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絆-Kizuna-

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  • 1:

    頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m

    2005-06-26 01:28:00
  • 101:

    すぐに病院に行くと、過労が原因の身体的疲労だと先生に言われた。
    寝ていたお母さんを見て思った。こんなに痩せてたっけ?こんなに小さかったっけ?
    疲れていたんだなぁと改めて感じさせられた。三日間は入院することになり様子を見ると言われ、夜も遅いので由輝と家に帰った。
    家で待っていた恵里と美恵も心配そうにしてたが、とりあえず寝かせて由輝と二人で話をした。
    「全部おやじのせいだよな。マジ殺したいよ。くそっ」
    由輝が言うのも分かる。私はその何倍もそう思ってる。

    2005-06-29 05:40:00
  • 102:

    「由里が頑張るから、あんた受験生なんだし自分のことだけ考えとけばいいよ。大丈夫だから。」
    とは言ったものの、入院は思わぬ出費だった。あーあっ・・・何でこんなに嫌なことばっかり続くんだろ。その時だった。
    (ピンポーン)
    えっ?私は時計を見た。11時じゃん。誰?こんな時間に。
    「ねーちゃん!おやじなんだけど」
    インターホンに出た由輝が部屋にきた。
    「開ける?」
    私は首を横に振った。
    「でも俺でちゃったんだけど。」
    「ほっとけばいーよ」
    それから5分ぐらいたった時、またチャイムが鳴った。まだいるよ・・・。

    2005-06-29 06:07:00
  • 103:

    どうしよう。何しに来たんだろ?
    「もう出てくる」
    ゆっくりと由輝が玄関に歩いていく。私も仕方なくいった。
    ドアを開けると苛立った顔のお父さんが
    「なめてんのかお前?さっさと開けろよバカかクソガキ」
    と言って中に入ってきた。「何しに来たの?お母さんならいないよ。お金もない」
    私がそう言うとお父さんはジロッと私をにらんだ。それでも中に入ってきて、お母さんを探している。
    「倒れたんだよ。誰のせいだと思ってんだよ。もし何かあったら俺絶対許さねーからな」

    2005-06-29 06:14:00
  • 104:

    由輝が初めて男らしく見えた。大きくなったなぁと。そして私は倒れた経緯と、理由をお父さんに話した。いくら嫌なやつでも少しは反省するだろうと思ってた。少なくとも私は。
    「で、お前は俺のせいって言ってんのか?あぁ?おい、なぁ」
    でも次の瞬間お父さんは由輝につかみかかった。嘘・・・でしょ?
    「あぁそうだよ。お前のせいだよ全部お前がブッ壊したんだよ!」
    由輝がそう言いながらお父さんに殴り掛かった。もうダメだ。由輝は殴りあいどころか一方的にお父さんに殴られ始めた。
    殴られ蹴られ、見ていられなかった。

    2005-06-29 06:23:00
  • 105:

    私は自分の意識だったのかは分からないが、キッチンに行き出刃包丁を手にしていた。
    刃を逆さまに縦に向けた。人を刺すなら逆さまで刺せと何かのテレビで見たことかあった。
    「お姉ちゃんお願いだからやめて!」
    美恵が泣きながら私に言った。でもそんなのもう聞こえなかった。
    玄関で由輝を殴り続ける。ドンドンと音が響く。もうたくさんだ。もういい加減にしてほしい。
    好き勝手やるのはいい。でも人を巻き込むのはどうしてなの?
    「ねーちゃん!」
    私に気付いた由輝が叫んだ。

    2005-06-29 06:31:00
  • 106:

    お父さんも私を見た。少し顔が変わった。
    「な、なんだお前。気狂ってんのか」
    由輝を殴る手は止まった。
    「あー狂ってるよ。あんたのせいでめちゃくちゃだよ。どうして変わっちゃったの?昔はあんなに優しかったじゃん!みんなお父さんのこと好きだったんだよ?」
    そして私はお父さんを刺した。どこを刺そうなんて考える余裕などなかった。ただ次の瞬間血が私の頭を覚まさせた。
    手だ。包丁はてのひらに貫通していた。私は怖くなり声がでなかった。

    2005-06-29 06:42:00
  • 107:

    でもお父さんは包丁を自分で抜き、近くにあったTシャツで手を覆い、何も言わずに出て行った。
    刺しちゃっ・・・た。どうしよう。
    「ねーちゃん大丈夫だって。手でかばったから刺さったとこもたいしたことないよ。」
    確かにそうだ。例え警察が来ても正当防衛だと言えば話は済む。住居侵入で暴力を振るったのだから。
    でも私が気にしていたのはそんなことじゃない。自分の親を刺してしまった。本当に刺してしまったんだ。刺さったのが違う場所だったら死んでいたかもしれないのに。

    2005-06-29 06:50:00
  • 108:

    私がここにいるのは、生まれてこれたのはお父さんがいたからなのに。何故か涙が出た。
    警察は来なかった。連絡もなかった。そしてその話は入院が一週間延びてしまったお母さんには話さなかった。お父さんは大丈夫なんだろうか、私はそんなことを考えていた。
    由輝と恵里と美恵の四人でお母さんの入院してる病院にお見舞いに行った日、私は心臓が止まりそうになった。
    病院のロビーにお父さんがいたからだ。凍りつく私に、由輝は
    「大丈夫そうじゃん」
    と言った。確かにギブスはしているけど大丈夫そうだ。

    2005-06-29 06:58:00
  • 109:

    とその時、私達に気付いたお父さんはこっちに向かって歩いてくる。
    やばい、逃げなきゃ。
    そう思っていた。
    「人差し指から小指まで四本全部の神経切れたみたいでもう箸も持てないって。」
    「え・・・?」
    神経?って。
    「まぁ大丈夫だから。それよりちょっとそこで飯食わないか」
    病院の近くには中華料理屋があった。私達は返事をすることなく歩いていくお父さんのあとをついて行った。
    店に入り注文が済み、静かな空気が流れる。誰も何も話さない。そして料理だけが慌ただしく運ばれてくる。

    2005-06-29 07:09:00
  • 110:

    みんな何も話さないまま箸を持ち、目の前にある料理をゆっくり食べている。
    重い空気、息がつまる。だけどそれよりも慣れない左手で食べやすい炒飯をレンゲをもらいポロポロこぼしながら食べてるお父さんを見ていると何故か涙が止まらなかった。
    ごめん。そう思っても言葉にはならなかった。お父さんは今までの嫌なお父さんじゃなく、優しい顔で
    「早く食え」
    とだけ私に言った。

    2005-07-14 04:39:00
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