小説掲示板『ごめんね』と『ありがとう』のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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『ごめんね』と『ありがとう』

スレッド内検索:
  • 1:

    りの

    いろいろあった経験を小説風にまとめてみました??

    2005-09-19 05:08:00
  • 2:

    りの

    『なぁ、りの俺と付き合ってよ?』突然のりゅうからの告白だった。『う、うん!』私は驚きととまどいを隠せないままなんとなくOKした。その時はまだ“付き合う”とか“彼氏”とかよくわからなかったからどうしていいかわからなかった。ただ私は彼氏というものがほしかったのだ。

    2005-09-19 05:17:00
  • 3:

    りの

    りゅうは二つ上の先輩だった。地元が近くてよくみんなで一緒に遊んでいたが、特別な思い入れはあんまりなかった。顔は好きだったが、優しくてみんなに慕われて、人気者のりゅうがまさか自分の事を好きになってくれるわけないと、最初から対象外として見ていたのかもしれない。

    2005-09-19 05:24:00
  • 4:

    りの

    『ほんまに!?ほんまに俺と付き合ってくれるん?』『うん。』       『めっちゃ嬉しいゎ。ほなこれからよろしくな!』りゅうは笑顔で私の手を握った。よく喋るりゅうに圧倒されながらも、じわじわとりゅうの手のぬくもりとともにやっと‘彼氏ができた’という実感がわいてきた。子供の頃から憧れていた少女漫画の世界が今から始まると思うと嬉しくて仕方なかった。

    2005-09-19 05:38:00
  • 5:

    りの

    今まで“ツレ”だと思ってた人が急に“彼氏”に変わる。変な感覚だった。  『みんな聞いてやー!俺りのと付き合う事になったからこいつに手だしたら、ほんま殺すで。』みんなの前でりゅうはいきなりおきまりの報告しだした。『えーっ!ほんまなん?りの?』一番の親友みかが目を丸くして私を見た。『うん。なんかそうみたい。』『以外やわ。まぁ、でもおめでとう!』

    2005-09-19 05:52:00
  • 6:

    りの

    自分でも以外だし、信じられない。りゅうの事は好きだけど、ただの先輩として見てたからそれが自分の彼氏なんて。まぁ、でも深く考えなくてもかっこいい彼氏ができたと思えば幸せだ。

    2005-09-19 06:01:00
  • 7:

    りの

    それからりゅうとは毎日一緒に遊んだ。二人で遊ぶときもあれば、みんなで騒いだり。でもそれは友達の延長戦感覚。ただ一緒にいる時間が増えただけなかんじもした。付き合うってこんなかんじなのか、初めてだからわからない。私はその時人を好きっていう気持ちも経験がないからわからなかった。

    2005-09-19 06:13:00
  • 8:

    りの

    いつものようにりゅうの家でテレビを見てたら、りゅうはいきなりテレビを消した。『何するん?りの今見てたやん!』
    『なぁ、りの。お前俺の事一体どう思ってるん?』
    『へっ?』       『俺の事好きなん?』  『好きやで!!』    『それは男として好きなんか、ツレとして好きなんかどっち?』       『…。』確信をつかれた気がして言葉がでなかった。

    2005-09-19 06:21:00
  • 9:

    名無しさん

    以外→×
    意外→〇

    2005-09-19 06:22:00
  • 10:

    りの

    『りの、付き合う前と今とあんま態度変わらんし、俺わからへん。』     『…。』どうしてぃぃのかわからなかった。けど、いつも笑ってるりゅうの顔が悲しそうにしてるのを見てると胸が痛くなった。  『りゅうはりのの事好きなん?何が好きなん?』  『何って、一緒にいてめっちゃ楽しいし、お前見てると危なっかしくてほっとけへんねん。お前は自分の事全く話さへんけど、一人で抱え込んでるの見てるとほっとけへん。』

    2005-09-19 06:34:00
  • 11:

    りの

    りゅうがそんなに自分の事を見てくれてるなんて予想外だった。確かに私は自分の事をいくら親友のみかですら話すのが苦手だった。完全に人に心を許すのが恐かったのだろう。本当の自分を知って嫌われたくない、一人になりたくないという気持ちからなのか昔から一線引いて人と付き合う癖があったが、それを見抜いたのはりゅうが初めてだった。

    2005-09-19 06:45:00
  • 12:

    りの

    私の目から涙が次から次へと溢れだした。自分でも何故こんなに涙がでてくるのかわからなかった。自分以外の誰か、他人の前で泣くなんて久しぶりの経験だ。『りのどうしたん?』  りゅうは優しく頭をなぜてくれた。

    2005-09-19 17:45:00
  • 13:

    りの

    『自分でもわからへん。でもな、りゅうがそんなにりのの事見ててくれて嬉しいんやけど、りの、好きって事がよくわからへん‥ほんまごめんな。でもな!でも‥嬉しいんやで!せやけど恐い‥』私は無我夢中で喋った。矛盾だらけのこの気持ちをりゅうに伝えたかった。りゅうにはわかってもらいたかったから。子供のように必死にわめいてる私をりゅうは優しく抱き締めて『もぅ、ぇぇで。よくわからへんけど、りのが少しでも俺の事好きって思ってくれてるなら今はそれでぃぃよ。そんな泣くなや!』りゅうの腕の中で私はさらに思いっきり泣いた。

    2005-09-19 17:55:00
  • 14:

    りの

    りゅうの腕の中は暖かくて心地よかった。いつも家には帰りたくなかった。またあの地獄のような空間に戻るかと思うと吐き気がする。私の家は四人家族で、実の父と母と兄。母と兄とは血がつながってなく、私の本当の母は誰か知らない。『ただいま。』     小さい声でつぶやく。

    2005-09-20 03:45:00
  • 15:

    りの

    『おーい。何で帰ってくんねーん。別に帰ってこんでもええでー。』     リビングから酔っ払いながら叫ぶ母の声を尻目に黙って二階にあがる。私の母はいつもこの調子。私の存在が嫌いで仕方がないみたいだ。私が小さい頃は可愛がってくれてたみたいだが、今ではもうそこらへんの野良犬のような扱いだ。ご飯だけはきちんと用意してくれるが、いてもいなくても変わらない自分はまるで透明人間にでもなった気分だった。

    2005-09-20 03:54:00
  • 16:

    りの

    そして酔っ払うとたちが悪い母は『りのは何でおるん?たかし(兄)と三人家族やったら幸せやったのに。』これが口癖だった。うんざりする。すいませんね。私だって好きで産まれてきたわけではありませんよ。でも母が私の事を好きになれない気持ちもわからないでもない。好きな人と自分の知らない女との子供。自分の子供の方が可愛いのは当たり前だ。でもそんなたかしは一年前家を出ていってしまった。

    2005-09-20 04:04:00
  • 17:

    りの

    母がいつもお酒に走るようになったのはたかしがいなくなってからだ。お願いだからたかし早く帰って来いよ。私はいつもそう思いながら眠りにつく。『何で産まれてきたん?』『あんたはいらん子やで。』『はよどっか行き。』『あんた自分がどれだけいらんかわかってんのか。あほ。』頭の中でぐるぐる母の言葉が連呼する。気にしない、気にしない。自分に言い聞かせた。

    2005-09-20 04:14:00
  • 18:

    りの

    ドンドンドンッ。ガッシャーン。 『何すんねん!あんたあほか!』         『お前黙れや!』    はぁ‥。始まった。父が帰ってきて酔っ払いの母との喧嘩。いつもこの叫び声と物の壊れる音で目が覚める。寝てる時ぐらいそっとしといてほしい。     ガチャッ。        『おい、りの!!』   『…。』
    寝たふり、寝たふり。

    2005-09-20 04:23:00
  • 19:

    りの

    ボフッ。         『なんやねん!痛いなぁ!』お腹を思いっきり殴られて起こされる。     『なんやその態度は!お前俺が帰ってきたらおかえりなさいぐらい言えや!』 そしてまた殴られる。  帰ってきたらって今何時だと思ってるんだよ。夜中の三時回ってるやん、この酔っ払いが‥。

    2005-09-20 04:31:00
  • 20:

    りの

    『おかえりなさい。』  『なんやちゃんとできるなら最初からやれや。』  そう言ってやっと部屋から出ていった。今日はまだましな方だ。いつも理不尽な理由をつけて殴られる。もう抵抗する気もおきない。ただひたすら痛みを我慢し、父の怒りがおさまるのを待つだけしか私にはできなかった。

    2005-09-20 04:37:00
  • 21:

    りの

    一度帰りが遅くなった日があった。遅くなったと言っても、うちには『門限』というものはなかったし、たまたま父の虫の居所が悪かった時に帰ってきてしまったのだ。        『りの!お前は今何時やと思ってるんや!』    『まだ九時やん。』   『あほか!九時に帰ってくるなんて不良や!こんな金髪にしてるから不良や!』

    2005-09-20 04:43:00
  • 22:

    りの

    『金髪やないし、不良やないやん!』       父は私の髪で私を引っ張ってリビングまで連れていった。全部の髪の毛が真剣に抜けてしまうかと思った。『痛い!痛いって!ごめんなさい。』       そしてはさみで私の髪を切ろうとした。      『ほんまやめてや!!』 全身使って右へ左へ必死でもがく。
    『いややって!』    父も必死ではさみを掴み髪の毛を切ろうとする。

    2005-09-20 04:52:00
  • 23:

    りの

    ブスッ‥         一瞬時が止まった。頭に思いっきりはさみがささった。血がたれてくるとともに痛みがこみあげてくる。痛みとともに感じる、この脱力感と虚しさはなんなのだろう。私が一体何をしたんだろう。おかげで全治一ヵ月&せっかく綺麗にのばした髪の毛もなくなった。

    2005-09-20 04:59:00
  • 24:

    りの

    この一件から父の暴力に反抗する事はなくなった。反抗したところで被害が大きくなるだけだ。黙ってればそのうち終わる。母から言葉の暴力、父からの肉体的暴力。この家に私の居場所なんてものは一切なかった。

    2005-09-20 05:05:00
  • 25:

    りの

    死ぬのなんて恐くなかったし、何回も自殺しようと考えた。でも実行する事ができない自分が臆病者な気がして無性に嫌だった。そんな中、初めて感じたりゅうの腕のぬくもりがとても居心地がいいというのだけは確かなことだった。

    2005-09-20 05:11:00
  • 26:

    りの

    気が付けばりゅうと一緒にいればいるほど気が楽になっていった。一人で持ってた荷物をりゅうが一緒に持ってくれる。そんな気がした。

    2005-09-20 05:17:00
  • 27:

    みき

    りのちゃん読んでますよ?頑張って下さいネ?゙

    2005-09-20 05:18:00
  • 28:

    りの

    ある日、りゅうと夜の海に単車で行った。手を繋いで海岸を散歩していた。  『俺な、りのの事めっちゃ好きやで。』      そう言うだけ言って、りゅうはきつく抱き締めて、キスをした。りゅうの匂い、りゅうのぬくもりに締め付けられる。

    2005-09-20 05:25:00
  • 29:

    りの

    みきちゃんありがとう!!文とかぐちゃぐちゃかもしんないけど、頑張って完結させるね(`∀´)Ψ

    2005-09-20 05:27:00
  • 30:

    りの

    りゅうの家について、少し一服してたら、りゅうが後ろから近づいてきて私を抱き締めた。       『なぁ、りのエッチせーへん?』         『え‥。うーん‥。』  硬直してしまった。そう私はまだバージンだった。いつかはこうなるだろうと思っていたが、今がその時だとは正直思っていなかった。

    2005-09-20 05:33:00
  • 31:

    りの

    『いや?』       『電気消してくれるんやったらええよ‥。』    私は覚悟を決めた。電気を消し部屋を真っ暗にして、りゅうが優しく私の唇にキスをし、舌が入ってくる。そしてりゅうの手が私の胸にくる。心臓が壊れそうなぐらい、ドクドクッと音をたてて鳴っている。りゅうの手が動くたび、ドキドキが止まらない。この感じは何なのだろうか。りゅうの物が私の中に入ってこようとする。      
    『いたっっ!』     ものすごい激痛が走った。

    2005-09-20 05:43:00
  • 32:

    りの

    『ごめん。やめよか?』 『ええから続けて‥。』 痛さの我慢は慣れている。でもいつもとは違う。痛さの中にも優しさがあり幸せがある。全ての作業が終わった後、またりゅうの腕につつまれて、そのまま少し眠りについてしまった。

    2005-09-20 15:38:00
  • 33:

    りの

    目が覚めた時はもう朝だった。隣にりゅうはいなかった。やばっ。早く服着て帰らなかん。下着をつけて私のキャミソールを探しているところに、『お〜ぉ、寝ぼすけりのちゃんおはよう!』とりゅうがどこからか帰ってきた。『おはよ。』なんだか恥ずかしい。布団で体を隠しながらキャミソールをまた探しはじめた。

    2005-09-20 15:45:00
  • 34:

    りの

    『りゅう、りののキャミ知らへん?』        『あ〜ぁ、あれ俺がお茶こぼしてもーたから、洗濯してんで!ごめんなー。俺のTシャツ着てき!』    『わかったわ。』    りゅうが渡してくれたTシャツを着替えようとした時、 『ダァーー。』     りゅうがふざけて私がくるまってた布団をとりあげた。

    2005-09-20 15:53:00
  • 35:

    りの

    『やめてや!!』    パーンッ。とっさにりゅうのほっぺに手をあげてしまった。 
    『ごめん。』      『…。』        私はりゅうに背を向けて急いで着替えた。     後ろからいきなり手をつかまれて、りゅうの正面に向けられた。

    2005-09-20 16:00:00
  • 36:

    りの

    りゅうは私のTシャツをめくって言った。      『お前このあざ何なん?』私の体は父に殴られた後がいつもたくさん残っていた。
    『…。』        私は黙ってうつむいた。 『誰に殴られたん?』  りゅうはきつく私の手を握ってくれていた。

    2005-09-21 06:03:00
  • 37:

    りの

    『なぁ、りの?』    『…お父さん。』    『は??お前のおやじりのの事殴るん?』     『うん‥。』      『何でなん?』
    私はまた泣きだしてしまった。そしてりゅうに父、母のこと私の家庭のこと全部話した。誰かに家の事を話すのは初めてだった。

    2005-09-21 06:14:00
  • 38:

    りの

    自分がおかれてるみじめな状況を人に知られるのが恥ずかしかった。りゅうは黙って私をなだめた。   『りの、俺ん家に一緒に住もうや。そんな家にりのを帰させたくない。』   『でも‥』
    そんな事考えてもなかった。あの家を出たいとはいつも思っていた。でもお金もないし、行くあてもない。中学を卒業するまでの辛抱だといつも我慢していた。

    2005-09-21 06:28:00
  • 39:

    りの

    『あの家は出たいけど、りゅうに迷惑かけるのいややし‥。』
    『そんなんかまわへん。俺の親やって話せばわかってくれるし、そんなん聞いて何もできへん自分もいややん。ちょっと待っといてや。』          そう言い残してりゅうは部屋をでていった。

    2005-09-21 06:35:00
  • 40:

    りの

    多分りゅうの親に話に言ってくれたのだろう。りゅうは思いついたら即行動。そうゆう男だ。私は部屋にぽつんと一人この展開の早さについていけずにいた。自分の知られたくない秘密をりゅうに話してしまったこと、りゅうが俺の家においでと言ってくれたこと、全てが信じられなかった。

    2005-09-21 06:41:00
  • 41:

    りの

    一人で放心状態に陥っていたら、りゅうとりゅうのお母さんが部屋に戻ってきた。           『こ、こんにちは。』  りゅうのお母さんとは何度か会った事がある。見た目はいかにも大阪のおばちゃんという感じの派手な人だが、おっとりと喋る優しそうな人だ。そのギャップが何とも言えない。

    2005-09-21 06:52:00
  • 42:

    りの

    『りのちゃん大丈夫?りゅうから全部話は聞いたで。まだ若いのに辛い思いいっぱいしてきたんやなぁ。これからはうちに住み!何も気にせんと、りのちゃん家にはおばちゃんからきちんと言うといたるから。』 おばさんの優しさが胸にしみわたりまた涙があふれ出てきた。

    2005-09-21 07:02:00
  • 43:

    りの

    『ほんまにいいんですか?』           『当たり前やん。うちこんなむさ苦しい男ばっかりしかおらへんから、おばちゃん、りのちゃんみたいな可愛い子が昔から欲しかってん。』

    2005-09-21 07:08:00
  • 44:

    りの

    もう家には帰りません。 とりあえず親にメールを送ってみたものの、返信はない。りゅうのお母さんが一応家に連絡をしてくれてたみたいだが、『大事な子供をこっちにもらう言うてんのに、あの態度は何なん?頭おかしすぎなんと違う?同じ親として信じられへんわ。』と、少し怒ってたというか、半分呆れていた。

    2005-09-21 07:24:00
  • 45:

    あゆみ ◆vmmZ0hhNNc

    読んでます(?????)??涙がでてきたよ?人に優しさに触れた時、何とも言えない幸せな感情が生まれるよね??これからも頑張ってね?完結まで応援してます(?∀??)?

    2005-09-21 15:42:00
  • 46:

    りの

    あゆみちゃんありがとう?りゅうや、りゅうの親には本当感謝してる?人に優しくされたら、自分も人に優しくできるよね?あゆみちゃんのレスにも励まされたよ?頑張るネッ?

    2005-09-22 03:28:00
  • 47:

    りの

    それから、りゅうの家での生活が始まった。りゅうのお母さんは本当によくしてくれて、自分の子供のように可愛がってくれた。りゅうのお父さんはあまり家に帰ってこなく、顔を合わせる事は少なかったが、会えばいつも優しく微笑みかけてくれる。

    2005-09-22 03:57:00
  • 48:

    りの

    この家では、私はちゃんと存在してる。ここに居てもいいのだとみんな居場所を作ってくれている。ちゃんと一人の人間として見てくれている。これ以上幸せな事はない。そして何より幸せだったのは、りゅうの隣でりゅうに包まれ、安らかに眠れることだ。りゅうは寝相がとても悪かったが、夜中いきなり殴られるのに比べれば可愛いものだ。

    2005-09-22 04:05:00
  • 49:

    りの

    りゅうの家で暮らし始めて三日ぐらいたった。何度か父から着信があったが、全部無視した。一度荷物を取りに自分の家に帰った。平日の昼間だから、家には確実に誰もいないはずだ。自分の部屋をあけた瞬間唖然とした。私の荷物は何一つ残ってなく、ベッドと机だけが虚しく残っていた。

    2005-09-22 04:20:00
  • 50:

    りの

    私って一体何だったのだろう‥。もうこの家に私の居場所は残っていない。もともとこの家に私の居場所なんてものはない事ぐらいわかっていたが、がらんとした部屋を目の前に、認めたくなかった現実を突き付けられた。幼心にどこか私はこの家の人間でいてもいいと言ってくれる日を期待していたのかもしれない。

    2005-09-22 04:27:00
  • 51:

    りの

    自分がとてもみじめだった。なんだかもう、あっけにとられすぎて涙もでなかった。10分ぐらいその場に立ち尽くしたまま、この部屋での思い出が走馬灯のように駆け巡った。もうりゅうの家に戻ろう‥。そう思いとぼとぼ一回に降りていったら、駐車場に車の止まる嫌な音がした。

    2005-09-22 04:35:00
  • 52:

    りの

    ヤバッ。こんな時間になぜか父が帰ってきてしまった。急いで逃げようとしたが、時すでに遅し。玄関で父とかち合った。瞬間、いきなりお腹を殴られ、私はその場にうずくまってしまった。           『お前何様やねん!中坊の分際で!俺の子失格やな』昼真から酒臭い。そして今日は一段と機嫌が悪そうだった。

    2005-09-22 04:42:00
  • 53:

    りの

    『りの、俺に何か言う事ないんか?あぁ?』    そう言いながら、うずくまってる私をさらに蹴りあげた。思いっきりみぞおちに入って一瞬息が止まり、悔しさから止まらない涙でうまく喋れない。     『りの喋れや!親に心配かけやがって!!』    暴力は増す一方だ。

    2005-09-22 04:50:00
  • 54:

    りの

    えらそうに言いやがって。お前のしてる事は自分の子供にする事か。心配なんかしてないくせに嘘つき。お前なんて死んでしまえばいい心底そう思った。力を振り絞って起き上がり、
    『今までありがとうございました。』
    と言って、家を飛び出した。           『待てや!りのっ!!』 近所中に響き渡るぐらい大きな怒鳴り声を無視し、無我夢中で走った。

    2005-09-22 04:59:00
  • 55:

    りの

    ひたすら走ってりゅうの家についた瞬間、痛みと涙がまたこみあげてきた。家には誰もいなかった。りゅうは仕事に行き、お母さんは多分買い物にでも行ったのだろう。私は一人で大声をあげて泣いた。もういろんな事がありすぎて、何が悲しいかさえもわからない。私は何故産まれてきた?何故あの人に殴られる?私って何なの?

    2005-09-22 05:12:00
  • 56:

    りの

    頭の中がパニックになった。ただ泣き叫んだ。自分の体にはあの人と同じ血が流れていると考えた時、私は思わずナイフで自分の手首を深く切り付けた。血がたくさんでてきた。このままあの人と同じ血が全部流れてしまえばいいと思った。泣き疲れたのか、頭がくらっとしてそのまま倒れて眠ってしまった。

    2005-09-22 05:26:00
  • 57:

    りの

    気が付いたらベッドで寝ていた。手首にはきちんと包帯がまいてある。    『りの、大丈夫か?』  隣にいたりゅうはとても心配そうな顔をしてくれていた。          『うん‥。』      何が起きたのか、自分が何をしたのか遠い昔のような気がした。ただ手首の痛みだけがリアルに感じた。

    2005-09-22 16:50:00
  • 58:

    りの

    『ほんまよかったぁ‥。めっちゃ心配したんやで!よかったわ‥。』     りゅうは私を今までで一番強く抱き締めて、私の背中らへんで涙をながしてくれている気がした。空虚な私の心をりゅうが充たしてくれた。りゅうのぬくもりに私の心と身体は包まれた。

    2005-09-22 17:05:00
  • 59:

    りの

    『心配かけてごめん。やけど、もう大丈夫やから。りゅうありがとう。』   安心してまた涙がでてきた。今日一日でいろんな涙を流しただろう。     『何があったかわからへんけどもう二度と無茶な事すんのやめてな。りの、もっと俺に頼ってきてや。俺は絶対りのの事守ったる。』

    2005-09-22 17:18:00
  • 60:

    りの

    りゅうの一言一言が胸にしみわたる。       『りゅう、ありがとう。』この時にはもう、私にとってりゅうの存在はなくてはならないものとなっていた。もしりゅうが居なければ私は壊れきっていたかもしれない。りゅうの優しさ、りゅうのぬくもり、一生りゅうの傍にいたいと願った。

    2005-09-22 17:28:00
  • 61:

    りの

    落ち着いてからりゅうには一応あった出来事を全部話した。りゅうに心配かけてしまった申し訳なさもあったし、りゅうには何でも話しておきたかった。   『何なんそれ‥。ほんまりののおやじ意味わからへん。頭おかしすぎやろ。』 りゅうは少しとまどい、言葉につまっていた。

    2005-10-03 15:31:00
  • 62:

    りの

    それもそうだろう。親の愛をたくさん受けて、暖かい家庭で育ったりゅうには理解不能な事であろう。  『俺、りののおやじに会ってくるわ!』      『ええって!』     『何でなん?一回殴ってやらな気がすまへん。』

    2005-10-03 15:37:00
  • 63:

    りの

    『りゅうを巻き込みたくないねん。りゅうの家に住ませてもらってるだけで幸せやし。もう二度と会わへんようにするから。りゅうが会ったところであの人は変わらへんって。絶対勝手に会ったりとかしんといてや!!』         『‥。』

    2005-10-03 15:47:00
  • 64:

    りの

    りゅうを巻き込みたくないと言うのも事実だけど、本当はりゅうにあの人の醜い姿を見られるのがすごい嫌だった。りゅうには全部知ってもらいたいと思う反面まだどこか親の事を隠しておきたいと思った。私はとても矛盾している。

    2005-10-03 16:11:00
  • 65:

    りの

    『わかった。もう二度とおやじに会わへんようにしといてや。』       こうしてこの一件はとりあえず落ち着いた。この一件のおかげかどうかはわからないが、りゅうと私の仲は自分の親より何より深まった気がする。

    2005-10-03 18:45:00
  • 66:

    りの

    それからというものの平穏な日々が続いた。洗濯、掃除、炊事など家事はほとんどやった。ただで住ましてもらってる私ができるせめてものお礼であろう。それでも、りゅうのお母さんは『そんな気使わなくてもいいで。』と家事を済ましてしまう。なんて優しい人なのか。

    2005-10-05 14:34:00
  • 67:

    りの

    『私にやらしてくださいよぉ!』といつもお互い仕事の取り合いになる。どんな事ででもいいから、この家の役に立ちたかった。必要とされたかったのだ。私にはここしか居場所がない。そして夜になり、仕事から帰るりゅうを待つ。こんな幸せな事はない。

    2005-10-05 14:49:00
  • 68:

    名無しさん

    読みたい?頑張って?

    2005-10-12 20:35:00
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