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■春夏秋冬■

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  • 1:

    ■春■

    2006-01-04 05:48:00
  • 2:

    なんとなく、14歳の時に処女を捨てた。
    初Hなんて言葉は代名詞にすらならない。そんなにあたしにとって意味のあるものでは無かった。
    だから、捨てたと言う表現で十分だ。相手はなんとなく顔が好みだったから付き合った1コ先輩。
    半年ぐらいで、なんとなく飽きて別れた。
    なんとなくって、なんて便利で、楽で、意味の無いものなんだろう。

    2006-01-04 06:10:00
  • 3:


    『何で君みたいな子がこんな事してるの?きっと君のパパやママが知ったら悲しむよ』
    『…なんとなくだよ』
    もぅその台詞は聞き飽きた。皆、理由を問うが、あたしの行動に意味するものなんて何もない。
    あたしには2時間ばかりで3枚の大きな紙の価値がつく。

    2006-01-04 06:18:00
  • 4:

    『なんで?』なんて聞いてくるオヤジも、説教垂れるオヤジも、結局はあたしのナカで果てる。
    コイツらの体裁に反吐が出る。
    『じゃあ僕、先に出るね』
    名前も歳も知らない、白髪混じりの頭をした男は、財布から3枚取り出して、机に置いて先に部屋を出た。
    あたしは10分ほどぼんやりと天井をみつめたまま、明日の授業の事を考えていた。

    2006-01-04 06:24:00
  • 5:

    身体がダルい。このまま眠ってしまいたい…
    そんな訳にはいかないんだけれど。
    シャワーを浴びて、机に置かれた3枚を同方向に向けて並べ直し、財布にしまった。
    財布はノーブランドの安物で、財布の価値より中身の方がはるかに大きかった。
    まるでちぐはぐだ。世の中の様に。

    2006-01-04 06:34:00
  • 6:

    エレベーターを降りると、ルームパネルの前に人影があった。
    『どの部屋にするぅ?』
    甘えた声を出す女の顔にふと視線をやる。若造りしているが、40は近い。
    そのまま視線を隣の男に流すと、あたしの瞳孔が一瞬開く。
    一瞬、男と目が合ったが『どこでもいいよ』とパネルスイッチを押して、女の手をひいてスレ違った。

    2006-01-04 06:51:00
  • 7:

    肩に微かな風を感じながら、ホテルの自動ドアをくぐり外に出る。
    今の男の顔には確かに見覚えがある。
    いや、そんな漠然としたものじゃない。
    ミハラ ケイスケ。
    クラスメイトだ。

    2006-01-04 06:55:00
  • 8:

    彼はどちらかと言うと優等生タイプで、暗くもないがクラスの中で、特に目立つ存在でも無かった。
    言葉を交わした事もあるかないかくらいだ。
    そんな彼と、まさかこんな場末のラブホで会うとは。
    一回り以上は歳をシワに刻んだ女は、一体彼のなんなのか?いくら歳上好みっていったって、少々渋すぎではないか?
    ……ふぅっ。

    2006-01-04 07:05:00
  • 9:

    ひとつ、息を吐いた。
    ゲスな勘繰りはやめよう。彼は彼であって、あたしが考えたところで何の関係もない。
    あたしはオヤジと居るところを目撃されてもいないし、彼は『無害』だ。
    なんとなく、流行りの邦楽を口ずさみながら帰路についた。

    2006-01-04 07:10:00
  • 10:


    『おはよう』
    朝の挨拶が至る所で繰り返されたいつもの光景。
    『サナエ、おはよう』
    エリカに肩をたたかれ、あたしも『おはよう』と呪文を唱えた。

    2006-01-04 07:16:00
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