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328:
私の胸はしめつけられ、苦しくて言葉がでなくなり、蒼を抱き締めたまま私はイスの上にくずれおちた。
慶太は、横のイスに座ったままで、俯きながら涙を流していた。2006-04-28 15:08:00 -
329:
私は蒼を抱いたまま病室の外のイスに座り、慶太は手続きなどをしていた。
慶太は先生から話しをされたらしく、私に力なく言ってきた。
『俺達が帰って、しばらくはあのまま落ち着いていたそうや――・・・でも、夜中になって急に容態が急変したらしくて――・・・先生も、あらゆる手をつくしてくれたらしいんやけど、助けてやれる事ができなかったらしい――・・・』2006-04-28 15:10:00 -
330:
慶太から蒼の死因を聞き、また涙が溢れでてきた。
蒼の病気は、5年の生存確立も低いと言われていた――・・・
それでも私達は蒼が助かると信じて、蒼と一緒に闘ってきた――・・・2006-04-28 15:18:00 -
331:
この日がくる事なんて考えてもみなかった――・・・
私達、親よりも先に逝ってしまった蒼――・・・
こんなにも、この日が早くにくるなんて――・・・2006-04-28 15:19:00 -
332:
私は、先生を責める気など全くなければそんな気も全くおこらなかった。
逆に、先生には大変お世話になりっぱなしで、感謝の気持ちでいっぱいだった。
でも、今は蒼の事でいっぱいいっぱいで、頭を下げる事しかできなかった。後日、また改めて病院を訪れる事にして、私と慶太と蒼は、我が家に帰る事にした。2006-04-28 15:21:00 -
333:
家に着き、黙ったまま私は蒼を寝室に連れて行った。
『蒼―☆―お家だよ―☆―久々に帰ってきたね〜―☆―もうどれぐらいぶりだろう――3ヵ月もお家に帰ってこれなかったんだね――やっぱりお家が落ち着くやろ―??☆―だって、蒼がずっと帰ってきたがってたお家やもんな―☆―』
ベッドへ寝かせた蒼に私は、蒼の頭を撫でながら、声を震わし泣きながら笑顔で言う。2006-04-28 15:23:00 -
334:
『―ママ、ホンマ泣き虫さんやわ―☆―蒼を不安にさせない為に、泣けへんって決めたのに、何でやろう―――ママの目からいっぱい涙が溢れでてくるわ―――駄目やね、ママ―☆―本当は、蒼が一番泣きたいのにね――痛かったやろう―??―苦しかったやろう―??―辛かったやろう―??―蒼は偉いね―☆―だって、ママみたいに泣いたりしなかったもんね―☆―でも、もっと甘えて良かったんよ―??―もっと泣いて良かったんよ―??―そんな蒼が可愛いんやし、それで当たり前やったんやから―☆―でも、蒼―――何で―――何で最後まで――泣かずに笑って逝っちゃったん―??―ねぇ、蒼―――ママ達――寂しいよ――・・・』
2006-04-28 15:24:00 -
335:
泣きながら笑顔で言っていた私は、笑顔などなくなり、悲しい顔をして声をあげ泣いた。
今まで我慢していた我慢の糸が、大きな音をたててプツンと、切れた――・・・2006-04-28 15:25:00 -
336:
私達、夫婦の生きがいだった蒼――・・・
天使の様な笑顔でいつづけ、天使の様な顔で産まれてきてくれた蒼――・・・
その蒼が、この日、本当に天使になってしまった――・・・2006-04-28 15:27:00 -
337:
気付けば、もう朝になっていた。
私は思いっきり泣き、ずっと蒼の傍にいつづけ、蒼の手を握っていた。
もう握りかえしてくれるわけぢゃないのに、ずっと握り続けていた。2006-04-28 15:28:00