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  • 1:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    静まりかえった無機質な部屋。仕事を終えて帰宅した私を待つものはいない。ただガラステーブルにおいてある、メモ用紙だけが 私たちを繋ぐ糸。『いってきます。朝飯いらないよ』

    2006-01-25 04:26:00
  • 6:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    彰と付き合って、半年が過ぎた頃 親の借金を一緒に返したいと 彰は夜の仕事を始めた。まだ若かったから、泣いて叫んで 『仕事にいかないで』と わがままを何度も言った。 毎日毎日、酒と知らない香水の匂いのする彼が知らない人みたいだった。 怖くて不安でそこで初めて、『依存しすぎ』だと 自分で思った

    2006-01-25 14:40:00
  • 7:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    会えない日々は一ヶ月続いた時もあった。 定番の朝御飯だけ作って、仕事場に向かうのが日課になっていた。彼は私がこの部屋にいた というサインはみつけても、私は彼がこの部屋にいた という サインは感じなかった。煙草の吸い殻さえ、綺麗に片付けしていくから。ホストを始める前からも 自分の事はあまりいわなかった。『俺にはあまり意見がない』自ら言っていたのは、初めて喧嘩した夜だった。その時初めて 彼の気持ちをしったんだと思う

    2006-01-25 14:47:00
  • 8:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    『もっと、私にもいろんなことぶつけてよ!』

    感情的に枕を彼にぶつける。
    『……………』
    何も言わないのはいつもどうり。
    『好きだけじゃだめとや?』
    沈黙をやぶり彰は私の隣に座った。
    『意見がないのは興味なかとかじゃない。ただ、満足に笑わせてやれん俺が悪かとけん。』
    そう言って抱き締めてくれた。ちがう!ほんとはもっと どう考えてるとか 聞きたいのに! 落ち着いてる彼を見るのは イライラする。ウワベだけみたいで ほんとに気にくわなかった

    2006-01-25 14:52:00
  • 9:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    『いらっしゃいませ〜』 新入りのかわいくこびた声が店内に響く。 笑顔で商品をうけとり 『んー黒のが似合うかも?』友達みたいに、でも似合う方を進める。『やっぱり!ほんま似合う☆かわいいゃぁん☆』隣で一緒についた新入りが キャァキャァ言う。 『ありがとうございました』見送りをすませ、裏に回ってパソコンでホームページを開く。新商品や値下げ品のコメントや 店員の顔写真などが記載されている。夕方になれば 作り笑顔で顔がひきつりだす。筋肉が痛い…

    2006-01-25 15:01:00
  • 10:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    その時、ポケットの携帯が鳴った。 『今日、仕事休みになったよ!飯でも食おう。』
    彰からだった。定時を迎え、店内掃除をし、鍵をかけて 彰に電話する。『おわったよ』『お疲れ様。飯どこにする?』『ん〜JAM・THE・KITCHIN!』『は〜いー了解!』
    昔はそわそわ綺麗に髪を巻いたり化粧治しをしたり、したもんだった。 今はもうしない。

    2006-01-25 15:11:00
  • 11:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    夜の街はとても華やかだ。キーを抜きながら、一瞬ひきよせられそうになる。今からこのまちは活動しはじめ、朝にはねむりにつく。彼はこの空間にとけこんでいるのだろうか?
    私は、彰との待ち合わせ場所へと足をはこんだ。間接照明などで綺麗にセットされた すこし暗い個室へ案内される。 昔からのお気に入り。かわいい雰囲気で 店長とも馴染みになっている。『んーパスタ?』彼は独り言みたいにメニューをペラペラめくる。今日はどうしたの? 昔はそうやって報告しあうのが カップルだと 当たり前ではないかと、思っていた。今はただ 事実を受け入れる。経過より、結果だけ。

    2006-01-26 08:01:00
  • 12:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    『おまたせいたしました』パスタと ビーフソースの焼き飯が 目の前に運ばれる。 食欲がわかない。 『どしたん…?』少し食べながら上目使いで私を見る。クリクリとした目にパーマのかかった髪はカラーのしすぎで痛んでいる。小麦色の肌はいつのまにか 白くなっていた。『体、きつくない?』逆に私が質問をした。『ん。平気』目も合わせずに答える。 たわいもない会話なんて 本当にはらただしくなるだけだし、 黙々と胃に詰め込んだ。

    2006-01-26 08:08:00
  • 13:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    その夜、久しぶりに彰にみをまかせた。

    『あきら…』
    か細くてゴツゴツした手が私の体を這う。愛しい彼の手を振り払い、泣いて見せようかと思った事は何度もある。できないのは 弱さのせいかもしれない。『清香?いきそう…』いつもは自分をみせない彼だけど本能にまみれた彼を見れるのはセックスの時だけ。だからかもしれない。なにより私は彼とのセックスに意味を持とうとする。果てた彼は私の上に倒れ、肩で息をする。髪を撫でれば 懐かしいにおいがした。まだ何もしらなくて、無邪気にあきらを好きだと言えた時の 甘いにおい

    2006-01-26 08:16:00
  • 14:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    『さやかは、彰くんと上手くいってる?』マクドで友達と話をしながらお互いの彼氏について はなしていた。 『うん!だってまだ付き合いたてゃん(笑)』『はいはい。』
    聞き飽きたといわんばかりに てのひらをヒラヒラする。 当時、彼のメールアドレスを教えてもらい、メールしたのは私の方からだった。『学校でいつもみかけてて、友達になりたいと思っていました』数分ご、『まじ?今日とか学校行った?うわぁ!なんか恥ずかしいなぁ(笑)』と帰ってきた。一見、クールに見えたけどメールをして話をしてみると とてもひとなつっこい人だった。毎日、毎日 おはよう から おやすみ までメールをした。

    2006-01-26 08:24:00
  • 15:

    清香 ◆9S90eh5OEw

    一度会おうと 約束したのは、メールをしだしてから一ヶ月のことだった。 丁度、学校がある日曜に中庭で彼を待った。夏の日中は暑くて 太陽が苦手な私には苦痛だった。『こんにちわ』後ろから低い大好きな声がした。 そこには 健康的な彼が立っていた。茶色に染めた髪と 小麦色の肌。 そこに立つだけでオーラがある。一瞬みとれて 『お〜い?あれ?』私の目の前で手を降る彼にびっくりして こけてしまった。

    2006-01-26 08:30:00
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