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真夏の果実

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  • 1:

    口に出せなくても
    見えなくても
    伝わればいい。

    2005-10-10 03:49:00
  • 2:

    私には忘れない恋人がいます。
    彼は私を『俺の宝物』だと言ってくれました。
    そんなふうに呼んでくれた恋人は彼が初めてで、その言葉が私にとって宝物でした。今になって、いなくなって、彼も私にとって宝物だったとやっと気付けた。

    2005-10-10 03:59:00
  • 3:

    よく、人は死ぬまでに3回大恋愛をするとゆう。
    それなら私には次の恋が無い。そう思うくらい、私には忘れない恋がある。
    それぞれ違う形の恋で、
    一緒にいた長さも、出会った回数も、もらったモノも、思い出の曲もみんな違う。
    ただ今思えば共通点もある。私の好きなメンソールのタバコ。それから私の苦手な猫を飼っていたこと。
    そして、私はどのキスも好きだった。
    唇の厚さも、その柔らかさも、舌の吸い方もその温度も、それからキスの味も…

    初めの彼氏は正木。
    私は彼を名字で呼んだ。

    2005-10-11 02:41:00
  • 4:

    私と正木は同じ中学で、似た者同士だった。
    髪を染め、煙草を吸い、理由もなく先生に反発し、学校には気分で行った。
    正木はいつも4、5人でいてよく顔に傷があった。
    きれいな顔立ちに低い声、左耳のピアス。私のタイプだった。

    2005-10-11 03:22:00
  • 5:

    正木が学校に来ると私にはすぐ分かる。生徒があまり通らない屋上までの階段から、彼がいる日にはいつもエタニティーの香りがした。その苦いような透き通ったような匂いが、正木にはよく合っていた。
    私は正木をもっとよく知りたいと思った。だけど彼の首にある赤い印が、「私のモノよ!」といっていた。

    2005-10-11 03:31:00
  • 6:

    ただ、私が正木に気を持っているように、彼もまた私に気があることを私はなんとなく分かっていた。
    例えばそれは、場所を言わずに待ち合わせをしても、彼がそこに必ず来るようなそれと似ている。

    そしてそれはその通りだった。

    2005-10-12 03:59:00
  • 7:

    ある日、廊下の向う側からいつもの様にエタニティの香りを引きつれて彼が歩いて来た。
    私の目に映る彼が、次第に大きくなっていく。
    正木は真っすぐ歩いてきて私の真前で立ち止まった。「お前、俺と付き合えよ」私は呆気にとられた。
    あまりにも展開が早すぎる。それでも私の口からは「うん」という返事が出た。

    2005-10-12 13:27:00
  • 8:

    私には断る理由が無かったし、正木のことが好きだった。いつか校内で私の鼻が正木の匂いを探しはじめた時から、私は正木を捕まえたいと思っていたんだろう。
    「これ俺の番号とメアド。」
    正木は携帯を見せ私に差し出した。
    「じゃあ、私のも送る。」

    2005-10-12 13:36:00
  • 9:

    それだけの会話で、私たちは一つの繋がりを持った。
    その時正木の首には誰かがつけていた『赤い印』は無かった。

    2005-10-12 13:37:00
  • 10:

    彼氏ができた時って不思議な感覚になる。
    昨日までと何も変わらない。なのに熱くなってわくわくして、メイクもいつもより少しだけ丁寧にする。
    恋多き友達がいつもキラキラして見えるのはだからか…そう思った。
    次の日起きたら昼過ぎだったから、私は学校に行かず友達に借りたCDを聴いて過ごした。

    2005-10-12 14:00:00
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