花とは対照的に、唯笑の読めない行動はオレにとってまったく困ったシロモノだ。そんな一人の為に続く隠れんぼも、やがてゆっくりと陽が傾き、空が朱色に染まっていく頃にはもはや鬼だのなんだのといった状況ではなくなっていた。
2006-03-06 20:06:00 -
85:
名無しさん
隠れんぼに参加した園児、保母たちも総出で唯笑を探し始める。 保母「唯笑ちゃーん!もう隠れんぼは終わったから出て来てちょうだーい!」 園児「おーいっ!ゆえちゃーん!」
2006-03-06 20:09:00 -
86:
名無しさん
彩花「ゆえちゃ〜ん!」 智也「ポチや〜い!」 …みんなが一斉にオレの事をにらんでいた。 彩花「トモちゃん!」 智也「だって、飼ってたイモリ逃げちゃったから…」そんなこんなで陽も沈みかけた頃、保母たちは集まって作戦会議を始めた。
2006-03-06 20:11:00 -
87:
名無しさん
保母「やっぱり一度警察に連絡を入れて、捜索願いを出した方がいいんじゃないでしょうか…?」 園長「何を言ってるんだ。それより先にご両親に連絡するほうが先決だろう?ひょっとしたら一人で家に帰ったのかもしれんし…」
2006-03-06 20:14:00 -
88:
名無しさん
そんな思いもよらない事態に、全員しんと静まり返ってしまう。 ??「すーぴーすーぴー…」 それは偶然だったのだろうか。みんなが静まった事で、どこからか妙な声が聞こえだしたのだ。
2006-03-06 20:17:00 -
89:
名無しさん
…寝息?誰だ…?一斉に耳を澄ませ、その声の発生源を探り出す。 智也「隣の部屋からだっ!」 オレの一言に全員が部屋を飛び出て、ずく隣の部屋へと殺到した。
2006-03-06 20:19:00 -
90:
名無しさん
部屋の入り口には『おひるねルーム』と札が掛かっている。一同は我も我もとオレの後ろに詰め掛けた。そこは、西日に染まった真っ赤な空間。所狭しとベッドが10台ほど並んでいた。そしてそのうちの1台。
2006-03-06 20:22:00 -
91:
名無しさん
掛け布団が不自然に盛り上がったベッドをめくりあげると… 智也「ゆえのやつ…」 それぞれがベッドを囲むように連なり、ゆっくりとその枕元をうかがう。 園長「ふぅ…まったく心配させてくれるよ…」
2006-03-06 20:24:00 -
92:
名無しさん
と、園長は胸を撫で下ろしながら大きく安墸の息をついていた。思い出したようにふにゃふにゃと動く口からは、幼い前歯が微かに覗いている。考えてみれば、この当時から全く予想外の行動を取る奴だった。
2006-03-06 20:28:00 -
93:
名無しさん
思うに、唯笑の奴は最初から隠れる気なんて全くといっていいほど無かったんだろう。ただ…単純に眠たかっただけなんだろう。 彩花「ゆえちゃん?」 彩花がそっと唯笑の肩を揺する。
2006-03-06 20:31:00 -
94:
名無しさん
やがて眠そうな目を擦りながら、眠り姫が目を覚ました。 唯笑「ふぁ〜〜〜」 オレたちを見るなりいきなり大アクビ。そしてこの状況をイマイチ掴めず、不思議そうに周りを見回しながら、唯笑はオレたちに言った。
2006-03-06 20:33:00 -
95:
名無しさん
唯笑「次は何して遊ぶ?」 ーーーーーーーーーーーーそんな昔のことを思い出している間にも、オレはいつの間にか教室へと辿り着いていた。 唯笑「はぁはぁはぁ…」
2006-03-06 20:37:00 -
96:
名無しさん
追いかけて来た唯笑が息を切らしている。 唯笑「智ちゃん…」 智也「ん?」 唯笑「プ、プール…」 智也「はい?プール?ああ海ガメな。なんでも可哀相だからって、海に帰してやったらしいぞ」
2006-03-06 20:40:00 -
97:
名無しさん
唯笑「ええっ!逃がしちゃったのぉ!?」 オレの想像を遥かに越えて、激しく落胆した。意気消沈し、ガックリと肩を落とす唯笑。 信「え?何を逃がしたって?」
2006-03-06 20:42:00 -
98:
名無しさん
と、そこに突然現われたのは『稲穂信』という男。一年の時から一緒につるんでいる、非常に仲の良い大親友だ…大親友…うーむ、何か気色悪いな…顔見知り…ということにしておこう。うむ、非常に仲の良い顔見知り。
2006-03-06 20:46:00 -
99:
名無しさん
性格は、良く言えばクール…悪く言えば冷淡。結構個人主義的な考えを持っていて、誰かが重大な悩み事を相談したとしても…『まぁ、最終的にはおまえ自身が決断すべき事だからな』とか言って、平気で人を突き放すようなタイプだ。
2006-03-06 20:49:00 -
100:
名無しさん
けれど逆に、オレみたいな奴には非常に付き合いやすい相手と言える。簡単に言ってしまえば『重く』ないんだな。気軽に付き合える。気兼ねなく何でも話すことができる。つまりそういう奴なのだ。
2006-03-06 20:51:00 -
101:
名無しさん
唯笑「海ガメ、逃がしちゃったんだって!」 信の問いに唯笑が答えた。信「ああ、あれね、カメ吉でしょ?」 これまでの経緯を即座に解した様子の信。さも真実であるかの様にうそぶく。
2006-03-06 20:54:00 -
102:
名無しさん
こういったノリの良い一面を持っていることも、気が合う理由のひとつではないかと思われる。 唯笑「え?信くん、プールに海ガメがいるっていうの知ってたんだ?」 信「だってかなり有名だったじゃん、カメ吉ぃ」
2006-03-06 20:56:00 -
103:
名無しさん
唯笑「うそぉ!?唯笑は全然知らなかったよぉ」 智也「ほらな。言っただろ?全校生徒の中で知らないのは唯笑ぐらいのもんなんだよ」 唯笑「ええっ!そんなこと言われたら余計見たかったよぉ」
2006-03-06 20:58:00 -
104:
名無しさん
失礼ながら何を書きたいのか全く意味が分からない小説とは言いがたい代物ですネ
内容がなさすぎだし、何を一体伝えたいのャら
一見、文章は達者な様に感じますが
達者に見える様にを意識して書いた感が伺えます、文体…上手な様な…変わってる様な
不思議な世界観をお持ちな主の様ですネ………2011-06-27 02:54:00