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■春夏秋冬■
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2:
なんとなく、14歳の時に処女を捨てた。
初Hなんて言葉は代名詞にすらならない。そんなにあたしにとって意味のあるものでは無かった。
だから、捨てたと言う表現で十分だ。相手はなんとなく顔が好みだったから付き合った1コ先輩。
半年ぐらいで、なんとなく飽きて別れた。
なんとなくって、なんて便利で、楽で、意味の無いものなんだろう。2006-01-04 06:10:00 -
3:
『何で君みたいな子がこんな事してるの?きっと君のパパやママが知ったら悲しむよ』
『…なんとなくだよ』
もぅその台詞は聞き飽きた。皆、理由を問うが、あたしの行動に意味するものなんて何もない。
あたしには2時間ばかりで3枚の大きな紙の価値がつく。2006-01-04 06:18:00 -
4:
『なんで?』なんて聞いてくるオヤジも、説教垂れるオヤジも、結局はあたしのナカで果てる。
コイツらの体裁に反吐が出る。
『じゃあ僕、先に出るね』
名前も歳も知らない、白髪混じりの頭をした男は、財布から3枚取り出して、机に置いて先に部屋を出た。
あたしは10分ほどぼんやりと天井をみつめたまま、明日の授業の事を考えていた。2006-01-04 06:24:00 -
5:
身体がダルい。このまま眠ってしまいたい…
そんな訳にはいかないんだけれど。
シャワーを浴びて、机に置かれた3枚を同方向に向けて並べ直し、財布にしまった。
財布はノーブランドの安物で、財布の価値より中身の方がはるかに大きかった。
まるでちぐはぐだ。世の中の様に。2006-01-04 06:34:00 -
6:
エレベーターを降りると、ルームパネルの前に人影があった。
『どの部屋にするぅ?』
甘えた声を出す女の顔にふと視線をやる。若造りしているが、40は近い。
そのまま視線を隣の男に流すと、あたしの瞳孔が一瞬開く。
一瞬、男と目が合ったが『どこでもいいよ』とパネルスイッチを押して、女の手をひいてスレ違った。2006-01-04 06:51:00 -
7:
肩に微かな風を感じながら、ホテルの自動ドアをくぐり外に出る。
今の男の顔には確かに見覚えがある。
いや、そんな漠然としたものじゃない。
ミハラ ケイスケ。
クラスメイトだ。2006-01-04 06:55:00 -
8:
彼はどちらかと言うと優等生タイプで、暗くもないがクラスの中で、特に目立つ存在でも無かった。
言葉を交わした事もあるかないかくらいだ。
そんな彼と、まさかこんな場末のラブホで会うとは。
一回り以上は歳をシワに刻んだ女は、一体彼のなんなのか?いくら歳上好みっていったって、少々渋すぎではないか?
……ふぅっ。2006-01-04 07:05:00 -
9:
ひとつ、息を吐いた。
ゲスな勘繰りはやめよう。彼は彼であって、あたしが考えたところで何の関係もない。
あたしはオヤジと居るところを目撃されてもいないし、彼は『無害』だ。
なんとなく、流行りの邦楽を口ずさみながら帰路についた。2006-01-04 07:10:00 -
10:
『おはよう』
朝の挨拶が至る所で繰り返されたいつもの光景。
『サナエ、おはよう』
エリカに肩をたたかれ、あたしも『おはよう』と呪文を唱えた。2006-01-04 07:16:00