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トップへの道‥2
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1:
↓下記URLレスNo304の続きです
こちらから読んでください。
http://bbs.yoasobiweb.com//test/mread.cgi/yomimono/1124193696/-52005-08-17 11:07:00 -
2:
『いいよっ!!自分でやるからっ!!』
何だか自分が小さくなったなったみたいで 嫌だった
人に甘える事が苦手な私‥
小さな子供をあやしながら頭を拭くかのような春‥
何だか くすぐったい‥心地いいけれど 女としてのプライドが邪魔する‥2005-08-17 11:17:00 -
3:
『春!!本間に自分で出来るから!ありがと!!』
『もぅいいから!黙って!!たまには人に甘えてみてもいいんじゃないですか‥?瞳さんは一人で無理しすぎ‥。もっと楽に力抜いてもいいと思いますよ!!』
『‥‥‥ありがと‥』
年下の自分より子供だと思っていた春にまさかそんな事を言われるなんて考えてもなかった。2005-08-17 11:18:00 -
4:
『さっ!!だいぶ乾いた!』
春が私の髪の毛に直接触れて手で髪を軽く整える。
『本間にありがとう‥』
『ちょっとは落ち着いた?!』
私は小さく頷いた。ちょっとどころじゃない‥かなり落ち着いた自分がいた。。2005-08-17 11:19:00 -
6:
私から目を反らさずにしっかり私を見つめて聞く春が突然男に見えた。
『幸せってさぁ‥気付かない時が幸せって皆言うじゃん。。私その意味あんまり分からないんだよね‥』
『一輝が指輪をくれたり‥一輝が愛してるって言ってくれたり‥私はそんな時が幸せ。。』
今まで誰にも話した事なんてなかった‥
心の中に秘めた自分の想い ただ好きな人が【ホスト】なだけ‥2005-08-17 11:22:00 -
7:
『そうなんですか‥。なら良かったです!でも泣きたくなったら俺の所に来てくださいね!』
ニコっと微笑む春‥
何だか照れ臭くて 話を変えてしまった。
でも その言葉は本当に嬉しかった。
泣きたくなった時、居場所が あるというだけで‥泣かせてくれる相手がいるだけで私はきっと泣かないで済む・・・。2005-08-17 11:22:00 -
8:
『春は!?春は好きな人とかいないの?』
『俺‥駄目なんですよ‥。。気になる子が出来ても行動に移せないし‥傷つくのが恐いのかも知れないですね。』
春の返答は【ホスト】としての営業用の答えでは無く一人の男としての返事だと思った。
誰だって傷つくのは恐い‥ それは自分が一番分かってる。
傷つくのが嫌だから‥私は一輝を必要としなかった。。2005-08-17 11:23:00 -
9:
愛して‥必要として・・・失うくらいなら 初めからいらない。。
そうやって自分に言い聞かせてきたきた‥。
でも今の私には無理。。
傷ついてもいい‥
私には今しかないから。。2005-08-17 11:24:00 -
10:
『そうなんだ‥。でも恋に盲目にならない人って偉いと思うよ‥。周り見えないと平気で人傷つけたり、迷惑かけたりするしね‥そんな恋は一生に一回で十分だよね。。』
また涙が出そうになった。そんな恋は一生に一回で十分・・・。
私には一輝しか見えていない。
この恋が最後になるなら 私は何を失っても構わない
『その相手が一輝さんですか?!』2005-08-17 11:25:00 -
11:
『うん‥。一輝をただ好きなだけなのに・・・人傷つけて、泣いて苦しんで‥こんな恋愛は一輝だけで十分。一輝で最後!!』
『そんなに一輝さんがいいですか?!元を言えば瞳さんと美香ちゃん‥同じ店で働いてるの知ってて美香ちゃんとも付き合って二股かけて‥こんな水までかけられて辛くないんですか?!』
春の言葉は私の心に大きな穴をあけた。
辛くない・・・
なんて言えるほど私は心 広くない。2005-08-17 11:26:00 -
12:
『そんなに‥こんな事になっても一輝さんと一緒に居たいんですか?!』
私は頷く事も 首を振ることもせずに ただボーっとテーブルの上にあるグラスを見ていた。
グラスの中の氷は溶けてしまい ただの水のようだった。
私の気持ちも氷のように時間がたてば溶けてなくなってしまえばいい‥。
そしたら どんなに楽だろう・・・。2005-08-17 11:27:00 -
13:
『俺だったら・・・俺だったら好きな人を悲しませたりしない。好きな人を不安にさせたりしない。好きな人以外と寝たりしない‥。例え、仕事でも・・』
どこかで聞いた台詞。。
前につれて行かれた店のホストに言われた台詞に似てる‥。
「こんな仕事やからって瞳ちゃんを泣かしたり不安にしたりせんし大事にするから!だから付き合って?!」
返事を保留にして 店にも行かなくなれば 連絡なんてなくなった。。ただの「色」2005-08-17 11:28:00 -
14:
『春の彼女は幸せだね‥』
泣いたり、不安になるのに彼氏の仕事なんて関係ない。。
私の彼氏は【ホスト】だから・・・と我慢しないといけない事が増えても、
不安になるのは みんな同じ。
昼職でも夜でも 同じ。2005-08-17 11:29:00 -
16:
口座でもないのに 必要以上のボディタッチ‥
沢山のメール‥
でも それは営業ではなくいつも外で会う誘い。。
気付いてて 気付かないフリをしてた。
『えっ・・?!』2005-08-17 11:31:00 -
17:
春に聞き返そうと春の方を向くと真っすぐ私の目を見て反らす事はなかった。
『一輝さんより俺のが瞳さんを幸せに出来る!!』
『ありがと‥』
私は春の言葉だけで十分だった。
確かに幸せになれるのは 春だと思う。2005-08-17 11:32:00 -
18:
それは誰が見ても明らか‥
もしも 一輝が居なかったら 私はこれが例え【色営業】と名のつく付き合いでもすぐに頷いただろう・・
でも今は無理‥
可愛い春‥優しい春‥私を愛してくれる春‥一番に考えてくれる春‥
他の女と寝ない春‥2005-08-17 11:34:00 -
20:
比べる必要なんてない。
幸せになりたいなら一輝ではなく、春を選ぶ。。
でも、私は 幸せにして欲しいんじゃない。
幸せになる為に一輝が必要
だから 一輝がいるだけで私は幸せ‥2005-08-17 11:36:00 -
21:
『歌でも歌いましょうか?!』
春は私の返事を聞くわけでもなく 普通に仕事を始めた。。
渡されたデンモク‥
メニュー画面では なく 一つの曲の転送画面。
【歌うたいのバラッド】2005-08-17 11:37:00 -
22:
『俺、歌っていいですか?!』
『うん。。』
この曲は知ってる‥初めて聞いた春の歌声‥。すごく上手くて すごくエロイ歌い方。
【今日だって貴方を思いながら歌うたいは歌うよ‥】
ただ歌を歌ってるだけなのに 何故か照れている私がそこにはいた。2005-08-17 11:40:00 -
23:
別に私に歌ってるんじゃないって!!
自分で突っ込み 私はタバコを一本手にとった。
火をつけようとライターに手を向けると 春が私の肩をトントンと叩く。火をつけてくれると思い 春の方に体をやると私を見つめてマイクを上に向けて歌う春。。
【短いから聞いておくれ‥『愛している』】
右手で拳を作り 左胸の前で二回ほど きつく握った2005-08-17 11:41:00 -
25:
目を反らす事が出来ない。
『いい歌でしょ?!』
ライターを左胸の前でつけ、私の前に運びながら春が言う。
『あっ‥ありがとう。いい歌やねぇ!!』
その後は何事もなかったかのように普通に歌ってゲームして酒も浴びるほど飲んだ。2005-08-17 11:43:00 -
27:
『ちょっと電話してみるっ!!』
私は 携帯の中央のボタンを二度押した。。
右から流れてくる文字…
??KAZUKI?? ○9033∞∞∞∞∞∞
プルルルル・・・プルルルル‥プルルルルッ・・・2005-08-17 11:44:00 -
29:
私は 携帯を静かに閉じた
『切れたんですか?』
『保留だった‥ハハハ‥』
留守電でも、伝言メモでもなく保留・・・。
携帯を開いて 確認してからボタンを押したって事‥ そんなにミカが必要‥?2005-08-17 11:46:00 -
30:
ミカが必要なの?
それとも必要なのはミカの持ってる財布?!
もぅ‥分からない。
『ミカってさっ‥どれくらい来てるん?どれくらい使ってるん?』
『美香ちゃんは殆ど毎日来てますよ。どれくらいかは分からないけど‥あの人のお陰で一輝さんはナンバー保ててますね。。』2005-08-17 11:47:00 -
31:
『そっか‥』
『瞳さん、今、何考えてます!?』
『何も考えてないよ‥』
『なら、いいんですけど・・・。変な事考えないで下さいねっ。』
春・・ごめんね。嘘ついちゃった‥。2005-08-17 11:48:00 -
32:
本当はね ミカが使ってる金額を使えば 一輝がミカと切ってくれるかな‥
って思ったんだ。
お金で愛なんて買えないのにね・・・。
でも、ここでは 買えるよね‥。
【擬似恋愛】という名の 時間制の愛が・・・。2005-08-17 11:49:00 -
34:
毎日、毎日 ここに通って金を落とせば 私は愛情を貰えるのかな‥。
作り物の金で買った愛情でも いい。。
愛して欲しいだけ。。
『春。。私、帰るわ‥』2005-08-17 11:51:00 -
36:
『何が?』
『だから‥一輝さん待たなくて‥。』
『いいって!!早くチェックしてきて!』
少し 冷たく言うと春は急いで伝票を取りに行った。
待つのは嫌‥2005-08-17 11:53:00 -
37:
きっと一輝は帰ってこない
『すいません。ご馳走様でした。』
春が頭を下げ 伝票を私に向けて差し出す。
値段を見るとセット料金蚤の料金だけだった。
『間違ってる‥』2005-08-17 11:54:00 -
39:
急いでカバンを持ち 私は一人 出口に向かう。
本当は春が私に同情してるなんて思ってない‥
でも春の優しさは痛い。
私にはない 似合わない 真直ぐな愛情‥
春が私に優しく接すれば接するほど 私は惨めに なる・・・。2005-08-17 11:56:00 -
40:
スタスタと歩き ドアを開ける。
急いでエレベーターのボタンを押す。
さっきのは ただの八つ当り・・・。
最低━・・・
やっと来たエレベーターに一人足早に乗り込む。2005-08-17 11:57:00 -
41:
急いで押した【閉】
何度も何度も押した。
あっという間にエレベーターは、一階につき ゆっくりドアが開く。
チン━・・・下を向いていた私が顔を上げると肩を大きく揺らしながら息をあげた 春がいた
『又、泣いてたん?』2005-08-17 11:58:00 -
42:
その言葉に私の身体が反応するのに時間はかからなかった。
私の目には みるみる内に涙が溢れてきた。
『泣いてない‥』
『泣いてたやろ!!何で一人で泣くねん!俺がおるやんかっ!!』
いつも敬語の春が初めて私に使った言葉。。2005-08-17 11:59:00 -
43:
『本間に泣いてないから』
私は春を避けてエレベーターから降りようとした。
これ以上はやばい‥少しずつだけど確実に私の心に入ってきている春。
『行かせない!!』
私の肩を両手で持ち エレベーターに押し戻す春。2005-08-17 12:00:00 -
44:
『瞳‥?!』
下を向いていた私に春が 囁く。。
一瞬 ほんの一瞬‥一輝かと思った。。
私は一輝が好きなんだよ‥
でも、春を拒めない私に、一輝を責める権利なんてないね。。2005-08-17 12:00:00 -
45:
私はゆっくり顔をあげる‥
『もう頑張らなくていいよ‥いっぱい頑張ったやん!!もぅ泣かなくていいから。俺が守るから‥』
私は 誰かに言って欲しかった。
頑張ったね‥って・・・
春は私が欲しい言葉を全て言葉にして表現してくれた2005-08-17 12:02:00 -
46:
『うん‥うん‥』
ボタボタ流れる涙。
拭っても 拭っても 溢れてくる涙。
『何で‥私一輝の一番になれないのかな‥何でミカなんかな‥もっと・・もっと頑張らないと、ダメかな…』
私は春の身体に寄り掛かるように泣きながら春に言う2005-08-17 12:03:00 -
49:
かっこいいね‥強いね‥。
と言われ続けた私。。
でも もう無理‥
演じる事も忘れ、私は春に寄り掛かり 涙を流し続けた。
大好きな彼氏では なく‥私を大切にしてくれている人の胸で・・・2005-08-17 12:06:00 -
50:
豊かな生活でもない‥
『愛してる』という言葉と私が辛い時、泣きたい時に気付いてくれる優しさと‥抱き締めてくれる貴方の両手。
ただ それだけ。。
だから春は満点なんだよ‥
あなたが居なければ‥。2005-08-17 12:08:00 -
51:
『家まで送ろうか?』
首を横に振る‥
『大丈夫。春‥ごめんね。仕事戻って?』
それは私の言い訳。。春の仕事のせいにしたけど本当は私が恐いから‥
一輝を裏切ってしまいそうで恐いから。2005-08-17 12:09:00 -
55:
もぅ そんな事言わないで・・・泣かせるような事しないで‥。
『出して下さい』
運転手に告げ 私は下を向いていた。
なんて言えばいいか分からない。。
私は 一輝が好きな筈‥2005-08-17 12:12:00 -
56:
家につくまでのタクシーの中・・・
私は声をあげて泣いた。
何か 悲しいのか‥苦しいのか‥
それすら 分からない。
自分の 中途半端な気持ちと‥自分に対しての怒り‥2005-08-17 12:13:00 -
57:
もぅ どうしたらいいか分からない。
家につくと エレベーターの中で携帯を取出し 中央のボタンを二度押す。
【留守番電話サービスセンターに・・・】
さっきまで かかっていた電話は見事に電源が切られていた。2005-08-17 12:14:00 -
58:
『一輝っっ‥』
また涙が出てくる。。
いつから こんなに 泣くようになったのだろう‥
私は今日一日でかなりの涙を流した。。
強い女という私が築き上げてきた壁にヒビが入って行くのは私でも理解出来た。2005-08-17 12:15:00 -
59:
玄関の前でしゃがみ 涙が止まるのを待った。
もし 唯が起きていたら‥ こんな顔は見せれない。
涙が完全に引いたのを確認して 私は鍵を開けた。
ガチャ━・・
『ただいまっ‥』2005-08-17 12:16:00 -
61:
『チーママ?!』
急いで振り返ると眠そうに目を擦りながら立つ唯がいた。
『ごめん。起こした?』
『いぇ・・大丈夫ですか・・・!?』
唯が何に対して【大丈夫】と聞いたのかは分からないけれど 何故か私の弱い部分がばれたようで すごく嫌だった。2005-08-17 12:18:00 -
62:
『何が?!私は大丈夫だよ。唯ちゃんも早く寝た方がいいよ‥おやすみ。』
バタン━・・
急いで寝室に向かった。
見られたくない‥。気付かれたくない‥。
せめて 唯の前だけでも かっこいい女、強い女で いたい・・・2005-08-17 12:19:00 -
65:
約束もなく、何となく暇だったし一人で食べるご飯は美味しくないから一緒に食事に行った。
付き合い程度に飲んでいたお酒も いつしか すすみ気付けば ホテルのベットの上・・・
身体を重ね 何度も快楽を得た。。
でも そこに【愛情】は
成立していなかった。。2005-08-17 12:21:00 -
67:
それから何度か身体を重ね、【彼女】という肩書きを貰い 生活を共にするようになった。
でも やっぱり愛は
無かった・・・
クールな一輝に‥
大人びた一輝に‥2005-08-17 12:24:00 -
68:
負けたくなくていっぱい背伸びしてた・・・。
それは彼女としてじゃない。。
一人の女としてでもない‥
同業者の一人として。
女が私以外に何人もいるのは知ってたし それを責める程 私は貴方に情も、愛情もなかったから‥。2005-08-17 12:24:00 -
69:
干渉しない女が欲しかった一輝‥。
一人になりたくなかった私・・・。
歩み寄らない私達が うまく行くはずなんて勿論 なく、お互い好き放題な私達
でも 一輝の女の一人がミカだと知った時・・・
初めて私の中で【嫉妬】という感情が生まれた。2005-08-17 12:25:00 -
70:
何で・・・
どうして 寄りによってミカなの‥
こんなに沢山の人がいて、こんなに沢山の店があるのに・・・
何でミカなの‥
初めて 貴方に自分から別れを告げて 本音を言ったあの日。。2005-08-17 12:26:00 -
71:
詰られる覚悟で 告げた 私の 一輝への気持ち‥
それを貴方は全部受けとめてくれた‥。
そこから私の気持ちは一気に大きくなったんだよ。
指輪を貰った時、私はみんなに言いたかったんだよ‥
それくらい嬉しかった。2005-08-17 12:27:00 -
73:
そして何より・・・
【営業】と称した浮気。。
他の女を抱いた手で私を抱く貴方‥
他の女が触れた唇で私に口付けする貴方…
ミカにも同じようにしたの・・・?!2005-08-17 12:29:00 -
77:
ミカを殴った私を どんな風に見てた‥!?
ミカに殴られた私を どんな風に感じた?!
私もミカも ただ一輝が好きなだけ‥
でも私達はもう元には戻れない・・・2005-08-17 12:32:00 -
82:
『おはよう‥』
いつも通り店のドアを開けると 皆の視線が一気に集中した。
睨みたいなら睨めばいい‥
文句言いたいなら言えばいい‥
私は何も間違った事なんてしてない‥。2005-08-17 12:39:00 -
83:
『チーママ‥ちょっと‥』
普段あまり早い時間に顔を出さないママが私を呼ぶ‥
向かい合わせに席につく。
ママは期待を裏切らない言葉を私にくれた。
『瞳がミカの男とったって本当なの?みんな、チーママの席に着きたくないって言うてきたけど‥瞳の考えは?!』2005-08-17 12:47:00 -
84:
やっぱり・・・
『プライベートと仕事は別じゃないんですか?!私の所が嫌ならヘルプはいらないです。一人で十分ですから‥。』
それだけ 言うと私は席をたった。
腹が立つのは 私の言い分も聞かず 決め付けられた事‥2005-08-17 12:49:00 -
85:
ムカツク━━・・
やりにくい職場も‥帰ってこない一輝も‥
ムカツク。。
『チーママ、和田さんがお呼びです‥』
奥で一人タバコを吸う私をボーイが呼びに来る‥2005-08-17 12:51:00 -
87:
『瞳‥今日も可愛いなぁ・・・いっぱい彼氏とHしたんかぁ?!ハハハ‥』
『何、言うてるんですかぁ‥そんな人がいたら私ここにいませんよ・・』
この人はいつも こんな感じ。。
和田さんは35歳。2005-08-17 12:55:00 -
88:
でも飲み方も綺麗し ゲストとしてはかなり好きな人
プレゼントは勿論‥
店にも 二日に一回は来てくれる。
お金もかなり使ってくれる
でも一つ問題がある・・2005-08-17 12:57:00 -
89:
『瞳!!今日終わったら飯いこかぁ!』
『いいですねぇ‥私もご一緒していいですか?』
和田さんの隣に腰を下ろすママ‥
『ママ、他の席ついといていいから‥』
和田さんが煙たいママを 他の席に移動させようとしたが それは無理な話…2005-08-17 12:58:00 -
91:
私が和田さんと同伴をすれば…『何を食べて来たの?』
私が和田さんとアフターを入れると‥『どこに行くの?』
私が和田さんにプレゼントを頂けば‥『何を貰ったの?』
いつも客には無関心なこの人も‥
好きな人の事は知りたいらしい・・・2005-08-17 13:02:00 -
92:
『じゃ、またにしよかぁ‥瞳、明日でも連絡するわ。チェックして‥』
『まだ、いいじゃないですかぁ‥』
そんなママの言葉を無視して私は伝票を取りに行った
和田さんがあんな風に言う時は 帰りたい時・・・2005-08-17 13:03:00 -
93:
『ご馳走様です』
今日のお会計は21000円‥
三万を私に渡し、手のひらを私に向ける和田さん。
『ありがとうございます』
お釣りの九千円は私の財布に‥という和田さんからの合図・・・2005-08-17 13:04:00 -
96:
車が見えなくなるまで頭を下げ エレベーターに乗る
その日は 私の席に誰もヘルプにつかなかった‥
そして私も女の子の席にはほんの 挨拶程度で 座る事はなかった‥
『今日は何貰ったの?』
店が閉店と同時にママが私にわざわざ聞きにくる‥2005-08-17 13:08:00 -
97:
『開けてはないですけど‥多分シャネルのピアスですね・・・』
客から貰った物までも いちいち聞いてくるなんて
相当 和田さんを意識している証拠・・。
『ミーティングするから集まって!!』
私は女の子に向け 少し大きな声で言った。2005-08-17 13:09:00 -
103:
どうして貴方はいつも私を見つけてくれるの‥?!
こんなに沢山の人がいるのに・・・
今まで偶然なんてなかったのに‥
私がピンチの時に来てくれるのは いつも 大好きな人ではなく 貴方だね。。
『ちょっと‥瞳ちゃん!どしたん?』2005-08-17 13:16:00 -
104:
腕をつかまれて 足を止められる。
目に溜まる涙を必死に止めようとする‥
『どこ行きよん?』
『・・・別に‥』
『何かあった?昨日電話したんやけど‥』2005-08-17 13:17:00 -
105:
知ってるよ‥。
春が私を心配してくれて、電話をくれた事‥。
でも今までみたいに
【可愛い存在】の春じゃなくなってる事は 私が一番よく分かってるから‥
今 私が春の気持ちに答えることは自分自身に負けたことになるから‥。2005-08-17 13:18:00 -
106:
『ごめん。寝てた‥』
『そっか‥。ならいいけど・・・』
『じゃ。又連絡するから』
冷たい言葉を残し 私は一人勝手に歩きだした。
もう目に溢れる涙が限界だったから・・・ごめんね‥2005-08-17 13:19:00 -
109:
早く私を抱き締めに来てよ‥。
この声は あなたには 届かないのかな・・・
周りを歩く人が ぼやけて見える。
周りの人が不思議そうに
私を見る・・・2005-08-17 13:24:00 -
111:
道端に しゃがみこんだ 私の前に しゃがむ黒いスーツ姿の男。
やっぱり私を見つけてくれるのは・・・
助けてくれるのは・・・
一輝じゃなかった。
『・・歩けない…』2005-08-17 13:26:00 -
112:
『分かった!』
そう言うと春は私の手を春の首の後ろに回した。
私のカバンを手首にかけ 私の足を抱え 軽がると持ち上げた。
『冗談!!歩けるから!』
周りのみんなの視線が私たちに集中する‥2005-08-17 13:27:00 -
113:
沢山の人が行き交う中‥
黒いスーツの男に抱き抱えられた私は 周りから見ればきっと・・・
【ホストにはまった、馬鹿な女】に見えたに違いない
『春っ!!本間に歩けるから‥大丈夫。ごめんね!』
『全然大丈夫ちゃうやん!道で座り込んで‥一人泣いて‥どこが大丈夫?』2005-08-17 13:28:00 -
114:
そんな優しくしないで‥
困らせないで‥
貴方を選べば私は‥
世界で一番幸せになれるのにね・・・
でも 私は 春に愛して貰えるほど 綺麗でも‥いい女でも ないから‥。2005-08-17 13:29:00 -
119:
私・・・この優しい春の手を取っていいのかな‥
仕事より私を優先してくれる優しい手を‥
『行きたい所があるの‥』
私は ずっと私を抱えてくれていた春から するりと降りて 春の腕に自分の手を絡めた。2005-08-17 13:34:00 -
120:
『じゃイコ!!お姫さま!』
春が私の荷物に手をかける
『ありがと‥』
私のバックは春の手に・・
これで どこから見ても【ホストと馬鹿な客】の出来上がり・・・2005-08-17 13:35:00 -
123:
驚きながら春が私を覗き込むように見て 確認する。
『ここっ!!イコっ!今日はお願い聞いてくれるんでしょ?!』
ビルに入りエレベーターに乗り込む。
少し不機嫌そうな春‥2005-08-17 13:40:00 -
124:
『ごめんね‥』
聞こえるか、聞こえないかぐらいの小さな声で ぼそっと呟いた。
フロアーにつき エレベーターが開く。
スッと差し出した自分の手
迷う事無く握ってくれた2005-08-17 13:41:00 -
126:
春が扉に手をかけた瞬間━
春の手を握る 私の手に
力が入ったのは自分でも分かった‥
あの時みたい‥
ミカに呼び出されて 一輝の店に来た時みたい。。2005-08-17 13:44:00 -
127:
足がすくんで‥動かなくて息が上手く出来なくて、手が震えていた あの時━
あの時も助けてくれたのは ――春だった―――
【いらっしゃいませっ!!】
春に手を引かれ 店の中に入る。。
目が 勝手に二人を探す‥2005-08-17 13:45:00 -
128:
━━━━いない‥━━━
少しの安心‥沢山の不安と嫉妬‥。
店にはまだ そんなに多くのゲストはいなかった。
『初めまして‥失礼します。。』
知らないホストが私の席につく‥2005-08-17 13:46:00 -
129:
『えっ‥?!瞳さんですよねっ?』
『・・・・えっ?』
『あの‥この前五人で来てはった時に・・』
ぁあ‥
ミカとあきと皆で来たときについてた名前も知らない子ね・・・。2005-08-17 13:47:00 -
134:
『でも・・・』
戸惑う春を無視してスーツの男は コルクを抜き 私のグラスに液体を注ぎ込む
『割り箸くれる?』
私が告げると急いで 走り割り箸片手に戻ってくる。2005-08-17 13:54:00 -
135:
『春?!ドンペリは気にいらない?』
立ち尽くす春に私は上目遣いで言う‥
『いゃっ‥そんな訳じゃ・・・』
『なら座って‥?!』
私は自分の隣を手のひらでポンポンと叩く。2005-08-17 13:55:00 -
138:
私が一声上げればスーツの男達は必死で私を口説く。
ただ一人私を帰そうとした男がいた。
『もぉ十分やろ?!』
不機嫌そうに春が私を覗き込む。。
『お金はいいから帰ろう‥なっ?!』2005-08-17 13:58:00 -
141:
結局 私はラストまでの時間【ホストにはまる馬鹿な女】を演じ続けた。
ここでは私は【お姫様】
スーツの男達は【奴隷】
私が一声放てば 気にいられようと必死で偽りの台詞を吐く奴隷達。2005-08-17 14:01:00 -
146:
何故かなんて分からない。店を出た途端 私の中で張り詰めていた何かが糸のように切れた‥
流れるというより 落ちる涙・・・
フロアーにポタポタと丸い円を作る。。2005-08-17 14:07:00 -
147:
『どないしたん?!』
甘く囁きながら 私の肩を抱く春の胸に私は顔を埋め声を上げて泣いた。
優しい春が側にいても考えてる事は一つ・・・
店の扉が開くたび私は何度も目をやった。2005-08-17 14:08:00 -
148:
いくら お酒を飲んでも扉が開くたびに視線が動く。ゲームをしている最中も‥話をしている最中でも、
明るくはない店内では 扉が開くたび 踊り場の光が差し込む。
その度に私の視線は毎回 動く。。2005-08-17 14:08:00 -
149:
でも何度扉が開いても そこに最愛の人の姿はなかった。
仕事優先の彼‥
いつだって私は一番にはなれなかった。
でも その彼が店を休んでまでしている事・・・2005-08-17 14:09:00 -
154:
『本気?』
少し驚きながらも 私をじっと見つめながら聞く。
小さく頷いた私‥
『分かった。行こ!』
私の手を引きエレベーターに乗り込み ビルの外に出て手を挙げる春。2005-08-17 14:15:00 -
155:
一台の車が私たちの前に止まる。
『瞳、乗って!!えーっと』行き先を説明する春。
『急いで帰るから部屋で待ってて‥部屋は101やから。後これ・・・』2005-08-17 14:16:00 -
156:
手のひらに置かれたのは 千円札と家の鍵。
『ごめんな。すぐ帰るから‥運転手さん、お願いしますね!』
ドアが閉まると同時に春は走って店に戻って行った。『優しい彼氏さんですね・・・』
気の良さそうな運転手の言葉も私の耳には殆ど届いてなかった。2005-08-17 14:17:00 -
161:
これは賭け・・・。
恋愛なんて所詮ゲーム。
私は誰かの次なんて嫌。 みかと私を天秤にかけた 一輝‥。
最後のステージは あなたに宝箱を引かせてあげる。2005-08-17 17:56:00 -
164:
膝から落ち 泣き崩れた。分かっていたけど解っていなかった。。
本当は自信があった。
その自信だけを盾に私は戦ってきた‥。
淋しいと口に出す事も‥ 不安を伝える事もせずに‥2005-08-17 17:59:00 -
165:
『ハハハ・・・何やってんだろ。。ハハ‥』
言葉とは裏腹に 涙は次から次に溢れてくる。 『ハハ‥かず・・きぃ‥』何度も何度も携帯を握り締めた。
カチカチとボタン押せば 満面の笑みの写真。。。2005-08-17 18:00:00 -
166:
その笑顔を独り占めしたくて、愛情を独り占めしたくて、私は一輝の彼女【瞳】という彼好みの【彼女】を作り上げていた筈だった。ビジネスと称した浮気も、お金の為と称したセックスも 全てを許したのは彼を失わない手段。。
2005-08-17 18:01:00 -
167:
一生懸命 偽りの仮面を付け 【女優】になりきっていた‥筈だった。。
いつだって何でも平気な 【フリ】をしてきた。
声をあげて笑う事も 泣く事も 怒る事もない私は 彼にとって人形と同じだったのかも知れない。2005-08-17 18:02:00 -
169:
一輝が私をいらないと言えば 私はあっさり身を引く。。
その気持ちは変わらない。最後くらい 格好良い女でいたいという私のちっぽけなプライド‥
2番目なんていらない。。2005-08-17 18:04:00 -
171:
『かずきぃ・・・』
中々押せないボタンは私の気持ち‥。
『バイ・・バイ‥』
液晶には涙が落ち 目から流れる液体を拭うこともせずに ただ中央のボタンを押した。2005-08-17 18:07:00 -
173:
『瞳?!』
どのくらいの時間そこに いたのだろう‥
ふと顔を上げるとスーツ姿の男が私の前に立っている
『何してるん?何で家の中入ってないん!?ってか何で泣いてるん?!』2005-08-17 18:09:00 -
174:
夜空は少しずつ明るくなり遠くの方からは鳥のさえずる声‥。
『取り合えず家入ろっ!!』
放心状態の私のカバンを持ち上げ私の脇の下に手を入れ彼は軽がると私を持ち上げた。
バタン━━━・・2005-08-17 18:10:00 -
176:
『何かあった?!』
春はスーツを脱ぎながら私の顔を覗き込む。。
一生懸命 首を横に振る。
『そっか‥ならいいんやけど・・・ぁー疲れたわっ!瞳、風呂入る??』
私はまたも首を横に振る。2005-08-17 18:12:00 -
177:
『じゃ俺入ろっ!!』
腰を上げ 春が私の前を通ろうとした瞬間・・・
バタっ━・・
『一輝さんの事?』
私の体をベッドに優しく寝かせ 目をじっと見つめながら言う。。2005-08-17 18:13:00 -
179:
『俺はどないしたらいいん?!』
ベッドに座りなおし タバコに火をつけて遠くを見つめながら春が吐き捨てるように言った。
ただただ 涙を流す私‥ もう戻れない幸せな時間‥想いばかりが募り後悔だけが私の心の中に残った。2005-08-17 18:15:00 -
180:
『ごめん。。』
この言葉以外に春に対して言える事はなかった。
優しい春に対して私は甘えてばかり・・・
一輝と春。。
本当にどちらも大切で どちらも好き。。2005-08-17 18:16:00 -
182:
一輝をいらないと何度も思った。。
でも・・・会えないと思えば思うほど 会いたくてたまらない、、
忘れようとすればする程 彼への気持ちは大きくなる。。
一輝に会いたい‥2005-08-17 18:19:00 -
183:
『瞳?!帰りたかったら帰り‥』
床に置いてある私のカバンを私の横に置きながら 春は腰を上げた。
『俺、風呂入るから。帰るなら帰って‥俺だって男やし瞳に何かしてまうかもしれんし。。俺は瞳の事本気で好きやから・・・』2005-08-17 18:20:00 -
185:
そう言いながら私の左手の薬指につけてくれた指輪は今でも外される事なく 私の指についたまま‥
思い返すのは辛かった事ではなく ただただ楽しい思い出ばかり。。
でも もう戻れない・・・2005-08-17 18:22:00 -
187:
ソファーに座りテレビを付けた。芸能情報に天気予報、普通の日常。。
頭は何度も二人の姿を想像する。終わったコト‥
もう 後ろは向かない!!
バタン━・・2005-08-17 18:24:00 -
188:
風呂上がりの春と目が合う
『いても‥いい?』
春の顔色を伺いながら 尋ねた。
『当たり前やん。瞳も風呂入れば?!』
笑顔な春の顔はいつもの可愛い春の顔だった。2005-08-17 18:25:00 -
189:
シャワーを浴び 思いっきり顔を洗った。。
すべてを洗った。
心の中も・・・
『暑いぃ‥』
ブカブカのTシャツに ダボダボのジャージを着て 頭にバスタオルを巻き 春の隣に座った。2005-08-17 18:26:00 -
191:
『早っ!!飲み過ぎやろっ!まだ飲む??』
コクりと頷くと春は重い体を起こし冷蔵庫に行き ありったけのビールを持ってきてくれた。
よくよく考えれば 男と女。飲まないといられない‥酒の力を借りるように 私は自ら酔うためにビールを飲み続けた。2005-08-17 18:28:00 -
193:
『えっ?!そんなん瞳がソファーで寝るから!春ベットで寝て!!』
『そんな気ぃ使わなくていいから!早く寝なさい。』布団をかけてくれて トントンと母親が赤ちゃんを寝かしつけるように 春は私のお腹辺りをリズムよく叩いてくれた。2005-08-17 18:29:00 -
195:
春と過ごしながら 一輝を思い浮べてる。。
淋しさを紛らわすために 春と時間を共有してる。。
春に対して何も感情が無いなら割り切れる。。
でも 春に対しても気持ちがあるから 余計に質が悪い。。。2005-08-17 18:31:00 -
196:
『春‥?!寝たぁ!?』
天井を見つめながら ソファーで眠る春に小さな声で呟くように問い掛けた。
『起きてるょ、、どしたん?寝れない??』
体をこちらに向けながら私と目を合わす。。2005-08-17 18:32:00 -
197:
『寝れない‥。。そっち行ったらダメ??』
自分が馬鹿な事を言ってるのは十分分かってる‥
ソファーギリギリまで体を寄せて掛けてあるタオルケットを少し めくり 春が手招きをする。
小さな子供のように タオルケットに潜り込み 春が置いてくれた腕の上に頭を置く、、2005-08-17 18:33:00 -
198:
もう片方の手も 私の肩を抱く。。
心臓の音が聞こえるほど 抱き寄せられ ガラスを扱うように私に触れる 春が愛しくてたまらなかった。心音は私に 安らぎを‥
私を抱く大きな手は 私に温もりを・・・2005-08-17 18:34:00 -
199:
十分過ぎる彼からの愛情。でも 心の中 隅々までが満たされる事はない。。
彼を愛そうとする自分と 彼以外へ向こうとする気持ちの葛藤‥
こんな中途半端な私が幸せになれるワケなんか ない。。2005-08-17 18:35:00 -
200:
狭いソファーに二人‥
お互いの温度を確かめるように抱き合った。。
でも 体を重ねる事は無かった。
それは 彼が私を大事にしてくれてる証拠・・・
でも 大切にされれば される程 自分が ひどく最低な女だと感じれずにはいられなかった。。2005-08-17 18:36:00 -
201:
『瞳‥?!そろそろ起きてっ。。遅刻するよっ!』
私の髪の毛を 撫でながら軽く頬っぺたに触れる。
『んー‥。』
『もぉー!!瞳ちゃん!』
ずっと私の首元にあった手を抜き 全身を思い切り こそばして来る。2005-08-17 18:37:00 -
202:
『キャッ!!』
一瞬だけ腰に触れた手‥
『もぉー!!私、こそばがりゃから止めてょぉ‥』
目をこすりながら 少し口を尖らせながら言った。
『ごめん、ごめん。』2005-08-17 18:38:00 -
204:
『六時って夜の?!』
慌てて飛び起き携帯を探す、、テーブルのうえにベットの上。。カバンの中身を出して底にある携帯を取り出す。携帯を開いてみても画面は暗いまま‥
『電源切れてるし‥』2005-08-17 18:40:00 -
205:
もしかしたら・・・
一瞬 脳裏を霞めたのは 一輝からの連絡。。
あるはずが無い事は分かっているのに期待をしてしまう自分がそこにいた。。
『春ってFOMAだっけ?』 『うん!』
幸い 同じ充電機を借り 私はすぐに電源を入れた。2005-08-17 18:41:00 -
206:
画面が光を取り戻し 私のお気に入りの待ち受けが表れると同時にメールのマークと不在着信の文字。。
少し心を弾ませ 不在のボタンを押す。
でも そこに番号だけの履歴は無かった、、
客四人からと残りは全て 唯からの電話。。2005-08-17 18:42:00 -
207:
メールを開いてみると 客からの食事の誘いと残りは唯。。【連絡下さい】【電話下さい】同じようなメールが何件も‥。
急いで かけてみる。
プルルッッ━・・
『もしもしチーママ?』
呼び出しと同時に出た唯。『もしもし!?どしたん?』2005-08-17 18:43:00 -
208:
『いや‥昨日帰ってきてないですよね?今何処ですか?主任と何かあったんですか?!』
私に話す間を与えてもくれず 一方的に話す唯に私は少し圧倒された。
『ごめんね。心配した??今は‥はッ』
春と言いかけて やめた。2005-08-17 18:44:00 -
209:
『今は友達の所!今からそっち戻るから‥』
春の所と言わなかったのは自分が最低な事してると自覚しているから。。言わなかったワケではなく 言えなかった。軽蔑される事が恐くて・・・
『春、帰るね。。』2005-08-17 18:44:00 -
210:
『えっ?!ご飯でも食べに行こうと思ったのに‥』
『ごめんね。仕事あるし・・・』
カバンに荷物を詰めながらあまり春の顔を見ないように話した。
『じゃ同伴するゎ!!それやったら飯行けるやろ?!』ニコニコしながら話す春‥2005-08-17 18:45:00 -
211:
『そんなんお金勿体ないからィイゎ…』
『別にいいやん!瞳の働いてる所や働いてる姿見たいし。。』
『でも‥』
『来られて困るような事あるん??』
困るような事はない・・・でも‥。。2005-08-17 18:46:00 -
212:
『分かった!じゃ、ちょっと時間遅らして貰うゎ!!』『ありがと!何着ていこかなぁぁ‥』
クローゼットの服を見ながら呟く春は とても可愛かった。
ジーパンにチノパン‥Tシャツにジャケット。。
鏡の前で何度も合わす春。2005-08-17 18:47:00 -
213:
『んー何か微妙‥』
『こっちのがィイかなぁ』何度も着替えてはブツブツ言いながら鏡の前で一人 ファッションショーをしている。
『ごめん。瞳‥いい?』
『うん!』2005-08-17 18:48:00 -
214:
何十分ものファッションショーの結果 最終的に 辿り着いたのは【夢を売る仕事】の象徴…
『今からは春が客やのに、どう見ても私が客やん!!』スーツ姿の男と並んで歩けば私がどれだけ正装しても明らかに私が【客】2005-08-17 18:49:00 -
215:
『そうかなぁ‥カップルに見えん?!(笑)』
スーツの襟を立て 髪の毛を手グシでセットしながら鏡越しに私を見ながら言う『見えないよ!!(笑)』
客にメールの返事を返しながら 答える。
『じゃ行こうかぁ!』2005-08-17 18:50:00 -
216:
私のカバンを持ち 部屋の明かりを消す。
『一回家寄っていい?服着替えたいから』
タクシーを止めて 自宅へと向かう。
タクシーの中でも手を繋ぎ周りから見れば 幸せなカップルそのものだろう‥2005-08-17 18:51:00 -
217:
肩に寄り添い手をキツク握り締める。。
一輝が帰ってくることはない家・・・
でも【もしかしたら‥】が頭から離れない。。
『どうする?上がる??』タクシーで待たせるのも悪いと思い 一応聞いてみる2005-08-17 18:52:00 -
218:
でも本当は・・・
『いいん?』
予想通りの返事。
『いいよ。。』
手を繋ぎエレベーターに乗る。ドアを開けると 唯が慌てた様子で仕事の用意をしていた。2005-08-17 18:52:00 -
219:
『ただいま!!』
靴を脱ぎ 春を手招きする『あっ!!おかえりなさぃ』私達 二人の姿を見ても 唯は何も反応しなかった。多分 スーツ姿の春を一輝と思ったのだろう‥
『春、座って待ってて』
春に告げたと同時に唯が 春の顔を確認して 驚いた様子で私を見た。2005-08-17 18:53:00 -
220:
『すぐ用意するから、ちょっとだけ待ってて。唯ちゃん‥今日同伴やから少し遅れるって皆に伝えといてくれる?』
『分かりました。』
春に関しては何も言わなかった。言っても同じ‥
ありのままの現状を見て そのまま好きな様に解釈してくれたらぃい。。2005-08-17 18:54:00 -
221:
急いで着替えて軽く化粧を直す、、
私がただの女の子【瞳】から【チーママ瞳】に変わる瞬間。
『お待たせ‥』
『もーいいん?』
『うん。行こっか!!』2005-08-17 18:55:00 -
222:
カバンを持ち玄関で靴を履く。。
『あっ!!忘れ物‥』
半分履きかけた靴を脱ぎリビングに戻る春を追い掛け私も靴を脱いだ。
『えっと‥唯ちゃんやんな?俺覚えてるかな‥』
唯が小さく頷く、、2005-08-17 18:56:00 -
223:
『えっと‥唯ちゃんは瞳のこと好き?!』
突然の質問に唯は少しビックリした様子で私を一瞬 見た。
『はい。好きですよ。』
その言葉に素直に喜んでる自分がいた。。
『俺も瞳のこと好き‥一輝さんと同じ事は出来ないし同じ愛し方も出来ない。でも俺は俺なりに瞳の事考えてるから‥。』2005-08-17 18:58:00 -
224:
ん・・・何この空気‥
みんなが目と目を合わす。『えー。。以上‥春斗の今の気持ちでした。。』
━━━━・・・
『ハハハっ‥何それ‥』
私が笑うとみんな笑いだした。。2005-08-17 18:59:00 -
225:
『いや‥なんかさっ・・・あれやん!!分かるやんなっ?俺が言いたい事‥!?』
同意を求めるように春が唯の方を見る。
さっきまで硬い表情だった唯の顔は崩れ笑顔に満ちていた。。
『はい。分かりましたっ‥チーママの事、宜しくお願いしますっ!!(笑)』
ペコリと頭を下げ 私の方を見てニッコリと笑った。2005-08-17 18:59:00 -
226:
正直 不安だった。。
一輝の事・・・
春の事・・・
【軽い女】と思われる事が嫌で 軽蔑される事が 不安で。。
でも 春のお陰で その心配は 一気に取りのぞかれた。2005-08-17 19:00:00 -
227:
『…ありがとっ‥』
『えっ?何か言うた?』
『何も言うてないょ!!もぅ早くいかな時間なくなるで!唯ちゃん、後でねっ!!』唯は 満面の笑みで私を送り出してくれた。
残る問題は二つ・・・2005-08-17 19:01:00 -
228:
この世で一番愛する人と
この世で一番憎い人の事。
何も感じてない訳じゃない。正直 辛かった‥悲しかった‥悔しかった‥
憎む相手は美香じゃない。私を裏切った一輝・・・ 我儘も言わず ひたすら ィイ人のフリを続けた。2005-08-17 19:02:00 -
229:
一輝を失わない為に 沢山我慢した。
この幸せを守る為に 色んな物を犠牲にした。
それでも 天秤にかけられた時 私は簡単に浮いてしまったんだね。。
当たり前のように一緒にいれると思っていた貴方が 急に姿を消してから 私は貴方を嫌いになろうとした。2005-08-17 19:03:00 -
230:
いっぱい いっぱい 嫌いな所を探した。
ご飯作っても 残すし、服は脱いだら脱ぎっぱなし‥亭主関白で お殿様。。
浮気はするし 隠そうともしてくれないし最低!!
でも やっぱり嫌いになんてなれない。。2005-08-17 19:04:00 -
231:
思い出すのはィイ事ばかりで 楽しかった事ばかり。
初めて作った料理‥
一輝の大好きなハンバーグは焦げて真っ黒だった。 でも『おいしい!』って全部食べてくれたよね。
一緒に出かけた時 服の裾を持って歩く私を見兼ねて手を繋いでくれたよね。
『愛してる』と言って 私に指輪をくれたよね。2005-08-17 19:05:00 -
232:
ミカに秘密がばれた時‥
『店辞めてもいいから』と言って私を守ってくれようとしたよね。
思い出す事は楽しい事なのに涙が出そうになる‥。
まだまだ 好き。日に日に強くなる愛情。
一輝 最後でいいから… 会いたい━・・・2005-08-17 19:06:00 -
233:
『―‥っ・・瞳?!』
『えっ?!何?ごめん。。』『この店あんまりやった?!口にあわへん?!』
春が連れてきてくれたのは少し上等な居酒屋・・・
『ん?美味しいよ!!』2005-08-17 19:13:00 -
234:
『無理してない?』
箸を置き 真剣な目をして春が言う、、
『してないよ!ちょっとトリップしてた‥(笑)』
私はいつでも一輝の事が 頭から離れない。
思い出はすごく鮮明‥ 少し気を抜けば 頭の中は一輝一色に染められてしまうぐらい。2005-08-17 19:14:00 -
235:
『瞳これも美味しいで!!』春が取り皿に取り分けてくれる。
『ごめん。気利かなくて‥春は優しいねっ。』
しみじみと言った…。
というより しみじみ実感した。2005-08-17 19:15:00 -
236:
車に乗るときはドアを開けてくれ‥
道を歩くときは必ず車道側が春。さり気なくエスコートしてくれて自分のカバンすら手にはない。
食事中も一品来るたび 取り分けてくれて飲み物が 残りわずかになれば 次の飲み物を聞いてくれる。
すごく大切にされてるのに嬉しいのに‥心地よくは なかった。2005-08-17 19:16:00 -
237:
『そろそろ行こっかっ!!』小さく頷くと すぐさま私のカバンに手が伸びる。
『いいよ、、自分で持つから‥』
カバンを引っ張るようにして春の手から自分の手に奪い返した。
『何で…?!気使ってるん??まぁィイや!いこ!!』そう言うとすぐに私の手を握り出口へと向かった。
『ちょっ!!春?お金払ってないし‥』2005-08-17 19:18:00 -
238:
春の手を振り払って財布を出す。。
『もぅ払ったよ?!』
ニコニコしながら春が答える。
『えっ?!いつ??』
『瞳がトイレ行ってる時にちゃんと払ったよ!瞳おるのに食い逃げなんかせんって!!(笑)』2005-08-17 19:19:00 -
239:
グイグイ私の腕を引っ張る彼を【紳士】だと思った事は間違いない。。
『春、ご馳走様‥』
『いえいえ。ごめんなっ!しょうもない店で‥』
私は首を横に思い切り振った。2005-08-17 19:21:00 -
240:
『瞳の店ってどんなんやろ…。』
『何か緊張してきてんけど‥。。』
店へ向かうタクシーの中、春はずっとそんな事ばかり言っていた。
でも私も同じ気持ち…
店に近ずくにつれて 私の心臓は早くなり手は汗ばんでいる。2005-08-17 19:22:00 -
241:
私が一輝に捨てられた事はきっとスタッフ全員が知ってるはず・・・
誰より負けたくなかった相手に負けた私のプライドはこれ以上崩れようがない程粉々に崩れ落ちていた。
『ここでいいです。』
運転手に告げ タクシーから降りてビルを見上げた。『ここ?』
頷き 春の手を引っ張りエレベーターに乗り込む。2005-08-17 19:23:00 -
242:
女としては負けた私‥
仕事では もう負けれない!!
私の中に残る小さなプライドを支えてくれるのは【チーママ】という肩書きだけ。ただそれだけ・・・
『先、入って‥』2005-08-17 19:24:00 -
243:
春が黒色の扉を手前に引く『いらっしゃいませ』
女の子が普段の話声より半オクターブ上げた声で春を迎え入れる。
後ろをついて入る私‥
━━━━!!━━━━━…みんなの視線が集中する中一際 私に視線を向けた人間と目が合った、、
『いらっしゃいませぇ〜初めましてじゃないですよねぇ?!』2005-08-17 19:25:00 -
244:
名刺片手に 春の席に図々しく座る。
『お久しぶりです‥』
春の方が頭を下げて挨拶をした。
『春、ちょっとだけ待っててね。焼酎でいい?』
私は彼女の存在を無視してカバンを置きに向かった。『祐貴!!』2005-08-17 19:25:00 -
245:
祐貴とは店の中で一番仲のいいボーイ。
『はい?!』
ニコニコしながら寄ってくる。年は一つ上。オープンからの仲でチーママになるまでは彼に頼りっぱなしだった。今となれば錯覚かどうかさえ分からないけれど恋をしなかったと言えば嘘になる。。
でも 私がチーママになってからは お互い距離を保つようになった。2005-08-17 19:26:00 -
246:
女の子とボーイの恋愛は絶対に禁止・・・
その言葉でもみ消せる程度の気持ちだった。
今でも思う…。
一輝ではない誰かと一輝と出会う前に恋愛をしていたら・・・こんなに苦しくはなかったかも知れない。2005-08-17 19:28:00 -
247:
『あそこ‥ハウスの焼酎出して、ヘルプ唯つけて!』
春の席を指差しながら言うと ニコニコしながら祐貴は親指を立てて 首を傾けた。。
『違う!!そんなんじゃない‥もぉ!そんなんいいから早く仕事しぃ!!』
『ええ男やん。頑張れ!』
ポンポンと私の肩を叩きながら奥に向かおうとした 祐貴のスーツの裾を思いっきり引っ張り足を止めさせた。。2005-08-17 19:30:00 -
248:
『ん?!』
ボーイなら知ってるはず‥
『知らないの?私の彼氏は今のミカの彼氏‥だからミカはつけないでね!!』
にっこり 満面の笑みで告げ私は春の席に戻った。2005-08-17 19:31:00 -
249:
『春、ごめんね。お待たせ…隣失礼してもいいですか?!』
『どうぞっ!!』
脱いでいたスーツを退けて手招きをする春。
『すいません!これ、かけといて!!』
春の手にあった上着を大切そうに預かりボーイに渡す『何か瞳じゃないみたいやなぁ・・・変な感じ。。』2005-08-17 19:32:00 -
250:
小声で呟くように言った春
それは私だって同じ‥
今 隣にいる春と店での春は同じ人間なのに まるで違う人のよう・・・
キラキラしたネオンが輝く繁華街も 昼間見れば ただのビジネス街。2005-08-17 19:33:00