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絆-Kizuna-

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  • 1:

    頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m

    2005-06-26 01:28:00
  • 110:

    みんな何も話さないまま箸を持ち、目の前にある料理をゆっくり食べている。
    重い空気、息がつまる。だけどそれよりも慣れない左手で食べやすい炒飯をレンゲをもらいポロポロこぼしながら食べてるお父さんを見ていると何故か涙が止まらなかった。
    ごめん。そう思っても言葉にはならなかった。お父さんは今までの嫌なお父さんじゃなく、優しい顔で
    「早く食え」
    とだけ私に言った。

    2005-07-14 04:39:00
  • 111:

    食事も済み、店を出た私達は病院に戻ろうと歩きだした。その時お父さんがちょっと待ってと呼び止めてきた。
    「今まで悪かったと思ってる。もうお前達の前には現れないから。許してくれとは言わない、でも忘れないでくれな」
    あんなに横暴で自分勝手だったお父さんが小さく見えた。私達に背を向け、足早に歩いていく寂しそうな背中を見えなくなるまで私達は見ていた。
    分からないけど多分お父さんは泣いていたような気がした。

    2005-07-14 04:45:00
  • 112:

    病院に戻った私達は、お母さんの様子を見に行き先生も状態は良好だと言ってくれたので安心した。
    でもその反面、もうお前達の前に現れないからと言ったお父さんのことも気になっていた。あんなに嫌いだったはずなのに。
    やっぱり血の繋がりは深いのかななんて思ったりしたっけ。お母さんの入院中、私は家でやらなければならないことが山ほどあった。でも借金や入院費用など、出費ばかりでお店は休めなかった。

    2005-07-14 04:51:00
  • 113:

    約600万の借金。どうせだったら払ってからいなくなってほしかったな・・・酔うと私はそんなことばかり思ってた。でもお父さんは私のお父さんだし、仕方なかった。
    最後に会った時のあの背中を見て、いつの間にか許せてたのかもしれない。
    私が水商売を始めたきっかけは親の借金だったわけだけど、なるようになるもんなんだなって思った。フルで出勤して月80〜90万。それでも六本木なら稼げた方だった。
    月に50〜60は返済にあてて、一年ちょっとで全額完済した。

    2005-07-14 05:02:00
  • 114:

    お店ではナンバー1をはり、人一倍頑張ってたけど周りの女の子達が稼いだお金で見た目を着飾るのとは正反対だった。
    ある女の子は私にこう言った。
    「給料何に使ってるんですかー?ゆかりさんって贅沢しないですよねー」
    しない?しないんじゃなくてできないんだよって言えなかった。変なプライドが邪魔して強気なことばっかり口にしてた。
    「全額貯金。あんたみたいにバカみたいにお金使ってる子が羨ましいよ」
    皮肉な言葉。

    2005-07-14 05:07:00
  • 115:

    でもそれも借金完済と同時になくなった。水商売をする意味もなくなったからだった。
    これからどうしよう。そう思っていた時に黒木さんは私にこう言った。
    「したいことがないなら続けるのもいいんじゃないか。何よりこの一年でお前はここまで走ってこれたんだ。一番を続けることも楽しいことかもしれないぞ」
    黒木さんの言うことは何故か言葉に重みがあり、きっと今日のこの日まで夜の世界にいた理由の一つになっていたのかもしれない。

    2005-07-14 05:12:00
  • 116:

    夜のドンが一番の味方で、何も不自由することなく好き勝手に六本木を泳いでた。何かあれば黒木さんが型をつけてくれ、私には怖いものなんて何もなかった。
    ずっと守ってもらってた。きっと本当の私の生き様を知っていたから、助けてくれてたんだと思う。感謝してもしきれない。
    本当にいろんなことがあった。何年も六本木でホステスをするなんて初めは検討もつかなかったのに。

    2005-07-14 05:17:00
  • 117:

    そんな私もこの歳になってやけに老けてきたかなーって思うと、新しく入ってきた若い新人さんを羨ましく見てしまう。
    いいなー。あんな時もあったなって。ムチャして飲み過ぎて潰れてても、泣きながらグチ言ってても、みんな可愛いなって。
    たくさん出会ったお客さんにも恵まれてたなぁ。六年間ずっと通い続けてくれるお客さんも、半年に一回しか来ないけど忘れずにのぞいてけれるお客さんも。
    本当にお客さんは大切だなぁって。

    2005-07-14 05:22:00
  • 118:

    一人でこうしてマンションに帰ってくるとこんな昔のことばかりが目まぐるしく思い出される。
    今は英二のこともちゃんと考えなきゃなんないのに。やり直す・・・それもいいかもね。結局ラクなんだし。
    ウトウトそんなことを考えながら私はいつの間にか眠りについていた。
    (♪〜♪〜〜♪)

    2005-07-14 05:25:00
  • 119:

    携帯の着信音が鳴り、目が覚めた。
    (矢口さん)
    えっ?矢口さん?どうして?何なの?
    動揺した私は電話に出るのをためらった。着信音が切れ、ホッとしているとまた電話が鳴る。仕方ない、出てみよう。
    「ハイ」
    (あっ・・・矢口ですけど。今大丈夫?)
    「あ大丈夫です」
    (あの、昨日ねあの、ごめん。何てゆうか由里ちゃんがホステスとかそうゆうの考えてみれば関係ないなって)
    何言ってんのこの人。昨日思いっきり引いてたじゃん。
    「気使ってもらわなくて大丈夫ですよ。全然気にしてないしもう会うこともないんだし」
    少し間があいた。

    2005-07-14 05:32:00
  • 120:

    (いや、そうじゃなくて。俺よく考えたら由里ちゃんのこと傷付けたなって。会ったばっかなのにヒドイことしちゃったからただ謝りたかったんだ。)
    よく分かんない・・・
    「そうですか。本当に気にしてないんで、大丈夫です」
    (じゃあ今日少し会えないかな?少しでいいから時間ない?)
    え?今日・・・お店あるしなぁ。また嫌な思いさせられるかもしれないし。
    「今日仕事なんです」
    (仕事何時から?俺一緒に行ってあげるから飯でも食いながら少し話そうよ)

    2005-07-14 05:38:00
  • 121:

    矢口晃太が同伴!?ありえないよ!?
    「あの本当にまた今度でいいですか?」
    私がそう言うと矢口さんは少し黙った。
    (うーん無理。今日じゃなきゃ駄目なんだ。だから6時にあの公園にきて。待ってるから)
    そう言うと電話は切れた。6時!?って今4時じゃん。私は少し考えた。行くべきなのかどうなのか。でも考えてる暇はなかった。
    とりあえず急いでシャワーを浴び、美容院に急いだ。

    2005-07-14 05:44:00
  • 122:

    美容院で化粧をしながら時計を見るともう6時前。とにかく急いであの公園に向かった。
    着いたのはいいけど矢口さんはいない。やっぱりからかわれただけかもしれないな。夏の6時はまだまだ明るい。
    子供達も遊んでる。楽しそうだなーってぼーっと見てると後ろから急に帽子をかぶされた。
    焦って帽子を取って振り返ると矢口さんがニコッと笑ってる。この帽子は?私が手に持った帽子を見ていると
    「お揃い。ちゃんとかぶれよー」
    矢口さんは照れ臭そうに笑った。

    2005-07-14 05:50:00
  • 123:

    お揃いの帽子なんかかぶってたら目立つのに・・・何考えてんだろ。
    そんなことを考えてると矢口さんは私の隣に座るとぎゅっと私を引き寄せた。昨日はこんなドキドキした後にすごいへこまされたんだよなぁ。
    「本当に昨日はごめん。ちゃんと会って言いたかったんだ。俺普段は人のことあんまり気にしないんだけど昨日は帰ってからも由里ちゃんのことが気になって寝れなかったから。」
    私は黙って頷いた。
    「よし!仲直りってことで飯でも行こー。ムーンでいい?」

    2005-07-14 05:57:00
  • 124:

    自然と手を繋ぎ、歩いてると持っていた帽子をかぶせられた。
    「昨日みたいに気付かれたら由里ちゃんにもまた嫌な思いさせるかもしれないしね。」
    優しいなぁ本当。
    「また逃げられちゃ困るし」
    イタズラっぽく笑う矢口さんは本当に子供みたいで私までつられて笑ってた。私も単純だなぁ。昨日は泣いてたのに。
    タクシーに乗りムーンの前に着くと、ちょうど健にいがお店の前にいて出迎えてくれた。
    「今日の初お客だよ」
    そう言ってまたカウンターに案内してくれた。

    2005-07-14 06:22:00
  • 125:

    「どした?昨日の今日でまたデート?あついねー。てゆうか晃太お前今日予定ギッシリじゃなかったの?」
    あ・・・そういえば昨日言ってたよなぁ。
    「あー夕方までに全部つめてきた。夜は先輩と約束あったけど断ってさ。由里ちゃんに会いたかったから。」
    ドキドキするじゃん。本当に心臓に悪いよ。
    「ふーん。お前がねー珍しいこともあるんだなぁ。何でも面倒くせーって感じなのに」
    「今日は特別なんだよ。ね?」
    ね?って言われても・・・分かんないよ。

    2005-07-14 06:30:00
  • 126:

    おまかせで運ばれてくる料理はどれも全部おいしかったけど驚いたのは健にいが全部作ってたってこと。
    すごいなーって感心。
    矢口さんがトイレに立った時に健にいはそっと私に話してきた。
    「昨日何があったの?晃太あれからまたここ戻ってきてずっと溜め息ついてて。」
    「あー。ちょっと・・・たいしたことじゃないんですけど。」
    「そーなんだーならいいんだけど。」
    健にいは不思議そうな顔でうんうんと頷いた。矢口さんが戻ってくると二人は目で合図をした。

    2005-07-14 06:43:00
  • 127:

    そのすぐ後に大きなケーキが出てきてカウンターに出された。ケーキにはRelation healと書かれてあった。
    意味が分からなかったけど、健にいが私と矢口さんが仲直りできたからって書いてくれたらしい。
    嬉しくて食べるのがもったいなかった。そうしているうちに時間は流れ、気付いたらもう8時になっていた。あ、もう時間だ。
    時計を見ていると矢口さんがチェックを始めた。
    「間に合う?同伴だから大丈夫だよね?」
    えーーーー?

    2005-07-14 06:47:00
  • 128:

    って本当に来る気?
    「えっ?お前由里ちゃんの店に行くのかよ」
    健にいが笑いながら言うと
    「今日無理矢理誘ったからね。そのお礼。」
    ちょ、ちょっと待ってよ。大丈夫なの?
    「いーよ本当に。間に合うしここでゆっくり健にいと飲んでて。」
    私が焦って言うと矢口さんは黙って首を横に振った。
    「じゃーまた来るわ」
    そう言うと矢口さんは私の手を繋ぎ、ムーンを出た。健にいにぺこっとおじぎしながらお店を出た私は本当にパニクってしまった。

    2005-07-14 06:53:00
  • 129:

    そりゃお客さんに芸能人の人とかたくさんいるけど、ピンで同伴しかもお店に来たことない人だし・・・それより超有名な矢口晃太で。
    タクシーに乗りながらもずっと手を繋いだままで私はドキドキが鳴りやまなかった。
    そして六本木に着き、お店までの少しの道を歩いていると、やっぱり周りは気付いてた。一人が気付くとみんな気付く。
    それでも矢口さんは手を離さなかった。

    2005-07-14 06:57:00
  • 130:

    「俺プライベートであんまり飲みに来たりしないんだよね。先輩に連れられてくことはあるけど」
    矢口さんがそんなことを話している間にお店についた。
    一階の扉前にいたマネージャーが目を丸くさせながら驚いた。
    「い、いらっしゃいませっ!」
    だいたい業界の人は一人で来ることが少ない。まして同伴なんて目立つようなことはしない。だからビックリしたんだ。私もそうだし。
    お店に入り、ビップと言われてる奥の席に案内された。
    「着替えてくるから待っててね」
    私はそう言って急いでロッカールームに入った。

    2005-07-14 07:04:00
  • 131:

    ドレスに着替えていると仲のいい久美ちゃんがビックリした顔で
    「あれって矢口でしょ?すごいじゃん同伴」
    と言った。やっぱりみんな同伴にビックリしてたんだ。
    「たまたまだよ。すぐ帰ると思うし。」
    着替え終わった私は何故か急いで矢口さんの席に戻った。ヘルプの女の子もいつもより積極的に見えた。名刺も置いてあったくらいだ。
    「ごめんね。」
    謝る私をじーっと見ながら矢口さんは腕組みをした。
    「それ肌出しすぎじゃない?」
    えっ?
    「え?変・・・かな」

    2005-07-14 07:12:00
  • 132:

    「いや、そうじゃなくて。可愛いけどそんなに肌出してたらオヤジに触られたりしないかなと思って」
    オヤジ?
    「大丈夫だよ。ちゃんとガードできるから」
    「そうかなー。なんか羽織るようにしろよ。心配だし」
    矢口さんの言う一つ一つの言葉で一喜一憂する私。バカみたいだけど嬉しくてあったかくなる。
    お店が混みだし、指名が他の席でかかって移動してる時も矢口さんが見ているのが分かった。
    だからいつもより変な緊張感が消えない。私もヘルプの女の子が気になってた。

    2005-07-14 07:19:00
  • 133:

    ようやく矢口さんの席に戻れたのに矢口さんは不機嫌で何を言ってもウンしか言わない。私が黙ってると
    「やっぱり俺だめだ。由里がオヤジといるの見てるといやんなる。今日もう一緒に帰ろ」
    由・・・里?今由里って言ったよね?なんだか恥ずかしくなった。
    気付けばもう三時間?4時間もいたんだ。他のお客さんも帰ったし帰っちゃおうかな。
    「じゃあ待ってて」
    私はマネージャーに矢口さんのアフターと言うと、上がれ上がれ、行ってこいと言われた。そのままロッカールームに着替えに行き、ロッカールームを出ると矢口さんが待っててくれた。

    2005-07-14 07:28:00
  • 134:

    「もうチェック済んだから。行こっか」
    そう言うとまた私の手を繋いだ。同じ帽子かぶって、夜の六本木を手を繋いで歩くなんて初めてだ。
    英二とも六本木や夜の繁華街では繋いで歩いたことはない。お互いホステスとホストだったから。
    矢口さんは有名人なのに堂々としてるなぁ。
    「由里!もう帰りか」
    すれ違った時に聞き慣れた声がした。黒木さんだ。私はビックリして手を離した。
    「あっ帰りです。」
    「そうかーお疲れ様」
    黒木さんはそう言うとまた歩いて行った。

    2005-07-14 07:34:00
  • 135:

    黒木さんは英二のこともよく知ってる。どう思ったかな?いつも言われてたのに。夜の世界で働く以上、夜の街では男の影さえも見せるなって。
    なのに手を繋いで歩いてるとこ見られるなんて。
    「お客さん?めちゃくちゃ恐そうだね」
    矢口さんは何も知らないんだよね。だよね。
    「んー。由里の六本木での守り神みたいな。夜の世界では裏のドンなんだ」
    矢口さんは
    「大丈夫なの?俺まずかったかな?」
    「大丈夫だよ。気にしないでも」
    私は駄目だと分かってたけど離した手をまた繋いだ。

    2005-07-14 07:40:00
  • 136:

    タクシーに乗り、どこに行くかと思えば
    「成城まで」
    と矢口さんが言った。
    「あ、由里ここからけっこう近いんです」
    「分かってるよ六本木の近くって言ってたもんね。でも今日は一緒にいたいから。ちょっとだけいて。帰りは送るから」
    私は拒めなかった。私も一緒にいたかったから。繋いだままの手を離したくなかった。
    タクシーが止まり、大きなマンションの前でおりると、そこが矢口さんのマンションだった。

    2005-07-14 07:46:00
  • 137:

    これがプロ野球選手の生活なんだー。すごいなぁ本当。感心しっぱなしだった。
    「座りなよ」
    矢口さんは着替えながら私に言った。
    ソファーに座ったままキョロキョロしていると矢口さんが隣に座ってそのまま寝転んで膝まくらで私の顔を下からじっと見た。
    またドキドキする。
    矢口さんは私の顔を両手で持ち、自分の顔に寄せた。その時に初めてのキス。変な感じだったけど優しいキスだった。

    2005-07-14 07:59:00
  • 138:

    それから矢口さんは小さい頃はパイロットになりたかったことや、野球漬けの毎日だった学生時代のこと、育った環境を私にたくさん話してくれた。
    知れば知るほど惹かれていく。会ったばかりなのに。不思議な感覚が私を狂わせる。
    「明日昼から球場行くけどそれまで一緒にいてくれる?」
    私はうんと頷いた。
    遊ばれてもいいやって感じかな。傷付いてもいい、今は一緒にいたいってそう思った。
    寝室に入ると大きなTシャツを貸してくれて私はそれに着替えた。

    2005-07-14 08:04:00
  • 139:

    本当に大きすぎて膝まで隠れるくらいだ。
    「本当ちっちぇーな由里って」
    ニコッと笑う矢口さんの顔が本当に好きになってく。前の彼女はモデルさんだっけ。矢口さんは私のことどう思って今日ここに連れてきたんだろ。
    やっぱりやりたいのかな。うん多分そうだよね。
    一人でそんなことばかり考えてると矢口さんが寝転びながらこっちおいでって手招きしてきた。
    私がベッドに入るとギュッとしてきてしばらく静かな空気が流れた。私のドキドキ?違う矢口さんのドキドキだ。
    聞こえてきた音は矢口さんの心臓の鼓動だった。

    2005-07-14 08:11:00
  • 140:

    「俺ね、今日由里に会ってちゃんと言おうと思ってたの。まだ会ったばっかで信用できないかもしれないけど好きになったっぽいんだよね」
    「もーいいよ。ありえないから」
    私は何が何だか分からなくて話をはぐらかした。
    「本当だって。今日思った。由里と一緒にいたいって。明日からもずっと。大事にするよ?俺」
    何なの?これ夢?酔っ払ってるせい?

    2005-07-14 08:16:00
  • 141:

    矢口さんは私を抱きしめたままいろんな言葉を言ってくれた。
    「俺は由里大事にしたいし今日もこうして隣で寝てるだけで十分なんだよ」
    って。私はいつの間にかドキドキが止まり、心地いい安心感に変わっていた。本当に矢口さんは何時間もずっとそのまま、私を抱きしめて眠りについた。
    結局私は寝ることができず、矢口さんが起きるまでずっと起きていた。

    2005-07-14 08:22:00
  • 142:

    そして起きた矢口さんはバタバタと用意を始めた。私は作れるなら何か作ろうかと冷蔵庫を開けたけどあるのはビールやジュースだけ。
    「由里何してんの?」
    「冷蔵庫こんなに大きいのに空っぽだね。何かあったら作ろうかと思ってたの。」
    矢口さんはちょっと嬉しそうな顔で笑った。
    「じゃあ今日作ってよ。夜、食べたいなー」
    「って今日?夜?」
    そう言うと矢口さんはカギを渡してきた。
    「これ俺のだけど置いてくから今日ここにいて。お金置いてくし大きいスーパーすぐそこにあるから。合鍵も近いうち作りに行こ」

    2005-07-14 08:30:00
  • 143:

    合鍵ぃーーー!?
    スーパー!?
    ちょっと・・・すごい展開になってんだけど。何なの本当に。
    「じゃあ俺もう出なきゃなんないから。練習中にでも電話するからね。いってきまーす」
    ガチャン。
    ドアが閉まった。
    いってきます、か。英二を思い出すなぁ・・・。って私大変なことになってんじゃないの?矢口晃太の部屋だよ?
    しかも本当にお金置いてってるし。ってことは何作ればいいのー?分かんないよ好きなものとか嫌いなもの。本当にどうしよう・・・

    2005-07-14 08:35:00
  • 144:

    名無しさん

    ?

    2005-07-14 08:48:00
  • 145:

    ゅーき

    コレを読んで、恋愛ッτいいなぁって思いました?続き楽しみにしてます?頑張って下さい?

    2005-07-14 14:13:00
  • 146:

    名無しさん

    実話?

    2005-07-14 14:38:00
  • 147:

    違いますよ?ホステスをやってるとか多少は本当なとこもあるけどストーリーはオリジナルに混ぜてるので?
    また今から頑張って書きます_?書き込みしてくれた方達ありがとう?

    2005-07-15 19:20:00
  • 148:

    私はキッチンに突っ立ったまましばらくぼーっとしていた。
    あっいけない。調味料とかちゃんとあるのかな?さっき冷蔵庫は本当に生活感全くなしだったし。
    最近別れたとか言ってたけど前の彼女は料理作ったりしてなかったのかな?
    キッチンの引きだしを開けたり扉を開けてみても塩や砂糖、油さえない。いくらなんでもそれはないよね。大きな広いキッチン、大きな冷蔵庫。綺麗なままのレンジや炊飯器。
    使われてないのが不思議だった。

    2005-07-15 19:29:00
  • 149:

    そしてテーブルに置いてあったお金を見て私は少し笑った。スーパーに行くだけなのに三万円も置いてあったからだ。
    0が一つ多いんじゃないかって。やっぱり感覚が違うんだろうなぁ。でも昨日朝まで話した時に言ってたなぁ。
    矢口さんは元々、お金持ちでもなく普通だったって。いい暮らしをしてたわけじゃないって。プロ野球選手になってから両親が住む家を建ててあげたことも聞いた。
    「親孝行は生きてるうちにしないと。したいと思ってもできない人もいるんだから。」
    矢口さんの言葉は私の心を突き抜けた。

    2005-07-15 19:41:00
  • 150:

    この人は本当に優しい心を持ってる。知れば知るだけ好きになる。人をこんなに猛スピードで好きになったことはあっただろうか。
    動き始めた気持ちにはもうブレーキはかからなかった。そして私はマンションを出て言われた通りの道筋で歩いていくとすぐそこにスーパーが見えた。
    入ってみると成城のスーパーなせいか少し品があるような気がする。私はとりあえず料理のいわゆる(さしすせそ)調味料や、使いそうなものは全てかごに突っ込んだ。

    2005-07-15 19:49:00
  • 151:

    一通り揃えたのはいいものの、何を作ればいいのかで私はずっと悩んだ。
    何が好きなのかな。食べれないものがあるかもしれないし。魚料理?肉料理?とりあえず早く決めなきゃ・・・。
    生鮮売り場に行くと魚がたくさんあった。からすがれいが目に止まり、手に取って考えた。多分かれいの煮付けならよく作ってるし失敗はない。
    そう思うと私はかれいをカゴに入れた。アサリやお豆腐、鶏肉のささ身、キャベツトマトに胡瓜。
    スポーツをするならタンパク質が不可欠。低カロリーなささ身は筋肉を作るのにも良いとテレビで見たことがあった。

    2005-07-15 20:02:00
  • 152:

    たくさん買ったせいか、かごはいつの間にかいっぱいになっていて、持って帰れるのかちょっと不安だ。
    レジを済ませ、袋に詰めている間も絶対重いのが分かっていたからか、帰りの少しの距離が物凄く長く思えた。
    両手に袋を持って歩いているとやっぱり重いし何回も立ち止まった。頑張れ由里!自分で言いたくなるぐらい重かった。
    料理酒やみりん、お醤油とか張り切って買ったけどこんなに重いとは・・・まぁ仕方ないや。そんなことを考えながら歩いているとやっとマンションに着いた。

    2005-07-15 20:09:00
  • 153:

    セキュリティ抜群だけどいくつもあるオートロックがこの時ばかりは面倒だった。
    やっと家に着いた私は疲れていたので少し休憩しようとソファーに座った。その時携帯が鳴ったので見てみると矢口さんからだった。
    「もしもしー?」
    (何してたの?買い物行った?)
    「うん今行ってちょうど帰ってきたとこ」
    (マジで?試合終わったら早く帰るから。だいたい試合終わって一時間後かな。だからテレビで見ててよ。)
    「うん分かったぁ」
    (じゃあ今から練習するから。また後で休憩した時でもかけるよ)
    「はーいじゃーね」

    2005-07-15 20:17:00
  • 154:

    電話を切った私は多分すごい笑顔になっていた。気持ち悪いぐらい。一人でいるのにこんなにニコニコしてるなんてヤバイ。
    でもこんなに幸せな気持ちならやばくても何でもいいや。恋をした時は誰しもが似た想いをしたことがあると思う。
    相手を思うだけで幸せだって。ただ、いいことばかりじゃなくて。喧嘩したり泣いたり怒ったり。ずっと同じ気持ちではいられないものだから・・・
    ずっとこの先も一緒にいるなんて誰にも分からないもんだし。でもずっと一緒にいれるといいなって人を好きになると思うもんなんだよね。

    2005-07-15 20:24:00
  • 155:

    一息ついたところで私はついでに買ってきたハブラシとメイク落としを持ってシャワーを浴びようと洗面所をのぞいた。
    そこには二本並んだハブラシがあった。洗顔料なんかも置いてある。前の彼女のだなってすぐに分かった。モヤモヤする気持ちもあったけど、それを捨てることもできず静かにバスルームに入った。
    シャワーを浴びてる間、そのモヤモヤを流すように頭からずっとシャワーを浴び続けた。バスルームから出た私はサッパリできた・・・わけがない。

    2005-07-15 20:31:00
  • 156:

    まだ3時過ぎ。帰ってくるまであと何時間あるんだろう。
    ハブラシを見てからの私は何故かさっきまでの幸せな気持ちが消え、妙な不安に変わっていた。
    だってモデルだったんだよ彼女。綺麗な人だったのかな。私は家に帰りたくなった。
    でも鍵を持っている私は帰ることもできない。一時間ほどたっただろうか。一人でずっといろんなことを考えていた。
    そして軽く化粧をした後、あゆみから電話があった。

    2005-07-15 20:38:00
  • 157:

    「はい。どしたの?」
    (由里今日って仕事?休みだったらご飯行こうかと思ってさ。英二から相談の電話もあったしゆっくり話そうよ)
    「あ・・・のね、休みなんだけど今矢口さんの家にいて・・・なんか夜ご飯作ることになっちゃって」
    (えーー?マジで?)
    あゆみの声は大きくなった。
    (超展開早くてビックリなんだけど。)
    「うん。由里もよく分かんないんだけど。」
    (じゃあまた落ち着いたら電話ちょーだい。)

    2005-07-15 20:45:00
  • 158:

    どうしよう。英二のこともあったんだ。ちゃんと考えるって言ったのに。矢口さんのことで頭いっぱいになってた。
    あー本当に何が何だか分かんないよ。ってそういえばお米ってあったのかな?
    私はふと思い出した。探してみたけど予想通りなかった。
    またスーパーかぁ。疲れるなぁ。仕方ない行くか・・・

    2005-07-15 20:49:00
  • 159:

    お米を買いに行き帰ってくるとエレベーターからおりてきた人の顔を見てビックリした。
    あの人気歌手だったからだ。テレビで見るよりかっこよくて大きく感じた。すごいマンションだな本当に・・・
    部屋に戻ってまずはお米をとぎ、セットだけしておいた。試合終わって一時間後って言ってたし、試合終わったくらいにスイッチ入れればちょうどいい頃だ。

    2005-07-15 22:06:00
  • 160:

    軽く掃除をしたけど汚れてるところもなく、すぐに終わってしまった。
    もうそろそろご飯作ろっか。そうして私は食事の用意を始めた。かれいは一匹丸ごとで大きかったのでおろした後、半分は冷凍庫に保存しておいた。
    鶏のささ身はゆで、細長くほぐして千切りにしたキャベツと胡瓜の上にのせた。トマトを乗っけてバンバンジーっぽいサラダが完成。
    あさりは砂抜きして、お味噌汁に。あとは簡単なだし巻きとお豆腐をミニ冷奴にすれば一通りオッケー。

    2005-07-15 22:20:00
  • 161:

    小さい時から料理はやらなきゃならなかったので一応はできる。でも初めて作る時はやっぱり緊張するものだなぁと思った。
    英二の時もそうだったから。食べてもらう時の変な緊張感は言葉では表しにくい。恥ずかしいような嬉しいような不安なような。
    その時かれいの味付けが終わり落としぶたがないことに気付いた。
    どうしようかな?仕方ない、アルミホイルで代用しよう。

    2005-07-15 22:25:00
  • 162:

    コトコトと煮ている間、テレビで野球が始まったので見てみるとそこには矢口さんが映っていた。
    今まではテレビで見るこの距離が当たり前だったのに。テレビに映る姿を見ているとやっぱり矢口さんは凄い人なんだなと思った。
    でも寂しくも感じた。遠い人な気がして。とその時、矢口さんが初打席でタイムリーヒットを打った。
    私は手を叩いて喜んだ。歓声にわく球場、矢口さんのガッツポーズ。かっこいいなぁと改めて思った。

    2005-07-15 22:32:00
  • 163:

    二打席目も四打席目もヒットを打ち、猛打賞。試合も5−1で勝った。ヒーローインタビューも矢口さんだった。
    嬉しそうに笑う矢口さん。私も凄く嬉しかった。と、気付けばもう9時過ぎ。
    炊飯器のスイッチを入れ、帰りを待つことにした。
    何だかソワソワして落ち着けずにいると矢口さんから電話が鳴った。
    「もしもーし」
    (由里見たー?俺の固め打ち)
    聞いただけで分かる嬉しそうな声。
    「見たよ、超かっこよかった。良かったね」
    (おー由里が見てると思って頑張ったんだ。勝って帰りたかったから。)

    2005-07-15 22:51:00
  • 164:

    「へへ、そうなんだ。矢口さんさー」
    (てゆうか由里さぁ、矢口さんってやめようよ。晃太でいいから。呼んでみて今)
    え・・・こ、こーた?
    ドキドキするよ。
    「晃太・・・くん」
    (君づけかよ)
    そう言うと矢口さんは笑った。新鮮な気持ちだなぁ本当。名前を呼ぶだけなのにこんなにドキドキして。
    (じゃあ早く帰るから待っててね。)
    そう言うと電話は切れた。

    2005-07-15 22:57:00
  • 165:

    晃太・・・か。呼んじゃっていいのかな私なんかが。その時あゆみからメールがきた。
    [矢口打ちまくりだったね?スゴイじゃん?良かったね?]
    メールを見て、また嬉しくなった。
    お味噌汁を温めなおしてるとご飯が炊けた音が鳴った。よし!バッチリ。そして、インターホンが鳴り矢口さんかと思ってモニターを見てみるとそこにいたのは矢口さんではなく女だった。
    出ていいのかも分からず、ほっておくしかできなかった。

    2005-07-15 23:05:00
  • 166:

    誰だろ・・・私の予感では前の彼女かもしれないと思った。
    このマンションはオートロック専用のカギがある。だから入るにはカギがあるか住人がボタンを押して開けるしかない。
    誰なんだろう。やっぱり・・・。どうしよう、もう矢口さんも帰ってくる頃なのに。

    2005-07-15 23:15:00
  • 167:

    しばらくしてまたインターホンが鳴り、モニターを見ると矢口さんだったので解錠ボタンを押した。
    玄関の鍵を開けて待っているとガチャと開く音がし、矢口さんが帰ってきた。
    「ただいまー」
    「あ、おかえりぃ」
    普通に言った。本当はさっきの女のことで頭がいっぱいだったのに。
    「由里ー」
    そう言うと矢口さんはすぐに私を抱きしめた。私は話そうか迷った。でも抱きしめられてると不安な気持ちはなくなるどころがどんどん増えていく。

    2005-07-15 23:26:00
  • 168:

    こんなに近くにいるのに何でこんなに寂しくなるんだろう。
    「由里元気ないね。どうしたの?」
    私の顔を覗き込む。
    「なんでもないよ。あっすぐご飯食べる?」
    「うん食う!」
    余計なことは考えないでおこう。それに今日は猛打賞ヒーローでお立ち台に上がってきたんだから。一緒に喜んでたい。

    2005-07-15 23:44:00
  • 169:

    「由里ー。キッチンほんとに何もなかったでしょ?うわ、これ全部一人で持てたの?米とか。大丈夫だった?朝俺も一緒に行けば良かったなぁ」
    矢口さんはキッチンを見ながらブツブツ話していた。食事の用意が済み、テーブルに並べると矢口さんはビックリしていた。
    「これ全部由里が作ったの?これとか買ってきたやつ?」
    そう言うと矢口さんはかれいを指さした。
    「あ、それも作った。てゆうか全部作ったんだけど。かれいは半分残ってるから冷凍してあるよ」
    「すげー。うまそうだし。食べていい?いただきまーす」

    2005-07-15 23:52:00
  • 170:

    お味噌汁を飲んでまず大きく頷いた。
    「うまい!俺アサリとか貝の味噌汁めちゃくちゃ好きなんだよね」
    それを聞いてひとまず安心した。それから矢口さんはご飯をおかわりしながらも全部きれいに残すことなく食べてくれた。
    私も一緒に食べてたけど、本当に作ったかいがあったなぁと思った。と、その時だった。
    またインターホンが鳴ったのだ。矢口さんがモニターをのぞいてチラッと私を振り返った。

    2005-07-15 23:58:00
  • 171:

    きっとさっきの人なんだ。どうしよう私。
    矢口さんは何も言わずインターホンに出た。
    「はい。うん。電気?」
    話は続く。
    「あー今日ずっと家に彼女いるから。ってお前さっきも来たの?」
    そう言うと矢口さんは私を見た。きっと相手は前の彼女で、部屋に電気がついていたから矢口さんがいると思って来たのだ。
    「で、何?いいよ本当に。そういうの嫌なんだよ。彼女も気分悪いだろうから。」
    そう言ってインターホンの受話器を置いた。

    2005-07-16 00:06:00
  • 172:

    「ごめん、ね。また嫌な思いさせちゃったな。」
    困った顔・・・。
    「大丈夫。気にしないでいいよ」
    私はそう答えること、平気な顔をすることで自分の気持ちを隠していた。
    よくならない空気のまま、私は食器を洗い、静かに片付けを済ませた。よし、もう帰ろう。このままいると何か嫌なこと言ってしまうかもしれないから。
    「由里もう帰るよ。」
    私が言うと矢口さんは私の手を取りソファーに座らせた。
    「何でさっき言わなかったの?」
    「さっきって?」
    「アミ、あっ前の女来てたこと」
    アミ・・・アミって言うんだ。

    2005-07-16 00:17:00
  • 173:

    「気付かなかったっていうのは嘘だけど・・・誰かも分かんなかったし」
    「インターホン出れば良かったじゃん。今は由里が彼女でしょ?」
    ・・・え?
    「え由里彼女なの?」
    「えっ!?違うの?昨日話したじゃん。俺の空回り?」
    ほ、本気なの?本当に彼女になっていいの?
    「由里でいいの?本当にいいの?」
    私が聞くと、矢口さんは私の頭をポンっと軽くたたいた。
    「由里でいいじゃなくて由里がいいんだよ」

    2005-07-16 00:30:00
  • 174:

    名無しさん

    ?

    2005-07-16 00:51:00
  • 175:

    その言葉を聞いて私は肩の力が抜けた。
    「今日もここにいてくれない?明日球場行く途中に送ってくから」
    真面目な顔で矢口さんは言った。
    「うん。分かった」
    そして私達はテレビを見ながらお笑い芸人の話をしたり、本当に普通の会話が続いた。会って時間もそんなにたってないのに矢口さんのそばにいるのが心地良かった。

    2005-07-16 01:55:00
  • 176:

    試合の話や野球についての話も少しはしたけど、特にしたりはしないもんなんだなぁと思った。
    「明日仕事なの?」
    と、突然聞いてきた。
    「うん、そーだよ」
    そう答えると矢口さんは少し黙った。
    「由里これからもキャバ続けるの?」
    私はちょっと考えた。
    「何で?分かんない」
    「俺昨日行って思ったんだけどさ。やっぱ心配っつーかさ」

    2005-07-16 02:12:00
  • 177:

    心配か・・・やっぱり嫌なものなのかな?
    「どうするかゆっくり考えてみる。」
    「そっか。じゃ仕事やめて俺とここで住むってのもあり?」
    えっ!?私がビックリしていると
    「それもありじゃね?急がせるわけじゃないけど考えてて」
    矢口晃太と一緒に住む!?同棲するってこと!?てゆうか何もかも話進むの早くない!?

    2005-07-16 04:49:00
  • 178:

    矢口さんと過ごす時間はあっという間で、気付けば夜の2時を過ぎていた。
    今日も昨日と同じようにくっついたままベッドに並んだ。
    「由里が隣にいるから体に悪いんだよね」
    矢口さんが笑いながら言った。え!?どういう意味なの?
    「なにが?由里なにかしたかな?」
    「本当は昨日もすげー我慢したんだ。今日もけっこう我慢してたりして」

    2005-07-16 05:21:00
  • 179:

    あっそういうことか。
    「でも俺まだ頑張れるかも。由里が隣で寝てるだけであったかい気持ちになれるから。大事にするって約束したもんな」
    私は胸の奥がしめつけられた。少女漫画で見たことあるような感じにキュンとなった。
    そして矢口さんの手をギュッと掴んでいた。
    「てゆうか由里ー。由里ずっと晃太って呼んでくれないよなー。」
    だ、だって・・・恥ずかしくなるんだもん。

    2005-07-16 05:56:00
  • 180:

    「言ってみて」
    「・・・晃太?」
    「もう一回」
    「晃太」
    呼んでいる私が照れてしまう。
    「由里の彼氏は誰?」
    「え・・晃太?」
    矢口さん、じゃなくて晃太は顔をくしゃくしゃにして笑った。
    「俺のこと好き?」
    晃太はいたずらっぽく聞いてきた。
    「好きだよ。超好き」
    そう言うと矢口、じゃなくて晃太は私を強く抱きしめておでこにキスをした。優しいキス、幸せなキス。こんなに幸せで大丈夫なのかな、なんて思ってしまう。

    2005-07-16 06:03:00
  • 181:

    そして3時がすぎたころ私は昨日ずっと寝ていなかったせいか、晃太の腕に包まれたままいつの間にか寝てしまっていた。
    目が覚めると9時過ぎ。起こさないように起きた私は顔を洗い歯磨きをしたりバタバタした後、朝ご飯でも作ろうかと思い昨日行ったスーパーに行った。
    朝ご飯なんて普通の私の生活ではないもの同然だ。起きたら同伴の食事、仕事が終わればアフターや友達との軽いご飯。
    朝食なんてもの一人暮らしをしてから食べたことがあっただろうか。

    2005-07-16 06:09:00
  • 182:

    英二の部屋で半同棲をしていた時も、一緒に食事をするのは休みの日ぐらいだった。
    私より不規則な英二の生活には合わせることが難しかったから。たまにご飯を作って待っていても酔っ払って帰ってきて食べなかったり。
    そんなことを考えながらまた何を作ろうかと悩んでると晃太から電話が鳴った。
    「もしもし?」
    (由里今どこ?)
    「〇〇スーパー」
    (ビックリするじゃん起きたらいないから。てゆうかちょっと待ってて俺も行くから)
    「分かったぁ」

    2005-07-16 06:15:00
  • 183:

    って何しに来るんだろ?そして十分もたたないうちに晃太が来た。
    寝ぐせがついたままの髪、起きたばかりの少し腫れた目、Tシャツに半パン。私は思わず笑ってしまった。
    「何笑ってんだよー」
    晃太がスネた顔で言う。
    「だってぇ・・・晃太がこんなかっこしてたら変なんだもん」
    また私が笑うと晃太もつられて笑った。
    「俺がいる時にまとめて買い物しよ。重いもんとかさ。あと俺朝あんまり食べれないからおにぎりとかそんな感じがいいなー車ん中でも食えるし」

    2005-07-16 06:23:00
  • 184:

    良かったー。おにぎりなら超楽勝だ。
    スーパーからの帰り道、晃太が話し始めた。
    「俺さ、彼女に家で飯作ってもらったの初めてだったんだよね。だからめちゃめちゃ嬉しかった」
    「前の彼女アミ?さんだっけ?あの人は?」
    聞かなくてもいいこと、聞きたくないことなのに何故か私はそんなことを口走っていた。
    「あー。一回もないよ。付き合ってたのも5ヶ月ぐらいだったしうちに来たのも数えるぐらいしかないから」
    「そ、そーなんだ」
    私は変な反応をしてしまっていた。

    2005-07-16 06:30:00
  • 185:

    「気になるの?」
    「え、ううんそんなことないよ」
    「前の女は俺の名前と金に惚れてたんだよ。あれ買ってくれだのやたらと友達に会わされて自慢っぽくされたりとか」
    そうだったんだ・・・。嫌なことを聞いちゃったかな?
    「俺もモデルって響きにつられたようなもんだったしお互い気持ちはなかったんだよね。一緒にいるとどんどん冷めてったの」
    「じゃあ晃太がふったの?」
    「そんな感じかなー」

    2005-07-16 06:36:00
  • 186:

    少しホッとした。少なくとも好きなまま別れたとかじゃなくて良かったなって思った。
    マンションに着いて晃太とエレベーターを待っていると昨日すれ違ったあの歌手さんがちょうど帰ってきた。
    「あっどうもー」
    軽く会釈をする二人。
    同じエレベーターに乗り込みその歌手さんは
    「昨日大活躍だったね。今日も頑張れよ!」
    そう言うと13階でおりていった。
    すごいなぁ本当に。軽く話せちゃうんだもん晃太は。

    2005-07-16 06:42:00
  • 187:

    「由里一緒にいて大丈夫だったの?」
    少し考えて言った。
    「何が?大丈夫に決まってんじゃん」
    晃太がそう言ってくれただけで何故かホッとできた。コーヒーを飲みながら新聞を読む晃太。こんな姿が見れる私はきっと世界一の幸せものだ。
    昨日テレビで見ていた溌剌としたかっこいい晃太も、今目の前にいる普通の晃太も全部が晃太なんだよね。特別な目で見る必要はない。
    私といる時の晃太が自然なありのままの晃太なんだから。

    2005-07-16 06:48:00
  • 188:

    私は帰る用意をしながら晃太にもらった揃いの帽子を持って洗面所の鏡の前に行った。
    かぶって合わせてみたりしているとあることに気付いた。朝はあったはずなのにあのハブラシと洗顔料がなくなっていたのだ。
    そしてキッチンに置いてあったごみ箱をそっと見ると、その二つが捨てられてあった。それを見ていた私に気付いた晃太は静かに言った。
    「あ、ごめんなそれ。俺バカだから気付かなくて。デリカシーねーよな本当」
    そんなことない。晃太は優しいよ。

    2005-07-16 06:55:00
  • 189:

    「今日由里仕事ってことは明日は?会えない?」
    「明日・・・は一応シフト入ってるの」
    晃太はハァと溜め息をついた。
    「あさっての金曜から遠征で来週の月曜まで帰って来れないんだよね。だから行く前に会いたかったんだけど・・・しかたないか」
    寂しそうな晃太。
    どうしよう・・・。
    「よし、そろそろ行こうか。鍵も作っておきたいしちょっと早めに出ないと」
    「鍵?」
    「そう鍵。由里のね」
    「あっ・・・」
    鍵作ってくれるんだ。いいのかな本当に。

    2005-07-16 07:03:00
  • 190:

    もう仕事のことなんて半分どうでもよかった。私だって会いたいと思ってる。
    「分かった。お休みにしてもらう。由里も晃太といたいもん」
    「本当に!?」
    嬉しそうに晃太が言った。こんな顔されたら離れたくなくなっちゃうよ。

    2005-07-16 07:18:00
  • 191:

    名無しさん

    しぉり☆
    この話メッチャぃぃ!ここの中で1番ぉもろぃ〜!!

    2005-07-16 10:40:00
  • 192:

    読んでくれてありがとう?まだ長くなると思いますが、頑張って書くのでたまにのぞいて下さいね?

    2005-07-18 02:58:00
  • 193:

    私が車をおりた後、ベンツの窓を開けた晃太は私がマンションに入るまでずっと見送ってくれた。
    私はバイバイしながら何度も晃太を振り返った。ずっと会えなくなるわけじゃないのに、物凄く寂しくなった。
    家に戻ってからもずっといろんなことを考えた。気付けばお客さんからの電話も丸二日出ていない。メールの返信さえもしてなかった。
    この何年間も、ホステスをやっていた間ずっとナンバーにこだわり続けてきた私が・・・

    2005-07-18 03:12:00
  • 194:

    ナンバーにこだわっていたのも変なプライドだった。上に上がってしまった人間は下がることを恥ずかしく思ってしまう。
    ナンバー1をキープすることで自分の居場所を確立してきてたから。なのにそんなプライドさえも今はなくなりつつある・・・
    晃太の嫌がる仕事をしていていいのか。自問自答する私がいた。

    2005-07-18 03:17:00
  • 195:

    晃太は同じドレスを見てムッとしてた。
    怒った顔で何か羽織れって。そういう普通のヤキモチが、私は嬉しく感じた。
    心の中で晃太の存在がどんどん大きくなっていく。考えても考えても足りないくらい。さっきバイバイしたばかりなのに・・・
    私はじっとしてられなくて晃太にメールをした。
    [由里ホントに晃太の彼女だよね?]
    それからすぐに携帯が鳴った。晃太だ。
    「はいもしもし」
    (どうした?由里は俺の彼女だろ?次そんなこと聞いたら怒るよ)

    2005-07-18 03:33:00
  • 196:

    「ごめん・・・ね」
    私が謝ると晃太は笑っていた。
    (うそうそ!怒んないから。今ねー、合鍵待ちしててさ。早く作って渡してあげたかったから)
    「えっ?本当にもう作ってくれてるの?」
    (そしたら由里が少しは安心できるでしょ?俺まだ信用されてないみたいだしさ)
    晃太・・・
    「ううん。信じた。もう信じた。晃太のこと信じてるよ」
    (本当に?じゃーまた試合終わったら連絡するね。あっ由里仕事中か・・・んーメール入れるよ)
    「うん分かった。ごめんね何か。頑張ってね」

    2005-07-18 03:43:00
  • 197:

    私何やってんだろ。晃太はちゃんと考えてくれてるのに。不安になんてなってちゃだめだよね。
    そうとは思いつつも昨日見た前の彼女のことがひっかかっていた。忘れよう。もう終わったことなんだから。
    それから私も英二にちゃんと言おう。きちんと終わらせないと何も始まらない。晃太ならきっと大丈夫。私を幸せにしてくれる。
    そう自分に言い聞かせた。干しっぱなしになってあった洗濯物を取り込んだ後、お風呂に入った。お風呂での半身浴は私の日課だ。

    2005-07-18 04:33:00
  • 198:

    約30分、お風呂に入りながら営業メールをする。携帯をラップでぐるぐるに巻き、持ち込むのだ。
    そして晃太といた間、メールを返していなかった上客達にメールを返した。
    次々にメールが返ってくる。
    [今日?に行こう。同伴大丈夫だから]
    早速予定が入った。そしてその後もメールは続き来店予定客は三組が確定した。そろそろ出よう。そしてお風呂から出た私は、まだ3時だし久しぶりにネイルサロンに行くことにした。

    2005-07-18 04:45:00
  • 199:

    すっぴんのまま晃太に貰った帽子を被り、新宿にあるネイルサロンに向かった。そしてお店に入ると美香も来ていて偶然隣同士になった。
    「あれからどう?」
    美香が聞いてきた。
    あれから?あっそうか。あのコンパの日、私途中で抜けたからなぁ。あゆみには話したけど・・・何て言えばいいんだろ。
    「あーうん。別に普通だよ。」
    家に行ったとか、ましてや付き合ったなんて言ったら何て言われるか分かんない。何故か私は晃太とのことを隠してしまった。

    2005-07-18 04:53:00
  • 200:

    「そうなんだー。でも矢口ってクールだよねー。かっこいいけどさ。何考えてるか分かんないタイプじゃん」
    「そ、そうかな?」
    晃太を否定されてるようで少し腹が立った。
    「でも田村が言ってたんだけど矢口の元カノ超キレーなんだって。モデルらしいんだけどさー。何かの雑誌に専属決まったんだって。何の雑誌なんだろうね」
    ズキン
    何かが刺さったように胸の奥が痛くなった。
    「ふーんそうなんだ」

    2005-07-18 05:01:00
  • 201:

    聞きたくないことばかりが耳に入ってくる。
    「あっ!でも由里いい感じだったじゃん。矢口狙っちゃえば?今フリーなんだし」
    「んーそだね。考えとくよ」
    気分転換にネイルしに来たのに意味がなかった。来るんじゃなかったなぁ。美香はケアが終わると先に帰って行った。
    「由里ちゃん矢口ってあの矢口晃太?」
    担当の夏美さんが私にそっと聞いた。
    「あ・・・えっと」
    「ごめんね言いたくなかったらいいよ。変なこと聞いてごめん!」
    夏美さんは慌てて謝ってきた。

    2005-07-18 05:08:00
  • 202:

    「そう。あの矢口晃太なんですけど・・・」
    夏美さんには隠すこともないや。そう思い私は話した。夏美さんはもうすぐ30歳を迎えるいわばアネゴ的な人。
    夏美さんと話をしにここに通う女の子も多い。私もそうだった。英二のことや仕事のグチとか、いろんなことを今まで聞いてもらってきた。
    「で、どうなの?本当のところは」
    鋭い質問だった。
    「自分でもよく分からないってゆうか。信じられないんだけど。付き合ってる・・・みたいな」

    2005-07-18 05:13:00
  • 203:

    ?鈴夏?

    はぢめて読ませてもらったぁ??こんな話しぁったらィィのにッてめちゃ考えたッ?ワラ
    続き楽しみにしてまぁ?ッス?

    2005-07-18 05:28:00
  • 204:

    「そりゃあなりますよ。でもいいんです。信じて遊ばれてたとしても自分で決めたことだし。いい女が現れて由里から離れて行くことになっても」
    私がそう言うと夏美さんはニコッと笑った。
    「そう。私はそれが聞きたかったんだ。強い気持ちがあるっていいことだよ。いい恋すると綺麗になるしね。でも羨ましいなぁ」
    夏美さんはそう言うとフーッと溜め息をついた。
    「私さ、結婚・・・なくなったんだー。」

    2005-07-18 05:37:00
  • 205:

    えっ・・・?
    夏美さんには8年間付き合っていた彼がいた。私も何度かお店で見たことがあった。そして、今年の秋には結婚するかもという話も聞いていた。
    「どうして?何かあったんですか!?」
    「うーん。やっぱり八年って長すぎたのかな。由里ちゃんぐらいの若い女に乗り換えられちゃったよ。私も怒る気にもなれなくてね。30歳を目前にして弱気になったみたいな」

    2005-07-18 05:42:00
  • 206:

    名無しさん

    ?

    2005-07-18 05:49:00
  • 207:

    うそ・・・でしょ?
    私もショックで言葉が出なかった。あんな風になりたいなって、ずっと憧れてきた二人だったのに。夏美さんは二十代のほとんどをあの人と過ごしてきたのに。
    「ごめんね。つまんない話しちゃって。もう完成するよー。」
    夏美さんは無理して笑っていた。本当は苦しいのに。泣きたいのに。でも私みたいな若造の前でなんて泣けないんだろうな。
    なんでだろう。年をとるごとに人前で涙を流すことは減っていく。大人だから?我慢しなきゃいけないの?

    2005-07-18 05:50:00
  • 208:

    「はい!終わりぃー」
    夏美さんはいつもの夏美さんに戻った。
    「あの、今度また一緒にご飯でも行きましょうよ!いいお店見つけたんです」
    私は夏美さんに元気を取り戻してほしかった。私なんかで埋めれる傷なわけないけど、おいしいもの食べて馬鹿な話したりして。
    「オッケー。じゃあまた電話ちょうだい。楽しみにしてるよ。今日はありがとね」
    お店を出た私はすれ違うたくさんのカップルを見て、一瞬立ち止まった。
    この人達はずっと幸せでいられるのかな。そして私も晃太と幸せでいられるのだろうか。

    2005-07-18 06:02:00
  • 209:

    不安になった。
    怖くなった。晃太に会いたくなった。
    同伴の約束がある。仕事だ仕事。しかたない。美容院に向かい、着いた私はカーラーを巻いている間に化粧を始めた。
    セットをしてもらうにつれ変わっていく私。“由里”から“ゆかり”に変わっていく。セットも終わり、急ぎ足で待ち合わせ場所に向かった。ちょうど6時半だ。
    晃太はもう試合が始まってるころ。勝ってるかな?どうなんだろう?そんなことばかりが頭によぎる。
    お客さんと食事をしていても上の空。こんなこと今までなかったのに。

    2005-07-18 06:13:00
  • 210:

    その時だった。
    「今日勝ったみたいだぞー。連勝だな」
    そんな会話が聞こえてきた。連勝?もしかして・・・聞き耳を立てて聞いているとやっぱり晃太のチームだった。
    良かった。私は嬉しくてお酒が美味しく感じた。ちょっとしたことで喜んだり、馬鹿みたいだけど素直に嬉しかった。
    「ゆかりさんバックお願いします」
    テーブルボーイが呼びにきた。また別の指名客の席だ。盛り上がってても会話がいつも途切れ途切れになるんだよなぁ。
    「ちょっと待ってね。すぐ戻ってくるから」
    そう言って私は席を立った。

    2005-07-18 18:27:00
  • 211:

    そしてその時三人組の客が店内に入ってきた。マネージャーが近付いてきて私の耳元で小さく囁いた。
    「矢口さんビップ入れるから」
    や、矢口さんって?
    少し酔いが回っていた私は意味が分からない。でも三人組の一番後ろには間違いない、晃太がいる。
    晃太達に気付いた他のお客さんや女の子がザワザワし始めた。もちろん私もビックリしていた。

    2005-07-18 18:32:00
  • 212:

    「うまく回すからとりあえず指名あるから矢口さんのテーブル付いてて」
    マネージャーにそう言われ、晃太の席についた。他の二人もチームメイトの人だった。女の子二人が付きみんなが話し始める。
    「どうしたの?急に」
    私は晃太が急に来てビックリしていた。
    「え?来ちゃだめだった?」
    全然・・・いいけど
    「そんなことない。ただちょっとビックリして。試合勝ったんでしょ?」
    「おかげさまでね。てゆうか由里今指名いくつかかってんの?」

    2005-07-18 18:39:00
  • 213:

    「ここ入れたら四席?かな?」
    晃太は周りを見渡していた。
    「さっきから俺らめちゃくちゃ見られてない?すげー視線感じるんだけど」
    それもそのはずだ。見られているのは間違いない。

    2005-07-18 18:49:00
  • 214:

    「だって晃太達がいるんだもん見ちゃうよ」
    私と晃太がそんなことを話していると、一緒に来ていた二人が珍しくジーっと見てきた。
    「由里ちゃんって君のこと?今日晃太がどうしても来たいっつーからさー。俺らはオマケでついてきたってわけ」
    「ちょっ、言わないで下さいよ」
    晃太が慌ててる。
    「一人で行くの恥ずかしいからって俺らに頼んできたじゃん晃太」
    「ほんまや。照れんでええやん」
    二人にいじられてる晃太。焦ってたりして可愛かった。

    2005-07-19 03:06:00
  • 215:

    「今日終わったらそのまま来れない?俺ここ最後までいるか近くで待っててもいいんだけど」
    き、今日そのまま?
    「あ・・・急にだからなぁ。どうしよう?取りに帰りたい物もあるし」
    「分かった!じゃあついでに由里んとこ寄って、一緒に帰ろう」
    「うん、そーだね」
    晃太は強引すぎるぐらいいつも豪快だ。考えるすきを与えてくれない。でもそのくらいの方が私には丁度良かった。

    2005-07-19 03:13:00
  • 216:

    「由里さんバックお願いします」
    マネージャーに呼ばれた。あぁもう交代か・・・嫌だなぁ。ヘルプにも心配があった。
    前に名刺置いてた子もいたし。ま、晃太は持って帰んなかったけど。指名客の客席に戻った私は、いつも通りの接客に戻った。
    でも晃太が・・・見てるのが分かる。そう思うと何をすればいいのか分からなくなった。
    晃太は嫌がってるんだよね・・・。

    2005-07-19 03:20:00
  • 217:

    それからまたテーブルを二カ所回り、晃太の席に戻れた。
    「由里ちゃんってナンバー1なん?」
    関西弁の須藤さんが急に聞いてきた。須藤さんは晃太と同じ歳だ。チーム内でも一番仲が良いと言っていた。
    「えっと、あ、一応ですけど」
    「やっぱりなー。さっきから君ばっかりあっち行ったりこっち行ったりしてるもんな。晃太心配しとったで」
    晃太を見るとそんなことないよって顔をする。須藤さんにも何言ってんだよってアイコンタクトしてた。

    2005-07-19 03:28:00
  • 218:

    「ごめんね何か。」
    晃太が謝ってきた。
    「えっ!?何が?」
    晃太の顔が少し悲しそうに見えた。
    「俺が来たら邪魔しに来てるようなもんだよね。俺も会いたいから来てるのにつまんねー嫉妬してイライラしたりさ。マジかっこわりーよ」
    そんなことない。来たくない慣れない場所にまで私に会いにきてくれた。私だって会いたかった。晃太のことばっかり考えてた。
    仕事が手につかなくて頭の中いっぱいで、それで勝手に不安になって・・・。

    2005-07-19 03:36:00
  • 219:

    「晃太待ってて!もうお客さんに体調悪いから上がるって言って帰らせてくる。じゃあもうお店上がれるから」
    「いーよ本当に気にすんなって。」
    晃太は止めたけど私は席を立ち、順番にお客さんを帰らせた。マネージャーに晃太達のアフターだと言うとオッケーをもらえた。
    ロッカールームで着替え終わり晃太の席に戻った。
    「俺やっぱりこっちの由里のほうがいい」
    そう言って晃太は私の頭を撫でてきた。
    「別人やなぁ」
    須藤さんはジロジロ見てくる。

    2005-07-19 03:43:00
  • 220:

    ドレスを来てキラキラしたアクセサリーを着けているだけで変われるものなんだ。
    着替えて戻った私は黒のタンクにジーンズ。晃太に貰った帽子をかぶれば普通の女に戻る。
    でもそんな普通の私の方がいいって言ってくれる晃太で良かった。いつも綺麗に着飾ってるのって疲れちゃうから。

    2005-07-19 03:48:00
  • 221:

    私達はとりあえずお店を出た。しばらく歩いて立ち止まり、まだ飲むと言っていた須藤さん達二人とそこで別れた。
    そして晃太が止めたタクシーに二人で乗り込んだ時、私のカバンからはあの着信音が鳴った。
    ―aikoの花火―
    英二からの着信だった。私は音を切り携帯をしまった。
    「出ないでいいの?」
    私は静かにうんうんと頷いた。
    でもタクシーが走りだしたその時だった。英二がいた。すぐ近くに立っていた。私に気付いていた。

    2005-07-19 04:01:00
  • 222:

    ドキドキ・・
    ドキドキ・・
    何故か心臓の鼓動か早くなった気がした。
    英二に見られたから焦ってるのか晃太が気付いたらどうしようって焦ってるのか私は自分でもよく分からなかった。
    それより何で英二があんなとこ・・・仕事中なはずなのに。まさか来るつもりだったのかな?
    すぐに私のマンションに着き、晃太も来ると言ってきたので一緒に家に戻った。そして充電器や化粧品を用意していると晃太が静かになった。
    なんでだろうと気になってキッチンにいた晃太を見てみると英二と揃えた食器類をジッと見ていた。

    2005-07-19 04:11:00
  • 223:

    ほとんどが二つずつ揃ってあった。晃太何を思ったんだろう。
    「晃太ぁ?もう用意できるから座っててごめんね」
    「あ、うん」
    リビングに晃太を座らせた私は部屋に戻った。私の部屋には晃太に見られたら嫌な思いをさせる物が他にもあった。
    英二の服もそうだし男物のベルト、とにかく見られたくない。晃太に嫌な思いさせたくない。
    早く用意を済ませ、リビングに戻った。
    「できたよ行こっか」
    「おー行くか」
    玄関に向かった私は靴をはいていた。振り返ると晃太がいない。

    2005-07-19 04:18:00
  • 224:

    ちょっ、どういうこと?
    「晃太!?」
    私が慌てた声で呼ぶと晃太が洗面所から出てきた。そして手には髭そりとハブラシが握られていた。
    「捨てていいよね?」
    晃太が静かに言った。
    「うん。いいよ」
    私がそう答えると晃太は私にそれを渡してきた。えっ?何?
    「由里が自分で捨ててほしい。俺は自分で捨てたから。まぁケジメみたいなもんかな?いちいちうるさくてごめんね」
    「あ・・・大丈夫。捨ててくるから。」
    部屋に戻ってごみ箱に捨てた私はゴミ袋をそのまま捨てようと持って出た。

    2005-07-19 04:24:00
  • 225:

    これでいいんだ。そう、これでいい。
    そして私はゴミ捨て場にゴミを捨てた。英二のハブラシも・・・英二への残った気持ちも。でも私達がマンションを出た時、そこには英二がいた。
    二度目だ。あの日と同じ。晃太と初めて会ったあの日と。
    晃太は知ってる。英二が元カレだってことを。でも英二は知らない、晃太と付き合っていることを。
    私がどうにも出来ずに立ち止まっていると英二がこっちに歩いてきた。

    2005-07-19 04:30:00
  • 226:

    「由里どういうことだよ。何でお前んちから矢口と出てくるんだよ。なぁ!お前遊ばれてるって目ぇ冷ませよ」
    英二が大声で怒鳴った。そして晃太にも。
    「俺ら今は別れてますけど絶対こいつ俺のとこ戻ってきますから。もう由里に手出すのやめてほしいってゆうか。遊びなら他にも女いるじゃないですか。だいたいあんた野球選手じゃん?ほらアナウンサーとかさ、もっと上っつーかこいつより上ってゆうか」
    それを聞いていた晃太が英二よりも大声になった。

    2005-07-19 04:37:00
  • 227:

    「お前さぁ、さっきから聞いてるけど何が言いたいわけ?」
    「えっ、あ、だから手出すなら他にもいい女がいるってあんたならさ・・・」
    晃太は見たことのない顔で英二に言った。
    「お前さ、いい女とかこいつより上のとか言ってるけど俺は由里がいいから。由里より上がいるならお前がいけよって話だろ?」
    英二は黙りこんだ。
    「言いたいことはそうじゃねーだろ?回りくどい言い方しても何も伝わんねーぞ。好きなら好きだって俺に宣戦布告してこいよ」

    2005-07-19 04:45:00
  • 228:

    「す・・きだけど。好きだよ!悪いか?」
    英二はからかわれて怒った子供みたいだった。
    「よし、それでいいんだよ。でもな選ぶのは由里なんだ。由里の気持ち、ちゃんと聞こう。な?」
    「由里、俺今日お前に会いに行ってたんだ。で、お前達見てどうしようもなくて気付いたらここまで来てた」
    英二・・・やっぱりそうだったんだ。
    「店抜けてから今までずっと客からもオーナーからの電話もシカトしてて。でも俺、そんなこと今はどうでもいい。ナンバー1は手放せてもお前のことは手放せないって分かったんだ」

    2005-07-19 04:53:00
  • 229:

    ちひろ

    由里ちゃん応援してます?私色々と悩みあるんやけどこの小説見るの楽しみにしてて、読んでるといつのまに悩みも吹っ飛ぶし、何が言いたいかよくわからんけど。。。??頑張ってね?完結まであたたかく見守ってゅきます??〃

    2005-07-19 04:54:00
  • 230:

    英二の言葉は私の中で大きく響いた。英二がこんな風に一生懸命なこと言うのって、三年前のあの頃だけだったのに。
    私は何故か涙が出た。
    嬉しいから?英二が元に戻ってくれたから?ううん、違う。そうじゃなかった。私は分かっていた。
    いつの間にかもう英二とは終わってたことが。私の中に英二より大きな晃太という存在ができていたことが。
    「ご、ごめん英二」
    私が話し始めると晃太は距離を空けるようにマンションの入口から離れた場所に座った。

    2005-07-19 05:02:00
  • 231:

    「ありがとね。本当に嬉しかった。英二が昔に戻った気がして。ずっと一緒にいたもんね由里と英二」
    「そうだな。だから分からなくなってたんだよ。近くにいすぎてそれが当たり前でさ。お前はいつでも許してくれてたから、だから懲りずに女遊びしたりして。馬鹿だよな俺」
    「うん、馬鹿だね。由里言ったじゃん?もう若くないんだしこれからのこと考えてるって。でもね、英二とのこれからをいくら考えても何も答えが出なかったんだ・・・」

    2005-07-19 05:07:00
  • 232:

    「何も?」
    「うん。きっとね、戻ったとしても英二はホスト辞めずに続けて由里はホステスして結局今までと同じで時間だけが流れてくだろうなって。だって今から就職したり落ち着く気なんてないでしょ?社会人になろうって。だからね、先が全然見えなかった。それに英二バカだからまた浮気したりして不安にさせられるだろうって思った。我慢させられるって。言わなかったけど英二の客が店に来たこともあったんだから」

    2005-07-19 05:13:00
  • 233:

    ちひろちゃんありがとう?読んでもらえて嬉しいです?頑張っていきます?

    2005-07-19 05:15:00
  • 234:

    「え・・・?それマジかよ?」
    「それだけじゃないよ。酔って帰ってきた日にシャツにグロスがベッタベタについてたりラブホのレシート見つけたり。でもずっと言わなかった。やってないって自分に言い聞かせてた。英二はそんなことしないって。でもね、普通の女の子ってそんなことしないよ?当たり前に喧嘩して怒ったりさ。由里ね、あゆみとか見てて羨ましかったんだ・・・普通の恋愛して普通に幸せそうなのが。英二といると楽しかったよ本当に。だから嫌なことも我慢できたと思う。でも気付いたんだよね」

    2005-07-19 05:28:00
  • 235:

    「好きって思う気持ちは我慢に繋がるはずじゃないって。壊れそうだったよずっと。割り切らなきゃって。ずっとホステスしてきたけど同伴とかアフター以外で客と会うことなんてなかった。英二と付き合ってた間、男と二人で会ったことなんてなかった。何でだか分かる?由里は英二の由里だったから。いくら裏切られて泣かされても、英二のこと好きだったから」

    2005-07-19 05:35:00
  • 236:

    自分でも何を言っているか分からなかった。拭いても拭いても流れ出る涙。言いたいこともまとまらないまま出てくる言葉を必死で並べた。
    「俺、もう手遅れなの?なぁ由里、俺お前にもう何もしてやれないの?最低な男のまま終わるのかよ」
    英二はそう言うと壁に自分の手をドンとぶつけた。
    「最低な男のままじゃないよ。だって英二さっき超かっこよかった。いい男になったじゃん。由里にできなかったこと、次に大事に思う子ができた時にしてあげてよ。もう泣かしたり我慢させたりしないでね。」

    2005-07-19 05:45:00
  • 237:

    「あいつ、あ、矢口は何なの?あいつお前と付き合ってんの?」
    「うん三日前から。英二さっき言ったじゃん?遊ばれてるって。あれさ、他の人にも言われたんだよね」
    私も分かってる。夏美さんみたいに永遠の相手と思っていても別れることがあったり、相手が別の誰かを好きになることがあるって。
    「だったら何で?遊ばれてもいいってことか?あいつ野球選手だぜ?俺よりひどいよ絶対」
    英二は何時も同じようなことを言った。
    「でも由里は信じようと思ってる。あの人そんなに悪い人じゃないよ。遊ばれたならそれまでだし」

    2005-07-19 05:50:00
  • 238:

    「俺にはもう勝ち目はないの?」
    英二が悲しい目で私を見た。
    「勝ち目とかそんなんじゃないじゃん」
    そんな言葉しか見つからなかった。
    「俺やっぱムリだわ」
    えっ?何が・・・?
    「今はとりあえず何言っても無理だし待ってるよ。お前が選んであいつのとこ行っても。いつでも戻ってこいな。お前に恥ずかしくないように俺も頑張って変わるから」
    そう言うと英二は晃太の所に歩いて行った。
    「ちょっと待ってよ」
    私は追い掛けた。

    2005-07-19 05:57:00
  • 239:

    「あの、俺、由里のこと諦めませんから。とりあえずは振られたけど絶対諦めませんから。あと、泣かせたりしたらマジでぶっ殺すから」
    英二の言葉を聞いて晃太が言った。
    「俺は大事にするよ。多分君のとこには戻らない。」

    2005-07-19 06:01:00
  • 240:

    名無しさん

    ???

    2005-07-19 08:25:00
  • 241:

    「戻るとすればそれは俺より君のことが大事だったってこと、でも俺は由里を傷付けたり泣かせたりしない。幸せにする自信あるから」
    晃太・・・。
    そして私の手を掴み、引っ張りながら晃太は歩いた。英二の方を振り返るとただ呆然と私達を見ていた。
    ごめんね英二。もう気持ち動きだしちゃったんだよ・・・。

    2005-07-20 01:31:00
  • 242:

    男と女。こればっかりは本当に分からない。
    答えなんていつまでも見つからない。色んな恋愛があっていくつものストーリーがある。
    今日は幸せで笑っていても明日には壊れてしまうこともあったり。永遠を誓い合って結婚しても結局別れてしまったり。
    本当に変わらない想いなんてこの世に存在するんだろうか。好きで大好きで相手も同じように思ってくれてずっとずっと幸せでいれることなんてあるのかな。

    2005-07-20 01:48:00
  • 243:

    私は止まらない涙をただ流し続けた。
    タクシーを拾い、晃太の隣にいても何故か泣きやめなかった。
    でも晃太のマンションに着いてやっと涙も止まった。新しい自分、新しい恋、新しい・・・
    幸せにならなきゃ。英二にあんな顔させておいて私まで暗い顔してられない。晃太にもこんなんじゃ嫌われちゃう。
    「明日さ、由里試合見に来る?気晴らしって言ったら変だけど」
    試合?晃太の?
    「え?」
    「いい席取ってあげるからさ。おいでよ」
    「うん行く!」
    ちょっと嬉しかった。きっと晃太は元気づけてくれてるんだろうな。

    2005-07-20 02:09:00
  • 244:

    もう外は明るくなってきてる。いつの間にか朝になってた。
    そして今日も晃太と私はキスして手を繋ぎ何もしないまま寝た。でも繋いだ手はいつもより強く感じた。
    晃太といる時間が心地いい。あんなに泣いてたのに今はもうこんなに落ち着いてる。私も単純だなぁ。
    ピピーピピー
    気付けば時計のアラーム音で目が覚めた。泣き疲れて寝てしまってたみたいだ。顔を洗って起きた後、ご飯を炊いておいた。
    晃太リクエストのオニギリを作るため。そして晃太を起こすため寝室に戻ると急に晃太に手を引っ張られ、そのままベッドで抱きしめられた。

    2005-07-20 02:17:00
  • 245:

    「そろそろ起きてもうお昼になっちゃうよ」
    私は抱きしめられたままで少し苦しかった。
    「いーの!由里ぃ、俺のこと好き?」
    甘えた声で聞く晃太。
    いつもは大人でクールな感じなのにこの時は可愛く思えた。
    「好きだよ」
    私が答えると晃太はそのまままた私をギュッと抱きしめた。
    その時気付いた。晃太は勃ってた。どうしよう・・・何故か恥ずかしくて気付かないふりをした。
    「俺の由里だよね?」
    私はウンと頷いた。
    「俺だけの由里にしたいんだ・・・いい?」
    それってHするってこと!?

    2005-07-20 02:27:00
  • 246:

    いい・・・ってゆうより恥ずかしくて答えられなかった。ただ晃太の背中をギュッと抱きしめた。
    すると晃太は私の顔を見てキスをする。おでこにも頬にも唇にも。首筋にキスされた時、体中がゾクっとした。
    晃太の優しいキスで私の体は痺れる。
    「由里かわいい」
    晃太がそう言うと私は晃太が欲しくなった。早く抱かれたいって。

    2005-07-20 02:35:00
  • 247:

    着ていたキャミと短いスエットパンツをぬがされ、下着だけになった。晃太は私の体中にキスしながら舐めてくる。
    押さえようとしても漏れる私の声を聞くと晃太は息を荒げた。
    晃太の唇は今まで感じたことがないくらい柔らかくて優しい。全身が感じてしまう。
    そしてそのまま下着も取られ晃太の唇は私の胸元、それからあそこにも動いていった。
    恥ずかしさと気持ちよさでおかしくなりそうだった。

    2005-07-20 02:48:00
  • 248:

    全てを書くと思い出して恥ずかしくなるからこんなところで終わります。晃太との初めてのHはこんな感じで初Hながらも凄く感じた。
    それから晃太がシャワーを浴びている間に、オニギリを作り晃太の仕事の準備をしてソファーでテレビを見ていた。
    シャワーから出てきた晃太は私の隣に座りまた私を抱きしめた。
    「可愛いなーマジで」
    晃太にそう言われると何故か照れ臭かった。
    出かける用意ができ晃太を玄関まで送る時
    「はい、これ」
    そう言ってカギを手渡された。
    あ・・・これって作ってくれた合鍵?

    2005-07-20 02:58:00
  • 249:

    「本当に持ってていいの?」
    晃太は笑顔でウンウンと頷いた。
    「何時頃来る?今日」
    あ、そうだ。今日見に行くんだった。
    「うーん何時頃から行けばいいの?」
    私は今まで数えるぐらいしか観戦に行ったことがなく、何時に入れるのかなどよく分からなかった。
    「そうだなぁ、試合は六時からだから六時頃でもいいし早く来るなら練習やってるし四時とかでもいいよ」
    そんな早くから入れるんだぁ。
    「じゃー早く行くよ」
    「チケット出しておくから窓口で・・・」
    そう言って受け渡しのやり方を説明してくれた。

    2005-07-20 03:05:00
  • 250:

    「ほんじゃー行くね。いってきます」
    そう言って晃太は出て行った。
    私はウキウキだった。何だか特別な気がして嬉しかった。渡された合鍵を見ていると自然と顔がにやけてくる。馬鹿みたいな顔だ。
    早く用意しなきゃ。そしてシャワーを浴び、私も用意を始めた。
    何着てこっかなぁ。暑いだろうし・・・結局白のタンクとジーンズで行くことにした。まだ時間もあったので髪を軽く巻いて、鏡の前で晃太に貰った帽子をかぶってみた。
    よし!オッケー。こんな感じでいいや。
    少しテレビを見た後、私もマンションを出た。

    2005-07-20 03:23:00
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