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本命
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1:
羽梨
羽梨、現在?歳。
恋ゎいっぱぃしたけど、めちゃめちゃ手に入れたかったんゎ?人だけ。
手に入らんかったんゎあんただけ?
2006-01-12 12:50:00 -
91:
痛い…。『…薄々はわかってたよ。』そぅ、あたしはわかってたハズ。光チャンがいつか話してた名前。。「さやかチャン。」感づいてたのに、きづかんフリをしてたかった。ううん、『彼女はおらん!』光チャンの最後の言葉を信じていたかっただけ。嘘やと思いたくなかっただけ――。あたしはいつのまにか泣いてた。
『ははッ?もらい泣き、さっきの神田くんの!』『お前アホやな。』神田くんはフッと笑った。『マヂあほ!笑』あたしは何日か振りにまた泣き崩れてしまった。別れても光チャンを支えに頑張ってた毎日。辛くても前を向いた。ひたむきに『頑張ろ』って思った。ホンマはまだまだ泣きたかったし『辛い』って言いたかった…。信じてた望みなんか、実際は欠片もない。それが現実。
『戻れる』わけがない――…………2006-01-12 14:24:00 -
92:
あたしが泣いてた間、神田くんは携帯もいぢらんとただ黙ってた。喋ってな死んでまいそうな人が。ジッとあたしが泣き止むのを待ってくれた。『ごめぇん…神田くん。』『謝るくらいなら泣くな!』『ほんまそれな…笑』気付いたら、外は学生やリーマンが歩き出してるくらいの時間になってた。
その後家の近くの公園に行って缶コーヒー飲みながら喋った。キャバの静香チャンの話、客の話、金の話。神田くんは薬の話とか、車の話とか、色々。お互いフラれた事にはふれんかった。
『眠い!帰ろや!』神田くんが立ち上がった。でもあたしはひとりになりたくなくて、思い切って、神田くんの手を握った。『あたしレンタルせーへん?』いつかのあんたの台詞。『ドコいくん?俺金ないけど。』『あたしが出すから。』内心ドキドキしながらゆった。2006-01-12 14:25:00 -
93:
『俺お前借りれるねやんな?』『うん。』〈隣におって…今日だけでイイから―…。『俺お前の事好きにするで。それでもいーんやったらいーけど。』ドキっとした…『いーよ』〈…あたしもぅ、神田くんやったらいーカモ…いーねん。好きにして―。〉
〈今、あたしをひとりにせんといて――…〉『お前意味わかってる?』『わかってるけど。』すると、神田くんはあたしの手をギュっと強く握り返してきたたと思ったら、そのままあたしの手を持ったまんま軽くあたしのほっぺたを叩いた。―パチンッッ…―。『な…に』
『甘えんな!』そう言って自分の手を離した。〈ぇっ、あたし……。〉あたしの手はほっぺたにくっついたまんま。『お前もそんな女なんの。』向こうを向いて神田くんがボソっと言った。『…あたし……。』『来いや。』あたしらは車に乗った。2006-01-12 14:26:00 -
94:
ドアを閉めて神田くんがゆった。『で、どーする?帰んの、帰らんの。』あたし『……帰るわ。』家の前で車を停めた。『お前はそれでえーねん。』って笑ってあたしの髪を撫でて、そっとキスした。神田くんの車を目で追う事もなく、あたしは真っすぐ家に入った。
あたしは布団の中で神田くんの言葉を思い出した。ほんで小声で『大丈夫。』って胸を押さえて言って、あたしは眠りについた。
その夜、起きて仕事に行った。美羽は『そろそろ彼氏でもつくろかな?笑』ってキラキラしてた。『合コンでもやるか!』って女のコ達と騒いだりした。学校ではやたら騒いだ。買い物・映画・遊園地。やりたかったコトとかを一個ずつ友達と実現した。小さいコトから?2006-01-12 14:28:00 -
95:
なぁ神田くん。星の数やんか、男も女も。ほんでもあんたはあの時?人の女のコトで涙流したよなぁ?あたし軽くショックやってんで?でも、反対に嬉しいのもあってん?あんたも人を愛せるんやんか。あたりまえかもしれんけどね。みんな病んでるからね……
そんなこんなで元気なあたしに戻ってきた頃、事件は起こった。美羽の携帯がずーっと電源切れてる。『どないしたんやろ?』あのコは常、充電器持ってるし電源なんか絶対きらんのやん。胸騒ぎした。
地元の男友達から電話がかかってきた。『山下(美羽)ヤバイ、香代サンともめてんねん。』『はぁ!?どゆコト?』香代チャンなんか存在忘れてたもんやから?『詳しいコトはわからんヶド、けっこーヤバイみたい。香代サンバック出してきてるから。』『バックってドコの誰なん?』『〇〇のゴジラ知ってるやろ?』この辺では有名なキチガイの?コ上。ヤバイかも…2006-01-12 14:29:00 -
96:
その電話切った直後、次は女友達から電話。『かなえやけど!美羽の話きーた!?』『きーた!美羽今ドコなん?』『学校の裏の駐車場おるらしーねん、かなえ今カラ行こ思てんやんかぁ』『あたしも行くわ!』かなえは姉チャンにこの話を聞いたらしい。
でもあたしはヤバイと本気で感じててん…。ゴリラは金属バットで人どついたり、強盗やったりホンマにキチガイで有名やったから。でもなんしいかな!原チャリダッシュで地元の中学の裏に行った。いちよ戦闘態勢でスゥェットきた。
ついてみたら暴走族みたぃな奴らがたまってた。あたしらの地元の人らじゃナイ。『ヤバイやろ…。』素で思った。みんながあたしをジロジロみる。その中にかなえがおった。『羽梨!』2006-01-12 14:30:00 -
97:
かなえは地元では一番のヤン女。彼氏もいわゆるヤンキー。かなえの彼氏がゴリラとしゃべっとった。『なぁかなえ、美羽は?』『わからへんねん、今彼氏がゴリラにきーてんやヶド、ゆいよれへんねん。』『香代チャンとおるやろな…。』『でも大丈夫やろ?香代チャンやで?』特にキチガイでもヤンキーでもナイただのぶりっこ女の香代チャンやもんな。。『ウン、大丈夫やんな。』
でも嫌な予感がするんは何で?そのうち、かなえの彼氏とゴリラがしばきあいになった。『必殺!ポリよんだんねん!』ってかなえは警察に通報した。何しでかすかわからへんからな…携帯が鳴った。『はぃ!もし』
学校の子ヵラやった。『学校前の駐車場で美羽が女の人にしばかれてる!なんかやばいねん!』『ぃくゎ!』〈美羽がしばかれてる―…?〉なんかおかしーやろ…。なんかおかしい…。とにかくダッシュした。2006-01-12 14:31:00 -
98:
着いた瞬間あたしは目ぇ疑った。香代チャンは自分の手首から血ィ流しながら、鉄パイで美羽をしばきながら泣き叫んでる。美羽の頭からも、血ィ出てる…。〈何――…?ちょっと待ってや…〉あたしはこの時ゾクッとした。―恐い…―
よく見たら美羽の服はボロボロで顔の形もおかしい…カラダもふらふら。固まってたら香代チャンがあたしに気付いて近寄ってきた。『お前なんなぁん?お前も香代に殺されたい〜ん?』こわい…!明らかに視点定まってへんし、血だらけ……。シャブや――。
『何してんねん!』その時、龍くんが学校から出てきたみたいで、香代チャンの鉄パイを奪って押さえつけた。ハっとしてあたしは美羽のトコへ駆け寄った。『美羽!美羽!大丈夫!?』あたしはたぶん今までの人生の中で一番恐怖と怒りを感じた。腕と鎖骨あたりに注射器の後と、足元に転がってる注射器…。美羽はボーっとあたしを見て、『羽梨やんなぁ?まぁ〜じあの女殺してゃぁ…』って泣きながら笑った。2006-01-12 14:32:00 -
99:
たぶんこれがあたしの『ホンマに切れた』ってやつやと思ぅ。
龍くんを突き飛ばして香代チャンの顔面を思いっきり力いっぱい蹴った。『イ゛ダ〜イーッ!!』もぅ香代チャンは妖怪みたいやった。『お前ふざけとったアカンぞ!!殺したるからなぁ!!』無我夢中で髪の毛を引っ張り回しておなか蹴りまくった。『やめろ!!羽梨チャン!!やめろってホンマに!!』『うっさいねん!離せやぁ!』あたしは龍くんも蹴飛ばしてしまった。
『ゃめてぇぇっ!!なんで香代がごんなん…されなアカンのぉぉお!香代は悪くナイ〜!!』震えて泣き叫び出した事にあたしは余計に血がのぼって、『ぁぁ!?なんて!?なんて!?ハッキリ喋れや!!きーてんのか!』て言いながら頭押さえつけて背中蹴った。2006-01-12 14:33:00 -
100:
龍くんが必死にとめてもあたしには聞こえてなくて、ただひたすら馬乗りなって顔しばいてた――。そしたら、いきなり後ろからスゴイ力で腕引っ張られて、あたしはコンクリに叩きつけられた。香代チャンの仲間がきたと思って、思いっきり振り返って睨んだ。『やんのか!!』―――ッ。
あたしは我にかえった。
『ぁ…。』神田くんやった。『ぼけ!』と怒鳴った。あたしは目の前の光景にまた固まる。涙ダラダラで『ゃめ…ゴメンナザィあぁ…』って喋れてナイおばけみたぃな顔して倒れてる香代チャン。龍くんに抱えられてボーっとあたしを見てる美羽。そして、手がパンパンに腫れてるあたし……。2006-01-12 14:34:00