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陽射し

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  • 1:

    メイ

    実話を元にしたノンフィクション

    2006-02-25 02:17:00
  • 11:

    メイ

    「あんたに何がわかんの?!わかったような口聞かないでよ!!」
    堰を切ったように、溢れる涙を必死に隠し愛希に吐き捨てるようにそう言うと教室を飛び出す。
    廊下を走っていると担任がユリアに驚き引き留めようとするが、そんな教師をふりほどき、人気の無い屋上へと駆け上がる。
    カンカンカン―
    屋上へと上がる階段にユリアの足音が冷たく響いた。

    2006-03-02 20:01:00
  • 12:

    メイ

    「こぇー」
    クラスメートの一人がポツリと呟いたのを愛希は聞き逃すはずもなく睨みつけるとユリアを追いかけようと席を立った。ガラッ
    「おーい。席に着けぇー。」
    そんな愛希を制するように彼女に一瞬視線を送りよく通る声で担任が全員を席に着かせた。
    愛希が渋々と席に座るのを確認すると、出席の確認を取り授業が開始された。

    2006-03-02 20:06:00
  • 13:

    メイ

    涼しい風が
    ユリアの涙に濡れた頬を優しく撫でてゆく。風にサラサラと髪が揺れた。
    ユリアはフェンスにもたれ掛かると小さく息を漏らせていた。「なんで涙なんか…」
    母が自分を置いて出て行く時さえ出なかった。自分の感情は死んでしまったのだと思っていたのに、どうして…。
    混乱する頭で幾度考えてみても答えは出ない。「はぁ…」
    ユリアはもう一度嘆息を吐くと、重たく垂れ込める空を見上げた。

    2006-03-03 03:00:00
  • 14:

    メイ

    「さっきからようため息ついてるなぁ」「えっ?!!」
    どこからか聞こえる声にユリアは辺りを見渡した。
    「どこ見てんの?こっちやで」
    もう一度周りを見渡し声の聞こえた方へと歩いてゆくと、寝ていたのかうーんっと大きくのびをする男の子がいた。
    「あっ、やっとわかった?」
    ニカッと笑った彼は立ち上がると「さぼり?」
    ユリアに尋ねた。「別に…」
    スラッと伸びた手足に、日本人とは違う色素の薄い澄んだ瞳に吸い込まれそうで慌ててそっぽを向く。

    2006-03-04 02:32:00
  • 15:

    メイ

    「おいおい、人の睡眠邪魔しといてそれはないっしょ?」
    「えっ……」
    「もの凄い勢いでドア開けるから、ちびるかと思った」
    「ごめん…」
    無神経に大きな音を立ててしまったことを詫びると彼は、何も言わず微笑んだままユリアに背を向けフェンスへと歩いていく。

    2006-03-04 02:37:00
  • 16:

    メイ

    結局ユリアはその日、教室に帰ることのないまま、アキラが帰った後も屋上で一人空を見上げていた。今までの冷えきった感情とは何か違う感情に戸惑いながら。
    「ユリア!!」
    じっと空を見上げていた背後からすっかり聞き慣れた声に
    振り返る。
    「やっと見つけた!さっきはごめんね。謝りたくて…」
    「ずっと探してたの?あたしの方こそ、ごめんね。心配してくれてありがとう」「えっ………」
    ユリアの口から初めてこぼれた謝罪と感謝の言葉、そして何より愛希の見たかったユリアの優しい笑みに愛希は一瞬驚き、次の瞬間喜びが全身に広がってゆくのを感じた。けれど、暗い影がそっと足音を忍ばせユリアに近づいていることなど二人は知るよしもなかった。

    2006-03-05 18:45:00
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