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ちっちゃな黒猫の話。
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1:
せぇ
なぁなんで?
どこに行ったン?
いつも一緒だったじゃん
嬉しい時も悲しい時も
あんたゎ何にも言わずに
側にいてくれたよな。
あたしゎあんたの顔を見ただけで
あんたのふわふわの毛をなでるだけで
心が温かくなるのを感じてん。
なぁチビクロ
なんであんたが先に死ぬん?
人を幸せにするあんたが。2005-11-17 17:26:00 -
600:
せぇ
『なんしまたチビクロ連れておいでや!ヤマトがさみしがってんねん。』
校門を少し通り過ぎた頃、キョンはそう言って話を終わらせた。
『…ってかクラス発表!見るの忘れてたやん!笑』あわてて、くるっと回れ右をしたキョンは、少し照れくさそうにそう言った。『本間それな〜』と、あたしも回れ右をして、そう返事をしながらも、「キョンもそれなりに気を遣っていっぱいいっぱいになっててんやろな〜」と少し解って、やっぱり素直にうれしかった。2006-08-06 19:57:00 -
601:
せぇ
1、2歩歩いた時、突然、何も言わずにキョンがあたしの手をにぎった。
『何?!きもいねんけど!笑』って、あたしは相変わらずのかわいくない態度で、キョンの手を振りほどこうとしたけれど、だけど彼女はその手を離さなかった。
キョンの思わずの行動に、あたしはやっと気が付いて、キョンの目線の先を追う。
手に汗がにじむ。震える指で、キョンの手を握り返した。2006-08-06 19:58:00 -
602:
せぇ
…−仁だ。2006-08-06 20:00:00 -
603:
せぇ
さっき通り過ぎてしまっていたメイン掲示板には、新学期、新しいクラスを知らせる紙が張り出されている。
そしてその掲示板の前に、彼の姿はあった。2006-08-06 20:01:00 -
604:
せぇ
校門から、少しだけ続く桜並木道。
桜満開の季節は終わり、道行く学生の、靴に踏まれた花びらは汚い。
あの別れの日に舞い落ちてたきれいな桃色の花びらも、今日の泥の付いた茶色の花びらも、同じ桜の花びらなのに。
姿は、みじめに変わるばかりで。
…−それはまるで、恋愛みたいだと思った。2006-08-06 20:02:00 -
605:
せぇ
…−彼は、まだあたしに気付いていない。
2006-08-06 20:03:00 -
606:
せぇ
掲示板を見る仁の横顔に、微かにあの笑顔を見た気がした。
変わらない姿。たった数週間会っていないだけなのに、すごく久しぶりに顔を見た気がする。やけに眩しくて、思わず目をそらすけど、だけどすぐに視線は彼に戻る。
全身から、溢れだすようで恐かった。あたしの気持ちが。2006-08-06 20:05:00 -
607:
せぇ
『…痛ッ。』ギュッと、握ったままだったキョンの手を、あたしがますます力を込めて握ったせいで、キョンはその言葉と同時に少しだけ顔を歪ませた。『あ、ごめん』と思わずキョンの方を向く。涼しげな顔に戻して『平気』と笑う彼女を見て、あたしはすぐにまた視線を彼に戻した。
2006-08-06 20:07:00 -
608:
せぇ
『あ…。』
それが丁度、自分のクラスを確認したのか、彼がゆっくりこっちを向いた瞬間だった。
目と目が合う。2006-08-06 20:08:00 -
609:
せぇ
一瞬だけ期待した。彼が、あの癖のある笑顔で、あたしの名前を呼んでくれることを。
だけどその期待虚しく、目線はすぐに逸らされた。
彼は真っすぐあたしの方へ歩いて来て、それからすぐに通り過ぎていった。
そしてそのまま、あたしの後ろにある校舎入り口に消えていった。2006-08-06 20:09:00 -
610:
せぇ
震える膝をなんとか立たせて、あたしは一つだけキョンに聞いてみた。
『なぁ…人ってな?すれ違うだけで、こんなドキドキするもんなん?』
キョンは、少し間を開けてから、『人によるんちゃん?』とだけ言った。2006-08-06 20:10:00 -
611:
せぇ
2006-08-06 20:50:00 -
612:
せぇ
現実は、少女漫画や恋愛ドラマとはやっぱり違う。本当は、少しどころじゃない。もしかしたらって、奇跡を信じてた。
期待していたクラス替え、あたしと仁は−…
嘘みたいに一組と、六組。
クラスですら、今の二人を表すかのように遠く離れていた。2006-08-15 02:50:00 -
613:
せぇ
…−ため息を付くあたしの横で、キョンは一言、
『あたし一組やわ…』と気まずそうにつぶやいた。2006-08-15 02:53:00 -
614:
せぇ
始業式はただ憂欝だった。新しいクラスに、友達はいない。だけど、新しい友達を作ろうと思う気も起きなかった。RHRをさっさと終わらせて、あたしはキョンを待たずに家に帰った。
2006-08-15 10:47:00 -
615:
名無しさん
あげ
2006-08-16 14:06:00 -
616:
名無しさん
?
2006-08-16 18:52:00 -
617:
名無しさん
まってるよ?
2006-08-16 19:26:00 -
618:
せぇ
色んな気持ちが入り交じって、何が何だかわからなかった。自然と早歩きになったのは、今すぐ彼と、少しでも離れたところへ行きたかったから。
別に、もう一度がんばろうと思っていたわけじゃない。だけど、そう簡単に吹っ切れないことにも気付いてた。あたしはもう、昔みたいに独りぼっちじゃなくて、チビクロがあたしを待ってる。キョンが側にいてくれる。だけど、だけど…−
やっぱり、彼が好きで。2006-08-23 14:39:00 -
619:
せぇ
お互いに想い合ってるまま別れた。それには確かな自信がある。
だけど、今は?
今でも仁は、あたしが彼を想っているように、あたしを想っているんだろうか。
たった三ヶ月だ。一緒にいたのは。2006-08-23 14:43:00 -
620:
名無しさん
変わらない気持ちは確かにある。チビクロの、それみたいに。
だけど、人の気持ちなんてすぐに変わってしまうもので、それはあたしが一番よく知っていた。しょーちゃんや、元彼たちのように。
彼がいくらあたしを好きだった所で、時間がたてば、一緒にいなければ、
気持ちは変わる。2006-08-23 14:47:00 -
621:
せぇ
不思議なくらい、自分の気持ちが、マイナスの方へ、マイナスの方へ…−。
動いて行くのがわかった。だけど、止められなかった。自分で自分を押さえられない。
また始まった。2006-08-23 14:52:00 -
622:
せぇ
いっそのこと、『好き』とか『嫌い』とか、『彼女』とか『彼氏』とか、『付き合う』とか『付き合わない』とか、『結婚』とか、『永遠』とか。
全部、消えてしまえばいいのに。2006-08-23 14:55:00 -
623:
名無しさん
重い足取りのまま家に着いた。今のあたしは、まさしく“情緒不安定”だ。そんな自分が、少し恐かったりする。
始業式なので、終わったのは昼前。ママはやっと眠りだした頃だろう。そっと階段をあがって、そっと部屋のドアに手を掛けた。2006-08-23 15:01:00 -
624:
せぇ
『えっ?』思わずあたしは足を止めた。
タッ…バタバタ…、ドンドン
部屋の中で、めちゃくちゃに走り回るチビクロの足音が聞こえた。それから、急いでドアノブを開く。…瞬間、チビクロはいつかのごとく、爪を立ててあたしの体にかけ登って、あたしの胸元で落ち着いた。爪を立てられた足の部分が少しヒリヒリする。2006-08-23 15:08:00 -
625:
せぇ
フーッ、フーッ…と、肩で息して興奮しているチビクロを、あたしは軽く落ち着かせてから、何をしていたのかと部屋を見渡した。
だけど部屋にはこれといって見当たるものなんてなくて。あたしはただ単純に、不思議で仕方なかった。
2006-08-23 15:19:00 -
626:
せぇ
…
…
…
…
ニヤニヤと、口元が緩む。キョトンとした顔であたしを見つめるチビクロは、今度はあたしに声を出して笑わせた。2006-08-23 15:24:00 -
627:
せぇ
なぁチビクロ
あんたはいつも
あたしに元気をくれたね。
あたし達は、
二人で一つ。
前世でも来世でも
絶対そうやと思う。2006-08-23 15:30:00 -
628:
名無しさん
続きみたぃょ??
2006-09-02 20:08:00 -
629:
?
つづきみたい?
2006-09-11 00:42:00 -
630:
せぇ
更新遅れ申し訳ないです。
今から、一気に更新したいと思います2006-09-13 02:23:00 -
631:
せぇ
チビクロの、かけがえのない大切さと、特別な仁との失恋。両方を抱えながら始まった新学期。あたしの心境は
−…複雑だった。2006-09-13 02:27:00 -
632:
せぇ
すぐ側にいる大切な家族
いつも味方でいてくれる大切な友達
離れていってしまった大切な好きな人2006-09-13 02:29:00 -
633:
せぇ
大切な人がたくさんいるのは欲張りなのかな
大切な人を一人として失いたくないのは我儘なんかな
幸せを手に入れるのって、こんなに難しかったっけ..2006-09-13 02:35:00 -
634:
せぇ
けたたましい携帯のアラームと、カーテンからこぼれる眩しい朝日に、あたしは重たい体を起こす。
答えなんてでなくたって、朝は来る。
だから、もうあたしのものじゃない仁のいる学校にも、あたしはちゃんと行かなきゃいけない。2006-09-13 02:39:00 -
635:
せぇ
『…聖子、渡辺聖子!』
突然名前を呼ばれて、あたしは急いで返事をした。
どんなに考えたって結果がでないなら、何も考えなければいい。
頭をからっぽにするのは、意外と簡単だった。2006-09-13 02:42:00 -
636:
名無しさん
名前順の出席番号のおかげで、あたしは窓際一番後ろの特等席を手に入れていた。暖かく射す光が気持ちいい。ボーッとするのにもってこいの席だった。
当分席替えもないらしい。2006-09-13 02:46:00 -
637:
せぇ
出席を取り終えた新しい担任は、明日のテストの説明を延々と話始めた。
『はぁ…』
深くため息をついてから、あたしはなんとなく窓の外に目をやった。2006-09-13 02:54:00 -
638:
せぇ
…
…
…?
…!!2006-09-13 02:55:00 -
639:
せぇ
うちの学校の校舎は、やけに変な場所に立てられたせいで、やけに変な形をしていた。『狭い土地に、どんな建物で、いかに多くの生徒を収納するか』それだけのために考えられたかのような形。そのため、めずらしいであろう綺麗なU字で作られていた。
一学年に約250人、全6クラス。渡り廊下と呼ばれる橋でつながれた三つの校舎は、北、東、西にそれぞれ1、2組、3、4組、5、6組と順番に区切られ、並ばされていた。2006-09-13 03:08:00 -
640:
せぇ
つまり、西校舎にあるあたしのクラスと、東校舎にある仁とキョンがいるクラスは向かい合わせになっていて、あたしの窓際の席からは、小さく、だけどしっかりと仁が見えた。
数百メートル離れてはいるものの、彼も、窓際の席に座っている。2006-09-13 03:15:00 -
641:
せぇ
あたしの視力は良くも悪くもない。
表情なんて見えない。
だけど、間違えるはずがない。
あれは−…2006-09-13 03:19:00 -
642:
せぇ
パサ…ッ
突然、あたしの視界の端に、一枚の小さな紙が移った。前の席から回って来たその紙は、窓の外に夢中でなかなか気付かなかったあたしのせいで、ヒラヒラ揺れながら床に落ちたみたいだった。
拾い上げ、軽く目を通す。2006-09-13 03:28:00 -
643:
せぇ
−進路調査書−
小さな紙には、バランスの悪い大きな太字でそう書かれていた。2006-09-13 03:29:00 -
644:
せぇ
『名前と出席番号書いて。テスト後のHRで回収します。はいじゃぁ、今日のHRは終わり!解散!』
ガタガタと椅子を動かし、おしゃべりを始めるクラスメイト達のなか−…
あたしは、また新しく生まれな問題の種に、頭を悩ませていた。2006-09-13 03:37:00 -
645:
せぇ
不意に名前を呼ばれ、あたしはびっくりして声のするほうに振り返った。このクラスに、まだ友達と呼べるような子はいない。
2006-09-13 03:44:00 -
646:
せぇ
〔すごっ…!〕
あたしを呼び止めたのは、ぱっちりした大きな瞳の可愛らしい女の子。
だけど問題はそこじゃない。彼女は同性ですら目を引く巨乳で、あたしは思わず視線をそこに移した。背が低く華奢な為余計にそこに目が行く。
〔F…いや、Gはあるんちゃん?!〕
そんなことを考えながら、あたしは無愛想に『…何?』と一言聞き返した。2006-09-13 03:52:00 -
647:
せぇ
〔あ、やってしまった…〕そう自分でも少し思った。かなりふてこい言い方。
『あ、ごめんなこの子、人見知り激しいねん』
すかさずキョンがフォローを入れる。
『そんなんいいねん、気にしてない』
巨乳ちゃんは、にっこり笑ってまた口を開いた。2006-09-13 03:57:00 -
648:
せぇ
『あぁ…うん、それで?』同じ間違いをしないように、あたしなりに優しく言ったつもりではあった。
『あ、うん、失礼なこと聞くようやけど…』
それから、ほんの少しだけの沈黙。2006-09-13 04:02:00 -
649:
せぇ
一瞬にして空気が重くなるのがわかった。
だけどあたしにだってプライドくらいある。すこしだけためらったものの、あたしはちゃんと返事をした。
『うん、別れたけど…?』2006-09-13 04:07:00 -
650:
せぇ
彼女はその言葉を聞いた瞬間に、これ以上ないくらいに可愛くにこっと笑った。
『そっか!よかった♪噂で聞いたから、気になっててん。』
あたしはものすごく普通に、単純に〔あぁ、この子も仁のこと好きなんやなぁ・・・〕とか、そんなことを思って聞いていた。
彼女は何の返事もしないあたしを気にも止めず、そのままの笑顔で会話を続けた。2006-09-13 04:19:00 -
651:
せぇ
『あ、話中ごめんね、ウチ等これから買い物行くねん。やから…』
彼女の話は止まりそうな雰囲気もなく、その空気を呼んだのかキョンがそう口を挟んだ。
『あ、うん、そうやねん。早くいかな店閉まるから!ごめん、バイバイ』
すかさずあたしも続ける。
それから急いで教室のドアへと向かった。2006-09-13 04:31:00 -
652:
せぇ
『あ、うん。わかったぁ〜!ごめんね、引き止めちゃって。バイバイ、せぇちゃん♪』
そう言ってあたし達に手を振り続ける彼女の顔は、やっぱり笑ったままで−…
〔こいつ、危ない…〕そう感じると同時に、嫌な予感がした。2006-09-13 04:36:00 -
653:
せぇ
2006-09-13 04:37:00 -
654:
せぇ
『何あいつ、なんかおかしない?』
自然と早歩きで、急いで校門を出てから、キョンはあの会話以来初めての言葉を発した。
『うん…』
あたしは、頷くだけで精一杯だった。2006-09-13 04:42:00 -
655:
名無しさん
ずっと読んでます?
がんばってね(´∀`*)2006-09-17 23:30:00 -
656:
??
はじめカラよんでめっちヤ泣きました???かってるから余計?頑張って完結してください?
2006-09-18 02:02:00 -
657:
名無しさん
今日一気に1から読みました?? これからもよみたいので、是非完結させてくださぃ???
2006-09-18 07:40:00 -
658:
せぇ
ありがとうございます?
がんばります2006-09-20 04:16:00 -
659:
せぇ
家に着き、チビクロの頭を軽く撫でてから、倒れこむようにベットに寝転んだ。
『はぁ…』
自然とため息がこぼれる。
『仁君と別れたって本当?』…あの一言が、やけに頭の中をぐるぐる回る。2006-09-20 04:46:00 -
660:
せぇ
別れたよ。別れた。
だけど−…だからって、あたしの気持ちまでなくなるわけじゃないやん。
あんなに遠くからでも、彼を見つけれた。すごく遠いけど、毎日彼を見れる。
意地張ったってしょーがない。今のあたしには、それだけで十分だ。2006-09-20 04:47:00 -
661:
せぇ
ねぇチビクロ
あたしはあたしでよかった
あんたと出会えたから
あたしはあたしでよかった
彼と出会えたから
あたしがこの世に存在している理由。
答えは
これしかなくて、これだけで、これがいい。
そう思えたあの頃−
あたしはすごく
幸せやったよ。2006-09-20 04:47:00 -
662:
せぇ
『…コンビニ行こっと』
考えだしたら止まらない。だからあたしはいつものように頭をからっぽにする。気分転換ついでに、外の空気を吸いに行こうと、カバンの中の財布に手を伸ばした。
−グシャッ
引きずるように取り出した財布には、しわくちゃになった紙切れがくっついていた。思わずその紙切れを手に取り、しわを伸ばそうと広げる。2006-09-20 04:50:00 -
663:
せぇ
―進路調査書―
2006-09-20 04:51:00 -
664:
せぇ
『はぁ…』とため息をもうひとつつく。
進路かぁ…。
正直、〔とうとう来たか〕…って感じ。
あたしは…頭が良いわけでも勉強ができるわけでもない。将来の夢どころか、今やりたいことすら特になかった。2006-09-20 04:52:00 -
665:
せぇ
つまりは−…何もない。
これっていう特技や、好きなものがある子。やりたいことがある子。夢がある子。
何もないあたしには、そんな子たちが、すごく眩しくて、すごくうらやましかった。ずっと。2006-09-20 04:54:00 -
666:
名無しさん
よんでます?
2006-09-20 08:16:00 -
667:
名無しさん
同じく読んでます?
2006-09-20 22:39:00 -
668:
名無しさん
よんでるよ??がんばって?
2006-09-21 02:08:00 -
669:
せぇ
何度も言いますが、遅くなり申し訳ないです。本当にすみません。いつも書き貯めていて、一気に更新するように書いています。
こんな不定期更新の小説を呼んで頂き、すごくうれしいです。
これから更新します。2006-09-27 01:47:00 -
670:
せぇ
〔そういえば仁は…何かやりたいことあるんかな。〕
夢とか、聞いとけばよかったなと、ふと思った。2006-09-27 01:48:00 -
671:
せぇ
『ナッ!ニャ〜』
最近、チビクロは猫らしく鳴けるようになっていた。足元に擦り寄り、甘えてくるチビクロを、あたしはいつものように抱き上げた。出会った頃に比べると一回りも二回りも大きくなって、あっという間に、今じゃ立派な成猫だ。細くて長い手足に、ピンと伸ばした長い尻尾。大きな瞳の小さい顔。彼女は、あたしが今まで見てきたどの猫よりも素敵で立派だった。自慢の家族だった。2006-09-27 01:49:00 -
672:
せぇ
思い出ってやつは、時間がたてばたつほどキレイになる。
ケンカだってした。
仁は超がつくほどの気分屋で、ついさっきまで笑ってたのに、次の瞬間には機嫌を悪くしたりする。理由もわからず、オロオロするあたしに逆ぎれしたりする。それでいつもケンカした。2006-09-27 01:52:00 -
673:
せぇ
だけど
またすぐに機嫌を直して、
あたしをギュっと抱き締めてくれた。2006-09-27 01:52:00 -
674:
せぇ
あの時の、強くてやさしい感触。
彼愛用の香水と、セッタがまじったあの香り。
『ごめんな』って、照れ臭そうに誤る声。
顔を上げて目が合ったときのいつもの笑顔。2006-09-27 01:54:00 -
675:
せぇ
あの、癖のある−…
眩しいほどキラキラして
悲しいほど遠い思い出。2006-09-27 01:54:00 -
676:
せぇ
口元の右端だけをあげて、ふてこく笑う彼の笑顔を、あたしはまた思い出して。
真似して笑ってみた。
なんとなく、元気になった気がした。2006-09-27 01:55:00 -
677:
せぇ
変わらない日常。
変わらない気持ち。
仁への思いは消えないまま−…。2006-09-27 01:56:00 -
678:
せぇ
昨日と同じ朝
昨日と同じ学校
授業中、シャーペンを右手にくるくる回し、左手で頬杖をついて、遠く向こう側にいる仁を見つめる。2006-09-27 01:57:00 -
679:
せぇ
だけど反対に、彼があたしに気付くことはない。だって、彼はいつも寝てるから。
気付かれたら気付かれたで困る。だけど、気付いてほしい気もした。うまく、言えないけど。2006-09-27 01:59:00 -
680:
せぇ
〜♪
…あ。授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。それと同時に−…。
『せぇちゃん!』
そう呼ばれ、あたしは思わず聞こえてない振りをする。またかよ…。2006-09-27 02:01:00 -
681:
せぇ
『せぇちゃんってば!』 今度は肩を叩かれた。逃げれず、仕方なしに振り向いた。『今日こそお昼一緒しよ?』
−北山歩美。巨乳チャンは、何故かあたしに慣れこい。
『あ、ごめんな、今日学食やし、キョンが…』 『あたしも今日学食!ちなみに今日はキョンちゃん、休んでるみたいやで?』言い終える前に先に口を挟まれた。 『えッ…?キョン休みなんや…』〔ってか、なんでそんな詳しいん?〕
思わず喉まで出かけたこの質問を、あたしはあせって心にしまう。2006-09-27 02:04:00 -
682:
せぇ
『うん!だから…ね?』
今日コソ逃ガサナイヨ?
そんな顔で、彼女はにこっと笑った。2006-09-27 02:05:00 -
683:
せぇ
あの始業式の日以来、北山歩美はやけにあたしと仲良くしたがっていた。休み時間になる度に、あたしの元へ駆け寄ってくる。だけどあれ以来、彼女と仁の話はしてなかった。(といってもあたしがそうなる前に逃げてたからだけど。)
『…でさ!聞いてる?』 『あ、うん、聞いてるで』2006-09-27 02:07:00 -
684:
せぇ
…−今日のカレーは味がしない。いつもは大概、キョンを使って逃げていた。
あいつ、休みやがって…
『なんで別れたの?』
そしてそれはやっぱり来た。2006-09-27 02:09:00 -
685:
せぇ
『なんでって…なんで?』あたしはなんてことない風に冷静を装った。だけど、カレーを口に運ぶスプーンが一瞬止まったことに、彼女は気付いただろうか。
『そりゃ気になるじゃん!好きな人の元カノの話だよ?これから先の参考にもなるしさ!』
…元カノ?これから先?2006-09-27 02:11:00 -
686:
せぇ
『…ははッ。なんもないよ別に。普通に別れただけ。これといった理由なんてないで。』
『え〜ッあるでしょ、なんか!浮気されたとか、ダメなとことか、なんらかの地雷とか?』
『…地雷?』
あ、思わず口に出た。そんなの−…2006-09-27 02:13:00 -
687:
せぇ
『ホスト!…やからとか!?』
んッ!
思わずむせて、あたしは急いで水を口に運ぶ。2006-09-27 02:16:00 -
688:
せぇ
頭に浮かんだ言葉をいきなりこいつにぴったり言い当てられるとは思ってもみなかった。ゴホゴホと咳き込むあたしを心配もせず、 『知らなかったの?!』 …とあたしを見つめる彼女の顔には、
軽い優越感が見えた。
『知ってたよ。』
ようやく話が出来るまでに落ち着いてから、あたしははっきりと一言返した。2006-09-27 02:21:00 -
689:
せぇ
『じゃあ、やっぱそれが原因?』 彼女の質問は尽きない。どうしようかな−…そう考えてた時だった。
『歩美!』焦った声で、目の前の女を呼ぶのは…間違える訳ない、仁だった。
『あ!仁君☆』うれしそうに彼女は立ち上がり、走って彼の方へ駆け寄っていった。思わず彼女を目で追う。その先にいるのは…もちろん彼だ。2006-09-27 02:22:00 -
690:
せぇ
入学式以来、彼をこんなに間近でみたのは初めてだった。
『ごめん、ちょっとこいつ借りんで?』
あたしと目が合い、少しだけ間をあけてから、彼はあたしにそう言った。2006-09-27 02:23:00 -
691:
せぇ
『あ、いいよいいよ。昼休みもうすぐ終わるし、あたしもうご飯食べ終えたし、先教室戻っとくから』−…そう言って、半分以上残ったカレーのプレートを持ち、あたしは早足でその場を立ち去った。
ザワザワと騒がしい広い食堂の中、『なんであいつと一緒にいてるん?!』
焦ったような声で、北山歩美に問い掛ける仁の声が、遠く後ろで、小さく聞こえた。2006-09-27 02:25:00 -
692:
せぇ
教室に戻り、ふと我に返る。昼休みは、あと20分も残っていた。
“昼休みもうすぐ終わるし、あたしもうご飯食べ終えたし”−…さっき言った言葉が頭の中をグルグル回る。
バレバレの嘘ばかりを並べて逃げたあたしは、どんなだっただろう。2006-09-27 02:28:00 -
693:
せぇ
ねぇ仁。
あたし
ちゃんと話せてた?
ちゃんと笑えてた?2006-09-27 02:28:00 -
694:
せぇ
こんなに、人を想ったことなんてない。
あれだけ、欲しいと願った人なんていない。
ねぇ仁。
約束してや。
あたしを好きだと。
ずっと一生側にいるって。
嘘でも、叶わなくても
そう言って。2006-09-27 02:38:00 -
695:
せぇ
《さっき、仁と話した。》−送信完了しました−
数秒後、かかってくる電話。つらそうな声。
着信>>キョン2006-09-27 02:41:00 -
696:
せぇ
『な゛んで?!』ズビズビの鼻声のくせに、声だけはやけにでかい。あぁこれでか。バカは風邪引かないって嘘やってんや。笑
『寝とけ』そう言って電話を切った。
後でお見舞いにいこう2006-09-27 02:44:00 -
697:
せぇ
北山歩美は、
昼休みが終わっても
帰ってこなかった。2006-09-27 02:46:00 -
698:
せぇ
『なぁ、仁、多分あんたのこと好きやで。』何を思ったか、鼻声でキョンはそう言った。
『はッ?!』その言葉に、あたしはこれ以上ないくらい驚いていた。
『来ると思った(笑)』
あたしがキョンの部屋に入った瞬間、そういってニヤリと笑った彼女の顔は、どことなく仁に似ている気がした。2006-09-27 02:54:00 -
699:
せぇ
『ナイナイナイナイ!!』全力で否定するあたしに、『いや、絶対そうやって。根拠は無いけど。』そう言ったキョンは、あたしが持ってきた冷えピタをおでこに貼って、見事に説得力ゼロやった。
2006-09-27 03:00:00 -
700:
名無しさん
よんでます?
2006-09-27 03:33:00 -
701:
名無しさん
更新されてる〜?嬉しい?
2006-09-27 20:31:00 -
702:
名無しさん
更新まだかな〜
2006-10-20 11:46:00 -
703:
名無しさん
さ
2006-11-07 01:05:00 -
704:
名無しさん
あ
2006-11-11 09:10:00 -
705:
??
よんでます?完結まで頑張ってください???
2006-11-12 09:27:00 -
706:
名無しさん
主さん続き書いてほしい??
2006-11-21 02:17:00 -
707:
名無しさん
忙しいのかな?
2006-11-29 05:26:00 -
708:
名無しさん
書いてほしいです?
2006-12-15 07:59:00 -
709:
名無しさん
おーい?
2007-02-27 07:08:00 -
710:
名無しさん
書いて?
2007-04-23 12:11:00 -
711:
名無しさん
チビクロは…?
2007-04-23 15:21:00 -
712:
名無しさん
読みたぃです?
2007-04-24 02:36:00 -
713:
名無しさん
放置かよ。2005年から書き初めて完成しないってどうゆうこと??はじめからやる気ないやろ。マイペースにもほどがあんで
2007-04-27 23:25:00 -
714:
名無しさん
放置かよ??
2007-05-06 09:59:00 -
715:
名無しさん
めっちゃこの話すきやったのに?
2007-05-07 23:57:00 -
716:
名無しさん
?
2007-09-08 05:55:00 -
717:
名無しさん
あげ?主さん書いて下さい(´・A・)何かあったんかな??大丈夫かなあ??
2007-09-21 17:34:00 -
718:
名無しさん
続き、出来れば読みたいです。
2007-09-22 03:36:00 -
719:
名無しさん
あげ
2007-12-31 15:45:00 -
720:
名無しさん
すごく感動していい小説と思ってせぇさんの事を尊敬してたのに、猫蹴るとか最低人間じゃない
2008-01-10 15:27:00 -
737:
名無しさん
うそっ?完結したと思って最初から読んでしまった?続き気になる?
2008-01-26 23:22:00 -
738:
名無しさん
かいてよう?
かいてよかいてよ???2008-06-28 22:39:00 -
739:
名無しさん
かいて?
2008-11-07 01:58:00 -
741:
名無しさん
客の名前もあゆみかなんかじゃなかった?
2008-11-07 05:57:00 -
742:
名無しさん
あげ
2009-03-12 00:09:00 -
743:
名無しさん
あげる
2009-06-19 02:27:00 -
744:
名無しさん
はい
2011-09-12 23:42:00 -
745:
削除削除されますた
あぼ~ん -
746:
削除削除されますた
あぼ~ん