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真夏の果実

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  • 1:

    口に出せなくても
    見えなくても
    伝わればいい。

    2005-10-10 03:49:00
  • 8:

    私には断る理由が無かったし、正木のことが好きだった。いつか校内で私の鼻が正木の匂いを探しはじめた時から、私は正木を捕まえたいと思っていたんだろう。
    「これ俺の番号とメアド。」
    正木は携帯を見せ私に差し出した。
    「じゃあ、私のも送る。」

    2005-10-12 13:36:00
  • 9:

    それだけの会話で、私たちは一つの繋がりを持った。
    その時正木の首には誰かがつけていた『赤い印』は無かった。

    2005-10-12 13:37:00
  • 10:

    彼氏ができた時って不思議な感覚になる。
    昨日までと何も変わらない。なのに熱くなってわくわくして、メイクもいつもより少しだけ丁寧にする。
    恋多き友達がいつもキラキラして見えるのはだからか…そう思った。
    次の日起きたら昼過ぎだったから、私は学校に行かず友達に借りたCDを聴いて過ごした。

    2005-10-12 14:00:00
  • 11:

    まだ正木と付き合った実感が無かった。
    連絡をとりたかったけど、用件が無い…何しとん?かなぁ、起きとる?かなぁ‥どっちがいいかなぁ。
    ほんの短い文を打っては消し、それを20分も続けた。
    やっぱり待つ方がいいか…携帯を置いた私は煙草に火をつけて、いじらしい自分も可愛いと思った。

    2005-10-15 02:08:00
  • 12:

    友達に電話をしようと携帯に手を伸ばした時、着メロが流れた。
    誰から?見ると正木だった。
    「はい?」
    「起きてた?」
    「うん。どっか出ようか考えてたとこ。正木は?」
    「今起きた。サボリか?ヤンキー」
    「人のこと言える?」
    正木は笑った。それが嬉しかった。

    2005-10-15 02:33:00
  • 13:

    「家こいよ。」
    「分かんないけど?」
    「お前んち近く何がある?」
    「んーと、パチンコかなNEWってとこ!」
    「そこ迎え行くから家出て」

    2005-10-15 02:39:00
  • 14:

    「わかった。」
    私は家を出た。十分すると正木が煙草をくわえながら紫のZXに乗って来た。
    「乗れよ。落ちんなよ。」
    私が座りやすいように正木は少し前につめて座り直した。風が気持ち良かった。

    2005-10-16 01:55:00
  • 15:

    正木は無免でいつもメットをかぶらない。走り過ぎる道を記憶しながら、私は正木の家を覚えた。
    何も言わず家にあがる正木の背中について行き、靴をぬいだ。
    正木の部屋は想像したよりシンプルで、青いカーテンがかかっていた。

    2005-10-16 02:00:00
  • 16:

    正木はベットに寝転がり、布団をポンポンとたたいた。私は彼の横に座り、何が寂しい気持ちになる青い部屋を見渡した。
    そして正木が私の背中にくっつき、私が振り返ると、どちらからともなくキスをした。
    …私は触れた唇を離し正木の目を見た。

    2005-10-16 02:10:00
  • 17:

    正木がもう一度口を寄せてきた時、私はとっさに拒んだ。
    正木との初めてのキスは苦くてまずかった。
    なんで?…。
    好きな人と初めてしたキスの味は、シンナーだった。

    2005-10-16 02:17:00
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