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  • 1:

    優愛(ユウア)

    実話を元にしたフィクションです。

    2005-11-22 23:36:00
  • 2:

    優愛

    引っ越しの荷物を
    片づけていた手に何かがコツンと優愛の手に当たった。
    ―何やろ?―
    優愛は、それをおもむろに手に取り自分の前へ引き寄せた。それは、小さなアルバムだった。

    2005-11-22 23:41:00
  • 3:

    優愛

    ―こんなん持ってたっけ?―首を傾げながらアルバムを開くと小麦色の肌に白い歯を見せ優愛に笑いかける一人の少年の姿が飛び込んできた。
    「ママこれだぁれ?」まだ幼い優愛の娘真奈華が彼女の視線の先に映る少年を指すと彼女の顔を瞑らな瞳で見つめていた。

    2005-11-22 23:45:00
  • 4:

    優愛

    彼女は真奈華を膝に座らせ優しく頭を撫でた。
    ―――――――――ちょうど今から八年前。
    彼女と写真に映る彼は出会った。

    2005-11-22 23:47:00
  • 5:

    優愛

    「え〜。今から転校生を紹介する。入りなさい」
    先生に呼ばれざわつく教室にスタスタと入って来るなり満面の笑みを浮かべた彼は「朝霧咲斗です。」とペコリと頭を下げた。

    2005-11-22 23:51:00
  • 6:

    優愛

    明るく剽軽な咲斗はすぐにクラスに打ち解け男子からも女子からも慕われた。
    ただ優愛だけは、そんな咲斗を胡散臭気に見ていた。
    「朝霧君おもろいよなぁー」
    優愛の親友の聖が優愛に話かける。
    「そうかぁ?何か胡散臭いわ」優愛は咲斗をチラッと横目でみると顔をしかめた。「ホンマ優愛は疑り深いよなぁ」
    今度は絵梨香が困ったように苦笑いする。

    2005-11-22 23:58:00
  • 7:

    優愛

    そんな二人を優愛は訝しげに見上げ
    「さっきからなに?二人して何か言いたげなやなぁ」
    「さすが優愛!察しがええわ!」等と彼女をおだてはじめる彼女達の顔を不審そうに見る。
    「実はな、咲斗らと今日遊び行く約束してんねん。」何が嬉しいの聖の顔に笑顔が浮かんでいた。

    2005-11-23 00:03:00
  • 8:

    優愛

    「ふ〜ん。」興味が無いのか優愛は、気の抜けた返事をすると窓の外に目をやる。
    開け放たれた窓から夏の匂いが風に運ばれ彼女達を優しく包んだ。

    2005-11-23 00:08:00
  • 9:

    優愛

    絵梨香と聖は互いに顔を見合わせ肩をすくめた。

    2005-11-23 00:09:00
  • 10:

    優愛

    一日の授業が終わると優愛は、さっさと帰る支度を始めていた。
    そこへ一人のクラスメイトが優愛の方へ歩いて来るとヒョコッと彼女の顔をのぞき込んだ。
    澄んだ瞳が彼女を見つめる。
    「なっ!!なに?!急に人の顔覗き込んで!!」
    突然の彼の行動と吸い込まれてしまいそうな瞳に見つめられた彼女は動揺を隠そうと怒ったように咲斗を睨みつけていた。「怒らんといてや。河瀬も行くやろ?」と無邪気に笑う彼が何を言っているのかわからず暫くポカンとしていたが、昼休みに聖達が言っていた事を思い出すとカバンを手に取り彼に「行かん」とだけ言い残し教室を後にした。

    2005-11-23 00:23:00
  • 11:

    優愛

    今日はここまでにします(^-^)

    2005-11-23 00:23:00
  • 12:

    名無しさん

    あげ

    2005-11-28 15:19:00
  • 13:

    優愛

    げた箱で靴に履きかえていると、バタバタと足音が近づき優愛の横で止まる。
    チラッと横目で見やると咲斗だったが優愛は見なかった振りをし正門へと足早に向かう。
    慌てて追いかけてくる彼に苛立ち歩くスピードがあがるが負けじとついてくる彼にとうとう怒りを押さえきれず勢いよく振り向く。
    「あ〜。やっとこっち向いてくれた」
    咲斗の無邪気な笑顔に力が抜け小さくため息を吐く。
    「で?なに?」
    「遊ぼう?」
    さらに脱力感を覚えた優愛は大きくため息を吐くと冷たい視線を咲斗に向ける。「悪いけどそんな暇ない」
    そう言うと彼に背を向けようとしたが、優愛の手を力強く引っ張るとどんどん歩き始めた。
    「ちょっ…なにすんの!」
    下校途中の生徒達が不思議そうに二人を見ていたが気にするでもなく彼は優愛を引っ張ってゆく。

    2005-12-04 17:26:00
  • 14:

    優愛

    連れて行かれた場所は、見慣れた緑地公園の土手だった。
    息を切らせながらも咲斗を睨みつけ「なんなんよ!」怒鳴りつける。そんな彼女に相変わらずニコニコと笑顔のまま見つめていた彼は何も言わず土手に座ると優愛にも座れとゆうように自分の隣をポンポンと叩き微笑んだ。
    呆れながらもこうなったら何なのか聞いてやろうと不機嫌な表情のまま彼の隣に腰掛けた。

    2005-12-04 17:32:00
  • 15:

    名無しさん

    ???

    2005-12-05 00:59:00
  • 16:

    名無しさん

    ???

    2005-12-05 03:26:00
  • 17:

    優愛

    優愛が隣に座ったのを確かめると咲斗は微笑んだ。
    「なに?気持ち悪いなあ」咲斗に見つめられ照れ隠しに更に不機嫌な表情をみせる。
    「なぁ。めっちゃ天気良いよなぁ」
    そんな優愛を無視し咲斗は雲一つない空を見上げ背伸びをすると草むらに寝転がった。

    2005-12-07 00:45:00
  • 18:

    優愛

    そんな咲斗に釣られ優愛も空を見上げた。夏の匂いと澄んだ空に包まれ何か心が軽くなる。
    「そうやって笑ってればいいのに」
    突然の咲斗の言葉に驚き振り向くといつになく真面目な顔をし自分を見つめていた。
    「いつも無理して笑ってる。もっと素でいいのに。」
    自分の心を盗み見られたような気がし優愛は表情(カオ)を曇らせると何も言わず立ち上がり、彼に背を向けスタスタと歩きだした。
    その様子をポカンとした表情で見つめる咲斗の目の前に立ち上がった勢いでヒラヒラと舞い落ちてきた一枚の写真を拾い上げると写真に目を落とし去ってゆく優愛を見つめていた。

    2005-12-07 02:15:00
  • 19:

    優愛

    ―何なん?!知った風な口聞いて何がわかるんな!―
    怒りにまかせズンズンと歩いていた優愛だったが突然立ち止まるといつのまにか頬を伝う涙をそっと拭った。
    ―泣かない。泣くもんか!!―
    そっと吹いた風が
    優愛に懐かしい声を運んできた。
    <優愛泣くな。
    いつもみたいに笑ってや>
    その声に驚き慌てて辺りを見渡すが誰もいない。
    ―気のせいか…―
    ガックリと一度は肩を落としたが、首をブンブンと横に振ると赤く染まった空を見上げ笑ってみせた。

    2005-12-07 20:11:00
  • 20:

    優愛

    ―――――――――あれから咲斗とは、何も話ていないとゆうより、彼を避けていた。
    「なぁなぁ優愛。今日帰りに……」
    いつもなら楽しいはずの放課後の予定をたてるのも何だかつまらなく感じる。
    でも優愛は皆に合わせ笑顔を作るしか出来なかった。
    斜め後ろから友達とふざけながらも自分に向けられる咲斗の視線を感じたが気づかない振りをすることでやり過ごしていた。

    2005-12-07 20:16:00
  • 21:

    優愛

    どんどん盛り上がってゆく雰囲気についていけず一人取り残されたまま優愛はトイレへと立ち上がる。
    「ゆうあ?どこ行くん?」部屋から出ていこうとする優愛に気づき聖が後ろから呼びかける。
    「うん。お手洗い」振り向き様、無理矢理笑顔を浮かべるとそのまま部屋を後にした。
    「はぁ〜」鏡に映る自分に向かって大きなため息をつく。
    「なぁ。」
    突然背後から呼ばれギョッとし鏡に映る人影に視線を移す。「またあんた?」
    「これ。落としたやろ?」
    そう言って咲斗がひらつかせたものを見ると慌てて取り戻そうと手をのばす。
    「おっと…。」少し後ろによろけながらもそれを交わすと、意地悪な笑みを浮かべたまま優愛の腕を掴んだ。

    2005-12-07 20:35:00
  • 22:

    優愛

    「ちょっ…放して?!」
    振り解こうと暴れるが思ったより強い力で掴まれ逃れられない。「この人だれ?」
    「…………。」
    咲斗の問いに何も言わず俯いていると
    「教えてくれな返さんで?」咲斗が優愛の耳元で囁く。
    「……ちゃん」
    「えっ?」
    「だから兄ちゃんやって言ってんねん!!」優愛はキツク咲斗を睨みつけた。
    「へっ?兄貴?」
    拍子抜けしたのか、間抜けにも口をぽかんとあけている彼の手から写真を奪い取るとトイレから出ていこうとドアに手を伸ばした。
    「兄貴やったらいつでも…」
    「死んだんや!うちのせいでな!」
    彼の言葉を遮り呟くともう一度、彼を睨んだが、その瞳に涙が浮かんでいた。
    「かわ…せ…?」
    彼の驚いた様子に自分が泣いていることに気づいた優愛は慌てて外に出ると走り出した。

    2005-12-07 21:53:00
  • 23:

    名無しさん

    書かないの?(;_;)

    2005-12-09 02:12:00
  • 24:

    優愛

    それから期末試験が始まり優愛と咲斗が話すことは無かった。試験が終わると夏休みに入り
    優愛は、友達と遊ぶ以外は宿題に励み夏休みも早々に宿題を済ませてしまった。「今日はどこ行こか?」
    暑さから逃げるように喫茶店に駆け込みクーラーの涼しい風にあたりながら優愛達は何をしようかと考えあぐねていた。「ミナミ!ミナミ行こうや?!」
    突然の聖の提案に
    ポカンとする優愛。「ええなぁ〜。地元飽きたし…」いつになく乗り気な鈴華と絵梨華に気圧され苦笑いを浮かべると、四人はミナミへと向かった。

    2005-12-11 20:16:00
  • 25:

    優愛

    電車の車内いつになくはしゃぐ3人をどこか遠く感じながらも相づちを返していた。
    そうこうするうちにミナミに着くと何処へ行こうかと考えたが結局、何も思い浮かばなかったので、とりあえず4人は、ぶらぶらと歩くことにした。
    「なぁ。どっかで休めへん?もう歩かれへんわ。」そう言って猛暑の中、真っ先に音をあげたのは、言い出しっぺの聖だった。

    2005-12-11 20:22:00
  • 26:

    優愛

    鈴華と絵梨華は双子の姉妹だったが、優愛は鈴華をどうしても好きにはなれなかった。
    喫茶店でくつろぐと4人は、再び外へ出た。
    「なぁ。服買いに行こう?」
    聖が言うが早いかさっさと歩き出したので3人は慌てて後に続く。
    散々歩き回って買った服の入った袋を下げ満足気な一行。
    「なぁなぁ、自分らどこ行くん?」
    突然呼び止められ振り向くと優愛は彼の姿に息を飲んだ…
    「お…にぃ…?」
    「…へ?」
    「あっ…何でもないです」
    ―おにぃが生きてるわけない。他人の空似―
    そう自分に言い聞かせると大きく被りを振った。
    「変な子やなぁ〜」その様子を見ていたおにいに似た彼はおかしそうに笑った。笑顔まで似ている。「ほんでどこ行くん?」彼女たち4人の顔を交互に見るともう一度聞いた。
    「どこって…なぁ?」聖が助けを求めるように絵梨華を見る。「お腹空いたからご飯食べに行くとこやけど?」

    2005-12-12 11:17:00
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