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絆-Kizuna-

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  • 1:

    頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m

    2005-06-26 01:28:00
  • 251:

    タクシーを拾い
    「***までお願いします」
    と言うと、それから私はボーっと外を眺めていた。暑いなぁ今日も。
    タクシーで球場に近付くにつれユニホームを着た人達が何人か見えてきた。そしてタクシーをおり私は言われていた窓口を探した。
    あ、ここだ。
    「矢口さんから相川でチケットが〜」
    晃太に言われとおりに窓口の人に言うと、そのままチケットを渡された。すごいなぁこんな簡単に出せるもんなんだぁ。
    入口ゲートを探し、球場に入った私はチケットに記範されていた席を探した。
    探していくうちにどんどん下のほうに行った。

    2005-07-20 03:33:00
  • 252:

    やっと見つけた!と思ったら、もうそこはビックリするぐらいよく見える席だった。
    ベンチのちょうど上あたり。私は席を確認した後、飲み物を買いに行った。戻ると練習風景が見える。
    晃太どこなんだろ?いるのかな?まだ練習中な球場内はファンの人達が前に群がって練習を見ている。
    その時誰かに呼ばれた気がした。あれ?気のせい?
    「由里ーこっち」
    あれ?また聞こえた。
    キョロキョロ周りを見ているとそこには晃太がいた。中から手を振ってる。それに気付いた周りのお客さん達も私を見た。
    ちょ、ちょっと・・・何なのこの空気。

    2005-07-20 03:41:00
  • 253:

    晃太は呼ぶだけ呼んでおいてすぐ練習に戻った。
    ジロジロ見られてる。どうしよう・・・私は目線をそらし下を向いた。その中でも特にYAGUCHIと書かれたユニホームを着た女の子はずっと私を見続けていた。
    それからしばらくして女の子達は私の横を通って行く。すれ違いざまに笑っていた。
    「ハハッ全然可愛くないじゃん。似合ってないし。調子乗って見に来てんじゃねーっつーの。ハハハッ」
    笑い声が耳ざわりだった。可愛くない・・・か。別にどうでもよかった。誰に何言われても晃太に言われた言葉で全部忘れられるから。

    2005-07-20 03:49:00
  • 254:

    あの娘達もきっと晃太のこと好きなんだしね・・・晃太のファンなんだもん。
    しばらく練習を見ていると、須藤さんと晃太が楽しそうに笑っていた。やっぱりかっこいいなぁこうして見てると。
    私は晃太の全てに引かれていく気がした。
    観客もどんどん増え、試合が始まり熱気に包まれていく場内。テレビとは全然違う。
    晃太は今日もヒットを打ち、須藤さんも他の人も打ちまくり試合も盛り上がっていく。結局試合はそのまま勝った。

    2005-07-20 03:56:00
  • 255:

    晃太達はベンチに入っていった。鳴りやまない歓声の中、しばらく座っていると携帯が鳴った。
    「もしもし」
    「由里?近くで待っててほしいんだけど。一緒に帰ろう」
    球場近くの場所を説明され、そこのお店で待つように言われた。電話を切り球場を出ると人の多さで目が回りそうになる。
    ただてさえ暑いのによけいに暑くなる。言われたとおりにしばらく歩くとカフェがあった。
    多分ここのことなんだろうなぁ。そう思い中に入って待つことにした。
    まだかなぁ?すぐ出てくると思ってたのに・・・長いよ。

    2005-07-20 04:03:00
  • 256:

    その時晃太から電話が鳴り、前に着いたみたいだから会計を済まし外に出た。
    晃太のベンツが止まっていたので急いで乗り込んだ。
    「遅いよぉー」
    ちょっとふくれた私をみて平謝りする晃太。
    「ごめんごめん!なんか旨いもんでも食いに行こ。機嫌なおしてよ」
    「分かったぁ」
    そうは言ったけど機嫌なんて悪くないよ。怒ったふりしただけ。今日は本当に楽しかったもん。
    「しゃぶしゃぶでも行こっか」
    晃太が行きたいとこならどこでもいい。一緒にいれるなら。

    2005-07-20 04:10:00
  • 257:

    お店に着きメニューを見ていた晃太は、とりあえずお酒を飲みたそうだった。
    「いーよ飲んでも。帰り由里運転するから」
    「マジで?いいの?」
    嬉しそうな晃太。喜んで注文していた。
    その時、晃太の携帯が鳴った。笑っていた顔つきが変わっていく。困ったような顔に。
    誰?・・・聞かなくても分かる。だから聞かない。聞きたくない。

    2005-07-20 04:14:00
  • 258:

    「由里ちょっとごめん。アミだわ。やましくもないし由里に心配させたくないからここで出ていい?」
    出ていい?って聞かれても・・・。私はとりあえず頷いた。
    「もしもし」
    「なんだよだから」
    「今彼女と飯食ってんだって。いい加減にしろよ。もうかけてくんな」
    そんな言葉がずっと繰り返される。アミって人、晃太に未練あるんだろうな・・・てゆうかモデルなんだよね。超キレーだったし。
    「しつこいんだよ」
    最後に晃太は怒った声で電話を切った。
    シーンとする空気。

    2005-07-20 04:21:00
  • 259:

    「ごめんな何か」
    晃太が謝ってきた。
    「うん大丈夫。でも元カノ晃太のことまだ好きなんだね」
    「知らねー。意味わかんねーし。彼女できたって言ってんのに私は雑誌の専属決まったからとかワケわかんねーこと言ってきてさ」
    「へ、へぇー」
    雑誌の専属か・・・そういや美香にも聞いてたなぁ。すごい人なのかも。いや、すごい人になってくのかも。
    もしトップモデルにでもなってめちゃくちゃ有名になったら晃太どう思うんだろ?

    2005-07-20 04:27:00
  • 260:

    晃太が選んでくれたのが私でも私はまだ自分の一部しか見せてない。隠してるわけじゃないけど言えない自分がいる。
    でもいつかはばれるんだよね。言わなきゃいけないんだよね。そう思うと不安になる。
    だけど・・・晃太なら、晃太なら大丈夫だよね?
    「由里?」
    考えこんでいた私を見て晃太が言った。
    「ごめんね嫌な思いさせちゃって」
    「え!?あ、大丈夫だって。気にしてないから。でも専属モデルかぁ。すごいね」

    2005-07-20 04:38:00
  • 261:

    「すごいのかな?由里だってすげーじゃん。ずっとナンバー1なんでしょ?昨日お店の子が言ってたよ」
    「すごくなんかないよ・・・そんなの」
    私の声は小さくなった。
    比べられるものじゃない。ホステスとモデルなんて比べるものじゃないよ。
    あんなにプライドを懸けて守り続けていたナンバー1だったけど、さすがにモデルと比べられると・・・胸張って勝つ自信なんてない。誰もがモデルを選ぶはずだから。

    2005-07-20 04:44:00
  • 262:

    色々考えてるうちに食事が済み、もう帰ることになった私達は、会計をしてお店を出ようとした。
    その時晃太は店員さんにサインを頼まれ色紙にあっという間にサインをした。やっぱり晃太は有名人。そして私はただのパンピー。そう思うと寂しくなった。
    今日球場で笑ってた女の子達も、相手が前の彼女だったらあんなこと言わなかったのかもしれないな・・・。
    晃太と家に二人でいる時はあんなに幸せなのに。何も不安になんてならないのに。

    2005-07-20 04:51:00
  • 263:

    ベンツに乗った私は初めて運転する晃太の車に改めてビックリさせられた。
    すごい設備だなぁ本当に。それに晃太を乗せて走るなんて・・・何故か少し緊張した。
    家まで帰っている間、晃太の携帯がまた鳴っていた。でも晃太はもう出なかった。きっとまた元カノだ。
    「いいよー出ても」
    晃太に言った。でも
    「いいよもう。本当あいつしつこいし」
    そう言って携帯の電源ごど切ってしまった。
    それから私達はマンションに着き地下の駐車場に入ろうとした。

    2005-07-20 04:58:00
  • 264:

    その時誰かが車の前に飛び出し立っていた。
    「あいつ・・・マジだりーな」
    そう言って晃太は車をおりていく。あいつって?もしかして前の彼女?
    何か言い合いになった後、その人が私の方に向かって歩いてきた。
    コンコンッ
    とその人は窓を叩く。
    えっ!?私?慌てながらも私は窓を開けた。
    「あんたが彼女?」
    その人は少し怒った声で私に聞いてきた。
    「あ、ハイ・・・」
    小さな声で答えた。
    「聞いていい?何やってる子?学生?タレント?モデル?」
    次々に言葉がでてくる。

    2005-07-20 05:04:00
  • 265:

    「俺だって普段は普通の男なんだよ。普通の女が彼女で何が悪いんだよ?お前は俺を、いちスポーツ選手だと思ってるからそんなにがっついてんだろ?違うか?」
    晃太がそう言うとその人は泣き出してしまった。晃太はそれでも関係なしに車に乗り、私に駐車場に入るように言った。
    行っていいものなのかどうなのか分からず進めないでいると晃太は怒って車をおり、マンションに一人で入って行ってしまった。

    2005-07-20 05:16:00
  • 266:

    するとその女の人は、泣きながら私を怖い顔でにらみつけた。
    「自分が晃太に釣り合ってると思ってるわけ?晃太が誰なのか分かってんの?矢口晃太なんだよ?」
    痛い言葉だった。
    そんなの私が一番よく分かってる。いちいち言われたくなかった。
    返事もせず車を進ませ駐車場に入った。
    昨日は英二で今日は元カノ。本当に波乱ばっかり。晃太と付き合ったばかりなのにこんなんじゃ先が思いやられるよ・・・。

    2005-07-20 05:23:00
  • 267:

    名無しさん

    ?

    2005-07-20 10:36:00
  • 268:

    ?めめ?

    しぉり☆

    2005-07-20 16:07:00
  • 269:

    めっちゃぉもしろぃ(◎^□^◎)続き気になるぅ(>∩<)ヽ

    2005-07-20 17:34:00
  • 270:

    まぁ

    すっごくおもしろくて毎日読んでいるんですが、略が多くてちょっと読みずらいです?できたら略をなくしてもらえますか?

    2005-07-20 21:39:00
  • 271:

    名無しさん

    2005-07-21 07:07:00
  • 272:

    読んでもらってありがとうです?略がない方が私としても読みやすいと思っているのですが、何文字以下なら大丈夫なんですかね?
    いつも長くなってしまうので書き込みの文字数減らしてみます??

    2005-07-21 23:49:00
  • 273:

    車をとめた私は、エレベーターに乗り晃太の部屋に入った。
    晃太はイライラした顔で私を見る。何なの?
    怒りたいのは私の方だよ・・・。
    「何怒ってるの?」
    私が聞いても晃太は黙ったまま答えない。
    「ねー?聞いてる?」
    そう言うと晃太は突然大きな声で怒った。

    2005-07-21 23:58:00
  • 274:

    「さっき何で何も言い返さなかった?悔しくなんなかったの?自分が彼女だから!って迷惑なんだって何で言わないんだよ!あんな風に言われて腹立たなかったの?」
    私は何故か泣いてしまった。悔しいって晃太に言われなくても自分が一番思ってるんだから。晃太が思ってるよりもずっと私は傷付いた。
    「ご、ごめん」

    2005-07-22 00:12:00
  • 275:

    晃太は困った顔で謝ってきた。
    「俺、好きだから由里のこと。だからあいつが由里のこと何も知らないのに普通だとか見下したこと言ってきてむかついたんだ。イライラして・・・由里に当たるとこじゃないのに。ごめんな」
    晃太は大切に思ってくれてる。私もそれを信じてるはずなのに。

    2005-07-22 00:17:00
  • 276:

    目の前に障害物ばっかり現れて、それを乗り越えてもまた新しい障害物が出てきて。
    こんなんで大丈夫なのかな?安心してもすぐまた不安になって・・・何の心配もなく笑ってたいよ。
    晃太のそばにいることが初めは信じられなかったのに、今は一緒にいればいるだけどんどん欲張りになってく。
    晃太と一緒にいることだけで幸せだって思ってたのに。

    2005-07-22 00:29:00
  • 277:

    人って欲張りでないものねだり。
    英二といた時は、たまには家じゃなくて外でデートしたいって思ってたな。
    でも今は晃太と家にいる時が落ち着くし、外で周りを気にするのも疲れるから嫌で。

    2005-07-22 00:47:00
  • 278:

    結局は目の前にある幸せに慣れちゃって、こーじゃないあーじゃないって思って。
    離れたり失うまで当たり前の幸せを気付かない人だっている。でも気付いた時にはもう遅いんだよね。どれだけ相手を思っていて後から気付いたとしても。
    だからそばにある幸せを大事にしたい。見失わないように。

    2005-07-22 02:06:00
  • 279:

    晃太は私の隣に座り肩を抱き寄せて頭を静かに撫でてくれた。
    「よく頑張ったな」
    そう言ってずっと頭を撫でてくれた。
    「嫌にならないの?」
    私が聞くと晃太は優しく笑ってうなずいた。
    「中卒でもホステスでも?晃太に釣り合ってないよ?」
    もう一度聞いてみた。
    「由里はそういうの気になる?学歴とか職業とか。そういうので人好きにならないでしょ?俺は由里が好きなんだよ。そのままの由里が」

    2005-07-22 02:23:00
  • 280:

    そう・・・だよね。私も晃太だからきっと今こうしてるんだもん。
    胸の中にあったモヤモヤがなくなっていく。楽になっていく。言ってよかったな、そう思った。
    「由里は兄弟何人?」
    「え?下に弟と妹が二人。四人だよ」
    「そうなんだー。俺は三人兄弟の一番下。一番上は美容師で真ん中は消防士」
    す、すごいなぁ。で、一番下の晃太はプロ野球選手でしょ。すごい三兄弟だ。
    「弟いくつ?」

    2005-07-22 02:34:00
  • 281:

    「21だよ」
    私は答えながら由輝ももうそんな歳になったのかと少し寂しく思った。由輝は渋谷に住んでるからたまに食事したりよく会うけど、私からすればいつまでも弟だから可愛い。
    21になっても変わらないんだよね。でも最近は一緒にいるとカップルに間違えられたりすることもある。由輝も大人になったってことかな?
    「今度会わせてよ。俺末っ子だから弟ってほしかったんだよね。また一緒に野球も見においでよ」
    晃太はそう言ってニコッと笑った。だめだ・・・この顔。こんな可愛い顔されたら目が離せなくなる。

    2005-07-22 02:47:00
  • 282:

    「今度俺も浦安遊びに行ってもいい?」
    突然の言葉に驚いた。
    「えっ!?どこに?」
    「由里の実家。軽く挨拶しておこうかと思って」
    私はビックリして言葉が出なかった。
    「駄目?かな・・・」
    晃太の声が少し小さくなった。
    「ううん駄目じゃない!大丈夫。ちょっとビックリしただけ」

    2005-07-22 03:10:00
  • 283:

    「よかったぁ。俺さ、ちゃんとけじめっつーかいい付き合いしたいなって思って。会ってすぐに由里は俺の最後の女な気がしたのね。だから結婚を前提にって言ったら重いだろうけど真剣に付き合いたいなって思ったんだ」
    結婚・・・真剣・・・か。って!?えぇぇぇー!?本当なの!?
    真っすぐ私を見る晃太の目は初めて見る真面目な目だった。

    2005-07-22 03:16:00
  • 284:

    「う、うん」
    そう戸惑いながら答えた私だったけど本当は飛び上がりたくなるくらい嬉しかった。
    付き合って間もないのにそんな風に晃太が思ってくれてたって分かって。でもきっとビックリするよねみんな・・・。
    お母さんも由輝達も。
    英二とも仲よかったし、特に由輝は。お母さんなんて晃太のチームのファンだし。付き合ってるなんて言って紹介したらビックリして倒れたりしないだろうか。
    私はそんなことをずっと考えていた。

    2005-07-22 03:24:00
  • 285:

    そして気付けば夜中になっていたので、明日からの遠征の用意をしてから寝ることにした。
    そうだ、もう金曜日だ。ってことは月曜日まで会えないんだよね・・・。少し寂しい気もした。
    それから私達はベッドに入り気付けば二人して疲れていたせいか深く眠った。
    そして私は朝、妙なくすぐったさで目が覚めた。くすぐったさの犯人は晃太だった。晃太は背中にずっとキスをする。
    「三日我慢できるかなぁ由里と会えなくて」
    そう言われ、私は晃太にそのまま抱かれた。

    2005-07-22 03:35:00
  • 286:

    起きた私はそれから移動中に食べれるようにと軽いお弁当を作っていた。
    用意が済み、リビングに現れた晃太を見るとスーツに身を包み超カッコイイ。
    「遠征移動はスーツだからダルイよ」
    晃太はそう言ったけどこんなにカッコイイならずっと見ていたくなる。新たな一面を発見した私は朝からゴキゲンだった。
    「じゃ行ってくるね」
    晃太は急ぎながら玄関に行き靴をはいた。寂しいなぁやっぱり。
    と、その時晃太が目を閉じた。

    2005-07-22 03:45:00
  • 287:

    なに!?
    「どうしたの晃太」
    私が聞くと黙って口をとがらせる。あ、いってきますのチューってこと?晃太がこんなことするなんて想像もしてなかったから意外だった。
    それから私はキスしようと頑張って背伸びをしたけど全然届かない。それに気付いた晃太が少しかがんでくれてキスをした。

    2005-07-22 03:52:00
  • 288:

    「今日タクシーでそのまま東京駅行くけど来れたら帰りは俺の車で迎えに来て。月曜の朝には向こう出るつもりだし。デートしよ」
    「うん分かった♪」
    そして晃太は出かけて行った。
    さて、私も用意して帰ろっかな。今日と明日は仕事もあるし。それにしても晃太のいない部屋は静かだなぁ。
    帰る用意をしながらこの六日間を振り返った。晃太と出会ったのは日曜日だったなぁ。
    まだ一週間もたたないうちに色んなことがあったしありすぎた。こんなことになるなんて一週間前は想像もつかなかったし。

    2005-07-22 05:20:00
  • 289:

    それから帰る用意ができた私はマンションを出てエレベーターに乗ると13階で人が乗ってきた。
    ペコッと私に軽い会釈をするその人は、あの歌手さんだった。
    「どーも。矢口君は一緒じゃないの?」
    突然聞かれた。
    「あ、ハイ。移動があるのでもう出ました」
    「君はどこ行くの?」
    「あ、帰ります家に」
    「なら送ってくよ」
    一階に着くまでそんな会話が続いた。
    「本当大丈夫です」
    私は何度も断った。

    2005-07-22 05:29:00
  • 290:

    「俺あやしい?大丈夫だよ矢口君とも知り合いだし。前に俺が仕事の時に偶然地下の駐車場で会ってね、彼女送ってくれるよう頼んだことがあったから。そのお礼みたいな」
    「あ・・・ハイ」
    困るなぁ・・・何話していいかも分かんないし。そう思っているとその歌手さんも困り顔になる。
    「心配なら矢口君に電話する?」
    「えっ?そんな心配とかじゃないんですけど。わざわざ悪いなっていうか緊張しちゃうっていうか」

    2005-07-22 05:37:00
  • 291:

    すると歌手の人は
    「大丈夫だって。ね、じゃあ送りますから」
    そう言うと地下に向かって歩いて行く。後を追うように私もついて行くと、BMWのオープンカーに颯爽と乗り込んだ。
    絵になるなぁ、プロモーションビデオとかも超よかったし。そんなことを思い出しているとその歌手さんは中からドアを開けてくれた。
    車は勢いよく走りだし、天気のいい空の下で六本木までのつかの間のドライブを楽しんだ。
    「彼女は何してるの?こっちの業界だよね?」
    悪気はないのだろうが私は素性を聞かれる質問が嫌だった。

    2005-07-22 05:46:00
  • 292:

    「あ、いえ違います」
    「そうなんだー。あっそうだ、今度ライブやるんだけどよかったら矢口君と見に来ない?」
    ラ、ライブー!?
    「あ、ハイ。是非」
    「また矢口君にも言っておくよ」
    そんな会話が続く。
    でも信号待ちになるたびに隣の車や歩いている人達がビックリしている。それもそのはずこの歌手さんは某グループバンドの人気ボーカルなのだ。
    それなのに案外普通っぽくて気さくで。

    2005-07-22 05:54:00
  • 293:

    私は思った。この人や晃太なんかもそうだけど、やっぱり勝手にイメージが作りあげられてるだけなんだなって。
    クールっぽいとかカッコつけとかイキがってるとか。勝手にイメージしてたんだなって。
    実際は全然普通だし優しいし。私はテレビの中に映る“見た目”に捕われて勘違いをしていたのだ。
    人は関わらないと分からないことがたくさんあるな、この時そう感じた。

    2005-07-22 05:59:00
  • 294:

    帰り道を説明しながら車は進み、私のマンションに着いた。
    「ここです。ありがとうございました」
    私はお礼を言っておりると、その歌手さんはププッと車のクラクションを鳴らし軽く片手をあげ手を振った後走りだして行った。
    カッコイイ・・・私はいちファンとしてますます好きになった。彼女を大事にしている話もしていたし、イメージが良くなった。
    マンションに着いた私は、おとといこの場所で英二と話したことを思い出した。

    2005-07-22 06:05:00
  • 295:

    悪いことをしたとは思ってない。でも長く付き合っていたせいかいわゆる『情』というものが心のどこかに消えずにあった。
    マンションに入り部屋へ帰った私はとりあえず洗濯をしたりお風呂に入って半身浴をした。
    いつもの日課の営業メール、淡々とメールを打ち続ける。来店予約は三組ゲットしたが同伴はない。
    私の仕事に対する気持ちもだんだん変わっていってる気がした。同伴数も動員数も指名も売り上げも、全てのジャンルで1番でありたかったのに。

    2005-07-22 06:12:00
  • 296:

    今週は晃太が店に二回も来たこともあったし休んだりもしたし・・・晃手が来た日は早上がりしてたし一緒にいる時は営業メールも手抜いてた。
    私が私じゃなくなっていく。仕事命・・・だった私が。
    しばらくぼーっとしていると、時間がたつのは早くもう6時半になっていた。タクシーで美容院に向かいセットをしていると私と同じお店の女の子『レイ』が隣に座った。
    「ゆかりオハヨー♪」
    レイはいつもハイテンションだ。お酒が入っていても入ってなくても変わらずいつも元気な子。

    2005-07-22 06:19:00
  • 297:

    レイは私と同じ23歳。見た目も可愛くナンバー2だ。
    「最近よく休んでるじゃん体調悪いの?」
    レイが心配そうに聞く。これは私の偏見かもしれないがナンバー1と2は大概が仲が悪い、というよりお互いライバル意識が強く張り合っている。
    今まで働いてきた歌舞伎町やここ六本木の何件かのお店でもずっとそうだった。レイの前のナンバー2は潰しを入れてきたり客を取ろうとあらゆる手を使ってきた。

    2005-07-22 06:30:00
  • 298:

    ありもしない噂をたて、大ゲンカしたこともあった。でもこのレイは今まで見てきたナンバー2とは違っていた。
    愛されるキャラに筋の通った熱い性格、みんなに好かれるいい女だ。お店の女の子が私に気を使ったりする中、レイは私によく話してくる。
    仕事以外では冷めてる風に見える私にくっついてくるなんて変わった子だなぁと始めは面白く見ていた。
    ロッカールームでもそうだった。

    2005-07-22 06:35:00
  • 299:

    「今日どうするー?」
    「ご飯いこー」
    「飲みに行こうよ♪」
    仕事が終わるとそんな会話がロッカールームでたくさん交わされている。
    そんな中私はお店が終わればアフターか直帰か。少し前まで英二と付き合っていたこともあったし人付き合いなんてどうでもよかった。
    ナンバー1だから天狗になってるとか、話す機会がないとか、仕事以外では笑わないとか性格きついだとか。みんな好き勝手言ってくれたものだ。
    あんた達に何が分かるのって言う気にもならなかった。人にどう思われようがどうでもよかった。

    2005-07-22 06:42:00
  • 300:

    洋子が死んだあの時から、そう、あの時からなのかな?上辺だけの付き合いやその場限りの友達ごっこ。
    そうゆうのって馬鹿馬鹿しくて。洋子の葬儀に出席したのは前のお店にいた私達四人だけだった。そこは在籍が100人近くいた大箱のお店でみんなも洋子と仲良かったのに。
    友達って何なんだろうってあの時すごく思い知らされた。幸い私にはあゆみという親友って呼べる友達がいる。お店は違うけど洋子の頃にずっと一緒にいたホステス仲間も三人。人生相談できる夏美さんも。
    だからそれで充分だ。

    2005-07-22 06:51:00
  • 301:

    新しい子が入れば出ていく子もいて、入れ代わりの激しい夜の世界で“友達”を作る方が難しいことなんじゃないのか。
    友達ごっこなら誰でもできる。でも目ざとい付き合いなら初めっからしないほうがマシ。
    レイはそんな私の考えをことごとく打ち砕く。仕事が終わると食事や飲みに誘ってくるし断っても懲りずにまた次の日もその次の日も誘ってきた。

    2005-07-22 06:55:00
  • 302:

    痺れをきらした私は仕方なく食事に行ったことがある。それが一ヶ月ほど前のことだった。
    「ゆかりって何で仕事以外では誰とも話さないの?嫌いなの?人間」
    変な質問してくるやつだなぁってその時は不思議に思った。
    「人間が嫌いなんじゃなくて中身のない人間が嫌いなの」
    私がそう言うとレイはフーンと頷いた。
    「アタシのことも嫌いなの?」
    ストレートに聞くレイに私は思わず笑ってしまった。

    2005-07-22 07:01:00
  • 303:

    「ハハッ。あんた変わってるねやっぱり。ずっと思ってたんだけど不思議な子だよホント。別に嫌いじゃないよ」
    笑った私を見てレイも笑った。
    「アタシずっとゆかりって何考えてるか分かんなくて逆に友達になりたいってゆうかさ、ナンバー1の仕事以外の姿っていうの見てみたかったんだ」
    レイはそう言ってビールをぐいっと飲んだ。
    「お酒好きなの?」
    私はレイに聞いた。
    「うーん普通かな?でも飲む相手によって味違わない?楽しい時ってお酒も美味しいじゃん」

    2005-07-22 07:06:00
  • 304:

    「それはそうだね。店とかで飲んでる時も思うもん。同じお酒なのに飲む相手が違うだけでまずくだるく感じたりさ」
    「そうそう!」
    私とレイは初めて二人で話したのにやけに話が合った気がした。あゆみとは仕事の話はあまりしない。家族のことや彼氏のことはよく話すけど。化粧品販売の美容部員をしているあゆみとは、時間帯も真逆で日曜日ぐらいしかゆっくり会う機会がないし。
    それでも連絡はよく取ってるし会おうと思えばいつでも会える。そんな子がいるだけでいい。

    2005-07-22 07:13:00
  • 305:

    レイと初めてご飯を食べた日は気付けば朝の8時まで話していた。
    あゆみ以外の女の子とこんなに長く話したのって久しぶりだなぁって思った。
    「あのさアタシって多分悪いやつではないだろうし(笑)仲良くしてね」
    帰り際にレイは私にそう言った。
    「仕方ないなぁ」
    そう答えた私だったけど結構嬉しかったりもした。

    2005-07-22 07:17:00
  • 306:

    それから週に二〜三回、レイとご飯に行ったりしている。英二と別れてすぐだったこともあり時間もたくさんあった。
    「ゆかり?本当大丈夫?体調不良?」
    レイが聞く。
    「全然!ちょっとさぼり気味なだけだよ」
    「なんだサボリかー」
    そんな会話が続いた。
    「矢口は?ゆかり指名で来てたじゃん。何のルートで知り合ったの?」
    やっぱりその質問がきたかぁ・・・。
    「うーん、早い話がコンパかな。友達がセッティングしてくれたら相手が野球選手だったみたいな」
    「えースゴイじゃん。しかも同伴まで」
    「う、うん・・・」

    2005-07-22 07:25:00
  • 307:

    「口説かれた?」
    レイが聞いてきた。口説かれたってゆうか・・・何て言おうか迷っているとレイはイタズラっぽく聞いてくる。
    「やっちゃった?」
    「えっ?もう何なのー。いいじゃんもうそんな話」
    私は慌ててしまった。
    それからセットが終わった私達は美容院を出てお店に向かった。
    「ねぇもしかしてゆかり矢口と付き合ってる?」
    えっ!?
    「うーん分かんない。そんな感じなのかな」

    2005-07-22 07:31:00
  • 308:

    「ウッソー?マジ?」
    驚くレイ。
    「内緒にしててね。お店にも」
    「オッケー」
    そうこうしているうちにお店についた。着替えが終わるとすぐに指名客が来た。
    「ゆかりさんお願いします」
    マネージャーに呼ばれてフロアに行こうとした時
    「早速ご指名じゃん♪やっぱナンバー1だねー。てゆーか今日終わったら飲みに行こうよ。ねっ!」
    レイがそう言った。
    「いいよーじゃあそういうことで」
    私はそう答えると客席に向かった。

    2005-07-22 07:36:00
  • 309:

    何時間も続く接客。途切れることのない指名。それが楽しかったのに。今日は何本とったとか売り上げいくらだったとか、そういうの聞いて喜んだりしてたなぁ。
    私は心のバランスが取りにくくなっていた。晃太のこと考えると仕事に気持ちが入らなくて。
    実際七月はまだ二週目なのに成績によく表れている。レイとの本指名の差はたった12本。すぐに追い付かれてしまう数字だ。
    でも私は半分どうでも良かった。それにレイにならナンバー1取られてもいいかなって。抜かれても仕方ないかなって。

    2005-07-22 07:43:00
  • 310:

    きっと来週月曜日に晃太が帰ってきたらその日も休んでしまうことになる。他の曜日も未定なまま。
    休みがちになればそれは成績の急降下が目に見えて分かることになる。
    でもそれでも今の私には晃太との時間のほうが大切だと思った。
    人を好きになると周りが見えなくなったり、何かを犠牲にすることだってあるんだよね。お金もいらない、私はナンバー1のプライドもなくなってしまうくらいになっていた。

    2005-07-22 07:49:00
  • 311:

    営業時間も終わり、ロッカーで待っていたレイと着替えながら化粧を軽く直した。
    「どこ行くー?」
    そんな会話が始まる。
    いつもレイとはこんな感じ。お互い行く場所が決められないたちで、結局ブラブラ歩き疲れたところで目に入ったお店に入る。
    だからいつもバラバラだ。時間はまだ2時。
    「そうだ!超いいお店あるよ!ムーンってゆうんだけど」
    私は健にいのお店の話をした。
    「じゃーそこ行こ♪」
    行き先も決まり表通りに出た私達はタクシーを拾いムーンに向かった。

    2005-07-22 08:07:00
  • 312:

    携帯を見てみると着信が六件もあった。
    五件は晃太で一件は英二だった。メールを確認すると晃太から【仕事が終わったら?してくること?】と入っていた。
    「レイちょっと電話ごめんね」私はそう言って晃太に電話をかけた。
    「ハイハーイ。由里?終わったの?」
    電話の向こうは騒がしい雰囲気だった。
    「うん、終わって今から友達とムーン行くところ」
    と私が言うと
    「そっか。ムーンなら安心だしな。あってゆうか由里○○さんに送ってもらったでしょ」

    2005-07-22 08:12:00
  • 313:

    「あっごめん言い忘れてたぁ・・・」
    「電話あったからさ。彼女礼儀正しいしいい子だって言ってたよ。なんか俺も嬉しかった」
    「本当にぃ?由里超キンチョーして噛み噛みだったのにぃ。それより晃太今どこ?何してるの?」
    騒がしい雑音に私は思わず聞いてしまった。
    「あ、今先輩に連れられて・・・ごめんキャバなんだ」

    2005-07-22 08:17:00
  • 314:

    「そ、そっか。じゃー切るね」
    私は平然と電話を切った。でもすぐに晃太はかけ直してきた。
    「ごめんってば」
    「えっ?全然大丈夫だよ由里は。気にしないでゆっくり飲んでね」
    晃太は謝りながら電話を切った。怒ってるわけじゃなかった。ただ少し心配になっただけ。でも晃太の負担にはなりたくない。
    先輩との付き合いも仕事のうちだもん。そういう交流が、チームワークを深めることにもなるかもしれないし。
    理解ある女でいよう、子供みたいにすねてちゃだめだ。そう誓った。

    2005-07-22 08:22:00
  • 315:

    「ゆかりどしたー?元気なくなったじゃん」
    レイが私の顔をのぞきこんだ。
    「べっつにー。全然元気!超ゲンキー!」
    「何かあるんなら話してね。アタシじゃ役不足かもしんないけど。聞くことならできるし。ストレス溜めると肌に悪いしね」
    レイは本当に思いやりのある子だ。久しぶりにこんな女の子と出会った。友達・・・になれるかもしれないなぁ。
    携帯を見るとまだ?マークが消えてない。確認した私は一瞬頭の中がめちゃくちゃになった。

    2005-07-22 08:28:00
  • 316:

    それは英二からのメールだった。

    電話してごめん。俺、今日でホスト上がるんだ。俺には先が見えないって由里言ったじゃん?ずっとそのままだって。だから考えたんだよね色んなこと。で、辞めることにした。将来性のある男になろうって思ってる。矢口みたいに有名人にはかなわないと思ってるけどさ。お前がいつか俺の所戻ってきてくれた時、恥ずかしくない男でいたいから。日曜日から大阪行くし由里と会えなくなるのはキツイけど頑張ってくるよ。お前が全てだって分かったから。

    2005-07-22 08:37:00
  • 317:

    英・・・二?
    大阪って何?ホスト上がるってどういうこと?歌舞伎町の・・・歌舞伎町のナンバー1ホストなのに。
    大阪行くからって何なの?急すぎない?
    私は頭の中で一生懸命整理した。でもムーンに着いても上の空だった。
    レイを健にいに紹介すると二人は共通の趣味のサーフィンの話で盛り上がっている。私はというと自分でも分からないくらい動揺している気持ちを整理できないでいた。

    2005-07-22 08:41:00
  • 318:

    「ちょっと・・電話してくるね。ごめん」
    二人を残し席を離れた私はお店の外に出て英二に電話をかけた。
    2コールですぐに電話に出た英二は酔ってる様子もなく普通だった。
    「なにあのメール」
    私が静かに聞いた。
    「なにってあのままだよ。」
    「大阪ってどういうこと?っていうか由里が辞めさせたみたいじゃん。すごかったのに英二。ずっとナンバー1だったじゃん」
    「いとこが大阪で不動産関係の会社やっててさ。頼んだら営業なら雇ってくれるって言ってくれて。それが結構大きい会社なんだよね」

    2005-07-22 08:51:00
  • 319:

    「え営業?英二が?」
    「なんだよ俺だってリーマンくらい余裕だって。トークセンスもあるしな。でさ、もう俺やり直してくれとは言わないから。」
    英二の声がちいさくなった。
    「でもお前が俺を必要とした時っつーか戻ってきたいと思った時はいつでも帰ってこいな・・・俺三年ぐらいなら待ってるから」
    そう言って英二は無理して笑った。

    2005-07-22 08:56:00
  • 320:

    「大丈夫なの?本当」
    私は英二が心配だった。本当に大阪なんか行ってちゃんと就職なんてできるのかって。
    「最後に会いたかったんだけどさ。日曜日少しだけ時間ない?」
    日曜・・・日?
    「俺の門出なんだしさ、飯でも付き合ってよ。夜9時の新幹線だし」
    門出か。英二の新しい出発。新しい人生だ。
    「分かった」
    じゃーあさって。ということで電話は切れた。日曜は晃太がいない。私は自分が嫌な女だなと思った。

    2005-07-22 09:02:00
  • 321:

    ムーンに戻ると健にいとレイが話し込んでいた。
    「ごめんねーほんと」
    私はレイに謝った。
    「レイちゃんってマジで可愛いんだけど」
    健にいがニコニコ顔で私に言ってくる。少し照れ笑いしたレイも可愛く見えた。レイってこんな顔するんだぁ。もしかしてこの二人いい感じかな?
    私は黙って二人を見ていた。こういうのっていいなぁって。ドキドキドキドキするんだよね。

    2005-07-22 09:05:00
  • 322:

    レイの言葉に私達は一瞬ふと考えこんだ。
    運命・・・か。
    出会いや繋がり?本当にそうだ。晃太と出会ったあの日もそう。美香が誘ってくれなかったら会うことなんてなかったし。
    英二と別れてなかったらコンパなんて行くこともなかった。それにあの日座った位置やちょっとした会話、公園での出来事、あんなことがなかったら晃太という人に引かれることもなかっただろう。

    2005-07-22 10:21:00
  • 323:

    偶然か必然か。そんなのどっちだっていい。運命かなんてことも神様にしか分からないんだから。
    ただ、晃太と出会ったのも英二との三年間も、あゆみとの長い付き合いも大切な家族もみんな神様が与えてくれた贈り物なんだ。
    幸せになれるように、大事にするようにって。レイとの出会いも健にいとの出会いも夏美さんもみんなみんな。
    洋子との別れは忘れられないものだしきっと忘れてはいけないことだからいつも心のどこかにある。
    お父さんのことも、あの日から会ってないけど忘れることなんてない。元気にしてるかな?そう思える私になれて良かった

    2005-07-22 10:28:00
  • 324:

    優しい気持ちを持つだけで、人ってきっと幸せになれる。少しの思いやりが暖かい気持ちにさせてくれるから。
    信じる強さと信じられない弱さ。恋愛にはつきものだけど傷付いてもいいんじゃないか。自分の精一杯の気持ちを信じればいい、後悔する人は同じ失敗を繰り返すだけだと何かで読んだことがある。
    昔からよく聞いた。失敗は成功のもとだと。くっさい言葉だって馬鹿にしてた。でも今は結構好きな言葉だったりする。

    2005-07-22 10:36:00
  • 325:

    失敗を糧にすれば、何かがきっとプラスになるんだし。よくするも悪くするも自分次第。
    失敗したらまた頑張ればいい。立ち止まって振り返ってもいい。前だけ見て歩いていけるわけないんだから。
    でも振り返った時に笑えるように、あの時はあーだったなって。そうなれた時にまた一つ大人の階段を登れるんじゃないかな。
    後悔するのって寂しいじゃん。自分の生き方否定してるみたいで。

    2005-07-22 10:41:00
  • 326:

    その時晃太から電話がなった。
    「もしもし?」
    「あー俺オレ!今ホテル戻ってるとこー♪浮気してないかー?」
    珍しく酔っ払い口調の晃太。
    「ん?まだムーンだよ。酔っ払い?」
    「飲まされちゃってさ。もうダメー」
    その時晃太の電話から女の子の声がした。
    「矢口さん帰るん?」
    そんな風に聞こえた。関西弁?そっか遠征中だし・・・
    「晃太今どこ?」
    「んーと今はねぇタクシーん中だよー」
    タクシーの中?ってことは女の子も一緒に乗ってるの?

    2005-07-22 10:49:00
  • 327:

    「今キャバの子送ってるとこ。田村さんも一緒だから大丈夫だよー。ホテル帰ったらまた電話するからね!じゃーねチュッ」
    意味分かんない。
    酔っ払っちゃって馬鹿みたい。明日も試合だっていうのにこんなに朝まで飲んで。
    でも何してるか分からないよね。実際スポーツ選手は遊んでるってよく聞くし、野球なんて半分は遠征で地方に行ってるし。
    考えると不安になる。近くにいないと嫌だなぁ。
    「晃太何だって?」
    健にいが膨れっ面の私を見て聞いてくる。

    2005-07-22 10:55:00
  • 328:

    ?めめ?

    しぉり?
    略ゎ改行5回でなるんゃと思ぅょ?

    2005-07-22 10:58:00
  • 329:

    「知らない。女の子の声聞こえたし酔っ払ってるし。何してるか分かんない」
    そうは言ったものの日曜日の英二との約束のことを思いだし、自分も晃太のことを責められる立場じゃないなぁと思った。
    やっぱり会わない方がいいかもしれないな。でも・・・不思議な重圧感にかられていた。

    2005-07-22 10:59:00
  • 330:

    「帰ろっかそろそろ」
    レイに言うと眠そうにあくびをした。それを見ていた私と健にいは顔を見合わせて笑ってしまった。
    会計を済ましお店を出るといつものようにタクシーを止めてくれた。私達はゴチソウサマーと手を振りながら家路についた。
    帰り道の途中、レイは楽しそうに話していた。私の電話中に健にいと番号交換をしていた話や、趣味が同じこと、レイは延々と話し続ける。

    2005-07-22 11:05:00
  • 331:

    「ねーあんたホンットよく喋るよね(笑)疲れないの?めちゃくちゃタフじゃん。」
    私は笑いがこぼれた。レイは楽しい子だなって。でも謎も多い。お店にいる時のレイしか知らない。あまり昔の話も聞いたりしない。不思議なところがあるけどレイはレイだし今のレイが私は好きだった。
    「うち泊まってく?」
    ずっと話し続けるレイに私は聞いた。
    「えっ!?いいの?」
    目を丸くしてビックリするレイ。

    2005-07-22 11:11:00
  • 332:

    「いいよー。どうせ暇だしさ」
    私がそう言うとレイは喜んでいた。
    マンションに着いた私は、パジャマをレイに貸した。着替えてからもずっとレイは話し続ける。よほど今日が楽しかったんだろう。
    私は気になっていたことを聞いてみた。レイって地元がどこかとか昔からそんなにチャキチャキキャラだったの?って。
    そうしたら一気にレイの顔が落ちたんだよね。なんでそんなこと聞くの?ってゆう目をしてた。

    2005-07-22 11:16:00
  • 333:

    「ご、ごめん変なこと聞いて」
    私は焦った。人には聞かれたくないことだってあるんだ、私もあったし。
    「アタシね・・・」
    焦った私を見てレイが静かに話し始めた。
    「アタシ地元ってゆうか生まれは水戸で育ちは浦和。ちなみに親いないの。施設育ちなんだーアタシ。しかも両親の顔も知らないんだよね。ダサダサでしょ」
    いつものおちゃらけたレイからは想像できないくらい寂しい目をしていた。
    聞かれたくない、言いたくないこと聞いちゃったんだ私・・・

    2005-07-22 11:23:00
  • 334:

    名無しさん

    略なくして

    2005-07-22 11:35:00
  • 335:

    なちゅ?

    いろんな小説読んでるけど、カキコお初です?女の気持ちがすごいうまく表現されてて、めちゃ入りこんでしまいます?これからも楽しみにしてまぁす?

    2005-07-22 21:19:00
  • 336:

    私がそう言うとレイは首をかしげて溜め息をついた。私は自分が苦労してきた、大変だったって思ってたけど・・・私にはお母さんや兄弟、あゆみがいつも周りにいた。辛いことあっても誰かがそばにいてくれた。でもレイはそうじゃない、ずっと一人で頑張ってきたんだなぁ。
    レイは私と初めてご飯を食べた日、人間嫌いなの?って変なことを聞いてきてた。今はその言葉の裏にあったレイの心の声が聞こえた気がする。
    近くにいる人みんながレイにとっては大切に思えるんだって。人と距離を置いていた私を見て、レイは不思議に思ったんだろう。

    2005-07-22 22:42:00
  • 337:

    「由里もね、色々あったんだぁ。レイに比べたら小さいもんなんだけどね」
    私は初めてあゆみ以外の女の子に自分の過去を話した。たくさんあった出来事を。レイも昔、イジメにあったことがある話や、グレてヤンキーになったこと、施設での辛かった日々、そんなことを話してくれた。
    「アタシね、ゆかりって何でもできて何でも持ってる子だって思ってたの。だから最初は嫉妬してたんだー。でも中心にいていいはずのゆかりがいつも輪から離れてたじゃん。でも今日話聞いて分かった気がする。アタシも本当の友達ほしくなったなぁ」

    2005-07-22 22:51:00
  • 338:

    「もう友達じゃん。由里久しぶりだよこんなの。洋子って子が死んでから人って信じれなくなってたけど・・・あんたのこと信じるよ」
    するとレイは目に大粒の涙を浮かべうつむいた。ただ黙って泣いてた。私もそんなレイを見て少し目の前の景色がにじんだ。
    その時携帯のバイブが鳴り、見て見ると晃太からだった。でも私はそっとサイレントに切り替え、電話には出なかった。今はレイのこと考えてあげたかった。
    「さっ寝るよー。明日も仕事だし。起きたら軽く遊びに行こっか」
    泣いているレイに気付かないフリをして私はベッドに入った。

    2005-07-22 22:59:00
  • 339:

    「ねー由里ぃ」
    レイは初めて私を由里と呼んだ。でも私はそれをごく自然に受け入れられた。今までは“ゆかり”っていう仮面でしか夜の世界の人とは接してこなかったし由里って呼んだ人もいなかったけど。
    レイと間にあった壁はもうない。「大崎玲子」彼女との出会いがまた私を一つ大きくさせた。

    2005-07-22 23:17:00
  • 340:

    「プール行こっか。水着買いに行ってさー。超暑いじゃん」
    レイがプールに行こうと言ってきた。正直二日酔いにはキツかったけど、たまには昼間っから体動かすのもいいかななんて思った。
    私達は軽く用意して新宿に水着を買いに向かった。たくさんある水着、色とりどりの柄、見ているだけで楽しかった。
    「コレ可愛くない?」
    私達はそんな会話をしながら次々に合わせて見る。私は結局黒一色の大人っぽい水着を選んだ。
    レイは白一色の可愛い水着。色白の私と小麦色のレイ。肌の色も水着の色もオセロみたいだった。

    2005-07-22 23:38:00
  • 341:

    試着を済まし、レジも終わった私達はオープンしたばかりの新しいプールに向かった。
    寝起きはあんなに疲れてたのに今は何だか気分が良すぎるくらいだ。プールに着くと私達はすぐに飛び込み、買ったばかりの浮輪につかまり流れるプールに身をまかせた。
    気持ちいいな・・・っていうか楽しい!久しぶりに気分が晴れ晴れした。

    2005-07-22 23:42:00
  • 342:

    時間がたつのも忘れるぐらい、楽しくて大笑いした。気付いたら夕方の六時前。仕事の時間が刻々と迫っていた。プールから上がった私達はシャワーを浴びて更衣室で化粧を直す。
    「おなか空かない?仕事前に軽く食べようよ。時間もギリギリだし」
    レイが言った。
    「美容院どうするの?ご飯食べてる時間なくない?」
    「あーそっかぁ。ってもういいじゃん♪たまにはストレートで出勤もありじゃない?」

    2005-07-22 23:48:00
  • 343:

    多分私もレイもセットせず出勤するのは初めてだった。少し考えたけどたまにはいいかなって思い、レイとそのまま六本木に向かいイタリアンレストランに入った。
    私もレイもこうしているとどこにでもいる普通の女の子だ。髪とドレスを着るだけで変貌を遂げる夜の街にはこんな私達みたいな女の子がたくさんいる。
    大人びたフリをして男を操る。そんな私達を操る夜の街。本当は誰が一番の操縦者なんだろう。

    2005-07-22 23:53:00
  • 344:

    食事も済みお店に出勤すると周りのみんなが私とレイに気付かない。
    しばらくするとロッカールームにいた女の子が挨拶してきた。それにつられて周りの子達も次々に挨拶をした。
    「誰だか気付かなかったです。二人ともイメージ全然違ったから」
    私とレイは顔を見合わせて笑った。見た目だけでそんなに違うものなんだろうか。タイムカードを押し、指名客が来店していたのですぐに客席につかされた。
    今日もまた同じ時間が始まっていく。でもレイがいたから楽しかった。同じ席に着くと大笑いできた。

    2005-07-22 23:59:00
  • 345:

    送りだしをした後、携帯を確認するとメールが二件届いていた。晃太からだった。
    【昨日ホテル着いてから?したのに何で起きたらかけ直して来ないんだよ】あ・・・やばいなぁ。二件目は【?返ってきてないね。何やってんの?仕事中だよね?何時でもいいから連絡してきて。もうホテルだし今日はずっとホテルにいるから】

    2005-07-23 00:07:00
  • 346:

    晃太のこと忘れてたわけじゃなかったんだけど。久しぶりの楽しい時間に私はいつの間にか連絡することも忘れてたいた。
    とりあえず晃太にメールを返しておこう。
    【ごめんね?昼から友達とプール行ってたの?仕事だから終わったら?する】
    そんな感じで私は客席に戻った。戻ってすぐに、また指名がかかったので行ってみるとそこには黒木さんが座っていた。

    2005-07-23 03:39:00
  • 347:

    どうしよう。この前晃太と手繋いでるとこ見られたし・・・怒るかな?不安な気持ちのまま黒木さんの席に着いた。
    「どうだ最近は」
    黒木さんは普通に私に聞いてきた。
    「普通に、まぁまぁかな?今日はどうしたの?急に来るからビックリした」
    「昨日な、英二が急にラストで上がったんだ。由里、お前本当に英二と別れたのか?」

    2005-07-23 03:43:00
  • 348:

    私が初めて夜の世界に入ってから、黒木さんはずっとよくしてくれていた。英二のことも可愛がってくれてたし、この世界のどんなトラブルでも解決してもらってきた。
    「うん。別れた」
    私がそう答えると黒木さんはジッと私を見た。
    「英二のやつ大阪行くとか言ってたぞ?この間の、あの矢口か?あいつともしかして付き合ったのか?」
    私は言うべきなのか迷った。でもきっと黒木さんは気付いてる。隠したってムダなんだ。それにここまでやってこれたのは父親のような存在の黒木さんがいたからだ。ちゃんと言わなきゃ。

    2005-07-23 03:50:00
  • 349:

    「矢口さんのことがあって英二と別れたんじゃないよ。英二とは一ヶ月ちょっと前?に別れてた。矢口さんともまだ付き合ったって言ってもついこの間だし」
    「そうか。まぁお前達二人はずっと見てきてたからな、少し残念な気はするけど。そればっかりは俺にも何もできないからなぁ」
    黒木さんは遠い目をしていた。この人に守られてきたなぁ私も英二も。六年前に会ったあの頃より老けてしまった黒木さんを見て、改めて心の中でそう思った。

    2005-07-23 03:57:00
  • 350:

    悠?

    由里たんがんばって??

    2005-07-23 04:07:00
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