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大阪心中24時50分

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  • 1:

    NN

    携帯電話ってものが存在してるのに 人と人の距離は全く埋まりそうにない それどころか日々遠のいているような感覚にさえなる どうしてだろう どうして携帯電話ひとつでここまでひどく憂鬱な気持ちになるのだろう 寂しい夜は 電話で声が聞きたいんじゃない 抱きしめたいんだと 強く思った

    2005-12-16 15:49:00
  • 9:

    NN

    家も出たかった。あたしの家庭はあんまりいい家庭じゃない。寮付きだったしお金もいいし、もともとセックスは嫌いじゃなかったし、風俗の求人雑誌を見て「なんとなく」流されるようにして始めた。そして「なんとなく」続けてる。特にといって風俗にいる理由、目標がない。「じゃあ明日も頼むで」店長は私に茶色の封筒を渡す。今日は日曜日だった。学校がない。オーラス出勤してたから、封筒の中はいつもよりも断然、お札が多かった。「うん、お疲れ」私は封筒をカバンの中に入れると、タクシーに乗り込んだ。

    2005-12-16 15:59:00
  • 10:

    NN

    風俗って仕事は目標もなく、ダラダラと続けるなんて意味のないこと。それならはっきり辞めた方がいい。って、よく誰かが言ってる。だけどはっきり辞めることも、私にとっては意味のないようなことに思える。

    2005-12-16 16:00:00
  • 11:

    NN

    ねぇユウちゃん。ユウちゃんはあたしの希望の光やった。ちっぽけで汚らしいあたしの体の中に、ユウちゃんの優しさが伝わってきたとき、胸が痛くなったの。だから、いつも素直になれないで、ユウちゃんを傷つけた。人って愛する相手にほどワガママいって傷つけてしまうものなんだって。人間は恋愛をすると今まで自分の知らなかった感情まで振り乱して、時には狂気に狂い、愛する相手なのに殺してしまうってこともあるんだと何かの本で読んだ。

    2005-12-16 16:01:00
  • 12:

    NN

    もしそうだとすれば、人間である時点で、人には、満され合う愛なんて存在しないのかもしれないよね。だけどあたしは、それでもいいよ。ユウちゃんと愛し合えないなら人間になんてならなくっていい。あたしはユウちゃんの「モノ」になりたい。そうしたらユウちゃんを傷つけず、殺さずにすむ

    2005-12-16 16:02:00
  • 13:

    NN

    ◆翌日、あたしは夕方の4時半に目覚めた。何だか最近眠りが浅い気がする。あたしは冷蔵庫から水を取り出し、ペットボトルに口をつけ一気に飲みこむ。授業は5時半から始まる。あたしは化粧を済ませ、時間割を確認してタクシーに乗り込む。うちの学校は私服だ。スエットのコもいれば、お姉系・お兄系全開でキッチリ決めてくるコもいる。学校には仲のいい友達は、正直いない。1、2年で学校に行かなさ過ぎて、友達を作るタイミングを失ってた。学校で1人でいることには慣れた。別に無視されてるわけじゃない。特別仲のいいコがいないだけだ。

    2005-12-16 16:03:00
  • 14:

    NN

    1限は英語だった。あたしがノートを取っていると、横から声をかけられる。「安藤さん」あたしは横を見る。金髪の髪の毛を綺麗にセットしてまさにホスト!みたいな髪型をした男の子。このコ名前なんやったっけ..あたしは一瞬考え込んだ。「あんな、安藤さんって今彼氏とかおるん?」真剣な顔をしてあたしにつぶやく。ああ、確か名前田村だっけ。そんな感じだった気がする。「いいひんけど..」困惑するあたしの表情を見て、田村は微笑む。「そーなん!よかった。やったらさ、西野ちゃん、のことどう思うん?」西野ちゃん?あたしは首をかしげる。

    2005-12-16 16:05:00
  • 15:

    NN

    「そこ!うるさい」先生の視線がとまる。「あーごーめんごーめん!先生気にせんと続けて!」田村が先生をシッシッと追い払う。お調子者タイプとはこういう奴のことなんやろう。「ごめん西野ちゃんって誰?」あたしがそういうと、田村が、あ、知らんの!?と声を大きくする。知るわけない。今、一番クラスでうるさい男・田村の名前をやっと思い出せたのに。クラスメイトの顔と名前が完全に一致しない。

    2005-12-16 16:06:00
  • 16:

    NN

    「ほんま知らん!?ずっと同じクラスやん!」知らないことがすごくおかしいみたいな言い方をする田村の言葉が妙に気に触った。「知らんわ」少しキツイ言い方になってしまった。田村はそれを察してか、少し低姿勢に出た。「まぁ怒らんといてや」「怒ってへんよ」そんな掛け合いをした時、教室のドアが開く。「西野!お前また遅刻か」「すみません」田村の斜め後ろに西野が座る。明るい金髪と茶色のメッシュが混ざり合った派手な髪の毛。ああ、この人が西野くん。ああ、この人知ってる。

    2005-12-16 16:07:00
  • 17:

    NN

    やたらに男子に人気がある男子..そんな響きがちょっと虚しい。男子に人気があるってゆっても、筋肉がスゴイ!とかスポーツができる!とか、すごい男前!とかそんなんじゃないと思う。見る限り、色は白いし、身長は175?ぐらいで背丈としてはまぁまぁだけど、ガリガリで細いから、叩いたらボキっと折れちゃいそうだ。けして不細工じゃないけど、目が細くって派手な顔立ちじゃない。むしろ、顔が薄い。「西野君はルックスはまぁまぁだけどへたれそう」と、女子の間でも一時話題になった。多分、彼は3、4番目タイプなんだと思う。男としてこれから色々苦労しそうだなと他人事ながら思う。

    2005-12-16 16:08:00
  • 18:

    NN

    へたれそうだし。よく田村がちょっかいかけてるの見る。「この人?」あたしが小声でいうと田村は「そや!」と声を大きくした。後ろで男子と西野くんの会話が聞こえた。「お前年中肌白いやんなぁ焼かねぇの?」「白いのいやなんけど・・俺なぜか焼けへんねん。」男子の言葉を気にしてか西野くんはカッターの袖をめくる。本当に白い。「やばいって西野ちゃん、白すぎやから!」「うおえー西野ちゃん白い白い!」「っーか西野ちゃん昨日のエンタメ見た?」

    2005-12-16 16:10:00
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