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■春夏秋冬■
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137:
正門を出て数メートル。
白の乗用車が横に止まる。
警戒しながら運転席の顔をのぞくと、意外な人物だった。
『‥‥何の用ですか?』
『やぁね、そんなに警戒しないでよ。顔色が悪いわ、乗りなさいよ』2008-01-30 03:19:00 -
138:
アタシは黙って首を横に振る。
『アナタも、学校のお友達に聞かれたくないと思うけど?』
口元だけで微笑む女は、助手席を綺麗な指先で叩き、乗車を誘う。
アタシは大きく息を吐き、ドアを開けた。2008-01-30 03:26:00 -
139:
シートに腰をすえると荒々しくドアの閉まる音が静かな車内に響く。
『ケーキでもどう?』
『けっこうです』
よく手入れされたネイルが動くと、女はギアをドライブに入れた。
窓の外の景色がゆっくりと流れ出す。2008-01-31 17:15:00 -
140:
『聞かれたくない話って何ですか?手短にお願いします』
『そんなにイライラしないでよ』
―‥‥イライラ?
ただ、お腹の調子が悪いだけでアタシはイライラなんてしてない。2008-01-31 17:25:00 -
141:
『別に私はあなた達の邪魔をしにきたんじゃないの』
彼女の突然切り出された話の意味がのみこめない。
『ただね、ケイスケ君が私に会うのをやめるって言い出したから‥‥私ね、ケイスケ君と見たことあるのよ。あなたが年配の男性とそういう場所に居たのを』
―‥‥気分が悪い。こみ上げる吐き気をぐっと飲み込む。
『何が言いたいんですか?』2009-11-21 17:41:00 -
142:
運転席に座る女の顔を横目で見ると、アタシの視線を知ってか知らないでか、不敵な笑みを浮かべ、思いがけない言葉が出た。
『ケイスケ君と別れてくれないかしら』
『‥‥‥‥』2009-11-21 17:46:00 -
143:
『アナタもケイスケ君も、きっとこの先、お互いの過去に苦しむ事になるわ』
『意味がわかりません。だいいち、アタシはミハラとは付き合っていません』
『えっ‥‥?』
車は赤信号で止まった。
アタシは『ここでいいです』と吐き捨てドアを開く。2009-11-21 17:49:00