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明日への後悔

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  • 1:

    柚子

    あの日、後悔をしたから今がある
    貴方も私も、あの日はもぅ無いけど今がある
    沢山の人に囲まれて思い出す過去はどれもこれも綺麗すぎて、悲しい
    後悔が明日へ繋がる様に、そう信じて悲しい過去を思い出してみる

    2006-01-29 00:24:00
  • 2:

    柚子

    一月四日、雪。
    去年の今頃は何をしていたんだろう
    確か去年も雪がこうして降っていて、家族でカニ鍋をして、千鳥足のまま初詣に行った。
    そんな事を思い出しながら、ブラックライトに照らし出される騒音と笑い声が入り交じる店内を見わました

    2006-01-29 00:29:00
  • 3:

    「CLUB D」のライト管がチカチカしていた。
    ここはホスクラ
    私が通うすばるの店

    すでに4時がまわっていた

    2006-01-29 00:33:00
  • 4:

    あと3時間はこうして座っていなくちゃいけないだろうと勝手に考え、少し憂欝になった
    灰皿、シャンパンの空瓶、グラス、タバコにチョコレートにオシボリと目線を移し、一つため息
    「アタシ何してるんだろ…」
    そんな私の本音は、隣に座るすばるにさえ聞こえずにバカでかいBGMに消えてなくなる

    2006-01-29 00:45:00
  • 5:

    柚子

    一方すばるは、だらしなく座って携帯をパカパカと開けたり閉めたり…
    どーせ他の客に営業をかけているんだと、分かっていても口にはしない
    「黙って飲んで笑ってろ」
    一年前に言われた言葉を忠実に守る私は、バカで間抜けで悲しい女
    明日やめよう、明後日やめよう。そう考えながら今日もこうして座っている

    2006-01-29 01:05:00
  • 6:

    柚子

    すばるは世に言う色営で「スキだ」とか「会いたい」とか言って私をこの店に呼ぶ
    それでいい、騙されていた方が楽だから
    すばるは、ホストは、金を払えば愛をくれる。それが、その場限りの物だとしても女が望む形のまま、愛を与えてくれる。
    そして要らなくなれば捨てればいい。金を払うのをやめるだけ

    2006-01-29 01:08:00
  • 7:

    柚子

    なんて簡単な関係なんだと思うでしょ?
    言葉にすればそれはあまりに、ちっぽけでからっぽで薄っぺらくて…
    なのに私達はいつもその関係に泣き、悩み、断ち切れず、王子に裏切られたシンデレラの様に泣き狂うんだ
    分かっていても、覚悟していても、やっぱり同じように…

    2006-01-29 01:21:00
  • 8:

    柚子

    煙草をくわえると、携帯を見ていたはずのすばるがライターを差し出した
    「ホストなんだ」
    そう思う瞬間
    お前はいつの瞬間も客なんだ。と言われているような気がして嫌い

    2006-01-29 01:25:00
  • 9:

    名無しさん

    文章ぅまぃ?頑張れ?

    2006-01-29 01:26:00
  • 10:

    柚子

    突然店内の音楽がアップテンポにかわった

    ―シャンパンコール
    「ちょぃ、待ってて」
    やかましいBGMにかぶせる様に大きな声で言い、クシャクシャっと私の頭をかき回してすばるが席を立つ

    2006-01-29 01:27:00
  • 11:

    柚子

    「折角、髪の毛セットに行ったのに…」

    二つ目のため息で、スーツ姿の背中を睨んだ
    金メッシュの黒髪をツンツン直すその背中は、意味不明な言葉を喚き散らしている男達の輪の中に、紛れて消えた

    2006-01-29 01:36:00
  • 12:

    柚子

    「帰ろッかな…」

    そう呟いて、天井を目がけて煙草の煙をフーっと吐き出した
    すばるがつけたこの煙草を、消してしまうのさえも勿体ないと思った時もあったのに…
    今では隣にいるだけで息が詰まるのは何で?

    2006-01-29 01:52:00
  • 13:

    柚子

    すばるは偽物だって気付いてしまったから
    でも…淋しい、でも…誰かに必要とされたいから会いに来る
    こんなのじゃ淋しさは拭えないよ、必要となんかされていないよ。
    分かってる、苦しいの

    2006-01-29 02:10:00
  • 14:

    柚子

    そんな気持ちをごまかす様に、彼がつけた煙草を灰皿に押しつけた。

    幾つもの夜はこうして消えていく

    2006-01-29 02:13:00
  • 15:

    柚子

    ―奈央。
    最近はその名前で呼ばれた覚えがなかった
    ゆな。それが今の名前で、大型風俗店でそこそこ有名、そこそこ古株。
    彼氏はいない
    ホストと買い物に時間と金を費やし、私の休みと携帯を埋めてくれるのは、すばるだった

    2006-01-29 02:27:00
  • 16:

    柚子

    初めてすばると寝た日

    やっぱり金メッシュの黒髪をツンツンと直しながら
    「俺に一生付いてこい」
    と真顔で私に言った
    訳の分からん奴だ。と思いつつも黙って縦に頷いたら、彼は満足そうな顔をして百円ライターに火を灯した

    2006-01-29 02:34:00
  • 17:

    柚子

    愛してくれる女がスキで、愛されたら愛せない、得てして男の心はそんなもの。特にすばるは…
    一時も忘れられない日も、会いたくて日泣いた日もあった
    だけどそれを口にはせず、彼の言葉通り懸命に店に通った
    すばるはそんな私をホストとして愛して、私はそんな彼に振り回されて愛している錯覚に落ちていた

    2006-01-29 02:44:00
  • 18:

    柚子

    二ヵ月もしたら振り回されるのに疲れ、掴みきれない彼の偽物の言葉に苛立ちさえ感じた

    ただ…彼のいた場所を埋めるモノが見つからなくて、
    今もまだここにいる

    2006-01-29 02:47:00
  • 19:

    柚子

    それに文句も言わず、正月早々ホスクラに付き合ってくれているのは同じ店のあみチャン
    今も向かいの席でヘルプに哀れな程適当な相づちを打っている。
    何をしててもつまらなさそうに見える彼女のテーマは、付かず離れず、そしてハマらず
    ベタベタの仲良しこよしが嫌いな私は、この性格を気に入っている

    2006-01-29 02:58:00
  • 20:

    柚子

    午前6:00

    すばるは相変わらず携帯を開けたり閉めたり、営業をかけた客からの連絡を待っている
    あみチャンはもはやヘルプの話なんて聞かずに、チャージのチョコをいじり倒している

    2006-01-29 03:01:00
  • 21:

    柚子

    「あみチャーン、かーえーろっ?」

    少し早いとは思ったが、やっぱりなんだか隣のバカが胸クソ悪いので、そう言った
    あみちゃんは、いじりすぎて溶けかけていたチョコをポンッと口に入れ、ぼんやりとうなずいて笑った

    2006-01-29 03:19:00
  • 22:

    柚子

    それぞれチェックを済ませ、不満そうなすばるを

    「また明日来るから!」
    と説得して店を出た。

    2006-01-29 03:20:00
  • 23:

    柚子

    「さむいなぁー」
    まだ雪はうっすら気配を残していて、コートの前をグッと引き寄せて丸くなった。
    「もぅ一件行く?口直しに…」
    あみちゃんも丸くなり白い息を吐きながら言った。

    2006-01-29 03:21:00
  • 24:

    名無しさん

    「あッ!ホンマにおもんなかったん?いっつもダルそうやからわかれへんかったぁ(笑」
    「あみ、メッチャ我慢してたし(笑。行くやろ?」
    「はいー、お供しますよー!」
    そう言ってあみチャンを見たら、店からくすねてきたチョコを一つ私に差し出した。きっ、きびだんごですか?

    2006-01-29 03:27:00
  • 25:

    柚子

    時間も遅いので新規開拓に決定した、世に言う初回巡り。
    コンビニで雑誌を開き、あーだこーだと言っていたら店員が少し嫌そうな顔をしたので一番近い店の電話番号を控え、カフェオレを2つ買って外にでた。
    相変わらず寒い
    それからあみチャンが店に電話して場所を聞き、カフェオレを飲みながら並んで歩いた。どーしてアイスを買ったんだろうと後悔した。

    2006-01-29 03:30:00
  • 26:

    柚子

    >>9さん
    ぁりがとぅござぃます
    初めて書ぃてるので、誉めて頂くのも初めてでスゴク嬉しぃ限りデス
    完結まで頑張るので、続きも読んでくださいね

    2006-01-29 03:37:00
  • 27:

    柚子

    ―始まりの日―

    6分後、目的地に到着。電話をしていたので、店の前でキンパツ頭が一人待っていてくれた。
    彼はコッチに気付き、少し会釈をして笑った。笑顔がかわいい、男と言うよりは男の子

    2006-01-29 03:41:00
  • 28:

    柚子

    「電話くれたあみちゃん?迷えへんかった?」

    スーツでは厳しすぎるだろう寒さに耐え、柔らかくそう言って私とあみちゃんの顔を交互に見た。
    どちらがあみちゃんなのか分からないのだろう。

    2006-01-29 03:42:00
  • 29:

    柚子

    「あみちゃん」
    と私はそれダケ言って、隣で足踏みをして寒さを紛らわせている女を指差した。
    キンパツ頭は、私の指先に視線を送る
    ジタバタしていたあみちゃんは、微妙に眉間にしわを寄せた

    2006-01-29 03:47:00
  • 30:

    柚子

    『迷わなかったからここに来てんだろーよ』
    そういいたそうな目。だけどそれを口にしなかった事に、多少なり感謝をした。まぁ、それも束の間、あみチャンは
    「さッぶい!!」
    と無愛想に叫んで、勝手に店に入って行った

    2006-01-29 03:56:00
  • 31:

    柚子

    その後ろ姿を一応見送って、戸惑っているキンパツ頭に声をかけて私も店の中入れてもらった

    店の一番奥のソファー
    私とあみチャンは向かい同士に座り苦笑いを決め込んでいた

    2006-01-29 03:59:00
  • 32:

    柚子

    ポカポカで、やかましい場所に移って50と3分経過

    増えてゆくのは、名前と顔が一致しない名刺と繰り返される自己紹介
    正面に座るあみチャンは、名刺をババ抜きのように抜き差ししながら、男メニューと照らし合わせていた。

    2006-01-29 04:00:00
  • 33:

    「いいの居た?」
    私はすでに重ならない顔と名前に諦めて、ワインを一人グイグイ飲み続け聞いた。悪酔いしそうだ。
    「きめてるんだけど…誰もこねぇーじゃん」
    「えっ!ずるい!!どれにしたのさ?」

    2006-01-29 04:02:00
  • 34:

    柚子

    まるで物のように男を選ぶこの状況を、男が見たらどう思うのだろう

    私達も同じ
    そうやって選ばれ生きる世界に生きていて、感覚は徐々に麻痺しつつあった

    2006-01-29 10:39:00
  • 35:

    柚子

    「これかな?」
    あみちゃんの指の下にある男は
    新人・るぅ
    と言う札を付けられ、少しあどけなく笑っていた

    2006-01-29 10:40:00
  • 36:

    柚子

    「呼ぼー呼ぼー!はいはい、すいませーん!!るぅ君いますかー?」
    酔っ払いの私が手を挙げて叫ぶ。こんなやかましい店では対した大声ではなかった。
    出迎えてくれたキンパツ頭と目が合った。コッチを見ていたらしい。
    ならさっさと来いよ

    2006-01-29 10:41:00
  • 37:

    柚子

    「えっ!誰もついてないじゃん。るぅ君がいいの?」
    と言いながら、彼は私達の席まで歩いてきた
    「あみちゃんがぁ!!」
    酔っ払っていますと言わんばかりに意味不明な手振りで伝える私

    2006-01-29 12:36:00
  • 38:

    名無しさん

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    2006-01-29 13:21:00
  • 39:

    柚子

    キンパツ頭は空中でヒラヒラとさまよう私の手を止め、それから
    「了解」
    とヒラリと裏返り、危なっかしい手つきでアイスとグラスを運んでいた下っぱにコソコソと耳打ちして、私の隣に腰をおろした。
    「あみちゃんはいいけど、自分は?」

    2006-01-29 14:31:00
  • 40:

    柚子

    手尺で飲み続けている私からボトルを奪い、ナミナミとワインを注ぎながらキンパツは言った

    「ゆなちゃんは…」
    わざと名前が分かるようにそう言ったのは、自己紹介が面倒だから…

    2006-01-29 14:42:00
  • 41:

    柚子

    「酔ってんなぁー(笑」
    あみちゃんの隣に座ったるぅ君には写真のあどけなさはなくて、一人前のホスト顔だった。
    でも、あみちゃんは気に入った様でリシャを一本入れて、珍しくよく笑い、よく飲んでいる。
    るぅ君は愉快そうにそう私に笑いかけた

    2006-01-29 14:48:00
  • 42:

    柚子

    「えっ、アタシ酔ってる?」
    そう言われて、私は頬を押さえながら隣に座るキンパツ、誠汰朗に聞いた。
    「じゅりは来た時から酔ってたで(笑」
    笑いながら私が頬に当てていた手をはずし、るぅ君にそう言った。

    2006-01-29 14:51:00
  • 43:

    柚子

    「ゆなは来た時から酔ってたやん(笑」
    彼は笑いながら私が頬に当てていた手をはずし、るぅ君にそう言った。
    ハシゴを気付かれていたと知って、なんだか申し訳ない気になった
    「ねっ?(笑」

    2006-01-29 14:54:00
  • 44:

    柚子

    誠汰朗はあみちゃんにそう相槌を求め
    「ゆな、さっきの店でも飲み続けてたし(笑」
    とあみちゃんも笑う。
    ハシゴ暴露

    2006-01-29 14:55:00
  • 45:

    柚子

    「飲みにきてんでしょーが!」
    私がそう叫んだら、それを皮きりに4人でさっきまで行っていたDの話や愚痴で閉店まで盛りあがった。

    メアドを交換して店のドアを開けると、そこにはまだ寒い現実の世界が広がっていた

    2006-01-29 14:58:00
  • 46:

    柚子

    初回2時間弱であみちゃんは200使った。

    どっからでてきたんだ?
    とツッコミをいれたら、笑ってごまかされた

    2006-01-29 15:01:00
  • 47:

    柚子


    景気よく私も使うとは言ってみたものの
    「酔っぱらいは現場を把握していない」
    と誠汰朗とあみちゃんに止められた

    2006-01-29 15:03:00
  • 48:

    柚子

    バカを捕まえた誠汰朗と、太客を捕まえたるぅ君に見送られ、千鳥足の早足で二人は並んで帰った。

    店に一旦戻り、食料を買い込んで寮の空き部屋に潜り込む。
    二人とも家はあるが、忙しい日や早出の日は、店長に許可を貰い寮に泊まる

    2006-01-29 15:06:00
  • 49:

    柚子

    二人とも家はあるが、忙しい日や早出の日は、店長に許可を貰い寮に泊まる。
    今日は特別、飲みすぎて帰れないので泊まることにした。
    入店当初、店長と二ヵ月付き合った。が、女供にばれ「ゆなは体でのしあがっている」とか「色目を使った」などと言われ別れた。
    その通りだったから、反論なんてしなかった

    2006-01-29 15:10:00
  • 50:

    柚子

    店長と付き合っていれば得する事は多かった。
    雑誌やネットで特集も組んでくれたし、しんどいと言えば休ませてくれた。
    だけど一ヵ月すぎた頃から風俗を辞めてほしいと店長に言われ、見切りを付けた。こうなればただの足枷だ、もうメリットがない。だから別れた
    それが真実

    2006-01-29 15:12:00
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