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東京、曇のち雨、晴れ

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  • 1:

    ■「ねぇ、リョウはさぁなんでホストになろうと思ったの?」「全部捨ててこの街にかけたんだ俺は。」あの頃 愛がほしかったんじゃなかった 地元で失ったもの全部取り返そうとして この街に身を捨てた。歌舞伎町には俺が欲しかったもの全部あるんだと思った。 だけどどうしてだろう。また、どんどん全てが消えていっている気がする。あの頃の友情も、思い出も、なにもかもが酒と金、嘘に色を染めていく。見えない明日なら、ないものと同じ。だけど、戻れない過去にすがり続けるなら、見えない明日を信じて、生きていくしかない。

    2006-03-26 22:22:00
  • 4:

    ***********

    俺は、藤堂の魅力がよくわからず「???」な状態だったが、ツレや藤堂のファンとされる男どもから聞くところによると「あんな可愛い子なかなかいない!」「そうだ。白い肌に黒い髪の毛、大きな目。アイドル並にかわいくって、しかも清楚で優しくて・・」と、語りだし、藤堂について何時間も話してる奴さえもいたのだ。嫌でも顔と名前を覚えてしまったわけだ。「なに、お前本当はあんなのがタイプだったわけ?」「うるせーよっ」ワタルは顔を真っ赤にしたままだ。おもしろいからからかってやろうと思ったけど、ワタルがあまりに真剣な顔で「悪いかよ、好きなんだよ」とつぶやいたので、俺は「そうか」と短くつぶやいた。

    2006-03-26 22:29:00
  • 5:

    ***********

    5分くらい沈黙が続き、お互いの煙が行き交う間、俺は気になったことを、ワタルにつぶやく。「でも、どんなとこが好きなんだよ?」すると、ワタルは煙草の煙を吐き「そりゃあお前、可愛いとこと優しいとこだよ。」と早口で答える。「可愛いところ優しいとこ?なんか単純だな」「うるせーよ。人を好きなんのは単純なことなんだよ。恋におちるのは簡単。だけど、難しいのは人を好きになってからなんだよ。」なんだか名言。俺は心の中でつぶやく。

    2006-03-26 22:29:00
  • 6:

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    だけど、ワタル、ごめん。俺にはやっぱりそういう気持ち、よくわかんねぇわ。人を好きなんのは単純なこと。確かにそう思うよ。だけど、難しいのは人を好きになってからって何なんだろう。恋愛って人を好きになればなるほど難しくなるのか?ごめん、俺にはよくわからない。
    今思うと、あの時ワタルの気持ちを少しでも俺が理解できてれば、あんな終わり方をせずにすんだのかな。だとしたら俺は、ワタルに何度謝っても謝っても足りないくらいだな

    2006-03-26 22:31:00
  • 7:

    ***********

    ワタルと俺ほど性格が180度違う人間がどうしてここまで仲良くなったのか..なんてことを最近、ふと考えたことがあった。中学の入学式の時だ。俺の名字が、上川、ワタルの名字が木村で、名簿が横で入学式での座席が横同士になった。ぼーっと校長の話を聞く俺に「なぁなぁ俺、木村ワタルっていうんだけど、仲良くして!」といきなり大声で叫ばれた。俺はぼーっとしていたので一瞬、耳のコマクが破けそうになった。色黒、短髪で大きな声で話しガハハと笑う。なぜか見ていて気持ちいいと思った。

    2006-03-26 22:33:00
  • 8:

    ***********

    。それからなぜか話すようになり、サッカーが好きが共通して深夜にお互いの友達を集めて学校に忍び込んでサッカーをしたり、深夜のプールに入り込み泳ぎ回ったり馬鹿な行動をしたり、同じサッカー部に入ったものの2人で4ヶ月で辞めてしまったり、他校の喧嘩に巻きこまれ一緒に補導されてしまったりと、中学の思い出アルバムを開けると、俺の隣にはつねにワタルがいた。

    2006-03-26 22:34:00
  • 9:

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    ワタルとは、今までで1つ、俺にとって忘れられない思い出がある。それは中学2年の時だ。ワタルが同じクラスの女子に恋をした。今思えば少し藤堂ミサキに通じる子だった。色の白い、おとなしい、サッカー部のマネージャーをしていた子だ。ワタルは、男の前ではガハハなんて馬鹿笑いするくせに、好きな女の前に出ると声もかけられず、黙ってみてるだけ、の意外にシャイボーイで、毎晩深夜に何時間も何時間も恋の相談を俺はワタルから受けた。正直、俺はワタルの相談がかったるかった。

    2006-03-26 22:35:00
  • 10:

    ひぃ

    期待ぁげ?

    2006-03-26 22:36:00
  • 11:

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    悩んでる暇があったらさっさと告白しろとも思ったし、毎度のように「好きなんだよなぁ」と聞かされるのも飽きてきて(と、いうかうっとうしくて)、適当に聞き流してるだけだった。ある時ワタルは告白する!と意気込み、「おおがんばれ」と俺は本当に適当に答えた。まぁ告白すれば今のように何時間も恋愛相談を受けなくてすむ..俺は正直ほっとしていた。2時間後、「フラれた」という泣きそうな声の結果報告の電話がかかってきた。俺はその時ゲームをしていて、コントローラーを片手に「ああ、そう」と短くつぶやいた。

    2006-03-26 22:36:00
  • 12:

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    すると、ワタルは恋愛相談のときから適当な態度だった俺に対して、明るい声で、言った。「でも、ミズキが真剣に相談に乗ってくれてうれしかった。マジありがとうな!フラれたけど、お前が色々聞いてくれたりして、本当によかったよ。本当にありがとうな!後悔してないよ、俺。今まで聞いてくれたお前には申し訳ないけどな。」俺は驚いた。けしてワタルは嫌味でそう言ったのではない。真剣に俺が、ワタルの相談に乗っていたとワタルは思い込んでいたのだ。その瞬間、すごく強い罪悪感に包まれた。

    2006-03-26 22:38:00
  • 13:

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    「ありがとなミズキ、ずっと友達でいてな!美形でクールな少女漫画のヒーローみたいなお前と違って・・俺はあほでパっとしねーうるさい奴だけどさっ末永く仲良くしてな!」そういうと電話は切れた。ワタルっていう人間はなんてすごいんだろうと思った。適当に友情してた俺に対して、ワタルは全力で俺にぶつかってきて、俺を100%信頼して、俺にあんな長い恋愛相談をしてきたのだ。あいつは今失恋して辛いはずなのに俺に気を使って、聞いてくれてたお前に悪いな、とまで言ったのだ。

    2006-03-26 22:39:00
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