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貴方の隣

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  • 1:

    今貴方は、隣に居ない。

    2006-01-26 22:36:00
  • 2:

    あんたの隣に居るのは、ずっと私やと思っていた。
    お婆ちゃんになっても、ドラマの様なほのぼのした雰囲気は無くても。
    あんたの隣は、私の指定席やと思ってたよ。

    2006-01-26 22:38:00
  • 3:

    地元の仲良いみんなで遊んでいた時に知り合ったのがあんたやった。
    第一印象は、老けてる。
    それしか思ってなかった。あんたは女慣れしてないのが、丸分かりやった。
    絶対好きになるタイプじゃない。そう思った。

    2006-01-26 22:41:00
  • 4:

    あんたの事で、初めて知った事は名前。友達があんたの事を『しん』と呼んでいた。
    あんたに名前すら聞く気も無かったし、あんたもきっとそうやったと思う。

    2006-01-26 22:44:00
  • 5:

    恋愛するには、駆け引きと偽りが必要。
    本気になったら負け。
    いつからか、こう思うのが私の中では当たり前になっていた。
    「冷めてるよな。」
    そんな風に、他人から言われるのにも慣れていた。

    2006-01-26 22:47:00
  • 6:

    今まで、私が知り合ってきた男達は、最初だけ。
    最初だけ、優しい・・・。

    2006-01-26 22:48:00
  • 7:

    シンは、私と喋ってくれなかった。避けられていた。今思えば、あんたの、照れ隠しやったと思える。
    この日、みんなで飲みに行く事になった。
    シンはお酒を飲むと、人が変わった様に、色んな話をしてくれた。

    2006-01-26 22:53:00
  • 8:

    シンと話をしていると、楽しかった。別に好きなんて感情は無く、単純に良い子やなと思った。

    「お前と初めて会った時、この女めっちゃふてこいって思っててん。」
    シンにそう言われたこの瞬間は、すごく近くに居た。この時の私は、あんたしか居ないと思っていた。
    あんたも、これからもずっと二人で、並んで歩いていこうとしてくれていたって信じたい・・・。

    2006-01-26 23:25:00
  • 9:

    シンと仲良くなっても、携帯の番号なんかは、交換しなかった。知りたいっていう気持ちがなかったんじゃない。何故か、軽々しく、聞けなかった。

    自分からは聞かないという変なプライドも、あった。

    あんたも、私と同じ考えやったな・・・。どこまで似てるんかな。

    2006-01-26 23:32:00
  • 10:

    今日も、遊んでいる最中に溜息を吐く。
    「どうしたん?」
    心配そうに聞いてくる友達に、愛想笑いをしながら、「何もないよ。」と、一言返した。

    あんたから何かしらの方法で、連絡して来てくれたらいいのに。そう、思っていた。ずっとシンの事を考えている・・・。好きにならない。なりたくないのに。あんたの事を、考えていた。

    2006-01-26 23:39:00
  • 11:

    ブルルルル・・・。
    携帯が、机の上でうるさい音をたてながら、動いた。自分の携帯が鳴ったのではない事にすぐ、気付いた。「もしもし?」
    友達が、電話を取り、声を発したからだった。

    私は、そんな友達の横顔を見ながら、また、大きく溜息をついた・・・。

    2006-01-26 23:48:00
  • 12:

    右から左に流しながら、話し声を聞いていた。会話の内容から判断して、電話の相手は、地元のあいつだと分かった。
    シンと一番仲良い奴。

    「シン君といるんや。」
    友達がそう言った瞬間、私は心臓がドキドキした。しかし、それを表情に出す訳でも無く、平然とした顔をした。

    2006-01-26 23:54:00
  • 13:

    「ちょっと待ってよ。」
    そう言いながら、友達が私に電話を渡してくる。
    地元の子だから、私も話す事は普通だった。
    他愛も無い会話をして、違和感なく、話が終わりに近付いてくる・・・。
    「シン君のアドレス教えてくれへん?」私の口元が、はっきりとした口調で、勝手に動いた。

    2006-01-27 00:01:00
  • 14:

    言ったあと。ほんの30秒ぐらいやったのに、色んな事が、頭を駆け巡った。

    断られたら、どうしよう。教えてもらえても、嫌々やったら・・・。

    2006-01-27 00:23:00
  • 15:

    あんたは、その時、勝った様な気持ちになってたんかな?今なら、心の中で勝ったと思っているあんたが手に取る様に分かる。負けず嫌いのあんたやから・・・。

    シンの声が、受話器の後ろ側で、聞こえた。
    「いいよ。」

    2006-01-27 00:27:00
  • 16:

    その日から、連絡を取る様になった。
    連絡先を聞いたのは、私だった筈なのに、毎日の様にシンからメールが届いた。分かり易いシンだから、鈍感な私でも、すぐにシンの気持ちに気付いた。
    追われると逃げてしまう。天の邪鬼な私は、あまりメールを返さなくなった。
    それでも、シンは懲りずにたくさんメールくれたね。

    2006-01-27 00:34:00
  • 17:

    ありがとう。あの時。あんたが、私をすぐに諦めていたら、人を愛する事も、自分の弱さも知らないままやったと思うんよ・・・。だからありがとう。


    メールを送り続けてくれるシンに対して、段々と、愛しい気持ちが生まれた。
    私は、心から人を愛する事ができなかった筈なのに、純粋で、綺麗な心に、惚れていた。

    2006-01-27 00:39:00
  • 18:

    シンと会う時は、二人じゃなかった。みんなで居た。その方が心地良かった。
    二人で会ってしまうと、付き合うという話も、でてくるだろう。私は、それを避けたかった。
    出会いもあれば、別れもある。シンを手放したくなかった・・・。
    そんな私に、シンは、優しく言ってくれた。
    「待つで。」

    2006-01-27 15:44:00
  • 19:

    何の変化も無く、月日が過ぎるだけ。周りは、私に決まってこう言ってくる。
    「はっきりしたれ。」

    はっきりしたい。でも、はっきり決断をした後の未来は、どうなる?
    もし、別れてしまったらどうなるの?シンが、居なくなるなんて、考えられなかった。私は、曖昧な態度ですごく、あんたを傷つけていたよね?

    2006-01-27 15:49:00
  • 20:

    シンと、一番仲良い奴がこう言ってきた。
    「あいつ告られてたで。」焦りか、なんなのか分からないけれど、心臓が痛くなった・・・。


    離れないで。ずっと二人で居たいの。分かって。他の女と、付き合わないで。

    2006-01-27 15:53:00
  • 21:

    電話をかけている私が、部屋に居た。微かに、手が震えている。
    「もしもし。」
    シンの、優しい声を聞いて安心した。
    「付き合ってほしい。」
    冬。1月に、私とあんたは恋人になったよね。あんたには、言わなかったけど、本当に、嬉しかった。あんたを想うと、切なかった。

    2006-01-27 15:58:00
  • 22:

    付き合ってから、変わった事があった。あんたの隣には、絶対に私が座る。違和感なんて、無かった。周りにも、ごく自然に溶け込んだ。
    「お前な。ちゃんと、食えや。」
    お前って、言ってくる様になった。あんたの一言で、元気が出たし、仕事も頑張れた。それに対して、落ち込んだり、胸が痛くなる事も、たくさんあったけど。

    2006-01-27 16:05:00
  • 23:

    それなりに、喧嘩もした。我儘言ったりして、困らせたりもした。シンは、私の全てだった・・・。


    「俺に、遠慮とか、恥ずかしいとか、いらんやろ?付き合ってるねんから。お前は、俺に全部見せたらいいねん。」
    そう言ってくれた、あんたのこの言葉が、今でも頭に残ってるねん・・・。

    2006-01-27 16:10:00
  • 24:

    あんたも、私も、まだ若かったから。単純に、付き合って、結婚して・・・。子供やから、そんな理想も持てたんやと思う。

    シンから、毎日来ていたメールが、こなくなった。
    恋人になって、二度目の冬を越えた春やった。

    2006-01-27 16:14:00
  • 25:

    別れた。別れたくなんかなかった。愛していた。大袈裟なんかじゃない。男の事で、泣いた事無かった私やのに。
    あんたの前で、初めて泣いた・・・。あんたの、あんなに困っていた顔。忘れられへん。

    「友達と、遊ぶ時間が無いから。」
    別れの理由をこう言った。シン。私は、そんなにあほじゃないよ。飽きた事ぐらい、分かってた。あんたの隣に居たのは、私やで。あんたの、性格を見てきたのも、私やで。

    2006-01-27 16:21:00
  • 26:

    「せめて、友達で。」
    私のお願いやった・・・。シンは、快く、受け入れてくれた。でも、連絡を取らない。別れたんだから、それが普通かもしれない。
    その普通が耐えられなかった。
    「あんたは、私の事なんかどうでもいいねんやろ?」「そんなん思ってへん。でも、お前の事は、今は考えられへん。ごめんな。」
    ごめんな。そんな言葉は、いらんかった・・・。必要なかった。

    2006-01-27 16:27:00
  • 27:

    たまに、電話をしても、シンの態度は、素っ気ない。あんなに、愛してくれていた事が、夢みたいだった。受話器の後ろから、何人かの、女の声が、聞こえた。聞きたくない。


    シンは、焦った様に、急いで電話を切る。その度に、傷付く。苦しい。私が、苦しんでも、あんたにしたらただ迷惑なだけ。
    私が、辛い気持ちになっても、あんたは、遊んでる。人の心変わりが早い事に、少し、失望した・・・。

    2006-01-27 16:33:00
  • 28:

    シンが隣に居なくなって、夜の過ごし方を、忘れた。友達と、キャバクラに勤めだした。やけくそだった。

    やっぱり。男なんか、みんな同じ。周りから見たら、悲しい女だった。
    別れてから、体重がどんどん減る。
    気にしないふりをした。逃げたと言った方が、私に、ぴったりと、当てはまる。

    2006-01-27 16:38:00
  • 29:

    「彼氏は、できた?」
    そう、聞いてくるお客様。「できてないよ。何回も、言わさんといて。」
    少し、笑って冷えたグラスにお酒を足しながら、答える。
    どこかの、ヒーローがいつも言っている決め台詞と同じ様な、感覚だ。
    シン以上が、現われないまま。だらだら仕事を、続けていた。現われないんじゃない。求めなかっただけ。

    2006-01-27 16:43:00
  • 30:

    いつの間にか、NO1だった舞さんを、追い抜かし、NO1になっていた。
    どんなに、冷めた人間でもこんな時は、喜ぶのかな。私は、ナンバーなんて興味が無かった。
    あんたが居ないなら・・・。あんたの隣が、私じゃないなら、幸せと思える事が、何も無い程。私は、幸せじゃない。

    2006-01-27 16:49:00
  • 31:

    仕事が、終わるのは朝方。ふと携帯を見ると、シンからの着信。出る事ができない・・・。頭が、真っ白になった。

    家に着いてから、掛けなおす。また、この時も、手が震えた。
    「どうしたん?」
    冷たく言った。あんたの事なんか、とっくに忘れている。そんな感じを見せ付けたかった。つくづく、可愛くない女だったよね。

    2006-01-27 16:55:00
  • 32:

    「何してたんかなと、思って。」
    相変わらず、素っ気ない口振りだった。今でも、素っ気ない態度に傷付く私が居た。気付かされた。

    少し話をしただけで、電話を切った。何故か、キャバクラで働いている事は、言えなかった。

    2006-01-27 16:58:00
  • 33:

    ずるい女になった・・・。
    また、あの頃の様に。
    また、笑い合えるかもしれない。期待をする。

    人間の欲。どんどん欲しがってしまう・・・。

    2006-01-27 17:01:00
  • 34:

    別れてすぐに、友達に戻れる訳ない。友達は、お互いに恋愛的好きという感情が無いから、成り立ってる。

    あんたと私の間には、それがない。私は、ずっとあんたを、忘れられてない。特別やと、思ってしまっているねん・・・。だから、これは見せ掛けの、友情。あんたに、友情なんか求めてなかった。

    2006-01-27 20:00:00
  • 35:




    「お前が、隣におるのが一番落ち着くねん。」

    2006-01-27 20:02:00
  • 36:

    そう、言ってくれていた。私も、普通に聞いていた。

    あんたの横に居る、その女は誰なん?

    偶然、見掛けたあんたの隣に居たのは、私じゃなかった・・・。

    2006-01-27 20:04:00
  • 37:

    地元が近いと、すぐ会えるからいいよな。

    微笑み合いながら、話していた事を、思い出す・・・。でも、別れてから、こんな景色を見るのは、辛いよ。

    彼女が、居るなら。なんで電話してきたん?教えて。

    2006-01-27 20:07:00
  • 38:

    噂は、聞いていたよ。女遊びしてるって。私が知っているシンは、もうおらんようになったって思ったら、悲しくなった。

    別れてから、4ヵ月・・・。

    もうあんたの事は、忘れようと決意した。

    2006-01-27 20:11:00
  • 39:

    夜の仕事を、本格的にしだしていた。仕事しか、頑張る所が無かった。毎月入ってくる、沢山のお金。使い道が分からなくて、無駄遣いをした。
    シンの事も、忘れかけていた・・・。何もかもを、過去にした。
    人は、辛かった事を乗り越えて。思い出にしていくんかな、とか考えたり。

    2006-01-27 20:17:00
  • 40:

    12月が、近付き、仕事が忙しくなる。
    着信が鳴った。お客様がほとんど鳴らす、この携帯。

    寝起きの私は、電話に出る元気も無く、二日酔いと戦いながら、顔を洗いに行った。
    部屋に戻り、ディスプレイを見て、驚いた。シンだった・・・。

    2006-01-27 20:21:00
  • 41:



    少し考えながら、電話を掛けなおしていた・・・。
    「はい。」
    久しぶりに聞いたあんたの声は、少し寒くなる程に、冷たくて。泣きそうになった。

    2006-01-27 20:24:00
  • 42:

    「お前な、キャバクラで働いてるやろ?今すぐ辞めろや。分かったな?」

    誰から、聞いたんやろ。
    私の、精一杯の強がりの言葉・・・。
    「あんたには、関係ないやろ。」

    2006-01-27 20:28:00
  • 43:

    本当は、嬉しかった。私の事を、少しでも気にして、こうやって電話してくれたんやと思ったら、嬉しかった。
    「お前は、もっと素直にならなあかん。」
    付き合っていた時に、シンに言われた事。
    今、素直になったら、シンが困るから。強がらせて。

    2006-01-27 20:32:00
  • 44:

    「分かった。好きにしろ。」
    突き放す、シンの言葉に、か細い声しか、出せなかった。

    こんなに、臆病になったのは、あんたを好きになってから・・・。こんなに、弱い女になったのは、あんたと出会ってから。
    それやのに。なんであんたの隣に、居ないんやろ。

    2006-01-27 22:20:00
  • 45:

    電話を切ろうとする、シンの言葉を、引き止める事なんか、できなかった。
    その日は、仕事行く気にならなくて。体が何故か、だるかった。あんたの一言でいちいち暗くなったり、落ち込んだりしたくないのに・・・。


    家で、一人。シンと見に行った、映画のDVDを見た。

    2006-01-27 22:25:00
  • 46:

    シンが、見に行くのを、嫌がっていた、恋愛物映画。無理矢理、連れ出して行った。手を繋ぎながら。
    デートって言えるデート。いつもは、みんなで飲みに行ったり、カラオケだったから。
    嬉しかった。楽しかった。

    2006-01-27 22:28:00
  • 47:

    何ヵ月か経った。相変わらず、夜の仕事を続けていた私。
    シンと、一番仲良い奴から電話があった。
    「飲んでるから来いや。たまには、顔ぐらい出せよ。」
    別れてから、シンと関わっている物や、人を避けて過ごしていたから・・・。こいつとも、全然会ってなかったな。軽い気持ちで、行こうと思った。
    簡単に、支度をすませて、近くの居酒屋に行った。シンと付き合っていた時も、よく飲んでいた場所。

    2006-01-27 22:36:00
  • 48:

    懐かしい気分に、浸りながら、店の中を見回す。


    「やっぱり。」
    独り言を、呟いた。シンが居た・・・。

    2006-01-27 22:38:00
  • 49:

    平静を、装った。気付かれたくない。こんなにも、未練たらしい私を・・・。
    普通に、友達の横に座る。店員さんに、お酒を注文した。シンの隣には、座れない。座らないのが、自然。

    シンは、結構酔っ払っていた。弱いくせに、たくさん飲む。変わってないな。
    「お前等が、並んでないんは、違和感があるわな。」そんな事言う、友達の言葉に、嬉しくもあり、切なくもなった・・・。

    2006-01-27 22:44:00
  • 50:

    友達の、その言葉を聞くとシンが。私の横に座った。「何ヵ月ぶりやろな。お前の隣。照れるよな。」
    シンは、思った事をすぐ口にする。
    私も、笑顔でそうやねと、言った。
    お酒を、飲んでいたから、素直になれたんかな。今頃きっと遅いのに。シンも気付いてるやろ?遅い事。
    今更、優しく笑わんといてよ。せっかく、決意した気持ちが、崩れてしまう。

    2006-01-27 22:50:00
  • 51:

    それから、何度かシンから連絡が来る様になった。私は、嬉しくもなんとも、思わなかった。あの頃のシンじゃない。私も、あの頃とは、変わった・・・。
    シンが、女遊びをしてるの知ってるよ。だから、何を言っても信じないよ。私の体が、目当てなのは、分かっていたから・・・。
    あんたは、ひどい男になってたな。

    2006-01-27 22:56:00
  • 52:


    「お前は、別れても、特別やねん。」

    その言葉だけは、信じてもいい?
    それだけは、本当であります様に・・・。

    2006-01-27 22:57:00
  • 53:

    「今から、すぐ来て。頼むわ。」
    いきなりの、シンからの電話だった。仕事中だった。でも、今すぐ上がらせて欲しいと、店長に頼んだ。付き合っていた頃に、よく二人で話をした場所に向かった。急いだ。早く行かないと・・・。それだけだった。

    場所に着くと、
    シンが居た・・・。

    2006-01-27 23:03:00
  • 54:

    あの頃と同じ、笑顔だ。
    ふぅっと、溜息を吐いた。「どうしたん?」
    「何もない。お前に、会いたかっただけ・・・。」
    会いたかったというのは、嘘だと思った。
    「やりたかったんやろ?」笑いながら言った。

    2006-01-27 23:10:00
  • 55:

    シンは、ちょっと驚いた様な顔をした後、笑った。
    この時、あんたは、びっくりしたと思う。弱かった私が、言いたい事を言ったから。あんたを驚かせたけど私は、いつもあんたの行動に、戸惑ってたんやから。それぐらい、許して。


    手を繋ぎながら、シンの家に向かった・・・。

    2006-01-27 23:15:00
  • 56:

    今まで、隣に居なかった時間を、埋める様に、沢山いろんな話をした。シンの別れてから、付き合った女の話を聞いた時は、多少胸が痛くなった・・・。でも、今隣に居るのは、私。
    あの頃と同じ様に、シンがキスをしてくれた。
    何も変わってない。少しだけ違うのは、恋人じゃない事。それだけの事。
    シンに抱かれながら、眠った・・・。

    2006-01-27 23:24:00
  • 57:

    シンより、先に起きて、簡単な朝御飯を作った。シンが、美味しいと言って食べてくれた・・・。
    別れてから、初めてあんたと、穏やかな雰囲気を取り戻せた様な気に、なった。「こんな女を、嫁にもらわなあかんやろ。」
    にこにこしながら、言った私。冗談じゃないで。
    「嫁にもらうんは、お前しかおらんな。」
    あんたは、笑いながら、冗談で、返してきた。

    2006-01-27 23:31:00
  • 58:

    冗談で、言ったんじゃないのに・・・。少しがっかりしたけど、嬉しくなった。
    二人で散歩をした。こんな時が、ずっと続けばいいのに。
    手を繋いで、仲良く。周りの人達から見たら、恋人に見えたよね。

    だから。あんたが鳴っている携帯に、出ない事も、全て、見ないふりをした。

    2006-01-27 23:37:00
  • 59:

    気にならないと、言ったら嘘やけど。あんたの横におるのは、今は、私やから。

    「俺が、落ち着いたら、付き合おか?」
    「期待せんとくな。」
    こんな話だって、できていた。幸せだった・・・。

    2006-01-27 23:47:00
  • 60:

    変わらずに、曖昧な関係が続いていた。
    「シン君、はっきりしやん子やな。そんなんで良いん?都合の良い女やん。」
    そんな友達の注意も、流していた。
    都合の良い女。それは、分かっている。でも、シンが好き。愛していた。頑固な私だから。これから、どうなるか分からないやん。そう、言い聞かせた・・・。
    期待させてよ。

    2006-01-27 23:57:00
  • 61:

    「俺、女できた。」

    地獄に、突き落とされた様な感じ。
    「そうなんや。」
    他に、適当な言葉が、見当たらなかった。

    2006-01-28 00:00:00
  • 62:

    あんたは、いつも勝手。すごい気まぐれやし。振り回されてる。
    「最後に、聞いてくれる?本間に、最後やから。」

    私は、ずっと行きたかった動物園に、連れていってほしいと、頼んだ。
    笑いながら、お前他になんかないんかよと、からかいながら、了解してくれた。

    2006-01-28 00:04:00
  • 63:

    最後のデートやな。
    「これ、絶対に神様が、二人の別れを祝福してくれてるねんで。早く、あんたより他にいい男おるって、気付けって事やろ。」
    私が、笑いながら言ったらあんたも、笑いながら私の頭を撫でた。
    「お前な、無理しすぎ。強がりすぎ。バレバレやからな。」
    昔。シンに言われたのを、思い出して、またバレたんかなと思った・・・。

    2006-01-28 00:14:00
  • 64:

    楽しかった。はしゃぎながら、手繋いで。思い出が、一つ増えた。
    帰る時間が近付くにつれて悲しくなったりした。でも最後なんやから。
    ずっと、笑っていたくて、変に、はしゃいでいた。
    「もう、会うのは、これで終わりやな。」
    シンが、突然言ったから、驚いた。聞きたくなかったのに。

    2006-01-28 00:22:00
  • 65:

    あの時。寂しそうな顔を、見せたシン。私は、表情まで演技するんかな、と思って、悲しくなった。
    「彼女。大事にしたりな。私は、大丈夫やから。強いねんから。」
    そう、言った。
    シンは、何も言わずに、またぽんぽんと、頭を叩いてきた。そんな優しさ、いらんねん・・・。
    あんたをちょうだい。

    2006-01-28 00:26:00
  • 66:

    シンが居なくても、もう、大丈夫やった。
    友達は、シンの事には触れてこなかった。だから、シンの噂も、聞かない。そっちの方が良かった。彼女の話を聞いたりしたら、多少なりとも、気が滅入ってしまうから・・・。

    時間が過ぎるのは、早かった。夜の仕事を、始めてから、仲の良いメンバーで、集まる事も無くなった。
    久しぶりに、飲もうという話になったから、行った。シンが、来ないと言うから行った。

    2006-01-28 00:36:00
  • 67:

    みんな、結構飲むペースが早くて、酔っ払っていた。酔っ払うと、語り出す奴が話し始めた。
    「お前とシンは、絶対に、また戻れるから。な?だから、今の男とは、別れろ。な?」
    笑って、聞いていた・・・。この時、付き合っている人が居た。安心させてくれる人やった。シンとは、タイプが、全く違う人。

    「いやいや。本間やで。シンは、お前の為に、親に、頭下げて、実家戻って、見習いしてるんやんけ。」

    2006-01-28 00:46:00
  • 68:

    時が止まった。みんなは、それ言うなやと、言いたそうな顔をしていた。そいつも言った後で、すごく焦っていた。
    彼女は?女できたって、言ってたやん・・・。

    シンは、親の跡なんか継がへんと言っていた。だから勘当同然で家を出ていた。ずっと、現場の仕事をしていた。意味が分からなかった。

    2006-01-28 00:54:00
  • 69:

    詳しく、話を聞いた。
    私と結婚する為に、実家に戻った事。それを、言うのが情けなくて、嘘をついた事。いい男になったら、戻ると、決めていた事。
    私が、ずっと待っているだろうと思っている事・・・。

    あんたあほやな。本間にあほ。何の自信なん?それなら、貫き通してよ。本間に負けず嫌いやし、自信満々な態度やし、かっこつけやんといて。あんたが、情けない男でも、愛せる。

    2006-01-28 01:01:00
  • 70:

    みんなの前で大泣きした。みんなは、あいつが悪いから、お前が、決めたらいいと、言ってくれた。


    自分が、小さく見えた。あんたの表情や、言葉や、行動を見抜けずに。彼氏を作った自分に、腹が立った。その日は、友達の家に泊まり、友達に抱きつきながら寝た。

    2006-01-28 01:07:00
  • 71:

    家に帰る途中も、考えた。安心な日々を取るか。シンを、待ち続けるか・・・。
    その人との、付き合いは、決して、軽い物じゃない。支え続けてくれたから。私は、もう大人。シンを、待っても、幸せになれるとは限らない・・・。


    暗い部屋に戻り、携帯を手に取った。

    2006-01-28 01:13:00
  • 72:

    名無しさん

    2006-01-28 03:25:00
  • 73:

    >>73名無しさん。ありがとうございます。

    2006-01-28 05:44:00
  • 74:

    「お前は、ぶつぶつ言わんと、俺の横に、おったらいいねん。」
    「駆け引きすんな。」
    「俺に、背中むけるな。」シンの言葉を、思い出し、少し笑ってしまった。
    なんで、こんなに亭主関白なんやろう。
    自己中で、勝手やな。そんな子供っぽい所も、好きやった・・・。

    2006-01-28 05:46:00
  • 75:

    シンとの、思い出を。少しずつ頭の中で、繰り返す。辛かった事も。嬉しかった事も。全部。

    プルルルル・・・。
    「はい。」
    「何が、[はい]なん?かっこつけてるつもり?話は、全部聞いたで。」

    2006-01-28 05:50:00
  • 76:

    「やかましい。知ってる。公一から、聞いた。」
    シンの声は、久しぶりだった。穏やかになっていた様な、気がした。
    なかなか、会話が続かなかった。ぎこちない感じ。初めて会った時も、こんなんやったよな。

    私は、すぅーっと小さく、深呼吸をした。

    2006-01-28 05:54:00
  • 77:

    「私な、今、付き合ってる人おる。本間の話を聞いた時、悩んだ。あんたの事、本気で好きやったから。」シンは、うん、とだけ言った。
    「でも、付き合っている人を、そう簡単には、裏切られへんねん。だから、あんたを、待たん事にした。」

    シンは、何も言わずに、溜息を、吐いた。少し時間が経ってから、こう言った。「お前な、俺が、仕事で疲れてるのに、そんなへこむ事を、わざわざ聞かせるなや。」
    シンは、笑っていた・・・。

    2006-01-28 06:01:00
  • 78:

    私は、何も言えなかった。あんたが、笑っているふりをしたから。あんたの声。震えてた・・・。
    あんたも、私と似て、強がりやから。気付かんふりしたけど、釣られて、泣きそうになった。

    2006-01-28 06:03:00
  • 79:

    「俺は、お前が幸せなら、何も言うつもりはない。でも、お前の為に、頑張る。待ってなくても、俺には、関係無いねん。長い目で、見てくれや。二年後ぐらいかな。また、会おうや。その時は、お前今の男に振られて、俺しかおらん様に、なってるわ。」

    あんたは、どこまでも、頑固やった・・・。
    私は、シンがふざけながらでも、正直に言ってくれたこの日の、会話を、一生忘れない・・・。

    2006-01-28 06:11:00
  • 80:

    名無しさん

    ぃぃですね(/∇\*)頑張ってください☆

    2006-01-28 06:52:00
  • 81:

    ――――――――――――>>81さん。
    ありがとうございます。
    また読んで下さいね。  ――――――――――――

    2006-01-28 14:00:00
  • 82:

    あんたと、電話を切った後は、いつも後悔する・・・。言いたい事を、あんたにはうまく伝えられへん。
    それで、自分の愚かさに気付く。

    何を思っても、遅い。
    あんたを、どれだけ想っても、遅すぎた。

    2006-01-28 14:05:00
  • 83:

    「別れよう。」

    シンと、出会って四年目の秋頃。私は、付き合っていた人と別れる事になった。私から、別れを切り出した訳じゃなかった。シンの言う通り、振られた。
    「お前の中の、一番は、俺じゃない。」
    そんな、理由だった。私なりに、愛していたつもりだった。でも、シンの時の様に、思い切った感情は、出せなかった・・・。

    2006-01-28 14:10:00
  • 84:

    彼にしたら、それが嫌だったのだろう。
    全ての基準が、シンになっていた。

    いつも、あんたが付き纏ってくる・・・。
    シンとは、あれ以来なんの連絡も、取り合ってはいなかった。

    2006-01-28 14:13:00
  • 85:

    毎日シンの事ばかり、考えたりは、していなかった。日々、過ぎて行くのに、毎日あんたの事ばっかり考えていない・・・。
    一度、あんたを諦めようした時に、あんたを忘れる技術を、身に付けた。
    でもな、忘れられる時は、ほんの一瞬やねん。

    2006-01-28 14:17:00
  • 86:

    飽きっぽい性格の、シン。私の事なんか忘れて、新しい女でも作っているやろうな。
    あんたは、待つタイプじゃないよ。私が、一番良く知っているから。


    こんな事を考えると、ぎゅっと、胸が締め付けられて苦しくなった・・・。

    2006-01-28 14:20:00
  • 87:

    「振られてもた・・・。」
    友達に報告をする。この子は、シンを好きになった時も、別れた時も、いつも傍に居てくれた。彼と、付き合った時も、応援してくれていた。
    シンと、よりを戻して欲しそうな事も、たまに呟いていたけど・・・。

    「失恋パーティーやな。今から、みんなに電話する。飲みまくろうな。」

    2006-01-28 14:26:00
  • 88:

    笑いながら、言ってくれたから、気が楽になった。

    その日の夜。みんなしてVIP扱いだった。
    「姫。迎えに来たぞ。」
    いつもなら、あそこまで、来てとか言うのに。笑ってしまった。

    2006-01-28 14:30:00
  • 89:

    「何笑ってるねん?笑うなや。お前振られてんで?」茶化しながら言う、みんなも、笑っていた。

    気が休まった。
    振られた事は、彼に失礼だけど、悲しくなかった。私の中には、いつもシンが居たんだと、また再確認した事が、悲しかった。
    あんたは、もう隣には、居ないのに。私の体全部、あんたでいっぱい・・・。何処におるん?何してるん?

    2006-01-28 14:35:00
  • 90:

    そんな事を考えるだけで、平凡な毎日は、過ぎていった。

    私は、夜の仕事を辞めて、パチンコ屋でコーヒーワゴンの仕事をしていた。
    その日。早番だったから、友達と遊ぶ約束をしていたので急いで着替えて、店を出た。
    シンと一番仲良い、公一の車が止まっていた。なんで居るのか分からなかったが公一も一緒に遊ぶのかな、と思っただけで済んだ。足早に車の方に行くと、公一は、私に気が付いて、窓を開けた。

    2006-01-29 20:48:00
  • 91:

    どうしたんと聞くと、公一は、連れて行きたい場所がある、と言った。
    「遊ぶ約束してるから、公一も一緒やと思ってたわ。電話しなあかん。」
    私が言うと、先言っておいたから、大丈夫やから車に乗れ、と言われた。
    疑いながら、車に、乗り込んだ。

    2006-01-29 20:54:00
  • 92:

    公一が迎えに来るなんて、滅多に無い。それより、ありえない。誕生日か振られた時か・・・。
    公一が、連れていきたいと行った場所に辿り着く迄、何かあったかなとか、考えた。
    三十分ぐらい走っているのに、止まる様子は、ない。何度聞いても、公一は、機嫌良く、鼻歌を歌っているから、イライラしていた。

    2006-01-29 20:59:00
  • 93:

    やっと、着いたらしい。周りを見ると、広場みたいな所やった。何処か聞いても公一は、笑っているだけだった。
    公一が車から降りたから、私も、後を追うように降りて、歩いた。
    白い建物に、入った。教会の様だった。公一に、告られるんちがうか、と思ったけど、そんな事は絶対が付くぐらい無いな、と考え直した。
    中を少し歩いたら、あんたがおった。
    あんたは、人を驚かせるのが、本間に好きやったよな・・・。驚かされて、たまに本気でむかついても、あんたは子供みたいにへらへら笑ってたから、許してしまっていた・・・。

    2006-01-30 00:01:00
  • 94:

    驚いて、何も言えないでいると、シンが公一にありがとうなと、言っていた。


    あんたは、付き合っていた頃から人の話あんまり聞いてなくて。私が、興奮しながら、先輩が結婚式を挙げた時の話しをしても、雑誌読みながら、相槌を打っているだけやった。
    「あそこの教会で、式挙げたらしいねん。行ってみたいな。」

    2006-01-30 00:05:00
  • 95:

    「そうなん。お前が女らしい事言ったら、きもいな。」
    そう言って、茶化した。
    覚えてたなんか、信じられへんかった。

    シンが、段々近づいてくるから。泣きそうになった。

    2006-01-30 00:09:00
  • 96:

    笑いながら言った。
    「あんた、この場所似合ってないな。」
    あんたは、やかましいわと言いながら、抱き締めてきた・・・。もう、泣くのをこらえれなかった。胸が詰まった。
    久しぶりの、ライトブルーの香りが、した。
    あんたは、この時なんも言わんかったな。でも、この時の二人に、言葉は要らんかったと思う。

    2006-01-30 00:14:00
  • 97:

    この時から、確信してん。もう、あんたの事で、悲しくなって泣く事は、無いんやろう。本気で、思った。たまには、胸を苦しくさせられても、耐えようと思った。
    あんたの愛を、沢山感じたから・・・。

    2006-01-30 00:17:00
  • 98:

    泣く私を見て、公一が、不細工な顔やなと茶化したらあんたは、言ったよな。
    「俺の未来の嫁に、なんて事言うねん。」

    二人の未来は、本間に見えていたよな・・・。少なくとも、私には、見えていた。やっぱりあんたと結婚してたまには、喧嘩もして。子供が産まれて、年とって、子供も独り立ちをして、また、あんたと、二人になって。
    確かに、見えていたよ。

    2006-01-30 00:23:00
  • 99:

    その後、いつもの居酒屋に行ったら、みんなが待ってくれていた・・・。おめでとうっていう言葉を、沢山くれた。
    「やっぱり、お前等は、隣同士やな。」

    すごく、楽しかった。嬉しかった。
    これ以上の幸せは、もう無いんかなと、思わせるぐらい。

    2006-01-30 00:28:00
  • 100:

    それから、今までの事が嘘の様にシンとは、何もかもが、うまく行った。

    二人で映画を見に行ったりご飯食べたり。ずっと、隣に居た。シンとの思い出はどんどん、増えていった。シンは、真面目になっていた。変わった。女遊びもしなくなった。あんなに、仲の悪かったお父さんとも、仲良くしていた。シンの実家にも、初めて行った。
    幸せとしか、言い表わせない。
    あんたが、あんなに仲の悪かったお父さんと、笑いながら話してるんを、横で見て、似てると、思った。それを言ったら、あんたは、あんな頑固と一緒にすんなって、言ったけど。

    2006-01-30 00:39:00
  • 101:

    頑固な所も似てるし、強い所も、似てると思った。
    弱音吐きたいのに、人前では、絶対言わない所も、似てる。

    最近、知ったけど。これ言ったら、あんたはまた、似てないって言いながら、笑うんやろうけど・・・。

    2006-01-30 01:32:00
  • 102:

    ???

    頑張って?

    2006-01-30 02:25:00
  • 103:

    名無しさん

    2006-01-30 02:32:00
  • 104:

    >>103???さん。ありがとうございます。読みにくいとは思いますが、また読んで下さいね。
    >>104さん。読んで下さって、ありがとうございます。また、感想等書いてもらえると、嬉しいです。

    2006-01-30 02:56:00
  • 105:

    シンが、一人暮らしを、始める事になった。
    一緒に、カップやお皿や、必要な物を、買いに行ったりもした。
    「お前、ちゃんと飯作りに来いよ。」
    何気ない一言だったが、ちょっとした新婚夫婦の様な感じで、嬉しかった。

    2006-01-30 03:01:00
  • 106:

    合鍵を、もらった。
    早番の時は、ご飯の用意を買って、シンの家に向かった。洗濯をして、掃除をして、ご飯の用意をして、シンの帰りを待つ。
    友達は、もう結婚したらと言っていたが、シンはやっと現場を任せられる様になって所で、まだ半人前やからと、言っていた。私も、この年で、食べさせてもらうのは、嫌だった。

    2006-01-30 03:07:00
  • 107:

    「おい。これめっちゃうまいやんけ。でも全部、お前が、好きなメニューやんな。」
    ぶつぶつ言いながら、食べてくれる。そんな所も、好きだった。
    これだけ、一緒に居れば、嫌いな所も沢山あった。
    怒ったら、すぐに別れ話を出す所。車を運転している時、音楽をころころ変える所。他の女の人を見て、綺麗やなとか言う所。テレビに、スタイルの良い外国人の女性を見た後、私を見て溜息をつく所。
    あんたには、文句ばっかり言っていたな・・・。でも、嫌いな所以上に、好きな所の方が多かった。

    2006-01-30 03:18:00
  • 108:

    人として、尊敬できる所もいっぱいあったよ。あんたには、言わなかったな。



    全部やねん。あんたの全部を、覚えてる・・・。

    2006-01-30 03:20:00
  • 109:

    シンが、出張に行く事が増えた。でも、出張先から、連絡をくれたし、寂しくなかった。
    「お前を一人にさせ過ぎたから、寂しい思いは、もうさせへん。」
    言ってくれた通りやった。友達に、父親の話はした事があったが、彼氏と言う存在で父親の話をしたのは、シンだけだった。
    父親の話をした時、いつもなら、ちょけるあんたも、黙って聞いてくれた・・・。

    2006-01-30 03:26:00
  • 110:

    私は、母子家庭だ。
    今では、母子家庭が多い。母子家庭を、可哀想だなんて、思わない。他にも、もっと辛い経験をしている子だって居るのだから。
    それに、要らない父親という、例もある。私の家が、それだ。
    父親は、酒、暴力、博打、借金。最悪な人だったらしい。父親の顔を、見た事は無いが、決して父親らしくないのは、分かる。

    2006-01-30 03:31:00
  • 111:

    小さい時から、居ないのだから、私には、ごく普通の事だった。
    でも、友達がお父さんに、買ってもらったとか、何処かに、連れていってもらったとか、話を聞くと、悲しくなった。
    女手一つで、育ててくれた母に、感謝している。

    でも、やっぱり、ちょっとだけ寂しかったと、あんたに言ったら、抱き締めてくれたな・・・。

    2006-01-30 03:36:00
  • 112:

    あんたが、居なくて、寂しいよ。
    寂しい思いさせへん。
    そう、言ったのに・・・。

    2006-01-30 03:38:00
  • 113:

    シンは、この日も出張だった。私は、休みで、シンの家に、一人で居た。
    日が変わったら、二人が出会ってから、四年目になる日やった・・・。

    「一緒におられへんくて、ごめんな。良い土産あるから、期待しとけよ。寂しくて、泣くなよ。」
    笑いながら、いつもの様にして、見送った。

    2006-01-30 03:50:00
  • 114:

    その日は、自分でも、なんでそんな事したのか分からないけど、シンとの写真をずっと、見ていた。
    USJに行きたいと、付き合い始めた頃に、言っていた私。初めては、全部あんたが良かった。別れてあんたが、女遊びをした。その後USJ行きたいって言ったら行った事あるって言った。私は、スネて、もう行かんと言った。
    あんたは、また、付き合いだした時に、ディズニーランドに連れて行ってくれたな。
    二人とも、あほみたいな顔して写っている写真。楽しかったから、また行こう、と約束をした。

    2006-01-30 14:23:00
  • 115:

    ボーリングに、みんなで行った時の写真。
    その後、ビリヤードが、下手なあんたが、座ってみんながしている所を、見ている写真。
    その隣には、私が必ず、一緒に写っていた。

    2006-01-30 14:25:00
  • 116:

    写真見ていたら、涙が出てきた。色々あったな。
    長かったけど、本当に幸せやで・・・。


    私の携帯が、静かな雰囲気を妨げる様に、大きな音を立て、鳴った。

    2006-01-30 14:30:00
  • 117:

    名無しさん

    おもUろLIッッ?

    2006-01-30 16:06:00
  • 118:

    >>119さん。ありがとうございます。また、読んで下さいね。

    2006-01-30 23:28:00
  • 119:

    名無しさん

    、多い

    2006-01-30 23:32:00
  • 120:

    画面を見ると、シンのお母さんやった。電話が掛かって来る事は、しょっちゅうあった。何も、考えずに、電話を受けた。


    「シンが、事故で・・・!今すぐ、迎えに行くから家おって!」
    この時の事、あんまり覚えてない。体が震えて、ぼーっと待ってたと思う。息をするのも、忘れそうになった・・・。

    2006-01-30 23:35:00
  • 121:

    >>121さん。すいません。減らします。また読んで下さい。

    2006-01-30 23:36:00
  • 122:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2006-01-30 23:52:00
  • 123:

    >>124さん。ありがとうございます。また、読んで下さいね。

    2006-01-31 00:10:00
  • 124:

    シンのお母さんがインターホンを鳴らさずに、ドンドンと、私の名前を呼びながらドアを叩いていた。
    私はそれにハッと気付く。熱く、苦しかった胸を抑えながらドアを開けた。


    お母さんは、泣きそうな顔をしていた。

    2006-01-31 00:14:00
  • 125:

    車で出張先の近くの病院に行った。鉄筋が、頭に落ちてきたらしい。頭が回らなくて、ぼんやり聞いていたしシンのお母さんも、焦りからか何を話しているか分からなかった・・・。
    シンのお母さんの手は、震えていた。

    「俺な、一回おかんしばいた事あるねん。おかん泣いてんやん。おかんだけは、泣かしたらあかんと思ったわ。お前も、おかんは大事にしろよ。」
    私が母と喧嘩をした時に言われた言葉だった。

    2006-01-31 00:21:00
  • 126:

    車の窓に映る景色が、ころころ変わって行くのを見ていた。


    病院に着いた。シンは、集中治療室に、居た。
    生きてた・・・。そう思ったら力が抜けて、座り込んだと同時に涙が、落ちた。

    2006-01-31 00:25:00
  • 127:

    どれぐらい、時間が経ったのか・・・。
    シンのお父さんもお母さんも、疲れ切った顔。
    病院の先生が、出て来て二人を呼んだ。
    シンのお母さんが、ここで待っててと言った。
    コツコツ鳴る足音を聞きながら、二人の後ろ姿を見送った・・・。

    2006-01-31 16:31:00
  • 128:

    シンの名前を呼んでいた。ずっと、呼んでいた。

    二人は、険しい顔をして、ロビーに戻って来た。
    「今日は、一回家に帰ろうか。おばちゃん送るわ。明日また来たってくれる?」何も聞けなかった。
    頷いて、その日は家に帰った。

    2006-01-31 16:37:00
  • 129:

    家に着くと、母が心配そうな顔をして出てきた・・・。シンのお母さんが、連絡をしていたのだろう。母とシンのお母さんが、少し会話を交わしていた。
    会話の内容は、耳に入ってこなかった。
    母が、大丈夫と言いながら私を抱き締めた。
    安心したからか、緊張が解けたからか、大泣きをしていた。ひきつけを起こすぐらい。小さい子供に、戻ったみたいに。

    2006-01-31 16:42:00
  • 130:

    泣き疲れて、いつの間にか眠っていた。朝になって、起きた。夢じゃなかった。

    シンのお母さんが迎えに来た。今日は、母も一緒だった。
    この三人で、買い物に行った事があったよね。
    シンは、最強なメンバーやなって笑っていた・・・。

    2006-01-31 16:47:00
  • 131:

    病院には、シンのお父さんが居た。寝ていないのか、泣いたのか。目がすごく、赤かった。

    シンのお母さんが、優しく話掛けてくる。
    「シン、この三日が山場らしい。病院に居たいなら、おばちゃんが先生に許可取っておくよ。どうする?」優しい声。
    居させて下さいと言った・・・。

    2006-01-31 16:55:00
  • 132:

    シンのお母さんは公一達にも、連絡していた。公一が病院に来たが、どちらも、話をできなかった。


    あんたは、人を驚かせるのが好きやった。でも、こんなんやめてよ・・・。

    2006-01-31 16:59:00
  • 133:

    病院で、寝ていた。
    夢に、シンが出て来た。
    笑っていた。
    シンが、歩いて行く。追い掛けても、追い掛けても。掴めなかった・・・。
    ざわざわしているのと、この夢の恐さが入り混じって目が、覚めた。

    2006-01-31 17:04:00
  • 134:

    名無しさん

    あげます?

    2006-01-31 23:43:00
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