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〜幸せの見つけ方〜
-
1:
優羽
このお話はノンフィクションです?
2005-11-19 15:21:00 -
2:
優羽
(幸せって一体なんなんやろ…?)
毎日トボトボ歩いて仕事にいく、稼いだお金は寂しさを粉らわす為のホストに流れる、酔って帰れば1人の部屋、、、。彼氏??居ないイナイ…強いてゆうなら色をかけてくる色恋ホスト君くらい…。明け方のベッドのお共は、そんなホスト君にUFOキャッチャーで取ってもらった、見た目は可愛い、中身は安いプレゼントの縫いぐるみ。女に生まれてきて、女の子らしくも何もない私の生き方……。トーゼンと言っちゃえばソレ迄なんだろうな…。2005-11-19 15:33:00 -
3:
優羽
だって私は風俗嬢…。スカウトがきっかけで17歳で、コノ色めく世界に入った。
これといった夢もなくて若いうちから大金を稼いじゃって、金銭感覚狂っちゃって、どうしようもない程の寂しがりから稼ぎの殆んどが飲み代に消えちゃって、我がまま気ままで痛客にまでなった、おまけに人生を甘く見ちゃったトカ、、そんな最低なアタシだもの。……周りの友達は彼とラブラブ…プレゼントで付き合いの価値を決める訳じゃないけど、最初のプレゼントにフェンディの腕時計などなど……。羨ましいのが本音…でも自分のことは良く分かってる……(シアワセに向き合おうともしないくせに何がシアワセになりたいの?)2005-11-19 15:47:00 -
4:
優羽
別にホストに狂わなくても、【普通】の人に縁がない訳じゃない。ただ…これも若い内から背伸びしちゃった代償なのかな…(言い訳なのかもしれないけど)。優しくされたり大事にされるだけぢゃ物足りなくて…簡単に手に入る安らぎには目を向けることが出来なかった。これが私のかなりイタイ所…。ホス彼に宿カノにされても気付かずに、好きに使われても【これを越えれば愛がある】って信じてたから、、(苦笑)
2005-11-19 15:59:00 -
5:
優羽
あの頃は、幸せになることを簡単に考えていたのかもしれない。お金の価値も見い出せてなかった。男も足蹴にして、、気付けば取っ組み合いの喧嘩で残ったのは体の痣と、自分を悲劇のヒロインに仕立てる考え方だけ。自分の体の事も玩具みたいに扱っていた……何の夢も持たずに。イタイ壁にブツからずに生きていく術だけは身に付けて…何事にも逃げてばっかりで向き合うなんてコトはしなかった。ドップリ甘ったれた生き方…。そんなアタシだったから、神様から天罰は下された…。あれは優羽が21歳になったばかりの冬の出来事…
2005-11-19 16:11:00 -
6:
優羽
『優羽仕事やで。○○にいって』
その当時はパツ屋で働いていた。ヘルスから流れに流れてソープ…そして置き屋。夢を持たずにダラダラしてたから、流れついてしまった居場所。風俗4年目、21歳になっても貯金は0、飲み代と未収の為に働く毎日は相変わらず…周りに馬鹿と罵られても、サイトで叩かれても他人事みたいに聞きながしてた。『今日は3本かぁ………(溜め息)』とっくに17歳の頃のような素人の肩書きで売れていた頃の勢いはなくなってしまってた。パネルも何もなく、置き屋では戦力は自分の腕次第だとゆうのに……、適当にこなしてきた自身の責任。2005-11-19 16:23:00 -
7:
優羽
『ごめん、今回の支払い間に合いそうになかった……』落ちた売り上げのせいで、月始めに計算していた予算と合わず、締め日に間に合わなかったので詫びをいれに担当の彼(色)に話をしにきた。『はぁ?だから未収大丈夫かって聞いたやんけ!!』『予定外のもんまでアンタが勝手に卸したんやんか!』…こうなればどっちが正しいも間違いもない…血の気の上がった男は暴力を振るうだけ…『あんたが暴力するから商売道具の体が売れんのやわ!!』暴力は怖くてたまらないのに飛んでくる手と足に応戦するかのようにクチは罵声を浴びせることを止めない。。。。(いつもこうだ…いつも!男なんて……!!)途中、他店のホストに笑われたりキャッチされながら、まともに歩けない体でタクシー乗り場までひきづっていった。タクシーの白いシートに座ると『姉ちゃん大丈夫か?ほらティッシュ。いくらでも使ったらええから血ぃでてるとこ拭きぃ』…おっちゃんの声は温かい…
2005-11-19 16:36:00 -
8:
優羽
『ありがとぉ……ヒック…ック』…しんみりした空気におっちゃんがクチを割る『姉ちゃんホストいってるんか?…おいちゃんの仕事がら色んな人のせるけどなぁ…姉ちゃんみたいな子よぅ乗せるわ、泣いてたり、愚痴がとまらんかったり、傷だらけの子やったりな…色んな話聞くわ。けどな、あんまり自分を無駄生きさせるようなことしたらあかんで……父ちゃんと母ちゃんが悲しむさかいに…まだアンタ若いから、まだそんなん言うても意味分からんかもしれんけどな…』そんなおっちゃんの厳しくも温かい言葉を聞きながら、吸い込まれるようにシートに上半身を倒れた…(親が悲しむ…か…。)
2005-11-19 16:43:00 -
9:
優羽
私は17歳で家をでたきり一度も実家には帰ってない。両親は私が幼い頃からずっと別居状態…お互い彼氏彼女がいる。実家には母と母の彼氏と弟が住んでいて、私が実家を出ていっても携帯番号は変わらないのに連絡すらない、私もかけない。問題児がいなくなって、せいせいしてるんぢゃないかな。優羽の母はかなりのヒステリーで、とても弱い人、母として生きていくよりも女として生きていくことを選んだ人。そして…男をダメにしてゆく人。私はそんな母も母の恋愛模様も大っ嫌いだった。あんな風にはなるまいと幼い頃から思いながら生きてきた、でも本当は私も子供、甘えたい…抱き締められたい…。そんな矛盾と格闘した結果、かなりの個性と、かなりの強気な性格になってしまった。男を足蹴にしてしまうのもそんな環境からかも……。タクシーを降りたら、1人の部屋。ベッドに潜り込む…(私に親なんていないよ…)そう自分にいい聞かせた。寂しさと拒否感でまた矛盾してしまいそうだったから…。目から溢れる涙で鼻がグシグシになってる。傷口にしみてピリッと痛い。でも…涙ってこんなにも温かいんだ…。寂しさからくる涙は自分の素直さがにじみ出てく
2005-11-19 17:08:00 -
10:
削除削除されますた
あぼ~ん -
11:
優羽
あれから未収は働いている店からバンスして返した。あれっきりオラオラ担当にも関わらないことにした。
優羽は誰に祝われることもなく、21歳になった。新しい歳の始まりのせいか少しづつ前に向き合わないといけないような気がしてた…。風俗もわずかなバンスを返したら辞める、そう決めたのだ。今まで馬鹿はしてきたし、学歴もない自分だけど、根拠のない(大丈夫)をいい聞かせて、新たな旅立ちを決めたのだ。気分を変えたら気持ちが明るくなった、辞めると決まった瞬間、肌にも時間にもハリが出てきた。心なしか【幸せ】って感じがする。これから全て上手くいくかと思ってた21歳の冬。暗雲は突然目の前を覆った。2005-11-19 17:17:00 -
12:
優羽
(あっれ……おかしいな…前の生理っていつやったっけ?)
カレンダーを繰り返し見ても日にちがあわない…。(色いろあったからズレとんかな…)
『優羽、お前休み言わんけど生理きてるか?』…ビクッ。店長からトドメを刺すような言葉がこぼれた。『あっ…いや、きてへんけどストレスでズレてんちゃうかなと思って…』不安が表に出まくりの私の声に、まわりの空気がズンっと沈む。『お前、前の生理いつきた?』……日にちを言うと『おい、ズレとる以上の問題やんけ。誰か検査薬買ってきたってくれ』…ちょ!!マヂ?『いいって!ただズレてるだけやねんってば!余計なことしやんくてええよ!』訳が分からなくなって気が動転してしまっている。『ええからお前は黙っとけ!ほんなら最近よくトイレにこもってんのは何でや?言うてみ』…。あっ…最近ごはんを食べては気持ち悪くなって戻してばかりだ…。『ほら、買ってきたで。』ヘルス時代からずっと付き合いがある先輩から検査薬を手渡された。準備が整った検査薬を伏せた。見る気が怒らなくて足をかかえこんでウズくまってしまった。2005-11-19 17:31:00 -
13:
削除削除されますた
あぼ~ん -
14:
優羽
『もう結果でてんとちゃうか?』店長が静かに言う。まわりも緊張に包まれていた。震えた手を検査薬に近付ける……(どないしたらええんやろ…)頭では色んな出来事が頭をまわってきた。グッと検査薬を握り締めた…。飛び抜けた緊張で力が抜けそうになるのを必死で堪えて、検査薬を目にした…
2005-11-19 17:34:00 -
15:
優羽
(……………。)
シーン…。
『どないや…ねん?』焦点が定まらない目をどこに向けたらいいか分からなくなった。
泣き出してしまった…検査薬にはハッキリと【陽性】の表示が出ている。
回りは何も言わずにそれぞれの定位置に戻った。先輩は溜め息をもらして『ちょっと考えさせて』と言って頭をかかえて横になってしまった。何を考えるとゆうのだろう…?取り残された感じ…。まだ実感の沸かない私は現実を受け入れられないままでいた。2005-11-19 17:40:00 -
16:
優羽
その日の夜は先輩の家に預けられることになった。『まぁ病院いかな詳しいことは分からんけど、今の検査薬やから、、出来てることには間違いないわ…あんたどないする気なん?』………。『まだ分からんわ…。実感も何もないんやもん…』『そぅか……明日仕事前に病院いこか。連れてったるから。これからジンが(先輩の同棲中の彼氏)帰ってくるけど、このことは黙ってよ…』『…うん。』
2005-11-19 17:48:00 -
17:
優羽
尿検査…血液検査…。下半身だけ服を脱いで、体内に入ってくる機械で調べられる…。初めての経験…怖いような、、冷たい機械の感覚が更に緊張を早めていく。カチャ……『いいですよ。ティッシュでふいて服を着て隣の部屋にきてください』事務的な先生の言葉。看護婦さんが気まずそうに私を見つめる。
『え〜と、おめでとうございます。妊娠2ヶ月ですよ。』…『いつ頃の子か詳しく特定できますか。。?』…『そうですね、1月25日ですかね』曇りはじめた私の表情に何かを悟ったかのような先生はこう続けた。『中絶を希望される場合は早めにおこしください。一応手続きに必要な書類は渡しておきますので、受付でもらってください』…『あ…ありがとうございました』いまの優羽は何とも沈んだ顔をしているんだろう…携帯をつなげると【車で待ってる】と先輩からメールが入ってた。すぐに受付に呼ばれると書類を渡され説明をうけた、差別的な冷ややかな目線で見送られたあと、先輩の車にのりこんだ。2005-11-19 18:31:00 -
18:
名無しさん
?
2005-11-19 18:36:00 -
19:
優羽
『んで…なんて?』溜め込んだ息を吐き出すような声で先輩は問掛けてきた。『………2ヶ月やって』今にも消え入りそうな声で答えた。『ほぅか…時期は特定したんか?』…『したけど…プライベートやないわ…プライベートぢゃご無沙汰やし』…『…あんたピルは?』『なんか辞めるとなると気ぃ緩んで飲まんかったり…』『ゴムは?』……『ただでさえ客付き悪かったからさ…つけへんので客繋いでたんやて…』自分のアホさに呆れて、シートにもたれてサンルーフから青い空を見上げても涙もでない。ポケットからさっき先生に手渡された1枚の紙を取り出した。エコー写真、これに写っているのが私の子ども…。妙に母性が湧きだす…(父親も分からないような事をしてるママを君はどう思う?)……言わずとも…聞かずとも分かっているさ…最低だってこと…。
2005-11-19 18:54:00 -
20:
優羽
お腹に子どもがいるのを分かっていても、残り僅かなバンスを返すために商売女の私は店にでた。自覚なんてしなければ罪の重さに気付くことなんてなかったのかな…。そう思うのには遅すぎる、芽生えてしまった母性で胸がはち切れそうなそうなくらい苦しい…仕事と両立させてソノ事を考えるのは、あまりにも苦しすぎた。(あと少し…あともう少しなのに…。)子どもはまだどうするか決めていない…私には時間がない…。一人で悩むのはあまりに酷だ………。仕事が終わって、久しぶりに自分の部屋に帰った。窓をあけたら下町らしい街並みが下に広がってる。街並みを見渡しながら考えてた、今まで逃げてばかりきたから…自分にすら向き合ってこれなかったから、、、だから…『アナタにも辛い思いをさせてしまっちゃったね…』そっとお腹に手をやって、涙で上擦りながらの声でそう呟いた。『ごめんね…』……自分のお腹にこの子が宿るまで、こんな気持ちに気付かなかった。(母親って…こんな気持ちになるものなんだ…母親って……。あの人も?)
2005-11-19 19:11:00 -
21:
優羽
母さん……あなたもこんな気持ちを本当は抱いてる??
窓をしめて携帯を持ち出した。アドレス帳…【お母さん】…少しシャクだけど…もしかしたら私に必要な答えをくれるかも。…ピッ…『コホンっ』ちょっと小さめに咳をして声を整えた。プルルルル…プルルルル…プル…『…はい。』変わらない声だね。『あ…あの…優羽やけ…ど…』『うん、久しぶりやね。何年ぶり?』『4年ぶりかな』…『まぁ久しぶりに電話してきたってことは、なんかあったって事やろね。まさか子ども出来たとか言いなやぁ』……『………。』(いくら冗談で聞いてきたと言えども、図星はキツイわ…なんも言うことでてこやんし…)『優羽…あんたまさか…』『うん…いま妊娠してる!2ヶ月やて。どないしてええかわからんからオカンに電話した。』『アンタはどないしたいんよ…』…私は…どうしたいんだったっけ??…逃げたらアカンよ。ちゃんと向き合って答えやな。2005-11-19 19:22:00 -
22:
優羽
『アンタがハッキリしやなお母さんも困惑するわ。まずはアンタがどうしたいか言わな…』『あんな…どうしたいかの前に、アタシその前にお母さんに言わなあかん事があんねん、動転しやんと聞いてほしい。』改まると私は続けた。『私は家出てからずっと風俗で生きてきたってこと先に謝らないといかん。オカンに気付かれてたのが気まづくて…でもお金のない生活が嫌で…貧乏が嫌やった。でもこんなん話したら、オカンが傷付くやろ?だから言えんかった。でもお金はいっぱい入ってくんのに、寂しさだけは埋まらんくて、働いたお金は全部ホストに消えてもた。どうしようもないほどのアホやろ?でももう風俗やめようって思ったん。だから店の借りも返したら辞めようって思ってたん。そしたら……その矢先やねん…妊娠したんが…辞めることにばっか気ぃとられて避妊の処置が出来てなかったん。せやから、この子の父親は誰か分からんのや。分からん子産めんって思ってたけど、なんやエコー写真みたら…母性が沸いてきて、産みたいなぁって……産みたいなて…お…思った』…ちゃんと言えた…。
2005-11-19 19:52:00 -
23:
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あぼ~ん -
24:
優羽
お母さんはしばらく黙ってた。そりゃ久しぶりにかかってきた娘の電話で、親が1番聞きたくないことを聞かされたら…黙ってしまうのも無理ないし…。
『やっぱ黙ってしまうよな…ごめん、今まで迷惑かけてきたから、いきなりこんな話聞かされても、、期待裏切るだけやんな…ごめん…やっぱ一人で解決するわ…ほんまごめん…じゃ…きるわ』一人で気が動転して何を口走ってるんだろ…。電話を切ろうとした瞬間だった。『ちょっと待ちなさい。』『え?』『アンタ…明日休みなん?』『…うん』『じゃあ…明日帰ってきなさい。タクシー乗ってきたらええから。着払いでな、お母さんが払ったるし。それに……なんや電話じゃよう分からんわ』電話ごしで、お母さんがハハハっと笑ってる。優羽の気持ちをお母さんなりに和ませてくれてるんだろう。『まぁ自分をどれだけ責めても、逃げてしまいたくなることはあるわ、人間やねんから全てに正当に立ち向かうなんて…そんな器用な人なんておるんかなぁ?とお母さんは思うんやけど…まぁ明日は何も深いこと考えやんと帰っておいで、もう遅いからお母さん寝るわ。あんたも早く寝なさいや。』『うん…おやすみ…』2005-11-19 20:10:00 -
25:
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あぼ~ん -
26:
優羽
一晩が明けて、ちょっと遅めに目が覚めた。胃からくる気持ち悪さをおさえてお風呂に入り、化粧をして準備を整えた。タクシーに乗り込み…向かうは4年ぶりの実家。(お土産買ってこうか…)4年ぶりともなれば、なんだか手ぶらでは帰りにくかった。通りがかったお店でケーキを買って、再び実家を目指す。どんな顔をして会えばいいんだろう…鏡を見ては(少しケバすぎたかも…)と反省したりと気分がコロコロ変わって自分でも収集がつかなくなっている。車は優羽の気持ちを無視して目的地を目指し続けている、交差点を左折して、次の角を右に曲がって…真っ直ぐ行ったら………
2005-11-19 20:21:00 -
27:
優羽
その瞬間、優羽の目尻が下がった。目には優羽が嫌う、あの素直な暖かい液体が溢れだしてきた。自宅前の駐禁の標識の下で、寒そうに手に息を吹きかけて立っている人物、私が乗るタクシーを見付けるなり優しい笑みを浮かべている…4年も会っていなかった歳月のせいか、少し年をとったようにも見えた。…………お母さんだ。私は涙が止まらなかった。
2005-11-19 20:30:00 -
28:
優羽
タクシーを降りると、お母さんは上から下まで私を見渡した。『なんや、やっぱ都会に出たせいかな…アンタ垢抜けしたなぁ』と嬉しそうにニコっと笑った。母がこんな顔で笑う人だってこと、私は自ら作り上げた拒絶感から今までずっと忘れていたのかもしれない。私もニコっと微笑み返すと心なしかお母さんの目にも涙が溢れているように感じた。懐かしい部屋に上がると、何も変わっていない光景に懐かさを感じた。『まぁ座りぃよ。話始めよか…』母と向き合い本題に入った。
2005-11-19 20:39:00 -
29:
優羽
『まずは昨日の電話で内容は分かったよ。ごめんなぁ…アンタにはえらい虚しい生活させてしもぅて…。んで…お腹の子どものことやけどな…お母さんなりに考えてみたんや。親の立場を放任してきた私からすると、今更アンタには母親ぶったことは言えんのやけど…今回は見送った方がええと思うねん…』申し訳なさそうに母が私に伝える、母なりの配慮が見え隠れする言葉を私は素直に聞いた。母の言葉を頭に入れた後に私は続けた『私は…産みたいと思った。でも…産んだらアカンような気もするねん。父親もおらんし…責任とられへんかもしれへん…。自分の自己満や罪償いで産んでも…それは自分の自己中心的な考え方にならへんやろかって……子どもを幸せにできるやろかって…。周りはシングルでも産んでる子いてるけど…上手くやれてる子もおれば…放棄しとる子もおる…私やったらどないなるんやろうって…ウチは結婚願望はもともとないけど……もしかしたら私もいつかは結婚するかもしれん…だから今だけを見据えて考えるんはどうなんやろうってずっと考えてた…綺麗事だけでは生きてかれへんって……よく分かったから』これが私の包み隠さない正直な気
2005-11-19 21:04:00 -
30:
削除削除されますた
あぼ~ん -
31:
優羽
母は聞き終わったあとしばらく黙って『しばらく家にいなさい…仕事も行かなくていい、借りたお金はお母さんの貯金から払います。』『駄目やん!もう貸し借りしいひんって決めたんやもん!』『優羽…これは貸し借りとちゃうよ。お母さんはこんな守り方しか出来へんから。あんたがそう変わってくれただけで、お母さんどんだけ嬉しいか…。ほんまに申し訳ないなと思うんなら、これから頑張って、いつか幸せに巣だった姿をみせてくれればいいんよ……な?』ねぇ、お母さん…。それはあまりに甘すぎない……?こんなにも最低な娘なんだよ…?絶縁されるかと思ってた。でも今なら分かる…アナタの気持ち、ほんの少しだけ母親になった今なら…。真面目に生きていくって何よりも難しいし面倒だって思ってた、だから……逃げてばかりきたけど。身近すぎて見えてなかっただけ【やれば出来ないことはない】って…母さん、いつだってアナタがちゃんと証明してくれてたよね。
2005-11-19 21:22:00 -
32:
優羽
あれから私は、母と二人で、バンスのお金を払って、正式に足を洗うことが出来た。まだ子どものことは悩んでいたけど…やっとの思いで涙を飲む決断をした。知り合いに中絶届けの書類に署名をしてもらい判をもらった。自分の弱さが悔しいけれど…、非難される事もあるだろうけど、綺麗事だけでは生きていけない…そう自分にいい聞かせ…母と二人、前に訪れた産婦人科に再び足を運んだ………。そう、今日はお腹の子どもと最後の日。決断したとは言っても、母性が暴れるのか、どうしようもない感情に襲われ情緒不安定が限界にきていた。『やっぱりサヨナラしたくないよぉ…ヒック…ック』これが本音。訳が分からないまま受付が終わる。静かな待合室、自然と妊婦さんに恨めしげな目線を向けてしまう…。時間が経ち、待合室は、母と私だけの二人になった。
2005-11-19 22:14:00 -
33:
優羽
時計がチクタクと心臓の音と重なる…。さすがに母も下を向いてふさぎこんでる。会話もない静まった待合室で、私は溢れて止まらない涙を膝に落としながら、どうしようもない気持ちでギリギリと拳を握り締めていた。ドアの向こうから誰かがこちらに向かってくる音がする。テンパる頭が【いま】を理解しきれなくなって、スローモーションになっていく。ガチャ…『…○○さん、診察室へどうぞ…』着々と仕事を進めようとする看護婦さん。全てが敵に見えてくる…けどもう遅い…。私はゆっくり立ち上がると、一度母の方を向いた。母は眉を歪めて不安げに私を見ている。私は、母を安心させようと少しだけ頷くと、おぼつかない足取りで診察室に入っていった。シーンとしか部屋、今日は前と違って、カチャカチャと銀色のトレイに並べられた医療器具が生々しく感じる…。手慣れた感じの先生(私も安易に思われているのかな…。)淡々と腕に注射をされ、既に意味不明な頭の中。通されたのは、あまりにチープな処置台。寝転がると腕や足を固定された。周りにあるものを確認するためか、私が頭をキョロキョロさせていると左側にある、アルものが目に入った。エコー
2005-11-20 05:43:00 -
34:
削除削除されますた
あぼ~ん -
35:
優羽
本当なら注射も、血も、痛いことも大嫌いだよ。でも……消えてなくなる赤ちゃんの方が心も体も痛いから、絶対痛いだなんて思わない。
そんな事を思ってた。
あれから随分経ったような感じ、深い深い眠りから私を呼び起こす声がする。次第に体全体に神経が戻ってきた、下半身からズキンズキンっと鈍くて、キューーッとするような痛みが走る…。看護婦さんに抱えられて、運びこまれたのは病室。頭はグラグラだし視界も定まったものじゃない、訳が分からない中で、とても声には出さずにいられなかった。お母さんも気が動転してしまっていたに違いない…。それから2時間後。フカフカのベッドで目が覚めた私、オシリに違和感がある。生理用のナプキンが付けられてるのが分かった。看護婦さんが何かを囁くと、下半身から何かをシュルシュル取り出している、ソコから止血用のガーゼを取り出したのだろう。空っぽになった中身…。もう私の体のどこにも居ないんだぁ…って思ったら、ものすごく情けなくて泣けた。2005-11-20 06:10:00 -
36:
優羽
帰り道は抜け殻みたいなアタシ…。歩き方を忘れたかのような足取り。この状態で人目につくのは少し痛かった。『ママーッ』『ほらほら、コケなさんなよぉ』顔をあげると、4歳くらいの男の子と産まれたばかりの乳児を抱えた優しい顔をした母親の姿があった。正直に言えば、羨ましく感じてしまった…辛くて堪らなかったし…でもそんな風に感じちゃいけないって分かってた。だって、そんな風に思える生き方をしてこなかったから…。3月5日、見上げた空は、今にも泣き出しそうな灰色の曇空でした。
2005-11-20 06:22:00 -
37:
優羽
しばらくして、痛みが次第に薄れていく中で、私は確実に歩きだした。実家で一緒に暮らすとなるとキマヅイから、父親が置いていった家に一人で住むことになった。地元の友達が押し寄せてはドンチャン騒ぎ、みんな大人になってる。女の子なんかは大概みんな彼氏がいて、中には不倫中の子もいたり…。耐えない話で盛り上がれるのは気の知れた友達だから。私はと言えば、幸せなんて分からないし、自分が本当にソレを望んでいるかも良く分かんないから、その辺は適当に考えてた。とゆうより…もう恋はしないって思ってたから。
2005-11-20 06:32:00 -
38:
優羽
(あ〜そだそだ…携帯変えたんだよね、みんなに連絡しとかなきゃ)
地元に戻ってから、私は少しだけ成長した。そして、子供をなくして、少しだけ大人になった。昼の仕事も探し始めた、、昔は喧嘩の耐えなかった母親とも上手くやれている。平穏で穏やかで、彼氏はいないけど普通の女の子の生活みたい。逃げることはしなくなったと思う、そして…自分の過ちや間違いを受け入れられるようになったと思う。うまく吸収できているんじゃないか…と…まぁ自分では思うのだ(本当かどうかは知らん(苦笑))。仕事に未練を残すまいと新規一転して携帯を新しいのに変えた。もう必要最低限の番号以外は入れないつもり。彼氏候補?居ないイナイ、だからイラナイ番号は必要ないのです。実家で携帯を見ながら黙々と作業していると『あっ優羽、あんたに手紙きてたん思い出したわ!いろいろあったからなぁ…お母さんも気が動転してもてなぁ…』とお母さんが、大好きなおせんべにかじりつきながら声をかけてきた。『バリバリいわせながら喋らんといて!(笑)手紙ぃ?誰からぁ〜?』『○○祐治?て人やけど、前の住所から転送されてきてるからぁ……お客さんと違うの?』2005-11-20 07:05:00 -
39:
削除削除されますた
あぼ~ん -
40:
優羽
『う…ん?あぁ〜!ゆぅちゃんやん』
【優羽ちゃんへ、元気にしていますか?僕は元気にしてます。最近どうしてるのかなぁと思い手紙を書きました。突然でごめんね。〜中略〜また手紙を書きます。p,s約束通り、僕は変わらずにいます 祐治より】………(変わらず……に?)2005-11-20 07:13:00 -
41:
優羽
手紙の送り主の祐治と出会ったのは、ちょうど手紙を貰った1年前。2003年7月6日。当時働いていたマンションヘルスで出会った、嬢と客の関係。荒んだ生活でストレスばかりを抱えていた私は、毎日のように自分の将来を不安に考えてはリストカットをしていて、とてもお客さんに夢を与えられるような嬢じゃなかった。そんな時、お客さんにきたのが祐治。
2005-11-21 10:59:00 -
42:
削除削除されますた
あぼ~ん -
43:
優羽
無言を埋めるように、一方的に話していると、つい自分のことまでも話してしまっていた。彼は超がつくほどの話下手なのだけど、かなり聞き上手である。見た目はガッチリ、金色の肩まである髪を1つに束ねて、サングラス。ルックスだけとると、かなりコワモテそうなのに、サングラスの奥にある瞳は優しい光をおびていて、安心感があった。見た目だけはマジメで、チャラチャラ何を考えてるか分からんようなバカリーマンよりもよっぽど人としてのモラルがあった。
2005-11-21 11:47:00 -
44:
優羽
たまに、目線が腕に向いていたのは分かってた。けど、それに特に触れずに何も聞かずに接してくれていた。『それ何?何?』って興味シンシンにきいてくるような、いつもの人達とは違ってた…持ってる雰囲気も。だから全てを含めて、彼に『優しいね』っと笑いかけると、そんな時ですら、そんなことないよって言うみたいに首を降る彼が尚更新鮮だった。心を開いた彼は私に安心したのか自分のことも静かに話してくれた。名前はゆうじ、昼職とバンドマンの二足のわらじをはいていて、趣味はバイクだとゆうこと。あとは……住まいが東京だとゆうこと、今回は昼職の社員旅行で大阪を訪れたんだそうだ。こうやって話に徹してくれるのも『会社の人の付き合いできたから話できるだけで充分だよ』と言う。申し訳ないから、お風呂で汗を流してあげることにした。ジンジンと痛みながら脈うつ腕を堪えて。サッパリした彼は『あ…ありがとう』って私につたえた、『ありがとう』って…当たり前だと思ってたけど、滅多に喋らない彼の低く落ち着きのある声で言われると、とても素敵な言葉な気がして嬉しかった。
2005-11-21 12:04:00 -
45:
削除削除されますた
あぼ~ん -
46:
優羽
客つきが悪い曜日をいいことに、仕事の時間も構わずに話し込んでた、名前もあだ名で呼ぶまでに親しくなった、話は明け方近くまで続いた。レコーディングを控えた彼は数時間後には新幹線で東京へ帰る。『ゆうちゃんにコレあげるよ』と私が彼に差し出したのは犬のキーホルダー、顔だけやたらデカくてカワイイと人気があったもの。ちょうど種類違いを2個持っていたから、1個を彼に渡した。『縁があればまた会えるし、いつかバイクに乗っけてよ★それにレコーディングうまくいきますようにって…お守りやから』と笑うと、彼も笑顔で受け取ってくれた。CDが出来たら報告したいと言うので、私の携帯の連絡先と当時住んでたマンションの住所を渡した。その数時間の中の最初で最後のキスをして、笑顔でさよならをした。これが私と祐ちゃんの出会い。お客さんだと思ってたのに、彼と過ごしたあの日の事は、今でも鮮明に覚えてる。
2005-11-21 12:26:00 -
47:
優羽
(懐かしいなぁ…)と手紙を何度も読み返しながら1年前を振り返る私。そう、変わらずにいるという彼のメッセージは、彼には売れても変わらずにいてほしいとゆう私の思いからだった。『ゆうちゃん…ゆうちゃんは変わらずにいてね』『…うん、分かった』と、1年前の別れ際のキスの後に指切りをして約束しあった大切な約束なのだ。覚えてくれてるのも嬉しかったなぁ…。『変わらずにいます……かぁ……』私はあれからどれだけ変わっただろう…今更だけど自分に問掛けてしまう。けれど、彼に伝えよう、私の1年分を。風俗をやめたことも子供をなくしたことも、今現在の私を。
2005-11-21 12:38:00 -
48:
優羽
【ゆうちゃん、お元気ですか?優羽です。携帯の番号とアドレスが変わりました。住所も変わりました。とゆうのも、私、風俗の仕事から足を洗いました。今は地元に帰っていて、なにもなく4年ぶりの穏やかな暮らしを満喫しています。ゆうちゃんには色々また私の身に起こったことを聞いてもらいたいです。また連絡してください。寒くなってきたので風邪ひかないでね。では。優羽より】…送信。打ち終わったあと、自分がこんなにマメな事をするなんて思わなかった……と自分自身に1番驚いた。これでも一応はA型の細胞で出来た私。けれどA型だといえば周囲からエラくビックリされるくらい無頓着なのである…私も自分をA型だなんて思えない、ちなみに人からみた私はB型かO型…。でも彼の人柄が、そんな私をコマメ人間にさせてくれてるんだろう。時間が経っても彼は、私の中で恋愛にも何にも属さない不思議な人だった。
2005-11-21 13:00:00 -
49:
優羽
メールを送信した翌日の昼に私の携帯がなった。爆睡していた私は着信で目が覚めるとショボショボした目で届いたメールを確認した。(あっ。ゆうちゃんだ)【メールをくれてありがとう。新しい連絡先も教えてもらえて嬉しいです。ちゃんと登録しておくね。優羽ちゃんから仕事を辞めたと聞いて安心しました。僕はもうじきCDが出来そうです。優羽ちゃんを思いながら精一杯叩きました。はやく優羽ちゃんに届けたいです。ゆうじより】このやりとりから、急速に距離が短くなった。口下手聞き上手なゆうちゃんはメールだと言葉多めに伝えてくれる。バイク仲間とお花見へ行って桜が綺麗だったこと、ライブの報告や感想、私を思いながらステージに立っているとゆうこと。鈍感な私ですら時々、意味を追求してしまいたくなるような言葉もあったりして。色んな面が見えかくれして楽しかった。
2005-11-21 13:19:00 -
50:
優羽
本当によくメールをした。大阪と東京の天気の違いとか…、星が綺麗とか…今日は何の星座が良く見えるだとか…。離れていても同じ空を見ているとゆうことが実感できた、今はどんな小さなことにも感動できる、涙が自然に溢れてしまう、そんな私が居る。ちょっと前までの私なら、自分の見た目を構うばかりで、泣くとき以外は空を見上げることも、星座を話すことも、道端に咲いた花の事も何とも思わなかったし、こんな話を男としても『引くから〜』の一言だけだったと思う、都会で身についたものは教養も何もない、自分以外は人を見た目や当たり障りないもので判断する【そんなもの】だけ。そんなものだけで【自分が1番解る・出来る】人間だって勘違いしてたから。でもそれがなければ、街に埋もれてしまいそうだったのは事実。純粋さだけでは生きてけなかった。でも、ちっぽけなのにプライドの塊だったな…あの頃の私は…。2月の終りの空を見上げて深い溜め息をついた。
2005-11-21 13:45:00 -
51:
優羽
3月になり、まだまだ寒さ続いていた時の事。ゆうちゃんはバンドの合宿で、とある湖畔に滞在していた。時期にも関わらず向こうでは雪がすごいらしく、そんなことをメールしあっていた。【大阪は天気はどう?】『こっちも雪ならいいんやけど、雨やから楽しくないわ〜。それにしても段々人恋しい季節になってきたねぇ』【うん…そだ。優羽ちゃんは今彼氏いるの?】『いないよ〜。ゆうちゃんは彼女は?』【いないよ。】『ふ〜ん…好きな子はおるん?』【うん………優羽ちゃん】おいおい…なんでこんな話の流れになっとるんや〜ろかと思わず自問してしまった。なんとなくメールしてた流れやったのに…、ウチが今見とる携帯の画面には【優羽ちゃん】と名前が入ってる…紛れもない私の名前が。我にかえると『え〜〜〜〜〜』っと叫んでしまった。オカンがよっぽどビックリしたのか、めっちゃキレてやった。それには構わず、バクバクと体に悪げなくらい元気に動く心臓には悪いけど『いつから?』と送信してみた。数分後また返信がきて、そこには【初めて会った日から。ずっと好きだった】って入ってた。こんな学生みたいな純粋な経験は久しぶりだったので、
2005-11-21 14:06:00 -
52:
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あぼ~ん -
53:
優羽
もう風俗をしていた私ではないし、広い視野をもてるようにもなったし、落ち着いたし、背伸びなしで少しは大人にはなったと思う。けれど、ゆうちゃんの気持ちは嬉しいけど、私が彼の釣りあいがとれる女なのかって考えると、首をかしげてしまう。それ以前に、もう恋はしないって思ってたから。ゆうちゃんのことは好きなんだけど、恋愛的なものなのか何に属する好きなのか…本当は良く分からない。でも嫌いじゃない。かといってソノ中間でもない……決定を下すには自分自身があまりにも曖昧すぎてよく分からない。けど、【私も好きだよ】と答えた。多分これが私の気持ちだと思ったから、曖昧な部分は、どんな形であれ自然に埋まるだろうって思ったから。…と。かなり悩んで考え抜いたのに彼からは【ありがとう】の一言だけ、返事が返ってきた。ゆうちゃんの天然ぶりには慣れてきてたけど……。あまり深い意味はなかったのかな?
2005-11-21 14:26:00 -
55:
優羽
『ゆうちゃん…ゆうちゃん…これは付き合うとかの好き?』【…うん】なんか良く分からない始まりかただけど、私には恋人が出来たらしい。「心を痛めるほどの失うものがあれば得るものが必ずある、きっと幸せを導いてくれる」と子供とサヨナラするときに、母さんが私に言った。手放したものと引き替えだったのは、彼のことだったのかな。迷信みたいな事を、少し信じられるようになった。
2005-11-21 14:37:00 -
56:
優羽
後から聞けば、ゆうちゃんは気持ちを伝えられるだけで充分だったらしい。付き合うとかの次元になるとむしろ自分の方が優羽にふさわしくないじゃないかと思ってたみたい…本当に今時珍しいくらいの謙虚で健気な人だ。それからは、ちょくちょく電話もしだすようになった。初めての電話は、電話に慣れてるはずの私でさえ緊張しすぎてツイツイ早口になってしまい、関西弁も分からないゆうちゃんは、その時の会話のほとんどが頭に入っていない……3時間近くも分からない会話に頷いてくれてたなぁと思う。ゆうちゃんはゆうちゃんで、電話になるとやっぱり恥ずかしいのか喋れなくて、怒ってしまった私の忠告を聞きいれようと、翌日から大好きなお酒を飲んで電話してくるようになった。その方が恥ずかしさがなくなって喋れるのだそうだ。照れは混じりながらも、よく喋ってくれるようになったから「このゆうちゃんの方が好きだよ」と素直に伝えた。
2005-11-21 15:09:00 -
57:
優羽
ゆうちゃんと接していると、新しい自分を次々と発見できる。
今までは、吟味せずにタイプであれば付き合って毎日会って、デートしてヤルことやって…好きすぎて追い掛けて捨てられてみたいな自分を安売りしすぎな恋愛ばかりだった。だから、遠距離ならではの、ゆっくりと展開が踏めるところと、お互いの成長していこうとゆう姿勢が離れているからこそ良く知れる部分と、何よりも彼がくれる安心感が強くて追い掛けてしまうほどの好きにならなくていいから、私も落ち着いて恋愛を楽しめるのかもしれない。ゆうちゃんは私から見れば真っ白なノートみたいで、ゆうちゃんが私のために変わろうとしてくれる姿が、真っ白なノートを私で埋めようとしてくれている姿が何よりも嬉しかった。逆にゆうちゃんは、複雑すぎる私のノートを、真っ白に戻していってくれてるような気がする。お互い、在るべき姿になろう・還ろうとしているみたいに…手に取るように分かる実感が幸せだった。2005-11-21 15:22:00 -
58:
優羽
親密さが増して、ずいぶんお互いにも慣れて、話せるようになってきたころ、私は彼に、ずっと引っ掛かっている子供の話をしようと思った。こんなに慎重に事を運ぶようになったのも成長したからかもしれない。いつかはしなければいけない話。彼と出会ってからの1年分の中の出来事だもの。正直、彼の返事は本当に予測がつかないものだから、ちょっと怖い。今日はお酒を入れてないみたい、それ以外はいつもと変わらない電話。お酒が入っていても話を聞ける人だけど、形はちゃんとしたかったから、条件が整ったこの日…話をきりだすことにした。
2005-11-21 15:37:00 -
59:
優羽
『ゆうちゃん…私なちゃんと話さないといかん事があんねん』【どうしたの?あらたまって…】『あんな…話終るまで聞いてて。私はゆうちゃんと連絡とるまえに、ある手術したん。それは風俗から足洗った理由にもなるんやけど。私はゆうちゃんと知り合った後に仕事を変えて、…その仕事で赤ちゃんができた…。その仕事は本番屋やった。病院にいった時にはお腹の子は2ヶ月で…、お腹の子の写真をみた時、小さい小さい命を嬉しく思った。私の意思だけ叶うなら、ほんまは産みたかった、誰のこか分からんけれど自分の子に間違いはないから産んで育てたかった。でも産んで育てられる責任感が自分にあるか分からんかった、産んで可哀想な思いをさせるんじゃないかと思った。私もほとんど片親同然で育ったから、そして片親で子供を育てた母親も見てるから。そん中で体感してきたことを考えると…やっぱり簡単に産むとゆうのは難しいと思った。一人で解決しきれないときに、悩みに悩んで母親に連絡をした。』ゆうちゃんは時折相づちをうちながら、黙って話を聞いてくれた。
2005-11-21 18:19:00 -
60:
優羽
『母親は…、アンタはまだ若いしこれからがあるからって、いつかは結婚して幸せをつかむ時がくるからって…だから見送ったほうがいいんぢゃないかって言いはった。…悲しかったけど…、納得できてる自分自身のことを寂しい人間やなって、無責任やなって思った…。世の中には片親でも立派に頑張ってる若い女の子もいてるけどね…。でもこんな私がそんな立派になれるとは思えなかった。さんざん苦労してる親に、もう迷惑かけられんし、出来へんことを出来るとゆうても、綺麗ごとが父親になるわけじゃない、綺麗ごとがお金を助けてくれるわけじゃない。子供を育てるために…また夜の世界に戻ったら……きっと子供寂しいやんな。子供らしく目一杯に甘えたい時期に我慢して、その上に親がいないって、それって上手くやれてるてゆうんかな…て…思った。ごめんね。』…言い終わったあと、しばらく無言が続いていた。
2005-11-21 18:35:00 -
61:
優羽
【うん。ありがとう…。ちゃんと話してくれて。俺はね、正直に言えば、優羽ちゃんを愛せても、お腹の子供を愛せたか分からない。きっと複雑すぎて、心からは愛せなかった。見送ったことは、酷いけど安心してしまっている俺がいる。けど、俺は優羽ちゃんが受けた悲しみ以上に幸せにしてやりたい。優羽ちゃんの子供の為にも、ママは俺が守るからって。もし叶うなら、次に優羽ちゃんに宿る子供は俺の子供がいい。そして、優羽ちゃんの子が、俺と優羽ちゃんの子供として還ってきてくれるといいなと思ってる。なんの迷いもなく、精一杯に愛情を注いであげたいから。でも、子供は優羽ちゃんに大切なことを沢山気付かせてくれたね…。俺の気持ち…通じたかな?】。きっと…酷い言葉だと分かってて、、愛し方を非難されるかもしれないこと分かってて、綺麗ことを言わずに伝えてくれたんだろう。本当は少し傷付いたり、疑問に感じてしまうこともあったけど、無責任に『大丈夫、全部愛せるよ』と言われたほうが、きっともっと疑問に感じてしまったかもしれない。その本当の優しさが痛いほど分かるから……嬉しかった。
2005-11-21 19:00:00 -
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あぼ~ん -
63:
優羽
昔のアタシなら、ゆうちゃんと出会っても、きっと上手くいってなかったなと思う。今だから出会えて良かったんだ…。タイミングって、こうゆうものなんだね。
2005-11-21 19:05:00 -
64:
優羽
時間が過ぎて、私はある事で悩んでいた…、ゆうちゃんに全部話した日にゆうちゃんに言われたのだ。『5月の連休に会いに行きたい』と。会いたいのは私も同じ…。けど、なんだか不安だった。1年もお互いの姿を見ていないし(ゆうちゃんの携帯が写メールを使えないものだったから)、頼りなのは声だけ。空白の時間にお互いを美化しすぎているんじゃないかと思うと不安だった、嫌われたくないという気持ちの裏がえしなんだけど…。日に日に気持ちが重くなる……。そうするうちに、私は彼を試すような事ばかりを言うようになってしまった。
2005-11-21 20:10:00 -
65:
優羽
『やっぱり会いたくない』の一転張りで困らせてしまっていた。駆け引きをする訳ぢゃないのに、本心とは違う事を言ってしまう。そうする事を繰り返しているうちに、自分の気持ちも分からなくなってきた。彼から電話がきても、今まで明るく話してたのが嘘みたいに対応してしまってる。(あ〜ぁ…なんでこんな風になっちゃうんかなぁ…)彼の気持ちも自分の気持ちも重たい…。幸せって何だろうって考えてた時よりも、幸せの意味を分かるようになった。だけど、逃げ癖がまだ抜けない私には、幸せになる資格がない気がした。季節はもう4月、ゴールデンウィークまで一ヶ月をきっていた。
2005-11-21 20:59:00 -
66:
優羽
冴えない気分を誤魔化すために、地元の女友達とカラオケに繰りだした。愛果と鈴とフリータイムで朝まで。10代の頃は、朝まで歌っても足りないくらいだったのに、3時間歌ったところで、まったり女の子らしいトークタイムに突入。女3人揃えば話題はもっぱら恋愛話。恋愛にもつれ込んだ話を避けたい私としたら、少しうんざりしていた。愛果は23歳のホステスで、恋多き乙女である、恋愛話に火がつきやすく、略奪愛に燃えやすいとゆう痛い面を持ち合わせてる他、とにかくモテル、が…女には嫌われやすい………中身を知ればいい子で、良く喧嘩もするけど私とは腐れ縁とゆうやつだ。鈴は、私と同じ中学出身で同い年。一番付き合いが長くて一番付き合いやすい。恋愛には無頓着で、男性経験も少ない、けど最近まで不倫に走っていた。ちょっと癖のある2人だけど楽しい友達だ。『ちょっとぉ〜、優羽カオ暗くないっ?』調子のいい愛果、ジロッと睨んでシカトしてやった。『シカトとかぁ!マジやな感じじゃない?』『そのキィーキィーウルサイ猿みたいな声やめてくんない?』ガキくさいことをしてるのは分かってたけど、しゃべり方を真似て返してやった。
2005-11-21 22:04:00 -
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あぼ~ん -
68:
優羽
『こらこら…。まぁ愛果ちゃんは最近どうなんよ〜』と、ムクレっ面の愛果をなだめるように間を割ってきたのは鈴。さすがは付き合いが長いだけある。私のことを良く分かってらっしゃるね…。胸を撫で降ろしていると、ツンツンと鈴が腕を小突いてきた。『あっ?』『アンタ、後でファミレスな。』と呼び出しを食らった。(そんなとこまで感づかなくていいって…)と煙草をふかしている私の横で、キャッキャッと愛果が新しい彼の話を幸せそうにしていた。
2005-11-21 22:12:00 -
69:
優羽
気分は一向に良くならないままでカラオケ終了。『まぁ〜さ、いくら馬鹿なアタシでもアンタに何かあったのは分かるからさ。わたしにも話せるくらいになったら話してね』と白い息を吐きながら気遣ってくれたのは愛果。『お…おぅサンキュ』私の頼り無さげな声を聞いて、頑張れよっとゆうような小さなガッツポーズを私に見せてタクシーに乗り込んでいった。『さてっ、寒いし。行きますか』と鈴にポンッと肩を叩かれ、近所のファミレスに向かった。
2005-11-21 22:20:00 -
70:
優羽
『ドリンクバー2つで』金欠だった中学の時から頼むのは、お金を持つようになっても変わらないドリンクバー。しばらく無言でいると鈴がカオを覗きこんできた。『いったいその暗い顔が直らんのはなんなんでしょうね。てか何があったんさ』……。テーブルにゴンッと勢いよく頭をぶつけてうなだれる私。『まぁ…私にも恋話が出てきてね…』『…は?てかおぃおぃ…恋話なら何故にそんな顔されとるのよ、まさか、また金絡んどるんかぁ〜?』……。『ちゃうて…そんなんやったら、まだお安いもんやし悩まんし…てか働いとらんのに貢ぐ金があるかい』『開き直るな(笑)今日の君まったく意味分からんよ?』だんまりじゃ拉致がアカンなと諦めた私は、これまで起こった祐ちゃんとのことを話した。
2005-11-21 22:33:00 -
71:
優羽
『ふぁ〜…いまどきそんな男おるんやなぁ。何が不満なんか分からんわぁ…』『なんか…ちょっと怖いってゆうか…こんな好きになってもらったん初めてやし。会うって話が出た途端にそうなっちゃって。期間があくと色々考えてアカンっぽい…』『贅沢やわ…アンタ。ないものないねだりやわ。前は今みたいな愛され方を望んでたくせに、実際そうなるとすぐ逃げるんやん。悩んなら、まずは会ってから悩めっつーの』はい、ごもっともで…。『まぁその人が積極的になるんは、アンタの事をホンマに好きやからやろ。それはアンタだって良く分かってる話やん…好きになるのと大事にされるのと、自分はどっちを求めてるんか…まだ時間はあるし、後悔せんように良く考えたほうがええわ。まぁ出会いはどうあれ、1回しか会ったことないんなら悩むのは無理ないわなぁ。』『ん…ありがと』結局、決定的なものはまだ見付からないまま、家路につくことになった。帰りは足が鉛のように重い。心臓が抜け落ちてくるんじゃないかと思うくらい、気持ちも重くなった…。好きかどうかは時間が埋めてくれると思ってた。けど嫌いじゃない…。(好きになるのと大事にされるの…どっ
2005-11-21 22:52:00 -
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あぼ~ん -
73:
優羽
家について、ずっと切ったまんまの携帯の電源をいれた。メールの欄に祐ちゃんの名前が数件あった。【ごめんね…苦しませてしまって。】【落ち着いたら連絡下さい。】 と…。
2005-11-21 22:57:00 -
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あぼ~ん -
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あぼ~ん -
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あぼ~ん