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視線の先

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  • 1:

    あたしは本気だったんだよ。
    一緒に逃げてもいいと思った。
    今の生活を捨ててもいいと思った。
    そんな気持ちのあたしを目の前にして、あなたは違う人を思ってるんだね。

    2005-10-24 02:46:00
  • 2:

    私と彼が出会ったのはちょうど3年半前、桜が咲く少し肌寒い春だった。
    新しいスーツに身を包み、期待と不安を胸にした入社式から1週間後のことだ。

    2005-10-24 02:49:00
  • 3:

    私はその時2年付き合ってきたホストの彼氏、直人がいた。いわゆる色彼だ。
    専門学生だった私は勉強が終われば風俗でお金を稼ぎ、そのお金が流れるかのようにホストクラブで使った。

    2005-10-24 02:53:00
  • 4:

    不安がないと言えば嘘になる。お金だけの繋がりなのではないかとの葛藤はありながらも、ホストクラブに通い続けた。ただ会いたい一心で…

    2005-10-24 02:58:00
  • 5:

    そんな時会社では各自部署に配属され、彼に出会った。名前は優。綺麗な茶色めの髪にすっきりとした顔立ちに眼鏡が似合っていた。その眼鏡の奥の瞳が切なそうだったのが印象的だった。

    2005-10-24 03:02:00
  • 6:

    優はいつも単独行動をし、周りから一線おかれる存在だった。3年先輩だった優と私たち新人が会話をすることは全くといっていいほどなく、私もタイプではあったものの、苦手な先輩の一人と位置付けていた。

    2005-10-24 03:05:00
  • 7:

    仕事にも慣れてきた頃、他の先輩や同期とはプライベートをともにしたりしながら、相変わらずホストクラブには通い続けていた。
    社会人になり一人暮らしとなった私は自由な時間が増え、必然的に風俗で働く時間が長くなった。

    2005-10-24 03:08:00
  • 8:

    それは直人に使うお金が増えることを意味する。月に100万近くを使っていただろう。店の中では太客となった私は、他の女に対する対抗心と優越感でいっぱいだった。直人に会いたいから…そんな気持ちはどこかへなくなった。

    2005-10-24 03:12:00
  • 9:

    店でしか会えなくても文句一つ言わず我慢する。不安な気持ちを隠し理解あるように思わせ、時には悲劇のヒロインを演じた。
    けれど、直人が私の方を向いてくれることはなかった。

    2005-10-24 03:17:00
  • 10:

    所詮ホストと客。お金を払えばその時は愛してもらえる、店がラストの時間をすぎれば嫌でも疑似恋愛は終わる。
    ゲームオーバー。
    それだけの関係だ。

    2005-10-24 03:20:00
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