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絆-Kizuna-

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  • 1:

    頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m

    2005-06-26 01:28:00
  • 81:

    朝は新聞配達。9時から3時までは保険会社でパート。
    今考えればよく分かる。何で朝早くに新聞配達をしていたか。私達が起きる前に働いておきたかったからだ。
    朝は私達四人の学校や幼稚園の用意もあるから、考えていたんだと思う。私達が学校に行ってからパートに行き、帰ってくる頃には帰ってきていた。
    私達と過ごす時間はちゃんと今まで通り変わらないままだ。でも、今まで来てくれてた参観日や行事ごとには来てくれなかった。

    2005-06-29 02:10:00
  • 82:

    まだあまり分からなかった私達は不満を口にしていた。
    何で来てくれなかったの?明日は来れるよね?って。でも楽しみにして待っていてもお母さんは仕事に行って来てくれることはなかった。
    その頃にはお父さんとお母さんの喧嘩はひどくなる一方。お父さんは酒癖も悪く、口も悪くなった。
    「誰のおかげで飯食ってんだ!あぁ?」
    まただ。また始まった。私は喧嘩が始まると弟達を集めていつもお風呂場に連れていく。殴られたりしないように。でも何でお風呂場だったのか。

    2005-06-29 02:17:00
  • 83:

    多分みんなでそばに寄り添えたから安心できたんだ。喧嘩する怒鳴り声はおさまることがなくずっと続いた。
    「私が働いてるから食べていけてるんでしょ!もう嫌!」
    初めてお母さんが大声で逆らった。いつもは絶対にそんなことなかったのに。
    ガシャーン、ドンドン。家の中では音が鳴りやまない。風呂場では一番下の妹、美恵が泣き止まない。まだ美恵は四歳になったばかりだった。
    二つ下の弟、由輝はもう慣れっ子なのか風呂にあったオモチャで遊ぶ。四つ下の恵里は黙って私のそばから離れない。

    2005-06-29 02:26:00
  • 84:

    しばらくしてガチャンと玄関が閉まる音がした。そっと部屋に戻るとお母さんが泣いていた。
    「大丈・・夫?」
    お母さんのそばにいくと殴られた痕が痛々しく見えた。
    「・・・んた達がいなかったら」
    聞こえなかった。
    「えっ?」
    私が聞き返すと今まで見たことのない顔で
    「あんた達がいなかったら出て行けるのに」
    とお母さんは言った。
    「いいよ。出て行っても。お母さんが泣かないでいいんなら。由里がご飯作ったり洗濯もして由輝達の面倒見るから」

    2005-06-29 02:37:00
  • 85:

    私は何故かそう言ってあげることが精一杯だった。何より私達がいるせいでお母さんが苦しむのなら、もう解放してあげたかった。
    お母さんは私を見てまた泣いた。そして私を強く抱きしめた。
    「由里ごめんね。いなくなったりしないから。お母さんはあんた達おいて出てったりしないから」
    私もその時久しぶりに泣いた。一番上だから、私まで泣いちゃだめだってずっと我慢してきた分泣き出すと止まらなかった。
    それを見ていた由輝や美恵、恵里も私とお母さんのそばで泣いていた。

    2005-06-29 02:45:00
  • 86:

    それからはお母さんは私に色々なことを話してくれた。私も六年生だったから、だんだん理解できるようになった。
    お父さんがたまにしか帰ってこなくなったと同時に、家には変な電話や怖そうなお客さんが来るようになっり、そしてそれが借金取りだったということ。
    お父さんが借金を作っていたこと。今でいうア○ムやア○フルなんてざらだった。街金どころか闇金、全部で16社からの借金があった。
    その頃は全部で200万弱だったと思う。私は小さい頃、お父さんに競馬場やパチンコなんかにも連れて行かれたことがあった。

    2005-06-29 02:53:00
  • 87:

    名無しさん

    しおり★

    2005-06-29 03:00:00
  • 88:

    競馬にパチンコ、麻雀。お父さんはギャンブルにはまっていたんだろう。
    小さい頃はお土産のチョコやお菓子が楽しみだった。今思えばただのパチンコ景品だったなぁ。
    喧嘩の原因は借金だったのだ。そしてお母さんが働いていたのはその返済のため、私達の生活のためだったと気付いた。
    でもまだ六年生だった私にはどうすることもできなかった。
    それから私は中学生になり、部活にも入らず家に帰ると家事の手伝いや掃除など、できることは全てするようになった。

    2005-06-29 03:00:00
  • 89:

    ある時、お父さんが久しぶりに帰ってきたと思ったらお母さんのカバンを取り上げ財布を探している。
    お母さんは必死で取り返そうとしたが財布は見つかり、中に入っていた全部のお札とお金の入っていた銀行の封筒を取って出て行った。
    私はぼーっと立ったまま何もできなかった。
    「由里どうしよう。返済のお金と生活費だったのに・・・。」
    その頃の返済は毎月17万。お母さんは新聞配達と保険会社のパート、夜もスナックで週三回のバイトを始めていた。朝の新聞配達は7万、パートは12万、夜は10万だった。
    全部合わせて30万切る。

    2005-06-29 03:10:00
  • 90:

    でもその三分の一は捨て金のようなものだ。
    どうしようと言われてもどうにもならない。お父さんは働いてもお金は一円も持って帰ってこず、全部ギャンブルで使っていた。
    自分の父親が情けなかった。憎かった。
    わずかに残っていたお金で食事には困らなかったが、電話は鳴り借金取りは毎日のように来る。近所迷惑なんて関係ないぐらい怒鳴り声を張り上げるのだ。
    同じマンションに住む同級生に見られたこともあった。恥ずかしいというより悲しかった。

    2005-06-29 03:15:00
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