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真夏の果実
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11:
まだ正木と付き合った実感が無かった。
連絡をとりたかったけど、用件が無い…何しとん?かなぁ、起きとる?かなぁ‥どっちがいいかなぁ。
ほんの短い文を打っては消し、それを20分も続けた。
やっぱり待つ方がいいか…携帯を置いた私は煙草に火をつけて、いじらしい自分も可愛いと思った。2005-10-15 02:08:00 -
12:
友達に電話をしようと携帯に手を伸ばした時、着メロが流れた。
誰から?見ると正木だった。
「はい?」
「起きてた?」
「うん。どっか出ようか考えてたとこ。正木は?」
「今起きた。サボリか?ヤンキー」
「人のこと言える?」
正木は笑った。それが嬉しかった。2005-10-15 02:33:00 -
14:
「わかった。」
私は家を出た。十分すると正木が煙草をくわえながら紫のZXに乗って来た。
「乗れよ。落ちんなよ。」
私が座りやすいように正木は少し前につめて座り直した。風が気持ち良かった。
2005-10-16 01:55:00 -
15:
正木は無免でいつもメットをかぶらない。走り過ぎる道を記憶しながら、私は正木の家を覚えた。
何も言わず家にあがる正木の背中について行き、靴をぬいだ。
正木の部屋は想像したよりシンプルで、青いカーテンがかかっていた。2005-10-16 02:00:00 -
16:
正木はベットに寝転がり、布団をポンポンとたたいた。私は彼の横に座り、何が寂しい気持ちになる青い部屋を見渡した。
そして正木が私の背中にくっつき、私が振り返ると、どちらからともなくキスをした。
…私は触れた唇を離し正木の目を見た。
2005-10-16 02:10:00 -
17:
正木がもう一度口を寄せてきた時、私はとっさに拒んだ。
正木との初めてのキスは苦くてまずかった。
なんで?…。
好きな人と初めてしたキスの味は、シンナーだった。2005-10-16 02:17:00