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絆-Kizuna-

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  • 1:

    頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m

    2005-06-26 01:28:00
  • 673:

    「俺達はいいから早く席回ってこい、ラストなんだし」
    黒木さんにそう言われて私はまたお客さんの席に戻った。それから六本木で長い付き合いになるホストのオーナーさんは六年間お疲れ様って六本のドンペリを抜いてくれ、六繋がりかなんて少し笑ってしまった。
    飲みほしてまた別席に行った時、嫌なものが目についた。そのお客さんは口説きがひどかった人だった。手に持っていたのはあの週刊誌。
    「これってゆかりちゃんだろ?矢口と付き合ってんの?」

    2005-08-23 02:35:00
  • 674:

    一瞬私は戸惑ったけど笑いながら否定した。あるわけないじゃんって。他にも気付いているお客さんはいただろうけど、直接聞いてきた人はいなかったから・・・
    「矢口と付き合ってるから辞めるんだろ?」
    「だから違うってば人違いだよ」
    そんなことを繰り返し話し、しつこかったからシャンパンを二本開けてもらいそのうちの一本を一気させた。お願いだから黙ってて!って思いながら。

    2005-08-23 02:39:00
  • 675:

    そのお客さんは酔い潰れて結局帰った。ありがとうございましたって最後はちゃんと握手して。お客さんはお客さんだから。
    やっぱり来てくれて嬉しかったし。送り出しも終わり、気付けばもうすぐ2時になる。それでもほぼ満席。お店のラストは3時なのに。
    あと1時間かあ・・・そう思ってフロアに戻ろうとした時、いらっしゃいませーという声に振り返った私はさらに驚かされた。
    晃太と健にいが二人で入ってきたからだ。
    「よっ!」

    2005-08-23 02:45:00
  • 676:

    「えっ!?よっ!じゃないよ何でいるの?」
    「今日帰って来て試合終わってから健のとこ行ってさ。由里のラスト祝いに来るつもりだったけど一人だと週刊誌のこともあったからついて来てもらったの。玲子ちゃんの仕事姿も見たいって言うし」
    そう・・・なんだ。あ、でも今そういえば英二も黒木さんもいるのに。気まずいや本当。とりあえずボーイさんに案内させて、奥の席に座ってもらった。
    ざわつく店内。レイからも六本木で晃太とのことは噂になっていたと聞いていた。私はレイに任せてあえてしばらく晃太達の席には行かなかった。

    2005-08-23 02:54:00
  • 677:

    そう言って英二は順番に早く持って来いとボーイをせかした。
    晃太もその光景を見ていた。黒木さんは黙って私を見ている。張り詰めた空気が痛かった。
    「お前さぁ、あいつとうまくいってんの?何か言える立場じゃないけど幸せなのかよ」
    英二にそう言われた時、ボーイがテーブルチェンジで呼びに来た。私は黙って席を立つとマネージャーに晃太の席が呼んでるからすぐ着くように言われた。
    「由里どういうことなんだよ何で来てるんだよ訳わかんねー。俺に怒っておいて自分も同じことしてたの?」

    2005-08-23 08:08:00
  • 678:

    席に着くなりいきなりそう言われた。レイと健にいが止めに入ってきたけど私は情けなかった。
    何でこんなことになるの?私の、私の最後の日なのに。どうして気持ちよく仕事ができないんだって。
    そう思うと本当に情けなかった。1番しちゃいけないことなのに。男のことは仕事に持ち込んじゃだめだってよく分かってるのに。
    六年ホステスをしてきた間、こんなこと一度もなかった。こんな姿、ずっと夜の世界で育ててくれた黒木さんに見られたくなかった。

    2005-08-23 08:13:00
  • 679:

    私は黙って席を立った。まだ店内には晃太達や英二達以外に七組もお客さんは残ってる。そうだ、私は最後の最後まで自分の仕事をしよう。自分で幕を下ろすんだから。
    六本木で何年もナンバーワンを張ってきたんだ。自分の実績、功績は今日しか見せられない。私がやってきた今までの全てをここで出し切って終わらないと。
    そう思った私は、残っていたお客さんの席をまた慌ただしく回った。英二の席でおりたピンドン以外、残りのシャンパン七本は私が私のお客さんにおろしてもらおう。

    2005-08-23 08:19:00
  • 680:

    順番に席を回ってお願いすると、ラストにシャンパンラッシュを浴びた。
    そして3時。お店はラスト時間を迎え、チェックが続き順番に送り出しをした。
    「今までありがとうございました!」
    私は今日、来てくれた全てのお客さんに帰りぎわ大きな声でそう言った。

    2005-08-23 08:23:00
  • 681:

    そして七組全てがお店を出て、残るはあの二席だけだった。先に英二と黒木さんの席に戻り、今日来てくれたお礼を言った。黒木さんは私を見て静かに口を開いた。
    「すごいラストだったなぁ。さすが由里だ。頑張ったな。忘れるなよ今日のこと。六本木にいたこと。由里がここで得たことを」
    全てを見てきてもらった黒木さんに言われた言葉は大きく私に響いた。

    2005-08-23 08:28:00
  • 682:

    −しかたない−
    そう思いながら入った夜の世界だった。なのに気付けばもうこんなにも時は流れてて。ホステスをして得たこと、それは何だったのか。
    お金?違う。そうじゃなかった。出会いが全てだった。私は幸せだった。たくさんの人に出会い、毎日楽しくいられた。
    お客さん達に必要とされることで自分の居場所を確立できた。黒木さんやレイ、こんなあったかい人達と出会えた。

    2005-08-23 08:33:00
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