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■春夏秋冬■
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4:
『なんで?』なんて聞いてくるオヤジも、説教垂れるオヤジも、結局はあたしのナカで果てる。
コイツらの体裁に反吐が出る。
『じゃあ僕、先に出るね』
名前も歳も知らない、白髪混じりの頭をした男は、財布から3枚取り出して、机に置いて先に部屋を出た。
あたしは10分ほどぼんやりと天井をみつめたまま、明日の授業の事を考えていた。2006-01-04 06:24:00 -
5:
身体がダルい。このまま眠ってしまいたい…
そんな訳にはいかないんだけれど。
シャワーを浴びて、机に置かれた3枚を同方向に向けて並べ直し、財布にしまった。
財布はノーブランドの安物で、財布の価値より中身の方がはるかに大きかった。
まるでちぐはぐだ。世の中の様に。2006-01-04 06:34:00 -
6:
エレベーターを降りると、ルームパネルの前に人影があった。
『どの部屋にするぅ?』
甘えた声を出す女の顔にふと視線をやる。若造りしているが、40は近い。
そのまま視線を隣の男に流すと、あたしの瞳孔が一瞬開く。
一瞬、男と目が合ったが『どこでもいいよ』とパネルスイッチを押して、女の手をひいてスレ違った。2006-01-04 06:51:00 -
7:
肩に微かな風を感じながら、ホテルの自動ドアをくぐり外に出る。
今の男の顔には確かに見覚えがある。
いや、そんな漠然としたものじゃない。
ミハラ ケイスケ。
クラスメイトだ。2006-01-04 06:55:00 -
8:
彼はどちらかと言うと優等生タイプで、暗くもないがクラスの中で、特に目立つ存在でも無かった。
言葉を交わした事もあるかないかくらいだ。
そんな彼と、まさかこんな場末のラブホで会うとは。
一回り以上は歳をシワに刻んだ女は、一体彼のなんなのか?いくら歳上好みっていったって、少々渋すぎではないか?
……ふぅっ。2006-01-04 07:05:00 -
9:
ひとつ、息を吐いた。
ゲスな勘繰りはやめよう。彼は彼であって、あたしが考えたところで何の関係もない。
あたしはオヤジと居るところを目撃されてもいないし、彼は『無害』だ。
なんとなく、流行りの邦楽を口ずさみながら帰路についた。2006-01-04 07:10:00 -
10:
『おはよう』
朝の挨拶が至る所で繰り返されたいつもの光景。
『サナエ、おはよう』
エリカに肩をたたかれ、あたしも『おはよう』と呪文を唱えた。2006-01-04 07:16:00 -
11:
昨晩のドラマの展開予想をしながらクラスに入る。
エリカの『おはよう』と響く声に、やまびこの様にそちらこちらから返ってくる。
エリカは社交的で、物怖じしないタイプだ。栗色のふんわりと柔らかなカーブがかった髪は、彼女の『女らしさ』をより一層ひきたてた。
あたしは、彼女の横で少し卑屈になる時がある。ただの僻み。エリカの様な人間であれば、このモノクロの世界も極彩色に感じたはず…
あたしの世界は今日も変わりなく、色を失ったままだ。2006-01-04 16:38:00 -
12:
『アダチさん』
教科書を押し込む手を止め、あたしの名を呼ぶ聞き慣れない声の主に顔を向ける。
『ああ、ミハラ君。おはよう』
『おはよう。はい』
彼は事務的に挨拶を交わし、右手の紙の束から一枚を差し出してきた。何日か前の化学のプリント。2006-01-04 16:44:00 -
13:
『ありがと』
彼はそのままエリカにもプリントを手渡して、順に席をまわっていった。
昨日ラブホで鉢合わせたというのに、何の動揺もなくあたしと言葉を交わす彼の眼鏡の奥に、何か特別な感情を抱いた。
涼しい顔した本性に興味がわいた。
一瞬だけ、白黒の世界にノイズが走って、彼だけを着色する。2006-01-04 16:53:00