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1:
清香 ◆9S90eh5OEw
静まりかえった無機質な部屋。仕事を終えて帰宅した私を待つものはいない。ただガラステーブルにおいてある、メモ用紙だけが 私たちを繋ぐ糸。『いってきます。朝飯いらないよ』
2006-01-25 04:26:00 -
11:
清香 ◆9S90eh5OEw
夜の街はとても華やかだ。キーを抜きながら、一瞬ひきよせられそうになる。今からこのまちは活動しはじめ、朝にはねむりにつく。彼はこの空間にとけこんでいるのだろうか?
私は、彰との待ち合わせ場所へと足をはこんだ。間接照明などで綺麗にセットされた すこし暗い個室へ案内される。 昔からのお気に入り。かわいい雰囲気で 店長とも馴染みになっている。『んーパスタ?』彼は独り言みたいにメニューをペラペラめくる。今日はどうしたの? 昔はそうやって報告しあうのが カップルだと 当たり前ではないかと、思っていた。今はただ 事実を受け入れる。経過より、結果だけ。2006-01-26 08:01:00 -
12:
清香 ◆9S90eh5OEw
『おまたせいたしました』パスタと ビーフソースの焼き飯が 目の前に運ばれる。 食欲がわかない。 『どしたん…?』少し食べながら上目使いで私を見る。クリクリとした目にパーマのかかった髪はカラーのしすぎで痛んでいる。小麦色の肌はいつのまにか 白くなっていた。『体、きつくない?』逆に私が質問をした。『ん。平気』目も合わせずに答える。 たわいもない会話なんて 本当にはらただしくなるだけだし、 黙々と胃に詰め込んだ。
2006-01-26 08:08:00 -
13:
清香 ◆9S90eh5OEw
その夜、久しぶりに彰にみをまかせた。
『あきら…』
か細くてゴツゴツした手が私の体を這う。愛しい彼の手を振り払い、泣いて見せようかと思った事は何度もある。できないのは 弱さのせいかもしれない。『清香?いきそう…』いつもは自分をみせない彼だけど本能にまみれた彼を見れるのはセックスの時だけ。だからかもしれない。なにより私は彼とのセックスに意味を持とうとする。果てた彼は私の上に倒れ、肩で息をする。髪を撫でれば 懐かしいにおいがした。まだ何もしらなくて、無邪気にあきらを好きだと言えた時の 甘いにおい2006-01-26 08:16:00 -
14:
清香 ◆9S90eh5OEw
『さやかは、彰くんと上手くいってる?』マクドで友達と話をしながらお互いの彼氏について はなしていた。 『うん!だってまだ付き合いたてゃん(笑)』『はいはい。』
聞き飽きたといわんばかりに てのひらをヒラヒラする。 当時、彼のメールアドレスを教えてもらい、メールしたのは私の方からだった。『学校でいつもみかけてて、友達になりたいと思っていました』数分ご、『まじ?今日とか学校行った?うわぁ!なんか恥ずかしいなぁ(笑)』と帰ってきた。一見、クールに見えたけどメールをして話をしてみると とてもひとなつっこい人だった。毎日、毎日 おはよう から おやすみ までメールをした。2006-01-26 08:24:00 -
15:
清香 ◆9S90eh5OEw
一度会おうと 約束したのは、メールをしだしてから一ヶ月のことだった。 丁度、学校がある日曜に中庭で彼を待った。夏の日中は暑くて 太陽が苦手な私には苦痛だった。『こんにちわ』後ろから低い大好きな声がした。 そこには 健康的な彼が立っていた。茶色に染めた髪と 小麦色の肌。 そこに立つだけでオーラがある。一瞬みとれて 『お〜い?あれ?』私の目の前で手を降る彼にびっくりして こけてしまった。
2006-01-26 08:30:00